復讐アクション映画「Peppermint」気になる海外メディアの評価とは?

家族を奪われ司法にも裏切られた女性の凄惨な復讐劇

今回は、ジェニファー・ガーナーが血なまぐさい復讐劇を演じる、ハード系アクション映画『Peppermint』の評価をご紹介します。

麻薬カルテルがはびこり、司法当局も腐敗しているという、(いわば架空の)ロサンゼルスを舞台にするのがこの映画。

ジェニファー・ガーナーは、そんな世界で正義を遂行すべく、秘密結社のスパイエージェント並な、フィジカルアクションを披露してくれるそうです。

シドニー・ブリストウからライリー・ノースへ

今どきの映画ファンの中では、ジェニファー・ガーナーと女スパイを重ね合わせると言う人も、さほど多くないかも知れません。

彼女が超優秀なスパイを演じ、自身にとっての出世作ともなったTVシリーズ『エイリアス』が作られたのは、2001年からの5年間。という訳で、テレ東のお昼枠でも放送される事の無い、一昔前のタイトルとなってしまいました。

この『エイリアス』。あらためてクレジットを見返してみると、ブラッドリー・クーパーやイーサン・ホーク、そしてクエンティン・タランティーノなども出演していて、そこそこ大きなプロジェクトだった事が伺えます。

製作総指揮と原案のJ・J・エイブラムスが、ちょっと遊び心を発揮したのか、声だけのカメオ出演なんかもしているそうです。

このドラマが終わった後のジェニファー・ガーナーは、『ウソから始まる恋と仕事の成功術(2009年)』『バレンタインデー(2010年)』そして『メン・イン・キャット(2016年)』『天国からの奇跡(2016年)』など、コメディーに比重を置きながら、ドラマ系の作品の主要なキャラクターを演じ続けています。

TVのヒットシリーズは、視聴者に強い印象を残しすぎるためか、出演俳優の中には、それが終わった後のハリウッドでのキャリア形成に、苦労している人もいる様に思います。

そう考えると、共演だったブラッドリー・クーパー共々、ジェニファー・ガーナーはスター俳優の道を見事に開拓したタイプと言えそうです。

今回ご紹介するこの『Peppermint』では、その彼女が再び武器と格闘技を身に着け、現代アメリカを侵す腐敗した悪を倒してゆく復讐のエンジェルを演じている点が、訴求ポイントとなっています。

R指定で、ハードな復讐劇を描いている『Peppermint』。公開直後にアメリカのメディアが載せた評価は、どの様なものだったでしょうか。

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Peppermint
    • ペパーミント
  • ジャンル:
    • アクション / スリラー
  • 日本公開:
    • 未定
  • 制作:
    • 2018年
    • Huayi Brothers
    • Lakeshore Entertainment
    • STXfilms
  • 監督:
    • ピエール・モレル
  • 脚本:
    • チャド・St・ジョン
  • プロデューサー:
    • デイビット・カーン
    • ジェームズ・マクエイド
    • レニー・タブ
    • クリストファー・タフィン
    • トム・ローゼンバーグ…他
  • 出演:
    • ジェニファー・ガーナー
    • フアン・パブロ・ラバ
    • アニー・イロンゼ
    • エディー・シン
    • ジョン・ギャラガー・Jr
    • ジョン・オーティス
    • カイラ=ドリュー・シモンズ

あらすじ

ロサンゼルスに暮らすライリー・ノース(ジェニファー・ガーナー)は、良き妻そして良き母となるべく精いっぱいの努力をしてきました。

銀行の窓口で働く彼女は、夫のクリス(ジェフ・ヘフナ)と娘のカーリー(ケイリー・フレミング)と共に、楽ではない家計ながらも、せいいっぱいの愛情を育てながら生活していたのです。

この夜、夫と娘が、彼女の目前で銃殺されるまでは。

実はクリスは、もっと楽な生活を求めて、本職の機械工意外にある仕事に手を付けていました。それは、地元でも悪名高い麻薬カルテルのドライバーをするという危険な仕事。

そして、そこで起きたトラブルが原因で、ギャングに命を奪われる結果となったのです。

ライリーもまた、この銃撃により重症を負い、しばらくの間昏睡状態に陥りました。そして、意識を取り戻した時、警察の面通しにおいて躊躇する事無くはっきりと、家族の命を奪った男達を識別したのです。

