第二次大戦スプラッター映画「Overlord」海外メディアの評価とは?

第三帝国、その呪われた科学実験を描く

ナチスドイツは、本気で『契約の箱』を見つけようとしていたそうですし、ヒットラーの命により幽閉されたムッソリーニを救出する際に、担当士官であったオットー・スコルツェニーは、占星術やダウジングの使い手を集め、その能力に大いに頼ったと言います。

あの国が、オカルト主義のあれやこれやの中から、世界征服のためのパワーを得ようとしていた事だけは確かな様です。

だとすれば、アンブレラ社より70年以上前に、普通の人間の肉体を変容させ生物兵器として使うという発想を彼らが得ていても、何ら不思議ではありません。

今回、評価をご紹介する映画『Overlord』は、そんな発想がモチーフになった一作。ノルマンディー上陸前夜にナチのおぞましい計画を知ってしまった、連合軍部隊の死闘を描くホラーです。

史上最大のオカルト集団

アメリカ空軍のステルス戦略爆撃機 B2は、機体が水平翼そのものという特異な形状を持つ、超近代的な軍用機です。

しかし、実はその原型は、ナチスドイツの手に寄り試作されており、既に1944年に最初の試験飛行を終えているのです。その機の名称は『ホルテンHO 229』で、15,000メートルの航空まで最高時速1,000キロ弱で舞い上がり、900キロに及ぶ爆弾を的の頭上に投下する事を目指していました。

この頃のドイツ、他には、6,000メートルの高度から投下し、無線操作により敵の要所をピンポイント爆撃する爆弾なども開発していました。

また、オカルトっぽい所で行くと有名なのが、ミステリアスな原理で飛行する謎の飛行体の開発です。この機体は、形状が教会などにある鐘に似ていた事から『ベル』とも呼ばれています。

『ベル』は、ナチのUFOとも言える飛行体で、地球の大気圏を離れて宇宙まで到達する事を目的としていた、と言われています。そのために、超高速で相互に反対にスピンし、ある種の電磁的な作用を発生する2つのシリンダーを備え、反重力パワーにより飛行する原理を採用していました。

この謎の飛行体が実在した証拠と言われているのが、戦後のポーランドで開かれた戦犯裁判において、元SS高官であるヤーコプ・シュポレンベルクが行ったという証言です。

彼の言葉によると、『ベル』はスイッチが入り動作を始めると独特のノイズを発し、それがゆえ(ハチの)巣箱という俗称を持っていたとか。

このときシュポレンベルクは、UFO型飛行体開発プロジェクトの詳細が外部に漏れる事を防ぐため、非常に多くの技術者や科学者を殺害した罪で訴追されていました。

様々な記録や残存物を見ると、その使い道が邪悪な目的であったとしても、ナチスドイツが驚愕に値する科学力を所持していた事は確かで、それらは、NASAのアポロ計画などを通じて、現代社会を支える諸々の技術の基礎とななったのです。

そして、その一部は、オカルト学の探求からもたらされたのかも知れません。

他にも、多くの残虐な人体実験を行ったナチスドイツ。超自然のパワーも利用した彼らの研究が、例えば、人間を軍事利用できるモンスターに変える事に成功していたら、今の世界は、どれだけ恐ろしい場所になっていただろう、と考えると背筋が寒くなります。

この映画『Overlord』では、連合軍の1部隊が、その恐ろしい実験現場に足を踏み入れてしまうというのですが・・・

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Overlord
    • オーバーロード
  • ジャンル:
    • ホラー / スプラッター / ゾンビ
  • 日本公開:
    • 未定
  • 制作:
    • 2018年
    • Bad Robot
    • Paramount Pictures
  • 監督:
    • ジュリアス・エイブリー
  • 脚本:
    • ビリー・レイ
    • マーク・L・スミス
  • プロデューサー:
    • J・J・エイブラムス
    • ジョー・バーン
    • リンジー・ウェバー
  • 出演:
    • ジョヴァン・アデポ
    • ワイヤット・ラッセル
    • ジョン・マガロ
    • ジェイコブ・アンダーソン
    • イアン・デ・カーステッカー
    • マチルド・オリヴィエ
    • ピルウ・アスベック…他

あらすじ

時は1944年の6月、場所はナチスにより占拠されたフランス領内。今、連合国が編成した空挺部隊が敵地上空へ突入を開始しました。

その輸送機の1つに乗っていたのは、新兵のボイス2等兵(ジョヴァン・アデポ)。ボイス達は、ナチスがノルマンディー近方の村に設営したという、航空管制用電波中継局を破壊するために、これから敵地の真っただ中へとパラシュート降下を行うのです。

