殺戮の部屋から脱出せよ!映画「Escape Room」米国メディアの評価は?

本当の人生は命を懸けた脱出ゲーム

アメリカでも日本でも、難しいクイズや謎かけを解きつつ、閉じ込められた空間から規定時間内に脱出する体験アトラクションが、非常に流行っているそうです。

これが昭和の頃は巨大迷路だった訳ですが、ともあれ、そこでは参加した仲間やカップル同士の連帯と心の絆が試される訳で、自分を取り巻く人間の本性がむき出しになってしまうかもしれず、、、ある意味で恐ろしいゲームではあります。

今回ご紹介する映画『Escape Room』は、参加メンバー同士の仲が悪かったとしても、生き残るため無理やりでも協力させてしまうという、殺戮のリアル脱出ゲームを題材にしたものです。

ここでは、その作品のの評価をご紹介します。

リアルなエスケープルームとは?

まず、この映画のモチーフになっているエスケープルームとは、実際どうなのか思い調べてみると、アメリカ全土で、いくつものの脱出ゲームが開業しているのが分かります。

ここでは、そんなリアル脱出ゲームのいくつかをご紹介してみましょう。

まず1つめは、オーランドを始めとし、ダラス、ヒューストンからシカゴ、そしてミネアポリスにまで展開している“The Escape Game”

こちらの会社では、強力な宇宙放射線が到来する前に、故障した火星着陸船を修理して離陸するという、SciFi系の“Mission: Mars”や、20世紀中盤の刑務所に入れられた終身刑の罪人となって、さまざまな噂がつきまとう牢屋の謎を解く“PRISON BREAK”など、数種類の脱出ゲームを提供しています。

2つめは、“Xscape”社がノースカロライナ州ハドソンに作った、“Curse of the Mummy Escape”

考古学とか古代エジプト文明に関心がある人にとってはうってつけなのが、このアトラクションで、エジプトをテーマにした様々な仕掛けをいじくったりしつつ、3つもある謎の部屋を順に突破するというゲームになっています。

3つめは、ちょっとオカルトめいた設定の、“The Theatre – Escape Room LA”。古い劇場で地縛霊となった女優の亡霊を、演劇が開幕するまでの短い時間で解放し昇天させてあげる、という趣向のゲームがこれです。

場所は、日本人にとっても馴染みの深いロサンゼルスの中心街。今年の海外旅行プランに入れてみるのも一考かと思います。

どちらのロケーションも、複数タイプの脱出ルームを設置しているので、ご興味と渡米予定のある方はウェブサイトでご確認ください。

本当に命をかけないと出てこられないような、そんなエスケープルームは、あんまり無いと思いますが、、、どうでしょうか?

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Escape Room
    • エスケープ・ルーム
  • ジャンル:
    • ホラー / ミステリー
  • 日本公開:
    • 未定
  • 制作:
    • 2019年
    • Original Film
  • 監督:
    • アダム・ロビテル
  • 脚本:
    • ブラジ・F・シャット
    • マリア・メルニク
  • プロデューサー:
    • オリ・マーマー
    • ニール・H・モリッツ
    • ドノヴァン・ロバーツ=バクスター
  • 出演:
    • テイラー・ラッセル
    • ローガン・ミラー
    • ジェイ・エリス
    • タイラー・ラビーン
    • デボラ・アン・ウォール
    • ニック・ドダーニ
    • ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン…他

あらすじ

季節は丁度、感謝祭を迎える頃。シカゴにあるこの大学のキャンパスからもほとんどの学生が姿を消し、普段とは違う静かな佇まいを見せています。

こんな時に学校に残っている若者は、数学・物理専攻の女子大生ゾーイ(テイラー・ラッセル)くらいのものでしょう。

理由は何にせよ、彼女には、この祝日を家族と共に過ごす予定はなく、キャンパスが静寂に包まれるのを利用して、これまで課題となってきた難解な方程式の解を求める作業に集中する予定のようです。

しかし、彼女の担任教授は、学生の人生が数字や記号だけを相手にするものになる事を望んでいません。ゾーイにも、普段とは違う事をするために、この祝日を費やしなさいと強く指導します。

そして、教授が彼女に送ったのは、パズルになっている1つの。その箱の仕組みを解くと、中には一枚の招待状が入っていました。シカゴ市内に出来た新しいエスケープルームの、無料お試しイベントへの招待です。

しかも、ゲームを無料で楽しめるだけでなく、これを突破した参加者には1万ドルの賞金まで出るという、信じがたい特典もついています。

そのカードの指定通りに、とあるビルへ出向いたゾーイは、他の5人の参加者と出合いました。

それぞれ、まったく面識のない彼ら5人は、やりての金融マンであるジェイソン(ジェイ・エリス)、口数だけは多くお気楽な若者ベン(ローガン・ミラー)、トラック運転手だというマイク(タイラー・ラビーン)、イラク帰還兵のアマンダ(デボラ・アン・ウォール)、そしてゲームマニアのダニー(ニック・ドダーニ)達です。

