ホラー映画「へレディタリー/継承」気になる海外メディアの評価とは?

親の秘密は暴かない方が良い…

実力派女優のトニ・コレットが、自分の血筋にまつわる恐怖に遭遇するというホラー映画『へレディタリー/継承(Hereditary)』の評価をご紹介します。

どんな人も、かならず1つ位は持っている家族にも話さない秘密。問題なのは、その秘密が何時、どの様に暴かれるかという事でしょう。

それは、暴かれ方によっては、とても恐ろしい出来事の引き金になるかも知れません。

今回ご紹介する映画『へレディタリー/継承』は、亡くした母親が隠していた秘密に、トニ・コレット扮する女性が最悪の形で直面して行く様子を描くホラー映画だそうです。

1人の人間が居なくなるという事は、生活だけでなく残された人自身も変えてしまう。そんな1つの事象を冷たい視線で描くこの映画。本国アメリカ公開直後、各メディアが載せた評価はどの様なものでしょうか。

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Hereditary
    • へレディタリー/継承
  • ジャンル:
    • ホラー / ミステリー
  • 制作:
    • 2018年
    • PalmStar Media
  • 日本公開:
    • 2018年11月30日
  • 監督:
    • アリ・アスター
  • 脚本:
    • アリ・アスター
  • 制作:
    • ジョナサン・ガードナー
    • ライアン・クレストン
    • ウィリアム・ケイ
    • ケビン・スコット・フレイクス
    • ラース・クヌードセン…他
  • 出演:
    • トニ・コレット
    • ミリー・シャピロ
    • ガブリエル・バーン
    • アレックス・ウルフ
    • アン・ダウド…他

映画『へレディタリー/継承』のあらすじ

「この場に、見知らぬ方々がたくさん来ていただいているのを見ると、心が励まされます。」

母親の葬式で、今アニー(トニ・コレット)はそんなスピーチをしています。思えば、母の日常については知らない事が多いのです。

アニーには、夫スティーヴ(ガブリエル・バーン)、息子のピーター(アレックス・ウルフ)、そして娘チャーリー(ミリー・シャピロ)という家族が居ます。

とは言え、スティーヴとピーターには、身内を亡くした悲しみはさほど響いていない様子。ただ、チャーリーだけは酷く落ち込んでいます。

アニーの仕事は、ミニチュアの家を作る事。彼女は、自宅のかなりのスペースをそのためのスタジオに使っているのです。

さて、疎遠な所も有ったとはいえ実の母を亡くした悲しみが晴れないアニー。近くのセラピーグループへ密かに通い始めました。そこでは、ジョアン(アン・ダウド)という女性が、色々と世話を焼いてくれます。

そんな中、チャーリーの日々の行動が、だんだんとおかしくなってきました。彼女は、学校で見つけた鳥の死骸から頭を切断し、家へ持ち帰ったりするのです。

祖母の死に強く影響を受けている娘を、やさしく気遣うアニー。

でも、その異常さが他の家族のメンバーにも徐々に波及するにつけ、なにか超自然的な力が彼らに近寄っている気配を感じ始めます。

そう言えば、ジョアンも何か秘密を隠している風にも思えてきました。

はたして、アニーの母親はどの様な人物だったのでしょうか?、

今、一家を襲う一連の不気味な出来事は、この女性の死と何か関係が有るとでも言うのでしょうか?

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映画『へレディタリー/継承』気になる海外メディアの評価は?

製作費は、さして大きくもない1,000万ドル程度で作られたのが、この『へレディタリー/継承』です。あえて抑えたと言うより、無駄な金は必要なかったという事かも知れません。

荒唐無稽なギミックを売り込むのでは無く、じわっと締め付けるような演出と演技で仕上げたサイコスリラー系の映画、そんな印象も伝わってきます。

まぁ、その意味では、M・ナイト・シャマラン寄りな作風を好む人にとって、期待のスリラー映画と言えそうです。

それでは、そんな本作についての評価を3つ程ご紹介いたしましょう。

評価1:冒頭は非常にゆっくり進む

先ず、The New York Timesによる評価からです。

いわゆるB級娯楽ホラーのシナリオは、Aが起きたら次はB,そしてCと言った具合にメソッドが安定していて、それが魅力の1つにもなっています。

一方、この『へレディタリー/継承』は、それぞれの事象の意味を考えながら進むという楽しみを、観客に与えてくれる事を期待できる一本で、そのための時間も十分確保してくれている様(全体では2時間超の作品)です。

そういったペース作りは、映画の演出や編集にとっても重要ですが、本作には下のような批評が与えられています。

【The New York Times】

In ‘Hereditary,’ the Horror Is Slow-Cooked and Homemade

「映画“へレディタリー/継承”の中、家庭内のホラーはゆっくり調理される。」

The first hour of “Hereditary” moves with excruciating slowness, alternating between scenes of eerie menace and moments of dark and dry domestic comedy.