当然、敵領空にさしかかった途端、彼らは地上からの激しい対空砲火を受け、殆どの機体と多くの兵士を失います。そんな中、運良くボイスの部隊は地上へ到達しますが、今度は、待ち構えていたナチス兵の激しい迎撃にさらされる事となりました。

その戦闘で、運悪く指揮官を失ってしまう彼ら。今生き残ったのは、フォード伍長(ワイヤット・ラッセル)、狙撃兵のチベット(ジョン・マガロ)、ドーソン(ジェイコブ・アンダーソン)、そして従軍カメラマンのチェイス(イアン・デ・カーステッカー)だけ。

ナチの目をかいくぐり、彼らは例の中継局がある村へと侵入することに成功しました。村にある教会の塔が、その設備が設置されている建物です。

ボイス達は、村を偵察する内に1人のフランス人女性と出合います、彼女の名前はクロエ(マチルド・オリヴィエ)。そして、彼女の口からはナチによる蛮行の数々が語られました。

やつらは、土地の人間を平気で虐待し女性をレイプするだけでなく、時折、村人を不当に逮捕して理由もない罰則を与えるため、あの教会内へ引き連れて行くというのです。

ボイス達は、彼女の道案内で教会へ辿り着きます、連合軍によるノルマンディー上陸まで、もう時間は残されていません。今、世界を悪の枢軸国から救えるか否かは、彼らの双肩にかかって来ました。

教会内部へ侵入した連合軍部隊とクロエ達、しかしそこで、伝え聞いた話を遥かに超えた、ナチのおぞましい実態を目にする事になるのでした・・・

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ホラー映画『Overlord』気になる現地メディアの評価(レビュー)は?

ヴ―ドゥのまじないで、埋葬された墓から這い出して辺りをうろつきはじめる生ける屍と、何らかの科学実験で生み出されたヒューマンモンスターを、どちらも「ゾンビ」の一言で片づけるのは如何なものか、という感じはします。

しかしまぁ、そのどちらにしても、感謝祭やクリスマスのごちそうを食べ過ぎない様にする、食欲抑制タブレットの働きぐらいはあるのでしょう。

それ意外の所では、歴史的事実との整合性とか、科学的合理性とか、はたまた、正義と悪の解釈などと言った普遍的な問題の考察さえ、ほぼほぼ、求められないのがこういった娯楽ホラー映画の良い所です。

さて、そんなB級ホラーの真髄について向けられた評価を、ここで5つ程ご紹介してまいりましょう。

評価1:基本はホラーバトルアクション

先ずは、Boston Heraldが寄せた評価です。

ゾンビでも、エイリアンでも、人間を襲ってくるキモいモンスターを、武装した兵隊の一団がぶっ倒しまくる様子は、何時の世でもアクション映画的爽快感を観客に与えてくれるものです。

ここでも、この映画がその期待にだけは応えてくれるだろう、という批評が書かれています。

【Boston Herald】

‘Overlord’ pits Allied troops vs. Nazis, zombies

「“Overlord”は、連合軍とナチのゾンビを戦わせる。」

World War II. D-Day. Nazis. Zombies. IMAX! Somehow the deliriously crackpot horror thriller promised by that absurd combination is never realized. Instead, director Julius Avery goes for a mostly nonstop intensity accompanied by loud portentous music, bellowing kettle drums and a cast that seems to be vibrating to an invisible tuning fork.

「第二次大戦、Dデイ、ナチ、ゾンビ、そしてIMAX! どう言う訳だか、これら全ての奇妙な組み合わせが骨組みとなる、とてつもなく奇抜なホラースリラーは、実際に作品化される事がない様だ。その代わり、監督ジュリアス・エイブリーが今回取り組んだのは、不吉にも鳴り渡る大音響の音楽とケトルドラム、そして、目に見えない音叉のごとくそれに共鳴するキャスト達による、ほぼノンストップの強烈映像を作り上げる、という事である。」

Never realistic, much less scary, “Overlord” is an example of trying too hard and being, if anything, sublimely ridiculous.