この事件、裁判が開始される運びとなりましたが、予備審問の段階で彼女が予想もしていなかった方向へ、事態が進み始めます。なんと、公判維持に足りる証拠が無いと言う理由で、裁判が取り消されてしまったのです。

実は、この裁判の判事は麻薬組織と癒着しており、自身の利益のために殺人犯であるギャング連中を野放しにしたのでした。この事を知ったライリーは、この街の司法システムには頼れない事を悟り、突然、その姿をくらまします。

そして、事件が起きてからちょうど5年後、ライリーはロサンゼルスへ戻って来ました。彼女は、この数年間に、自身の復讐を遂げるために必要な殺人スキルを身に着けていたのです。

その標的は、麻薬組織のボスであるディエゴ・ガルシア(フアン・パブロ・ラバ)、そして、腐敗しきったこの街の司法です。究極の復讐を遂げるため、目前にたちはだかるギャングを、1人また1人と血祭に上げて行くライリー。

そんな彼女を捕まえようと、FBIのリサ・インマン(アニー・イロンゼ)達も動き始めました。

はたしてライリーは、悪の根源を絶ち復讐を果たす事が出来るでしょうか?

彼女の行く先に、真の正義はあるのでしょうか?・・・

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映画『Peppermint』気になる現地メディアの評価(レビュー)は?

1950年代の昔から今も(そしておそらく、これからの未来も)、勧善懲悪モデルはハリウッドのストーリーライティングにおける、主要な執筆手法の1つであり続けるのでしょう。

それは、観客としての一般大衆が、自分の周囲に善やモラルが実行される事を望んでいる、という事も意味しています。ただ逆説的に見れば、そんな彼らが動かしている世の中自体に、不条理や不公平そして悪行がこれだけはびこっているのは、矛盾を感じる点でもあります。

とにかく、そんな風に世にはびこる邪悪なやつらに、真の罰を下してくれるダークなエンジェルを見て、日常で溜まったうっ憤を少しだけ晴らす事が出来るというのが、この『Peppermint』の様な映画が提供する楽しみな事は確か。

したがって、そのストーリーを成り立たせる主役のライリー・ノースには、情け容赦のない正義の暴力が要求されている訳です。

そんな事も含みつつ、新たに生み出された復讐のヒロインを描くこのアクションスリラーに、各メディアがどの様な評価を寄せたかを見て行きましょう。

評価1:過去の映画文化をそのままなぞらえた一作

先ずはじめは、The New York Timesが本作に寄せた評価です。

悪をもって悪を征するアンチヒーローは、特定の分野の映画ファンからは常に歓迎されるキャラクター。だとしても、映画としては少しでもその描き方に進歩を期待したいところでもあります。

こちらの批評記事では、ジェニファー・ガーナーが主演していながらも、それほどの斬新さは与えられていない様だ、という評価となっています。

【The New York Times】

‘Peppermint’ Is Neither Sweet Nor Good

「映画“Peppermint”は、スイートさも無ければ出来も良くない一作だ。」

“Peppermint” is a belabored exercise in lazily constructed déjà vu, without the grit or stylized ham of predecessors it so baldly steals from.

「この“Peppermint”は、いわば怠惰に作られたデジャヴを更に引き伸ばしたという一作で、これ自体が不器用ながらも参考にしている、過去の作品群が見せた気概も無ければ、それっぽくスタイル化された、やぼな演技すらも見せる事が無い。」

The paper-thin characterization and clumsy aesthetic choices (frequent, distorted-looking flashbacks) should at least make “Peppermint” a solid contender for so-bad-it’s-goodness; collective audience cackles reverberated through the screening I attended. Unfortunately, the film plays dangerously into violent Latino stereotypes.