「本作“へレディタリー/継承”の最初の1時間は、不気味な危機感とダークでドライな家庭内コメディの間を行ったり来たりしながら、かなりゆっくりと展開して行くものとなっている。」

The film, Mr. Aster’s debut feature, is engaging, unsettling and unpredictable, generating a mood of anxious fascination punctuated by frequent shocks and occasional nervous giggles. But I also found it a bit disappointing. Mr. Aster writes an impressive-looking check and succeeds in cashing it, but on close examination the payout turns out to be skimpier than anticipated, and drawn mostly on someone else’s account.On the other hand, the minute-to-minute experience of watching the movie, sometimes through your fingers, is an ordeal of the best kind.

「アリ・アスターの監督デビューだと言う本作は、観る者の心を引き寄せると同時に、不安感を醸成し、予測も困難な映画に仕上がっている。それは、秘密めいた魅力を、繰り返し描かれるショックシーンと、時折聞こえる神経質なくすくす笑いで打ち抜いた、そんな雰囲気を醸し出すものだ。とは言うものの、そこには若干の失望感も存在するのは事実だろう。(例えるとすれば)アスター監督はここで、良い見栄えの小切手を書き上げ、現金化もやりとげた様ではある。しかし、その払い戻しは期待額を下回ってしまった上、多くの部分が、他人の口座から引き出しただけである。そして同時に、時としてあなたが指の間を通して見る事になる、この映画での刻一刻の出来事は、最上級の質を持つ苦痛ともなるだろう。」

評価2:女優が演じる真の恐怖と苦痛

次に、The Seattle Timesによる評価をご紹介します。

こちらでは、この恐怖映画の中における主演女優トニ・コレットの存在感について、論評しています。

【The Seattle Times】

‘Hereditary’: Horror flick will creep you out, thanks to awe-inspiring Toni Collette

「“へレディタリー/継承”:センスあふれるトニ・コレットの演技が、観る者を震え上がらせるホラーだ。」

Toni Collette is the most awe-inspiring special effect in “Hereditary.” This is a horror picture of uncommon effectiveness in terms of its ability to creep the audience out, and it’s Collette who cranks the creep meter deep into the red zone.

「この映画“へレディタリー/継承”において、最も創造的な特殊効果こそ、トニ・コレットの存在だと言える。それが観客に恐怖感を与えるパワーについて言えば、この映画は他に例を見ないような効果を発揮しているだろう。そして、恐怖のメーターをレッドゾーンまで引き上げるのは、まさにコレットの貢献によるのだ。」

She’s a woman being torn to pieces by conflicting emotions, and the pain and grief of her tormented state is there — visible, unmistakable, frightening in its intensity — on Collette’s haunted face, and in the desperation in her voice.

「彼女は、感情的な葛藤の末にばらばらに引き裂かれる女性である。そしてコレットの苦しむ表情、絶望が響くその声には、彼女の苦痛に満ちた状況がもたらす痛みと悲しみが表される。」

That’s acting on a level rarely seen in horror movies.

「こういったレベルの演技は、ホラー映画ではあまり見る事ができないものであろう。」

評価3:過度なギミックより上質な演技で魅せる

最後に、The Detroit Newsによる評価をご紹介します。

このるホラー映画には、主演のトニ・コレットが住んでいる奇妙な形の家や、彼女が作るミニチュア、さらには、不気味な雰囲気の娘と燃え盛る炎など、スリラー映画に必要な不気味なアイテムもちゃんと用意されています。

そんな中で光るのは、やはり主演女優の演技力だと言う事で、こちらでも以下の様な評価が載せられています。

【The Detroit News】

Toni Collette astonishing in terrifying ‘Hereditary’

「恐怖映画“へレディタリー/継承”で、トニ・コレットが驚くべき存在感を示す。」

Writer-director Ari Aster, in his feature film debut, delivers a chilling, dark, sadistic experience that you won’t soon shake, let alone forget. But it’s Collette who really gets under your skin.

「本作が、監督兼脚本家としてデビューとなるアリ・アスターは、ここで、観る者がすぐに記憶から追い出す事ができず、自然に忘れさる時を待つしかない程の、背筋も凍る、ダークでサディスティックな体験を提供してみせる。そして、実際にあなたを引きずり込むのは、主演のトニ・コレットその人なのだ。」

Aster forgoes the usual jump scares and crashing music cues that make up the majority of today’s horror films and digs deeper, creating an inescapable sense of unease and looming dread. He slowly tightens his grip on the audience and plays with themes such as the damnation of guilt and the chilling silence of death.

「アスター監督は、今日のメジャーなホラー映画を成している、露骨なショック場面や不安げな音楽などは控えめにしている。その代わりに、世界観を深く掘り下げ、そこへ、逃げ場のない不安感と、広がる恐怖感を醸成してみせる。そして彼は、破滅的な罪悪と、死がもたらす冷たい沈黙と言ったテーマを描く事で、徐々に観客の緊張を高めさせて行くのだ。」

評判は上々、期待のホラースリラーが『Hereditary』

2018年の1月に、サンダンス映画祭で上映された後、6月になってから日本以外の各国で順次公開されているこの映画。その後、興行ランキングでもトップ10に留まる評判を得ている一作となっています。

これまたお約束通り、日本公開は現時点で未定ですが、まぁ、DVDダイレクトリリースはさすがに無いのじゃないかなぁ、と思う次第です。

ホラースリラーファンの人は、どうぞご期待を。

それではまたっ!

参照元
The New York Times
The Seattle Times
The Detroit News

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