海軍アクション映画「Hunter Killer」気になる海外メディアの評価とは?

人類の命運は彼に(も)託された!

宇宙を飛ぶものでも、海中を進むものでも、軍艦のワイルドな艦長には、必ず人類の存続をかけた任務が背負い込まされるものです。

今回ご紹介する映画『Hunter Killer』は、そんな風に、アクション映画としても極めてストレートなアイディアを骨組みにして作られたものの様です。

そして、問題の艦長を演じているのが、ロムコムからLAのデカ、はたまた宇宙飛行士までなんでもこなす現代のスーパースター、あのジェラルド・バトラー

という事で、またまた彼のファンにとっては、必見の一作が登場した事になります。

そんなアクション娯楽映画『Hunter Killer』の評価をご紹介します。

今回、艦長が式を取るのはUSSアーカンソー

この映画『Hunter Killer』のもう1人の主役とも言えそうな潜水艦、USSアーカンソーについても少し触れておきましょう。

この船は、クラスとしてはバージニア級というものに属するそうです。

動力には原子力を使いつつ、建造コストなどについても配慮された、かなり近代的な艦船。コスト削減のため、原子炉の燃料棒は、船の寿命と同程度の期間、同じものを使用し続けられる様に設計されています。

装備している主な武器は、4門の魚雷発射管と巡航ミサイル用の垂直発射システム12機。また、船外・海面上の探査には、昔ながらの潜望鏡を廃し、電子的なカメラで撮影した画像を船内のディスプレイに映し出すシステムも装備しています(というか、今どき当たり前と言えばそうですか^^)。

面白いのは、ネイビーシールズの活動を支援するキャパシティを備えている点で、最大で40人もの特殊部隊員を居住させる事が可能であり、甲板にあるエアロックは、船が潜航中でも彼らが出入りできる様に作られているそう。

そういった近代的な潜水艦としての機能が、本作『Hunter Killer』でストーリーの主要アイテムとして採用された、大きな理由にもなっているのでしょう。

そんなこんな、盛りだくさんの軍備を、我がバトラー艦長(と呼ぶと聞こえが良いですが、劇中ではグラス艦長)がいかに使いこなしてくれるのか、ミリタリーマニアの人にとっても期待の一作と言えそうです。

その映画『Hunter Killer』について、公開時にアメリカのメディアが載せた評価は、どの様なものだったでしょうか。

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Hunter Killer
    • ハンター・キラー
  • ジャンル:
    • スリラー / 軍事
  • 日本公開:
    • 未定
  • 制作:
    • 2018年
    • Hunter Killer Productions
    • Millennium Films
    • Hishow Entertainment…他
  • 監督:
    • ドナヴァン・マーシュ
  • 脚本:
    • アルネ・L・シュミット
    • ジェイミー・モス
  • プロデューサー:
    • クリスタ・キャンベル
    • ジェフリー・グリーンスタイン
    • ラティ・グロブマン
    • ケビン・キング
    • アヴィ・ラーナー
    • ハイディ・ジョー・マルケル
    • ジェラルド・バトラー…他
  • 出演:
    • ジェラルド・バトラー
    • ゲイリー・オールドマン
    • コモン
    • キャロライン・グッドール
    • リンダ・カーデリーニ
    • アレクサンドル・ドヤチェンコ
    • ミカエル・ニクヴィスト
    • ミハイル・ゴアヴォイ…他

あらすじ

ある日、アメリカ合衆国海軍所属の潜水艦、USSタンパベイが、北極海で突如消息を絶つと言う事件が起きました。

この船の捜索任務を与えられたのは、ジョー・グラス(ジェラルド・バトラー)が艦長を務める潜水艦USSアーカンソー。

しかし、現場へ到達したジョーは、異常な光景を目にします。氷の下に沈んだタンパベイの近方に、それを攻撃したと思しきロシアの潜水艦もまた、沈んでいるではありませんか。

実は、このロシア潜水艦は謀反を起こした水兵に乗っ取られ、タンパベイを攻撃した後、内部に破壊工作を受けていたのです。

合衆国政府は、ほどなくしてロシア国内で軍事クーデターが進行中である事を確認しました。その首謀者は、ロシア国防大臣ドミトリー・ドゥーロフ(ミハイル・ゴアヴォイ)です。

