映画「Anomalisa」の前評判

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〔チャーリー・カウフマンが人形に与える人間性〕

個性的な脚本家であり映画監督でもあるチャーリー・カウフマンが、パペット映画に新たな息吹を吹き込んだのが、この新作映画「Anomalisa」という事らしいです。

このストーリーの中心に居るのが、マイケル・ストーン(デヴィッド・シューリス)。カスタマーサービスのエキスパートである彼は、今、その業界のカンファレンスで講演するために、ここシンシナティーへと飛んできました。

その仕事も生活も、まぁ上手くいっているマイケル。人間を相手にする職業の彼ですが、実は、その人間観というか人生観はちょっと変わっていて、なんと言うかドライで冷たいような所が見受けられるのです。

妻も息子も居る彼ですが、他人との絆を育てる事がどうにもこうにも苦手で、と言うか、その事に価値や意味を感じているとも思えません。だから、人間らしい幸福感にも縁遠いのかも。

さて、そんな彼の手には一通の手紙が握られています。それは、11年前に一人の女性から受け取った手紙。

その人に会う事も、今回の旅の目的のようです。そして、二人は、彼の宿泊するフレゴーリ・ホテル内のバーで落ち合うことになりました。でも、大昔の関係は、そううまく生き返ったりしないでしょう・・・

そんな折、講演を行ったカンファレンスで、一人の女性と出会います。

ほとんど特別な派手さもない、そのリサという女性。ですが、一目彼女を見た瞬間に、マイケルはそれまで知らなかった何かを感じ取ってしまった様子です。

その感覚は、マイケルにとって、大きな救いとなりそうな予感もしますが、果たして・・・?

〔ユーモア、ウィット、悲哀、、、そして救い〕

最初に、ちょっとだけスチル画像を見た登場人物の顔は、実写にCGで処理したもののように感じられたのですが、これが全部パペットだとは、これまたびっくりです。

動画を見てみれば、その動きにはぎくしゃくしたところが見つかるのですが、これもストップモーションならではの長所(味わい)と言うべきなのでしょうね。

そこに映し出される世界は、独特の色合いと暗さに包まれた、不思議な質感になっているようです。

「悲しくも美しい、本年で最もウィットに満ちた映画である本作“Anomalisa”は、そのほとんどの舞台をシンシナティーにあるホテル内部に置くものだ。そして実際、中年の嘆きや、手が届かなかった憧れなどを込めた劇場映画用のシナリオが、これほどくすんだ色に染まる事が、ほかにあり得るだろうか?。そう、それもかなりむつかしい事である。(Los Angeles Times)」

あるいは、

「今回、カウフマンは、本作の基となった舞台劇を制作したパートナー、デューク・ジョンソンと共同で演出を行っている。彼らのチームはまさに一体であり、そしてこの映画“Anomalisa”は、秩序を無視して皮肉に満ちたユーモアや、物語の奇妙な進行ぶり、そしてそれよりも、一つの何かに固執する様子などの点で、まさにカウフマン作品として出来上がっている一作でもある。(The New York Times)」

という事です。(安心してください、カウフマン作品ですよっ。)

人間を扱う仕事をしている人物を演じる人形が、同時に、人間味を味わうセンスに欠けているというのが、この映画の設定に込められた最大の皮肉なのでしょうね。同時に、経済的に成功するには、むしろそのセンスが薄い方が有利だ、という、現代社会の持つ大きな矛盾にも、考えが及んでしまいます。

そして、もう一つ驚きなのが、本作が3人だけの声優で演じられたという点です。

「本作の中のパペット俳優達は、全員が、漠然として素性の知れない一族によって演じられたように思えるだろう。そして、ホテルのフロントやタクシードライバーから、10代前の子供に至るまで、すべての助演パペットを、トム・ヌーナンが一人で演じている。彼のその仕事ぶりは偉大である、とともに、本年で最高に悲哀に満ちたBGMを提供した、カーター・バーウェルにも、同じ事が言えるだろう。(Los Angeles Times)」

まぁ、何て言うか、こうやって事前情報で調べていても、登場人物の区別からして難しく、たぶんそれさえも、二人の監督が意図した皮肉の一部なのかも知れないなぁ、と思ったりもしています。

(ある種の)解りづらさは、カウフマン作品の最大のウリでもあるんでしょうね、、、。

「カウフマン作品の一つ、例えば“マルコヴィッチの穴”の結末と比べても、本作は、話術的にも思想的にも、滑らかに進む映画となっている。また、90分間で終わる作品でもあり、これは、危なげに酸素を抜いた密閉空間の中に、人形サイズのアバター達、作り物の世界、そして固定された登場人物を描く映画が、求めた点でもあっただろう(The New York Times)」

とにかく、非常に独特なアイディアの上に、独特な構想を練って、非常に苦労しつつ独特な映画作品に仕上げた、というのが本作なのは間違いないでしょう。

一つのレビュー記事には、カウフマン監督の処女作“脳内ニューヨーク”への難しかったウケ具合が書かれているんですが、本作“Anomalisa”には、とても緻密で抒情的とも言えそうな長い文章が提供されています。

この新作には、なかなかの追い風が吹いているようです。ではまたっ(^^)。

参照元
The New York Times
Los Angeles Times

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Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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