「リアルさなどみじんも無く、恐怖と言う程の事も無く、何であったにしても本作“Overlord”は、ばからしさを前面に押し出すよう工夫され、そう作り上げられた一本だとは言える。」

評価2:映画的ゾンビ実験

次は、CNNからの評価です。

多くの人が面白いと思うのであれば、合理性を一切欠いたものでも商品化できるというのが、娯楽フィクションの最大の利点です。

そして、20世紀前半より前の時代のレトロ感は、どういう訳か、それに接する人の理性や知性を弱め、容易に物語を受け入れさせる働きも有るのでしょう。

そんなこんなを、ある種真剣に調合してみたのがこの映画、といった評価がここでは書かれています。

【CNN】

‘Overlord’ stirs up World War II horror cocktail

「第二次大戦ホラーのカクテルを混ぜ合わせた、そんな映画“Overlord”。」

“Overlord” is a decided throwback — an old-fashioned “B” movie cocktail, mashing together a perilous World War II mission, horror and science fiction, against the historical backdrop of saving D-Day. On the most basic level, it works as an action vehicle, even if the bare-bones plot lacks the ingenuity to sustain its promising start down the stretch.

「本作“Overlord”の訴求ポイントは、過去の時代に舞台を置くという点にある。大戦中の危険な作戦やSciFiホラーなどを混ぜ合わせ、Dデイ成功の裏にあった史実を無視しつつ、古典的なB級映画のカクテルの様に仕上げたのが、この一作なのだ。肉付けを忘れた様なそのプロットに、この作品の冒頭シーンが感じさせる期待感を広げるための工夫が欠如している、と言ったとしても、基本的なレベルでは、ただのアクション映画でしかないのがこの映画なのだ。」

If the movie is in part a cautionary tale about experimentation, “Overlord” is a bit of an experiment itself — an attempt to create a non-stop, hard-edged thriller that defies simple categorization, where the action is the ultimate star. The procedure isn’t a complete success, but the movie wins a few battles in terms of its premise, energy and style, if not the entire war.

「本作“Overlord”は、科学実験についての警告的な話なのかも知れないが、実際、この映画自体が1つの実験でもある。それは、端的にジャンル分けされるのを拒みつつ、アクションが究極の中心に置かれた、留まる事をしらないハードなスリラーとなっている。細かな展開は、言う程良い出来ではないものの、戦場としての描き方に目をつむれば、いくつかの戦闘シーンには、その設定、パワー、そしてスタイル性の上で、評価すべき点もある。」

評価3:新鮮さはともあれ、中はホラーで満杯

次は、The Seattle Timesからの評価を。

恐怖や不安、痛みや不快感は、人間の脳内に有るその他の感情を抑え込むのに最も効果的です。ある意味、頭をまったく使わないでも見られるのが、こういった娯楽ホラーの長所でもあるのです。

ここでは、そんな風なお約束どおりのホラーを求める人にうってつけ、と言った批評が書かれています。

【The Seattle Times】

‘Overlord’ overdoes it with Nazis, zombies, cliches, violence

「ナチ、ゾンビ、バイオレンス、そして映画的お約束を入れこみ過ぎの、“Overlord”。」

Nazis. Zombies. What a concept! Why hasn’t anyone thought of this before? Well, actually, the Finns did back in 2009 with the wild horror thriller “Dead Snow.” So nothing new under the sun here. But wild “Overlord” most certainly is, stuffed with scenes of grisly torture, grotesque disfigurements, leering SS rapists and the undead running around after being instantly reanimated

「ナチにゾンビ、凄いアイディアだ! 何故、この点に今まで誰も着目しなかったのだろう?いや、実のところ、2009年にはワイルドなホラー映画“処刑山 -デッド・スノウ-”がノルウェーで映画化されている。つまりは、今更の様に斬新だと呼べるポイントは、ここには1つも見当たらないという事になるだろう。とは言え、ほぼワイルドな仕上がりにはなっている、この“Overlord”にも、残酷な拷問、グロテスクな変身、いやらしい眼付のナチ親衛隊レイピスト、および、蘇生されるやいなや辺りを駆けずり回るゾンビなどが、満杯に詰まっているのだ。」

Adepo is very good at registering shock, fear and worry in a performance as overwrought as the rest of the picture. Other characters are all familiar war-movie types, from the mouthy cynical New York rifleman, the fresh-faced innocent trooper and the humble but feisty French peasant girl whose makeup, one can’t help but notice, is oh so tastefully applied

「ジョヴァン・アデポは、作品の全体像と同様に、凝り過ぎのショック、恐怖、そして不安感を、その表情に実に良く表現している。その他のキャラクターは全員、典型的な戦争映画のもので、ニューヨークから来たおしゃべりで皮肉屋の狙撃兵、無垢な新米兵、さらに加えて、誰が見ても分かる小奇麗なメークを決めた、無骨かつ威勢の良い田舎娘などで構成されている。」

評価4:悪の独裁国とゾンビに立ち向かう

次は、StarTribune.comの評価を。

いかに、純粋な娯楽ホラーと言えども、その骨組みはナチの邪悪さがもたらす恐怖がモチーフとなっているのがこの映画でしょう。

そんな角度で見つめると、やりすぎホラーの一作であっても、あるメッセージは込められているはずだ、という批評が、ここでは書かれています。

【StarTribune.com】

War story ‘Overlord’ is a B-movie with a message

「B級戦争映画にメッセージを載せた、“Overlord”。」

It’s an explosive opening sequence that introduces both “Overlord” and the vision of its director, Julius Avery, with quite a bang. These killer first five minutes signal we’re in for a wild ride with this dark, intense and bloody take on World War II.

