実話系スパイドラマ:映画「The Catcher Was a Spy」の評価とは?

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Catcher Was a Spy
    • ザ・キャッチャー・ワズ・ア・スパイ
  • ジャンル:
    • 実話 / ドラマ
  • 制作:
  • 日本公開:
    • 未定

あのアントマンが、謎のメジャーリーガー:M・Bになる!?

第二次世界大戦前に活躍したメジャーリーガー、モー・バーグ(M・B)は、少なくとも1つの都市伝説としては名を残した人と言えるでしょう。

彼は、今から70年以上も前の人。最近のカリスマ〇〇〇な人の様に、SNSで自分の表も裏も全部発信する事は出来ませんでした。

むしろ彼は、謎の部分を残した事によって、永遠に人々の話題に上り続けるレジェンドになった、と言えそう。ネットどころかテレビすら無かった時代を生きたバーグには、数々の逸話が残されています。

アスリートとしてだけでなく、学歴その他の実務能力も一般人を完全に凌駕していたと言う、モー・バーグという人。そんな彼を、アントマンことポール・ラッドが演じ、世界を悪の枢軸国から救うため暗躍したスパイの姿を描きだすと言うのが、今回ご紹介する映画『The Catcher Was a Spy』です。

野球界で最も頭が良い、と呼ばれたこの男のストーリー。一体、どんな評価が与えられているのでしょうか。

映画「The Catcher Was a Spy」:あらすじ

1934年の秋。モー・バーグ(ポール・ラッド)は日本を訪問していました。

モーは、キャッチャーとして日米野球に出場するメジャーリーガーの一人。しかしその日、何故だか試合を欠場した彼は、東京都内のある病院へ行き、その屋上から16ミリカメラによって街並みを撮影したのです。

実はモーは、並ならぬ知的能力の持主で、英語以外にフランス語やスペイン語など複数の言語を操り、プリンストンやコロンビアといった名門大学を優秀な成績で卒業してもいます。

そんな彼が撮影した映像は、後に勃発する第二次世界大戦におけるアメリカ軍の東京空襲作戦に、多大な貢献をする事となりました。

軍事利用のため、彼からそのフィルムを受け取ったのは、時のOSS長官ウィリアム・ドノバン(ジェフ・ダニエルズ)。ウィリアムはモーの能力を買い、なんと彼を野球の世界から諜報活動の世界へ引き入れます。

そこで彼を待っていた任務とは、ナチスドイツの原子爆弾開発状況を見極める、という危険な仕事でした。この作戦は、ロバート・ファーマン(ガイ・ピアース)の指揮の下、物理学者サミュエル・ゴーズミット(ポール・ジアマッティ)らと協力して進められます。

サミュエルの考えでは、彼の旧友であるヴェルナー・ハイゼンベルク(マーク・ストロング)は、今ドイツのために原爆を完成させようとしている、と言うのです。

もしそうなれば、連合国はヨーロッパ戦線で敗北を喫する事必至で、世界の命運は尽きてしまうでしょう。

モーのミッションは、ヴェルナーの研究状況を突き止め、必要であれば彼を暗殺する事。

ここに、一人の元メジャーリーガーによる、人類の未来をかけた一大諜報活動が展開されて行きます。

映画「The Catcher Was a Spy」:キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ベン・リューイン
  • 脚本:
    • ロバート・ロダット
  • 制作:
    • ロバート・オグデン・バーナム
    • ジョナサン・ガードナー
    • ウィリアム・ケイ
    • ケビン・スコット・フレイクス
    • ジム・ヤング…他
  • 出演:
    • ポール・ラッド
    • ガイ・ピアース
    • ポール・ジアマッティ
    • ジェフ・ダニエルズ
    • マーク・ストロング
    • シエナ・ミラー
    • 真田 広之…他

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映画「The Catcher Was a Spy」:気になるメディアの評価は?