ドゥーロフは極右思想をかかげ、ロシア大統領ザカーリン(アレクサンドル・ドヤチェンコ)を人質に取り、ロシアの国益だけを最優先する政府の樹立を叫んでいます。

これは、米国にとっても由々しき問題です。

この事態に、合衆国統合参謀本部議長であるチャールズ・ドネガン(ゲイリー・オールドマン)は、即刻、武力行使によりロシアのクーデター阻止を行う様、アメリカ大統領ドーバー(キャロライン・グッドール)に直訴します。

しかし、その攻撃は第3次世界大戦の引き金になってしまうリスクもはらんでいるのです。

人類最大の危機を憂慮した、海軍少将ジョン・フィスク(コモン)は、国家安全保障局のジェイン・ノークイスト(リンダ・カーデリーニ)と共に協力しあい、いちかばちかの大胆な計画を考え出します。

それは、あのグラス艦長をネイビーシールズと連携させ、彼らにロシア大統領の救出任務を託すというもの。

グラスは、平時でも規則に縛られる事を嫌う、はぐれ者のような存在。不安定な今の状況下でこの任務を任せるには最適と言えそうです。彼は既に、沈みかかったロシア潜水艦から艦長のアンドロポフ(ミカエル・ニクヴィスト)らを救出しています。

かくして、グラス達による陸と海中に股をかけた、困難な救出作戦が展開して行く事となりました。

果たして彼らは、人類を破滅の危機から救う事が出来るのでしょうか?

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気になる現地メディアの評価(レビュー)は?

と言う訳で、素直な軍事アクションを目指したハリウッド映画と言えそうなのが本作。

少なくとも、潜水艦内の戦闘行動やシールズによる特殊部隊の急襲など、戦争娯楽映画好きな人の気分を上げるには、十分な要素が盛り込まれているのは確かでしょう。

今のご時世、アメリカ海軍が、自国を救うついでにロシアまで助けちゃう、というアイディアが受けたのか、一定の映画ファンにはしっかり評価され、公開された当日はランキング4位を記録してもいます。

さて、そんな『Hunter Killer』。主要メディアはどの様な評価を与えたか、ここで、4つ程チェックして行く事にしましょう。

評価1:お約束通り過ぎる一本

先ず最初は、Los Angeles Timesからの評価です。

制作する側としては、その時代にあったアイテムをそこそこ盛り込みつつ、最終的には同じ決着点に辿り着く様にすれば良いのが、ミリタリーアクション映画なのかも知れません。

とは言え、単なる娯楽アクションの中にも、『ダイ・ハード』や『スピード』の様に、後の映画製作に影響を残すようなものが有るのも事実。

我々観客の側とすれば、どこかに、そういった新しい刺激が含まれていて欲しいと思う訳ですが、ここでは、その点にやや渋めな論評となっています。

【Los Angeles Times】

Gerard Butler submarine thriller ‘Hunter Killer’ borders on parody

「ジェラルド・バトラー主演の潜水艦スリラー、“Hunter Killer”は、パロディーの様な一作と言えるだろう。」

Think of every military action movie cliché you can. The maverick hero who’s just an average guy. The uptight, rule-following second-in-command who learns a good lesson. The token concerned woman who has one line. Enemies who aren’t so different after all. So many of these hackneyed stereotypes are thrown at the Gerard Butler-starring Navy thriller “Hunter Killer” that you have to wonder if this is the “Scary Movie” of submarine cinema.

「ミリタリーアクション映画のお約束を、可能な限り思い浮かべて欲しい。一匹おおかみのヒーローになるのは、普通の男性だろう。その横で現場の事情を学ぶ事になるのは、保守的で規則にうるさい副官だ。そして、事態を一応憂慮する立場の、最低限のセリフしかない女性キャラもいる。彼らの敵は、どの作品を見てもさして違いは無いだろう。そう言った多くの典型が放り込まれ出来上がったのが、このジェラルド・バトラー主演の海軍スリラー“Hunter Killer”だ。つまり、これを見たあなたは、潜水艦バージョンの“最終絶叫計画”なのかい、と首をかしげる事必至である。」

The script is rife with naval details, lingo and tech that serve the narrative. Sonar pings become the signature cinematic representation of the underwater threats, functioning in the same way the yellow barrels did in “Jaws,”

「作品を成り立たせるため、細かい海軍の専門用語や技術用語などが、この脚本にはてんこ盛りとなっている。例えば、ソナー音などは海中に近づく脅威を映画的に表現するためのシンボルとして、“ジョーズ”での黄色い浮きと同じような役割を果たしているだろう。」

but on land, everything is shot with a soft-focus lens and enhanced with way too much CGI. “Hunter Killer” needs its radar calibrated, because while it bounces between serious and silly, it never quite finds a suitable place to dock.