彼らが最初に通された部屋は、オフィスビルの小奇麗な会議室という印象の部屋。しかし、この部屋は内側からドアが開けられないようになっていました。そう、すでに脱出ゲームは開始されていたのです。

部屋中に置かれたあらゆるものから、脱出のヒントを得ようと走り回る6人のメンバーですが、そうしている内に、部屋のすみずみに埋め込まれた強力な電熱線が加熱しはじめた事に気づきます。

その熱はどんどんと上昇してゆき、室内は耐えられない程の高温になって行きました。どう考えても、体験アトラクションの範囲を超えています。

そう、彼らが入り込んでしまったのは、謎を解いて脱出できなければ命が奪われる、本物のエスケープルームだったのです。

その事に気づき、必死で謎解きに取り組もうとするメンバー達でしたが、同時に、お互いの間に隠された共通項が存在していた事も判明して行きます。

はたして、最初に犠牲となるのは誰?。我らがゾーイは最後まで生き残り、全ての謎を解く事ができるのでしょうか?・・・

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映画『Escape Room』:気になる現地メディアの評価は?

このホラー作品、題名だけを見ると、2002年にジョディーフォスター主演で作られた映画の焼き直しか、と思ってしまう人も少なくないでしょう。

こちらの場合は、パニックになった時逃げ込む場所、ではなく、その部屋からの脱出がテーマですが、日常から逃避したい時に逃げ込むというニュアンスも、エスケープという言葉に託されているのかも知れません。

実際に営業しているエスケープルームは、ファミリーアトラクションを目指したものが多いようですが、この映画の方もレーティングはPG13という設定で、(かろうじて)家族で楽しめるスリラーに仕上がっています。

それでは、その『Escape Room』についての評価を、3つ程チェックして行きましょう。

評価1:分かりやすい中にもスリルをいくつか盛り込んで

まず最初は、Rolling Stoneからの評価です。

一般的に言っても、B級ホラーというのは質の悪いジョークでしかないので、観客に高尚な体験を与える事も稀ですし、映画の世界に新しいものを生み出すのが目的でもありません。

という訳で、ここでは(いつも通りの)覚めた評価となっています。

【Rolling Stone】

Six People, One High-Concept Horror Movie, No Exit

「6人の登場人物が臨むのは、ひねりも出口もない大衆向けホラー」

Like Ouija boards and amusement parks, the newly popular past time of getting locked into a customized room with your friends and having to go full-tilt Hercule Poirot to find your way out is ripe for the horrorsploitation racket.

「友人達と供に改造された部屋へ閉じ込められ、脳力全開のエルキュール・ポアロが如く脱出の道を推理する、最近人気を呼んでいるそんなお遊びは、たとえばウィジャー板とか遊園地などと共に、金目当てのホラー映画にとって、最適な題材だと言えるだろう。」

And while using your wits and smarts is an essential part of beating the clock with these outings, Escape Room is pure No-Brainer Scary Moviemaking 101: get some photogenic actors, figure out creative ways to off them, push some phobic buttons, leave things open for a franchise and stay on-brand. Which director Adam Robitel and screenwriters Bragi F. Schut and Maria Melnik do really well, for a little while. They know how to milk an individual set piece for thrills and chills

「そして、時間制限に打ち勝ちそこから脱出するには、参加者のウィットや知識を総動員する事が必須である一方、この映画“Escape Room”はと言うと、完璧に頭を使わずに見れる、恐怖映画製作の見本といったものとなっている。それは、見栄えの良い俳優を数人用意し、それぞれを殺害する方法に工夫を凝らし、誰かの持つ恐怖症を刺激する仕掛けと、ブランド化したシリーズにつなげられそうな事項を残したものだ。作品が始まりしばらくの間では、監督のアダム・ロビテル、脚本家のブラジ・F・シャットとマリア・メルニクらは、その点を上手くこなしている。彼らは、個々の出来事を、スリルと恐怖でいかに埋めるかを心得ている。」

評価2:ホラージャンルではお馴染みのお話

2つめは、Varietyが寄せた評価です。

こちらでも、基本的に突き放したような内容の批評記事になっています。

【Variety】

“Escape Room,” directed by Adam Robitel (“Insidious: The Last Key”), is one of those movies, like “Game Night” or any of the “Saw” films, in which the world we’re watching is entirely rigged. The genre was probably invented 40 years ago, when Ira Levin wrote “Deathtrap”

「アダム・ロビテル(“インシディアス 最後の鍵”)が監督を務めた、この映画“Escape Room”は、たとえば“ゲーム・ナイト”や“ソウ”のシリーズのどれかと同様に、全てが偽装で固められた世界を描く映画のひとつである。このジャンルは、40年前に、アイラ・レヴィンが“デストラップ”を書き上げた時に生み出されたものとも言えるだろう。」

Even when these movies are good, they’re pure carny contraptions. But next to the unevenly diverting trap-door convolutions of “Escape Room,” something like “Deathtrap” begins to look like Chekhov. The first part of the film gets some airy momentum going. Then, however, we learn the secret of what the characters have in common, and it gives you that slightly sinking feeling of one contrivance too many. Who gives a damn if they live or die? Certainly not the movie, and so, following suit, not the audience, either.

