映画「Greta」気になる海外メディアの評価とは?

ヒトにとっての脅威はヒト

人間にとって、良い友達ができないという寂しさより、質の悪い誰かに付きまとわれることの方が、はるかにストレスとなります。

そういう、ちょっと変な人間は、自分の歪んだ欲求を満たす目的のために、ターゲットの持つ脆弱性を独特の嗅覚で見つけ出し、初めのうちは見方であるかのように振る舞い近づいてきます。そして、さしたる苦もなくこちらの懐に取り入ってくるのです。

もしあなたが、そんなのに振り回されつづけたら、不安感から心身ともに調子をくずし病気になってしまうでしょう。いや、その相手の性質によったら、もっと悲劇的な状況に追い込まれる結果も想定できます。

そして、あなたの人生はぐちゃぐちゃにされてしまう・・・

やはり、一番こわいのは、何といってもニンゲンです。

今となっては、フィクションの中だけではなくなった、そういったサイコパスストーカー系事件を再びとりあげたのが、今回ご紹介する映画「Greta」です。

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Greta
    • グレタ
  • ジャンル:
    • サイコスリラー
  • 日本公開:
    • 未定
  • 制作:
    • 2019年
    • Sidney Kimmel Entertainment
    • Lawrence Bender Productions
    • Little Wave Productions
  • 監督:
    • ニール・ジョーダン
  • 脚本:
    • レイ・ライト
    • ニール・ジョーダン
  • プロデューサー:
    • ローレンス・ベンダー
    • シドニー・キンメル
    • ジェームズ・フリン
    • リチャード・D・ルイス
    • ジョン・ペノッティ…他
  • 出演:
    • イザベル・ユペール
    • クロエ・グレース・モレッツ
    • マイカ・モンロー
    • ザウェ・アッシュトン
    • スティーヴン・レイ
    • コルム・フィオール…他

あらすじ

フランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は、ニューヨーク市に住む若い女性。彼女は、最近スミス大学を卒業し、ボストンからこの街へ引っ越してきたばかりです。

そんな彼女は、ある日、ウェイトレスとして働くレストランへの通勤に使う地下鉄車内で、一つの忘れ物を発見しました。それは、こじゃれた女性ものバッグです。

何となく、それを自室に持ち帰ってしまった彼女に、ルームメイトのエリカ(マイカ・モンロー)は、貰っちゃえばいいじゃん、とお気軽なアドバイス。

しかし、このバッグの中には持主の住所を記したカードが入っていました。それを見つけていたフランシスは、どこかに届け出たりする代わりに、その家を訪ねることにします。

そこで、ドアのノックに応えて姿を現したのは、品のある中年女性。名前はグレタ(イザベル・ユペール)というそうです。

フランシスの親切な行いに対し、お礼の代わりだといって一杯のティーをごちそうしてくれたグレタ。話を聞けば、娘さんは音楽を学ぶため、いまパリへ留学中だとのこと。

実は、フランシスには、母親を亡くしたことの心の傷が、まだ癒えずに残っていました。最近、訪れる客も少なくて、と、寂しそうにしている優しい女性からは、そんなフランシスの心の穴を埋めてくれ印象を感じたのです。

そして、彼女達2人は、一度、親友となりました、あれが起きるまでの間は・・・

その日、フランシスは、グレタの家で共にディナーを作っていました。テーブルにキャンドルを並べようと、それがしまってあるキャビネットを開いた彼女の目に、ある驚愕の様子が飛び込んできます。

彼女が地下鉄で見つけたバッグ、それも同じデザインのものが何個も、その棚の上に並んでいるではありませんか。さらにびっくりしたのは、その中にはすべて、フランシスをこの家に導いたアドレスカードが入っていたことです。

これを機に、グレタのことを気味悪く感じるようになったフランシスは、彼女の家に行くことを止め距離を置こうとします。

しかし、今度は、グレタの方がフランシスの行く先々に姿を見せ、挙句の果てに、彼女の勤めるレストランへ客として現れると、理由にならない理由で罵倒してきたりしました。

実は、グレタはサイコパスのストーカー。

フランシスを、これまで餌食にしてきた若い女性と同じ目に遭わせようとする、彼女のおそろしい計画が動き出します。

はたして、この若い女性はこの恐怖から逃げることが出来るのでしょうか?

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映画「Greta」気になる現地メディアの評価(レビュー)は?