「紙の如く薄っぺらなキャラクター構築と、(繰り返される歪んだフラッシュバックなど)不器用な映像の見せ方は、本作“Peppermint”を、最低でも、粗雑さがウリという作品群の1つにはしているのだろう。そして、私が行った試写会では、観客の一団から笑い声が響き渡たりもした。ただ残念な事にそんな本作は、ラテン系への偏見を危険なほど利用したものであるのも確かだ。」

All of the dead appear to be Latinos (save for a couple of Korean mob allies), but she leaves the sole white guy working there alive in order to interrogate him. The moment says a lot about the way Hollywood continuously villainizes people of color and values certain lives over others.

「(何人か韓国系が混じっていたのを除けば)本作の中で死体になるべき人間は、すべてラテンアメリカ系である。そして(主役の)ライリーは、情報が得られるという名目で、1人の白人男性だけは命を助けたりもする。この場面は、ハリウッドが依然として有色人種を悪人扱いしている事、そして、一定の命を他の犠牲の上で尊重しようとしている事を、明確に語っていると言わざるを得ない。」

評価2:戦うべき真の悪からは目をそらし

次は、Los Angeles Timesが掲載した評価です。

この映画の中でライリー・ノースが倒そうとする悪者の人物像は、もうちょっと今の社会や経済状況に即した描き方もあったはず、というレビューとなっています。

【Los Angeles Times】

Jennifer Garner revenge film ‘Peppermint’ thinks too small

「ジェニファー・ガーナー主演の復讐劇、“Peppermint”は、視野が狭すぎるだろう。」

How to revive a movie star’s flagging career? Take up guns, obviously.

「まぁ、衰え気味な映画スターのキャリアを再生するために何をするか?、と聞かれれば、それは勿論、銃を持たせるという事になるのだ。」

That’s both literally and figuratively, as Garner sports some seriously sinewy shoulders; her guns come in both the semi-automatic and bicep variety.

「そしてその事は文字通りと、比喩的な両方の意味を持つ。ガーナーは真面目に言ってかなりたくましい肩の持主である、そんな彼女の持つ銃は、セミオートマチックと二頭筋の2本立てにも伺える。」

But while it’s fun to watch Garner return to her action roots, the brute force haymaker that is “Peppermint” is a far cry from the sophisticated thrills of “Alias.” Directed by “Taken” helmer Pierre Morel and written by “London Has Fallen” screenwriter Chad St. John, what distinguishes “Peppermint” from every other vigilante shoot-em-up is that this time, our hero is a mom.

「ガーナ―が、自身のルーツであるアクションに返り咲いた姿が楽しめるとしても、その残虐な一撃が売りと成っているこの“Peppermint”は、あの“エイリアス”に有った洗練されたスリルからは、酷く離れた場所に位置するものでしかない。“96時間”を撮ったピエール・モレルが演出を、“エンド・オブ・キングダム”のチャド・St・ジョンが脚本を仕上げた、この“Peppermint”を、他の復讐アクションと違えているポイントとは、本作のヒーローが母親であるという点だけだ。」

The issue is that Riley doesn’t think big enough. The low-level gangsters aren’t her enemy. Her true enemy is a system of income inequality driven by hyper-capitalism and the myth of the achievable American dream

「ここでの問題は、ライリーが十分に拾い視野を持てていないという点である。低レベルのギャング連中など、彼女が敵にする相手ではない。真の敵とは、行き過ぎの資本主義と、夢は叶うというアメリカンドリームの伝説により加速された、所得格差を生み出すシステムであるはずだ。」

Why doesn’t Riley go after the bank that overworked and underpaid her? Unfortunately, Riley, and by extension, “Peppermint” just doesn’t get it.

「何故、ライリーは、彼女をこきつかった挙句に、まともな給料も払わなかった銀行に復讐しなかったのか?。残念ながら、ライリー本人、そして言ってみれば本作“Peppermint”自体も、その事に気づかなかったという事である。」

評価3:ジェニファー・ガーナーが中心にいればこその映画

3つめは、StarTribuneがこの映画に寄せた評価です。

ある意味、ドライで暴力的なだけのこの映画で、ジェニファー・ガーナーが見せる存在感についての論評です。

【StarTribune】

Jennifer Garner seeks bloody revenge in ‘Peppermint’

「ジェニファー・ガーナーが、この映画“Peppermint”で、血なまぐさい復讐劇を展開する。」

The insane revenge movie “Peppermint” starts to make a lot more sense when you realize that it was directed by the man who brought us “Taken” (Pierre Morel) and written by one at least partially responsible for “London Has Fallen” (Chad St. John).