「とは言え、全てをソフトフォーカスの画像で収めた地上の場面は、やり過ぎのCGによって強調されてしまう。この“Hunter Killer”という船は、レーダーの微調整をした方が良さそうである。何故なら、まじめさと冗談の両側で行ったり来たりするその話は、停泊するポイントを見出す事もないからだ。」

評価2:悪くない部分を見せつつ、最終的にはばからしいストーリー

2つめは、Hollywood Reporterが載せた評価です。

この映画は、ジェラルド・バトラーの指揮官ぶりと、彼らが危機をかいくぐって行く様子から、スリルと爽快感を感じさせるのが唯一の目的でしょう。

その意味では、劇中に登場するいくつものギミックは、十分に楽しめるレベルに仕上がっている様子。

とは言え、やっぱり非現実的すぎるよね、というのが、ここで書かれている評価です。

【Hollywood Reporter】

The new film starring Gerard Butler features a female American president, a moderate Russian president and American and Russian military officers working together to prevent a war. So when it hits the streaming market you should probably look for Hunter Killer in the fantasy section. But that’s not the only problem.

「この、ジェラルド・バトラー主演の新作映画には、女性の合衆国大統領、穏健派のロシア大統領、そして世界戦争を阻止するために協調する米露両国の兵士が登場する。これがストリーミングに乗った時は、“Hunter Killer”という題名をファンタジーのコーナーで探した方が良さそうな位だ。そして、そんな事だけが作品の短所になっている訳ではないのだ。」

this by-the-numbers military thriller chugs along like a submarine with a disabled engine. It runs a little longer than two hours, but feels more like two tours of duty. And it has enough plot elements to fuel an armful of Tom Clancy novels, but somehow manages to make none of them interesting.

「決まった通りにだけ出来事を描く、この軍事スリラー映画は、パワーの出ないエンジンを持つ潜水艦の様にただ進んでいくだけだ。作品の、2時間を超える上映時間は、2時間のお勤めの様にしか感じられないだろう。そこには、トム・クランシーの小説一抱え分に相当する、かなりなプロット的要素が盛り込まれているが、どういう訳だか、そのどれをとっても面白味が欠けているのだ。」

Despite the fact that his previous credits, including Spud and Spud 2: The Madness Continues, wouldn’t seem optimum preparation for an assignment such as this one, director Donovan Marsh creates an admirably realistic submarine environment. And the underwater action scenes, although inevitably murky and slowly paced, are competently executed. But the tension never ratchets up despite the high stakes, and the cliche-ridden dialogue wouldn’t feel out of place coming from adolescents playing submarine games in their basement.

「“Spud”および“Spud 2: The Madness Continues”といった、これまでの作品が、本作を担当するのに適した下準備だったとは思えないながら、監督のドナヴァン・マーシュは、海面下の状況をかなりリアルに描いて見せている。そして、必然的に暗くゆっくりとしてしまう海中のアクション場面も、十分悪くない出来である。それでも、それを大げさに掲げるわりに緊張感がかみ合う事はないのも事実で、お定まりなだけのセリフは、自宅の地下室で潜水艦ゲームをやっている若者が発するものと、大差なく感じてしまうのだ。」

評価3:地政学的にあり得ないストーリー

次は、The New York Timesが載せた評価です。

米露の2国間関係は、日本などのメジャーな報道が伝えるものは極表面的な部分で、その裏には、反発と相互承認の利害関係が複雑にからんでいると思います。

まぁ、この映画の様な娯楽作では、そこをスパっと切り開き明瞭で分かりやすい展開の中、あまり頭を使わない映画を求めている観客層に訴求するのが目的となります。

そして、その部分の弊害もまた生まれる訳ですが、ここでは、映画による地政学の取り扱いなどについての批評が書かれています。

【The New York Times】

‘Hunter Killer’ Explores the Depths of Geopolitics

「映画“Hunter Killer”は、地政学の深い海に潜り込んでしまう様だ。」

In “Hunter Killer,” ordinary alliances are suddenly upended and the United States Navy must do whatever it can to protect the interests of the Russian president. No, it’s not a documentary; it’s a submarine movie.