この映画の興味深い所は、「誰もが知りたがっている、モー・バーグの真の姿」にあると言えます。

とは言え、何故、彼の頭がとても良く、さらには身体の力も頭抜けていたのか、という、都市伝説上の謎へ答えを出すものではなさそうです。

むしろ、昔からハリウッドが大好きだった、第二次大戦における対ナチス作戦の勝利を謳いあげる、そんな戦争映画のテンプレートに、元プロ野球選手のスパイという新しいアイテムを取り入れた、そんなものに仕上がっているのかも知れません。

問題は、そこにどれだけ新鮮味を加える事ができたか、という所なのですが、現地のメディアが与えた評価、ちょっと力の無いものになっている印象です。

批評1:映画としてはそこそこなレベル

多分この映画にも、制作にあたって様々な大人の事情がからんだ事でしょう。

そんな中にあっても、伝説の男モー・バーグに関するミステリーを中心にしたストーリーは、いかようにも演出が可能だったはず。

そして、本作の監督であるベン・リューインは、巷で語られるような都市伝説チックな与太話には、ほぼ興味が無かったとも言えそうです。

本作については、先ず、以下のような評論が書かれていたりします。

【SFGate】

Paul Rudd is baseball player Moe Berg in so-so ‘The Catcher Was a Spy’

良くも悪くもない出来の映画‘The Catcher Was a Spy’でポール・ラッドが演じるのは野球選手モー・バーグ

“Catcher” is never boring, though the screenplay doesn’t flesh out its main character very well, perhaps because the real-life Moe Berg was so mysterious himself. We hear regular references about Berg’s enigmatic ways but see little evidence of that. We see hints of his homosexuality, but it serves no dramatic purpose. His Jewish background seems to be an afterthought.

脚本による、主役キャラクターへの肉付けが不十分だとは言うものの、この映画‘The Catcher Was a Spy’が退屈させる作品になった訳ではない。おそらくそれは、実際のモー・バーグ自体が、実にミステリアスな人物であった事によるのだろう。バーグの謎めいた部分に関して繰り返し語られる事がここでも利用されるのだが、証拠となる事実は少ししか示されない。彼のホモセクシュアリティを匂わせる部分も有るが、それでさえドラマの題材にはならないだろう。そして、彼が持つユダヤ人としてのバックグラウンドについてさえ、後付けのアイディアに見えてしまうのだ。

Director Ben Lewin has crafted a biopic spy thriller, kind of, but the script has neither the character shadings to be a biopic nor the pacing and twist and turns to be a spy thriller.

監督のベン・リューインは、伝記映画を1つのスパイスリラーに仕立てた、とも言えるのだろうが、この脚本には、伝記映画とするための人物描画の濃淡も、スパイスリラーとしてのペース作りとツイスト、そして方向転換など、そのどれも用意されていないのだ。

批評2:あり体の伝記映画としてはまとまっている

実際のCIAスパイは、アウディR8のようなスーパーカーをガンガン乗り回したりしません。スパイは、目立ってはいけないからです。

スパイは、むしろ平凡な人に見えるもの。

荒唐無稽さより、そんな風なリアリティを描き出すというのであれば、ポール・ラッドの様な俳優は(良い意味で)ぴったりなのかも知れません。

ただ、スパイ映画には娯楽性も重要です。

製作者としては、どの辺りをストーリーの落とし所にするか、という技術的な問題をかかえる訳ですが、以下の様な批評も書かれています。

【The Washington Post】

Paul Rudd plays a Jewish baseball player who becomes a spy — and yes, he is a real person

ポール・ラッドが、スパイでもあったユダヤ人野球選手を演じる — そしてもちろん、彼は現実の人物

Despite the colorful character at its center, and a likable if somewhat impassive performance by Rudd, “The Catcher Was a Spy” is a dutiful laundry list of a biopic, ticking off boxes in Berg’s career — brainiac, athlete, loner, secular Jew, secret agent and, as the film strongly suggests, closeted gay man — without ever shedding light on what makes him tick.

その物語の中心に華の有るキャラクターを置き、また、ある意味で無表情とも言えつつも、印象は悪くないポール・ラッドの演技が有るとは言え、この映画“The Catcher Was a Spy”は、伝記映画に義務付けられた要点のリストでしかない。バーグの人生についてのその話が順にチェックして行くのは、非常に賢いアスリートで、一匹狼、無信心なユダヤ人の諜報部員であると同時に、この映画が強く示唆する様にゲイであるという事を隠し続けた男、という事項だけだ。そして、彼の原動力となった部分には、一切光を当てる事がないのである。

Despite sterling performances, “The Catcher Was a Spy” ultimately loses its luster in the murk surrounding the man it calls a “walking enigma.”