「そういった作品の中に出来の良いものがあったとしても、基本的には、奇抜な仕掛けの見世物でしかない。それでも、トラップルームをごちゃごちゃ詰め合わせた娯楽作である、この“Escape Room”と並べて見れば、“デストラップ”系の映画でさえチェーホフの劇であるかに感じさせもするだろう。この映画の初めのパートは、軽いテンポで順調に進んでみせる。その後、キャラクター達の共通点が明らかになり始め、観客は、生きる者と犠牲者がそれぞれ誰になるかなどどうでも良いという、ただ1つの考えを繰り返しめぐらせる事で、わずかな虚脱感を感じるだろう。もちろん、作品自体もそれに関心を払っている訳ではないし、観客達も同様だと言う訳である。」

評価3:意外と工夫の効いた娯楽ホラー

最後は、Hollywood Reporterの評価です。

こちらでは、前2つの批評記事と少し方向性が違って、単なる娯楽ホラーではあるものの、いくつかの見るべき点があると言った内容になっています。

【Hollywood Reporter】

Adam Robitel’s thriller deals out death to those who can’t solve riddles in time.

「制限時間内に謎解きできない人間を、ひとりづつ消して行く、アダム・ロビテルのスリラー映画」

Entertainment fads don’t tend to inspire the best movies. But those who’ve jumped on the escape room trend (and those of us who remain merely curious) have lucked out with Adam Robitel’s Escape Room, a cutthroat little thriller that’s surely more fun than most of the riddle-solving lock-ins currently springing up around the country.

「エンターテインメントのブームが、名作映画を残すという事はあまりないのだろう。それでも丁度今、リアル脱出ゲームの流行に乗っかっている(そして、未だにそこそこの興味が持続している)人々にとって、アダム・ロビテルが作った映画“Escape Room”は、実に具合が良い一作である。今、全米で次々と生み出されている、リアル謎解き脱出ゲームよりは、確実により楽しめるものだからだ。」

A story stuffed with visual and linguistic riddles would be more fun if we viewers had a sliver of a chance of guessing the answers along with those on the screen. Instead, we’re stuck in the passenger seat, watching people squabble and scramble while we hope that the more annoying characters (like a two-dimensionally selfish stock trader played by Jay Ellis) are the first to be weeded out of the group.

「視覚的、および、言語的な謎解きに満ちたストーリーは、仮に、観客達にも回答を考えさせる余地を少し残していたなら、もっと楽しめるものとなるだろう。実際には、観ているだけの我々は座席に縛り付けられ、登場人物達がつまらない言い合いや這いずったりするのを拝見しつつ、(ジェイ・エリスが演じている、自己中心的で薄っぺらな株トレーダーのような)最も不愉快なキャラクターを、最初に排除してくれないかなどと考える事しかできない。」

While its scares aren’t as clever as, say, the best moments in the Final Destination series, Robitel does bring visual wit to the most memorable sequence, a topsy-turvy challenge where the camera plays with our disorientation even as the actors find their footing.
That centerpiece also offers more persuasive heroism than is usually found in flicks like this. Here’s hoping that, should box office receipts justify that sequel we’re promised, more thrills like this lie in store.

「“ファイナル・デスティネーション”シリーズの、ベストな場面と比べたとすれば、本作の恐怖シーンにはさほどの工夫はないだろう。しかし、監督のロビテルは、いくつかの印象深い場面に視覚的ウィットを導入したのも確かだ。たとえば、俳優達の方は地に足がついた状態にいながら、カメラの動きが観客の方向感を失わせるように働くという、立場逆転の映像的取り組みなどがそうである。作品が持つ、そういった主要部分は同時に、このタイプの映画では普段見られない説得力あるヒロイズムを、描き出してみせたりもする。今の願いは、予定されている続編を正当化するに十分な興行成績の結果が与えられた時、本作に負けない程のスリルが、次作のためにストックされていて欲しいという事である。」

乗るかそるかの人生ゲームに疲れた時は・・・

それがどんな評価を受けていたとしても、作品のために細かいところまでセットを作り込み、オーディションにより、各年代や人種の中で潤沢にいる有能な役者からベストの人をチョイスして、妥協のあまりない映画を作り上げてしまうのが、ハリウッドの凄いところですし魅力です。

この映画『Escape Room』が、他の所で観た映画の焼き直しのように思えたとしても、それ自体が娯楽ホラーのルールである訳で、劇場に足を運ぶ観客は、誰かが狡猾にあみだしたゲームの中で、ただ転がされるのを楽しむのがよろしいのです。

我々が普段相手にしている、リアルな人生のルールに比べれば、はるかに単純で即自的な結果を与えてくれるのがホラー映画。そこにこそ、カタルシスが存在します。

と言う訳で、日常から一瞬だけエスケープするには丁度良さそうな、この映画『Escape Room』は、なかなか興味をそそる一本と言えそうです。

それではまたっ!。

参照元
Rolling Stone
Variety
Hollywood Reporter

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