「“96時間”を生み出した男性(ピエール・モレル)が演出をし、少なくとも“エンド・オブ・キングダム”の一部を書いていた人物(チャド・St・ジョン)」による脚本から作られたものだと、あなたが、この狂気に満ちた復讐劇“Peppermint”について認識した時点で、様々な事が腑に落ちて行くはずだ。

It’s a movie that is really best seen with a big, rowdy crowd who will be there to laugh at all the bravado.

「これは、作品が見せる粗野な態度をも笑い飛ばす様な、大勢の荒っぽい観客達と共に鑑賞すべき一本と言える。」

And, frankly, as long as this genre continues to entertain audiences, Garner is a compelling a lead as any, and more so than quite a few of the men who get so many parts like this.

「率直に言って、この映画ジャンルがこれからも観客を喜ばせるのなら、ジェニファー・ガーナーは主演として十分であり、むしろ同じ様な多くの役を受け持ってきた他の男優達より、説得力を発揮するのも確かなのだ。」

評価4:ジェニファー・ガーナーにもっと良い映画を

最後は、CNNからの評価を。

はまり役の女スパイを演じていた時期からの、ジェニファー・ガーナーに賛辞を送りつつ、単純な勧善懲悪アクションのような本作が、彼女を起用した事についての評価を載せています。

【CNN】

Jennifer Garner seeks revenge in ‘Peppermint’

「映画“Peppermint”で、ジェニファー・ガーナーは復讐を遂げようとする。」

Aside from the awful name, it’s a wholly ridiculous, ill-timed movie. Garner, notably, isn’t to blame for that, and having cut her teeth as an action star on the TV show “Alias,” she’s perfectly convincing inflicting mayhem. Still, the actress deserves better than a poorly aged plot that hinges on a corrupt justice system favoring criminal defendants,

「かなり妙な題名は別としても、この映画は完全にバカらしく、公開のタイミングも間違えた一作である。ただ、この責任はジェニファー・ガーナーに有る訳ではない。TVドラマ“エイリアス”で経験を積んできた彼女がここで起こす危険な騒動は、同時に完璧な説得力を持つものでもあるのだ。その上でも、犯罪の被告を助けようとする腐敗した司法制度を利用した貧弱なプロットなどより良いものが、この女優に与えられるべきである。」

Garner has another project coming close on the heels of this one, starring in the HBO comedy “Camping,” which premieres in October. However that series turns out, it would be nice if it was good enough to help erase the bad taste that “Peppermint” leaves behind.

「この作品と連続して、ガーナーにはもう1つの作品が用意されている。10月にHBOからプレミア放送される”Camping”というコメディがそれだ。そのシリーズがどの様になるとしても、この映画“Peppermint”が残した悪い後味を消してくれるのなら、ありがたい事だと言えるだろう。」

復讐系ハードアクションが好きな人はご期待を

この映画『Peppermint』、各メディアの評価を読んでみても、いわゆるウーマンエンパワメント的なメッセージを伝えるものではないようです。

だからこそ、情愛と殺戮者の冷徹さを同時に演じられる、ジェニファー・ガーナーの主演が必要だった、と言えるのでしょうか。

上の批評記事にも出てきますが、この作品を演出したピエール・モレルは、60歳のリーアム・ニーソンを一躍アクション俳優に仕立て上げた『96時間』の監督でもあります。

その点を考えれば、批評家達が、スト―リーを含めたこの映画の周辺に、何か刺激的な展開を期待したくなるのも当然で、その部分の落胆は、それぞれの評価に少しだけ滲み出ているかも知れません。

とは言え、まぁ、ジェニファー・ガーナーが犯罪者に家族を奪われ、武器を持って立ち上がり、最後は復讐を果たすというストーリが、1つのまとまりを見せた作品である事は確かな様です。

ファンの方は、期待しつつ日本公開をお待ちください。

それではまたっ!

参照元
The New York Times
Los Angeles Times
StarTribune
CNN

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