「本作“Hunter Killer”では、平素の世界を動かす同盟関係が逆転し、合衆国海軍は全力を尽くしてロシア大統領の利益を死守するために活動する。とは言え、これは実話ではなく、ただの潜水艦もの映画の一本だ。」

The maneuvers through mines and sound sensors seem closer to a game of Battleship than “The Hunt for Red October,” but the director, Donovan Marsh, pulls off some solid suspense as the men make their moves

「水雷や音響センサーをめぐる軍事活動の様子は、どちらかと言えば、“レッド・オクトーバーを追え!”より、ゲームのバトルシップを思わせるだろう。しかし、監督を務めたドナヴァン・マーシュは、そこで男達が見せる動作から、見応えあるサスペンスを引き出す事にも成功している。」

However nutty its geopolitics, “Hunter Killer” does its job as popcorn thriller with brisk efficiency.

「しかし、ばかげているのは、その地政学的側面だ。本作“Hunter Killer”は、いわゆるポップコーンスリラーの軽いノリで、そのテーマを描いてしまったのだ。」

評価4:変に騒々しいだけのアクション映画

最後は、Chicago Tribuneからの評価をご紹介。

主演と共に、プロデューサーとして参加したジェラルド・バトラー本人も、この映画には、社会教育的な要素より娯楽スリラーの役割を与えようと考えていたはずです。

結局、国際政治やイデオロギー、クーデター、正義の戦い、といった大きなテーマを、この作品に関連付けすぎるのもナンセンスというものです。

まぁ、そんな事も含みつつ、したの様な評価が書かれていたりします。

【Chicago Tribune】

Make me a submarine sandwich, extra ham for Gerard Butler

「追加のハムにジェラルド・バトラーをはさんで、潜水艦サンドウィッチを1ついただく事にしよう。」

Based on the 2012 novel “Firing Point,” it’s less a submarine picture and more a noisy, oddly structured mashup of Russian military coup, Navy SEALs rescue operation and Gerard Butler’s ability to clench his jaw three clicks

「2012年の小説“Firing Point”を原作とした本作は、潜水艦映画と言ってしまうより、ロシアの軍事クーデター、救助活動を行うネイビーシールズ、そして、ジェラルド・バトラーが3度音が鳴る程に奥歯を食いしばれる事などを、小うるさく奇妙にまとめ上げた映画と言うべきだろう。」

South African director Donovan Marsh manages a swift, bloody assault on the waterfront office building occupied by the coup gang,

「南アフリカ出身の映画監督、ドナヴァン・マーシュは、クーデターの主犯が占拠するウォーターフロントの建物における血なまぐさい急襲場面を、スピード感持って演出してみせている。」

The rest of “Hunter Killer” gets lost in digital effects and jumpy editing and Glass flipping his lucky coin, over and over, like an underwater George Raft.

「とは言え、この“Hunter Killer”の他の部分は、デジタル処理や場面が飛躍する編集手法、そして、海に沈んだジョージ・ラフトよろしく、グラス館長(ジェラルド・バトラー)が幸運のコインを何度もしつこく裏返してみせる中で、進路を見失ってしまう様だ。」

親米親露で世界が変わる?

このアクション映画『Hunter Killer』が上映されている、2018年の11月という時期は、丁度、アメリカ合衆国の中間選挙が行われるタイミング。

おそらく、映画だけでなく全ての大衆文化が、ある程度は政治と関連付けられて利用されている時期だと思います。

そんな時期に、米国海軍の非主流派指揮官がライバル国へ(軍事的)救いの手を差し伸べ、裏で暗躍していた真の悪者を退治するというストーリーは、それなりな数の人達の政治的警戒心を緩めさせる効果も発揮したかも知れません。

グラス艦長が救うアメリカ合衆国と世界は、この選挙を経て、より開かれた豊かな場所に変わって行くのでしょうか。

まぁ、そんな事を望んでいるかどうかさえ、人の立ち位置によって全く変わってしまうのですけどね。

それではまたっ!

参照元
Los Angeles Times
Hollywood Reporter
The New York Times
Chicago Tribune

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