言語・表情・声色など、他の動物に比べると数百倍も緻密な情報伝達手段を持っているのがヒトです。

にもかかわらず、どれほど付き合っても相手が本当に考えていることなど、完璧には分からないのが人間関係。

逆に言うと、自分の考えが完全に他の人に知れてしまったら、我々の精神は崩壊してしまうのかも知れません。

だから、ヒトは表情筋を自分の都合の良いように制御しながら、自分の心のうちを悟られないように、常に仮面を被るようにして生活しているわけです。

問題は、その仮面の裏側がであるかであるか・・・

そんなような人間の怖さをモチーフにしつつ、オーソドックスなスリラーに仕上がった印書も伝わる、本作の評価を3つほどご紹介してゆきます。

評価1:センスある演出が描き出すショック

まず、San Francisco Chronicleからの評価です。

ここでは、監督の演出なども含めて作風への評価となっています。

【San Francisco Chronicle】

Isabelle Huppert is a human monster in Neil Jordan thriller ‘Greta’

「イザベル・ユペールが異常者を演じる、ニール・ジョーダン監督のスリラー“Greta”」

“Greta” is silly, but two things keep it from losing its audience midway. The first is the elegance of Neil Jordan’s direction. The movie looks beautiful. More to the point, it looks intentional. “Greta” is visually seductive, and every frame of it seems considered and carefully chosen. And then there’s Huppert, who plays Greta right on the line between sincerity and camp, so you can take the movie seriously or be in on the joke, whichever you prefer.

「この映画“Greta”は、確かにばからしいものかもしれない。それでも、観客達を途中で離籍させないだけの、2つの要素を備えているだろう。その1つめは、エレガントさを感じさすニール・ジョーダン監督の演出である。本作は美しく撮られた映画であり、意図が込められた感があることも重要だ。本作“Greta”の映像は魅惑的で、かつ、フレーム毎に気が配られ注意深く選ばれたものとなっている。そこに加わって来るのが、ユペールが見せる、誠実さとわざとらしさの間の適格なラインにある演技だ。これにより、この映画はシリアスな物語としても、ジョークとしても、観客の好みに応じて解釈することが出来るようになっているのだ。」

It’s a tribute to both Jordan and Huppert that they can make a woman who is no more than 5 feet tall (on a hot day) scary just standing there.

「(さらに)本作は、5フィートの身長もない女性が、ただ立っているということを恐ろしく見せた、ジョーダン監督とユペール達に対する、1つのトリビュートでもある。」

And Huppert inhabits the stillness. She internalizes it, makes it something unforgiving, implacable, irrational, unreachable, unstoppable.

「そこでのユペールは、静寂さとして存在している。それを内面に取り込み、執念深く容赦のない、不合理で近づきがたく、阻止できない役どころへと作り上げているのだ。」

評価2:いくつかの角度から見られる一本

次は、The New York Timesが寄せた評価です。

すでに、イザベル・ユペールが異常な目的を持つ人物であることが割れている本作。謎とツイストで、観客をどこまでも引きずってストーリーではなさそうです。

そんな中でも、一つのスリラー映画にまとまっている印象が伝わるのが、ここでの評価になっています。

【The New York Times】

Isabelle Huppert as Sweet Surrogate Mom Turned Psycho Stalker

「イザベル・ユペールが、優しい母親代理から、異常なストーカーに変貌する」

I will say that “Greta,” directed by the always-estimable Neil Jordan (“The Crying Game,” “Michael Collins,” “The End of the Affair”), is a mixed bag, a skillfully executed psychological thriller with not quite enough in the way of psychology or thrills to be as disturbing or diverting as it should be. And maybe not enough Isabelle Huppert, either, though she is the major and almost sufficient reason to bother with the film in the first place.

「常に結果が期待できるニール・ジョーダン(“クライング・ゲーム”、“マイケル・コリンズ”、”ことの終わり”)が監督を務めた本作、“Greta”は、いくつかのものを同時に入れたバッグだ、と言うことができるだろう。それは、本来もとめられる不快さや観客からの注目を、心理学とスリラー両方の意味においても充分に達成しておらず、それでいて、巧みな撮影術で作り上げられたというサイコスリラーの一作となっているのだ。そして、この映画にわざわざ時間を割くことの、満足のゆく主な理由であるはずのイザベル・ユペールも、仕事を十分に達成してはいないだろう。」

Moretz is soft-featured and forthright, her face a blunt register of Frankie’s feelings. Huppert is all angles and shadows, and Greta is a mystery wrapped in an enigma bundled up in a neatly tied package of pure crazy. The script, written by Jordan and Ray Wright, makes a small effort to explain Greta’s mania, or at least to fill in her background