(そして)真に迫る演技の幾つかが有ったとしても、本作“The Catcher Was a Spy”は、この、“歩きまわる謎”と称する人物をとりまく闇から、その魅力を削ぎ落してしまうのみなのだ。

批評3:説得力が出来らないスパイ映画

原子爆弾が、枢軸国と連合国どちらのサイドで製造に成功するかという事自体、人類史に大きな影響を与えた出来事です。

だから、映画としては、ミステリアスな野球選手を中心にしなくても、十分刺激的なものになり得たとも言えます。

とは言え、各メディアの論評を見る限り、多くの目を引く戦争娯楽映画に仕上がった訳でもなさそうなのが、この映画でしょう。

以下の批評からも、そんな印象が伝わります。

【Variety】

Paul Rudd stars as a major-league baseball player turned WW2 intelligence agent in this fact-based misfire.

ポール・ラッド、実話ベースの不発映画で、第2次大戦中の諜報部員になったメジャーリーガーを演じる

Shot in burnished tones by Andrij Parekh on attractive locations (many in the Czech Republic), “Catcher” has the moody handsomeness of old-school espionage films, and Howard Shore contributes an orchestral score that would very nicely suit the kind of trenchcoat melodrama “Catcher” aspires to be. Yet somehow the players never quite convince they have the world’s fate in their hands (Peace’s ramrod-stiff turn feels like an imitation of military bearing from old war movies, while Giamatti puts too much comedy in his scaredy-cat academic) or that they’re actually inhabiting the designated period.

アンドリー・パレークの光沢ある描写で描かれる魅力的な土地(多くがチェコ共和国)を舞台に、この映画“The Catcher Was a Spy”には、古典的なスパイ映画のムードを伴なう見栄えが与えられている。加えて、トレンチコートが目立つメロドラマという、この映画が目指した物に釣り合うオーケストラの楽曲を、ハワード・ショアが提供してもいる。だが、演じる者達が、その手に世界の命運を握っているとか、ここで描かれる時代を実際に生きているのだという説得力を、どういう訳だか発揮しきらない(ガイ・ピアースのお硬い役どころは、昔の戦争映画に出てきがちな軍人を模倣していると思わせ、ポール・ジアマッティは、臆病者の研究者役に過剰な笑いを込めすぎる)と言うのも事実だ。

Though it all, Rudd seems subtly miscast, not because he doesn’t look like the real man (who was more a conventional athletic bruiser), but because Moe is meant to be someone who loves “hiding” and “keeping secrets.” This actor doesn’t lack depth (though it’s his first dramatic lead in some time), but his appeal is rooted in seeming so accessible and relatable — not what one needs in portraying a “walking enigma.”

そういった全ての中で、ポール・ラッドについても配役ミスの感が禁じ得ない。その理由は、彼が(本来はもっと体格が良いアスリートだった)実在の人物に見えないとか、そう言う事では無く、本物のモー・バーグは、“隠れる事”や“秘密を守る事”を愛した人物だったはず、という点に有る。この役者は(本作が、しばらくぶりの主演作だとしても)深みに欠けている。彼が持つ魅力とは、“歩きまわる謎”と称される誰かを描写するには不要の、近づきやすさと馴染みやすさに根差したものなのだ。

そして、伝説は謎のまま残り続ける・・・

世の中が情報化される前の時代に生まれた都市伝説の数々。

それはとても魅力的なもの。でも、わざわざその真相を暴くのは、実は無粋なだけの行為です。それを語る楽しみを無くさないためにも、謎は謎としておいた方が良いからです。

モー・バーグについての逸話の数々は、飲み会で女の子の関心を引く時のために、取っておく事にしましょう。

さて、謎めいたスパイではなく、本業のアントマン新作が、今、丁度リリースされているポール・ラッド兄さん。

分かりやすいヒーロー(あるいは普通の人)の役どころからは、また違う姿を本作『The Catcher Was a Spy』で見せてくれた、とは言えそうです。

まぁ、これからアベンジャーズの仕事が激増する前に、俳優として布石を打った事にはなっているのではないでしょうか。

それではまたっ!

参照元
SFGate
The Washington Post
Variety

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Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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