「本作“Overlord”自体と、監督ジュリアス・エイブリーのヴィジョンを知らしめるそのオープニング場面は、インパクトと共に激烈に開始される。殺戮から開始するこの5分間は、我々が、ダークで強烈かつ血塗られたものとして第二次大戦を捉える、ワイルドな世界に足を踏み入れた事を示している。」

It is significant that in this vision of revisionist revenge, the ones who prevail against the Nazis are those who would be marginalized and targeted by them. For all its bloody cacophony, “Overlord” doesn’t lose sight of that.

「このフィクション作家による新たな試みでは、ナチに軽んじられ標的とされた者達こそが、彼らに勝るものと成り得ると語っているのは明白だ。その血塗られた騒動を通じて、本作“Overlord”は、その主張だけは引き下げる事はないのだ。」

評価5:ツイストより殺戮

最後は、The New York Timesが寄せた評価です。

設定上、ある程度のツイストも用意されているのが、この映画の魅力の1つでもある様です。とは言え、人を煙に巻くミステリーではなく、あくまでも、陰惨な殺戮がメインのホラーアクションなのが、この作品。

そんな、映画的アイテムの組み合わせが、冒頭の強烈な場面からクライマックスまで、一通りの機能を果たしてはいる、という評価がここで書かれています。

【The New York Times】

Old-Fashioned Nazi-Killing, With a Gory Twist

「血みどろのツイストを、古典的反ナチ映画に込めた一作。」

The idea of merging a World War II adventure with supernatural elements is certainly nothing new; examples abound, from “Raiders of the Lost Ark” to “The Keep” to (sort of) the zombie thriller “Dead Snow.” At times “Overlord” recalls these movies, and it also seems to be aware that its ostensibly twisty premise is actually fairly predictable: The film doesn’t try to surprise us with narrative revelations so much as it tries to jolt us with gore.

「第二次大戦のアドヴェンチャーと超常現象的要素を組み合わせるアイディアは、特段、新しいというものではない。その例は豊富で、“レイダース/失われたアーク《聖櫃》”から“ザ・キープ”、そしてゾンビスリラーの一種である“処刑山 デッド・スノウ”などが有る。そんな中、本作“Overlord”は、それら作品と同じ印象を感じさせつつ、同時に、表面上のツイストが効いたその設定は、観客に先読みされる事すら想定している様に見える。この映画には、客を圧倒するための血しぶきに匹敵する驚愕の謎解きなどは、用意されていないだろう。」

as seen in the film’s terrifying opening and its gruesome climax, Avery deftly orchestrates some grisly, intense set pieces. He delivers on the thrills, even if the story leaves something to be desired.

「監督ジュリアス・エイブリーは、驚愕のオープニングから陰惨な結末に至るまで、恐怖描写を巧みに操って見せている。このストーリーに、必要とする要素が欠けているとしても、なお、この監督はスリルの方は上手く描いていると言えよう。」

ゾンビホラーにも邪悪な意図が隠されている!?

どんな時代の、どの様な政治体制の国であっても、領土を統治するために人心を操る一定の策謀を巡らしているはずです。

ナチが始めた洗脳の実験「MKウルトラ」も、その後、プロジェクトペーパークリップによりアメリカへ渡り、さらに洗練された後、権力者が現代社会を都合よく動かすために使われている、そう信じている人もいます。

ひょっとしたら、日本もその技術の一部を拝借して使っているかも知れません。

まぁ、この『Overlord』の様なホラー映画は、間違いなく、観客達にゾンビ退治をする立場を疑似体験させるもの。つまり、観ている側は自分をゾンビと逆の立場に置いている訳です。

しかし、それ自体が1つの欺きだではないでしょうか。

実際には、様々な情報による潜在意識の操作や、化学部室による脳と意識の変性などをもちいて、我々一般人はゾンビの様に操られているのかも知れません。

自分達には、それを確認する術が無いのが実情で、少なくとも、ナチの立場ではない事だけは祈るのみですが、はたして・・・

参照元
Boston Herald
CNN
The Seattle Times
StarTribune.com
The New York Times

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