「ここでフランシスを、ソフトに演じるクロエ・グレース・モレッツは、その感情を表情の中に率直すぎるほどに表現している。ユペールによって、あらゆる見方や陰が表現されるグレタは、純粋な狂気を小奇麗に梱包した中にある謎の、その中にくるまれたミステリーそのものだ。ジョーダン監督とレイ・ライトらが書き上げた脚本には、グレタの狂気や、その背景についてを説明する、最低限の工夫はなされている。」

The point, and the fun, is the wild mischief of Huppert’s performance, which grows lighter and more joyful as Greta’s behavior slides from menacing to murderous.

「そこで軸となり、楽しみでもあるのは、ユペールが演じる異常さであろう。それは、グレタの行動が怖さから殺人的へと移行する中でも、明るさをましつつ面白さを失わないのだ。」

while the movie is impossible to take seriously, it’s also hard to resist, like an unattended bag on the subway that’s just begging you to look inside.

「この映画は、シリアスに捉えられるようなものではない。それでも、中身を覗いてくれと言わんばかりに、地下鉄の座席に放置された1つのバッグのように、抗しきれない何かでもある。」

評価3:若い女性を餌食にするのは男サイコパスとは限らない

最後は、The Washington Postからの評価です。

まぁ、クロエ・グレース・モレッツみたいな若くてかわいらしい女性を、何故、イザベル・ユペールのような中年女性がストーキングとか拉致するのか、という理由付けは、これを見る人にとって最大の関心事でしょう。

ここでは、そんな視点も含めた評価になっているようです。

【The Washington Post】

‘Greta’ is a psychological thriller with a regrettable, pseudo-feminist twist

「この映画“Greta”は、痛々しいような疑似フェミニスト的ツイストを持った、サイコスリラーの一作である。」

Jordan and co-screenwriter Ray Wright borrow heavily from other movies, especially classics from the paranoid canon of the late 1980s and early 1990s. With a nod to “Fatal Attraction” here and one toward “Single White Female” there — not to mention brief homages to Brian De Palma all the way through — “Greta” feels as time-warped as its title character’s cozy but slightly confining apartment. Despite some clever work with cellphones and text messages, the story and atmosphere feel impossibly forced, shoehorned into a milieu that never feels authentic enough to elicit real dread.

「監督のニール・ジョーダンと脚本家レイ・ライト達は、特に、1980年代から90年代にかけてのパラノイア系作品群から、かなりの要素をここに拝借してきている。(全体的に、ブライアン・デ・パルマへの敬意が薄っすら感じられもするが)こちらには、“危険な情事”から一つ、あちらには“ルームメイト”を一つと要素を置きつつ、この“Greta”自体は、このキャラクターが住んでいる、やや閉塞的でも快適なアパートの一室と同様に、時代の歪みを感じさせるだろう。」

“Greta” might pretend to turn the tables by presenting the sexualized predation of a young woman at the hands of a female malefactor instead of a male one. But the fetishistic leer is just as troubling and offensive. Disturbance eventually gives way to derangement in a story that grows exponentially more irritating the more preposterous it gets.

「この映画“Greta”からは、若い女性を性的な食い物にする悪者の役まわりを、男性から女性に切り替えて描くような素振りが伺えるかも知れない。しかし、ここでのフェティシズム的な素振りは、ぎこちないものだし強引さを感じさせる。それが合理性を失うにつれ、指数関数的にいらだたしさを増すストーリーの中で、最終的に不安感は錯乱に取って代られるのである。」

都会での新生活はサイコパスにご注意!?

アメリカと違って日本では、春が、出会いと別れのある新生活の季節です。

生活環境が変わって新たな人間関係を構築しなければならない、そんな今の時期に観たら、かなり厭な気分を味わえそうなサイコパススリラーの一作が、この「Greta」。

そんな怖い話が好きだと言う人には、おススメの映画だと言えるでしょう。

しかしながら、現状では日本公開時期は未定(作品の存在感からすると、DVDダイレクトリリースの憂き目も想定されそう?)。

まぁ、これもいつもの事ではありますが、リリース段階で興行ランキングのトップ10圏内には入ってきた、そこそこ評判を呼んでいる映画でもあります。

日本公開はどうなるか、期待しながら待つことにいたしましょう。

それではまたっ!

参照元
San Francisco Chronicle
The New York Times
The Washington Post

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