サイコスリラー映画「Unsane」の評価・あらすじ

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Unsane
    • アンセイン
  • 制作:
    • 2018年 Extension 765 / New Regency Pictures / Regency Enterprises
  • 日本公開
    • 未定

スティーブン・ソダーバーグが描く現実と幻覚のはざま:映画「Unsane」

鋭いセンスと才能がある映画製作者の頭脳の中には、イマジネーションとビジネスが上手く同居している事でしょう。

その制作者とは、言うまでもなくあのスティーブン・ソダーバーグその人。彼が、ストーリーだけでなく制作手法にまで拘り抜いて作り上げたサイコスリラーが、今回ご紹介する映画「Unsane」です。

今回、信頼する脚本家チームがひねり出した虚と実の混合物を、監督の持つ映画製作的アイディアを駆使しながら興味深く映像化してくれたのが、この作品。

そのモチーフは、自分が普段、見たり聞いたりしている事や話している相手などの全てが、頭の中に生じているただの幻だったら・・・、という不安感です。

映画的には使い古されたと言えなくもない、そんなテンプレートを、気鋭の映像作家が作品に仕上げたらどれほど刺激的になり得るか。そんな部分が興味の的とも言えそうな映画です。

人は現実から逃避する事を望みながらも、一方では、リアリティから切り離される事を恐れる生き物。その辺を上手くつついてかき混ぜたら、まだまだ一流スリラーのネタになるという事でしょうか。

とにかくここでは、1人の女性に付きまとって離れない恐れを追いかける、という事なのですが、一体何が起きるというのでしょうね・・・

あらすじ

彼女の名前は、ソーヤー・ヴァレンティーニ(クレア・フォイ)。とある銀行で働くキャリアウーマンです。

そんな彼女、実はもう長い事、一つの事象に苦しめられています。それは、彼女がどこに出かけてもその場所に姿を現すデヴィッド・ストライン(ジョシュア・レナード)という名の男の存在です。

このストーカーに常に付きまとわれる事の不安は相当なもので、最近ソーヤーは、母親アンジェラ(エイミー・アーヴィング)と暮らしてきたボストンを一人離れ、ペンシルベニア州へと移り住んだ程です。

そして当然、あのストーカー男はこの土地にも姿を現しました。

その事実を知って恐怖にかられたソーヤーは、精神科のセラピーに助けを求める事にしました。そこで手渡された申し込み書類に無造作にサインをする彼女。

しかし、その後、事態は彼女にとって予想外の方向へ進み始めます。書類をこの病院のスタッフに手渡した彼女は、どんどんと建物の奥へ連れて行かれ、ついには病室へ閉じ込められてしまったのです。

実は、あの書類は、病院は必要であれば本人の意思に関係なく入院させる権利を持つと、そう書かれているものでした。

もちろん、入院の必要などないと反論するソーヤーですが、精神病棟の奥からは簡単に出られる訳もありません。そして彼女は、もう一つの恐ろしい事実に気づいてしまいました。

あのストーカー男が、この病院のスタッフに紛れ込んでいるではありませんか。彼女は、その男が手渡す薬を毎日飲まなければいけないのです。

周りのスタッフや、ヴァイオレット(ジュノー・テンプル)を始めとした同じ病棟に居る患者達に、大声でその男の正体を知らせようとするソーヤーですが、周囲は彼女が病気の性で取り乱しているのだとしか思いません。

彼女は、ボストンに居る母親に電話をし面会に来てもらい、退院の手続きをしてもらう話をまとめますが、予定の日になっても母親は姿を見せません。

一体、自分の周りでは何が起きているのか?、あの男は何故ここに居るのか?、いや、ひょっとしたら自分の心が生み出した幻覚でしかないのだろうか?

ますます混乱する気持ちの中で、彼女は驚愕の真実へと近づいてゆくのでしたが・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • スティーブン・ソダーバーグ
  • 脚本:
    • ジョナサン・バーンスタイン
    • ジェームス・グリア
  • 制作:
    • ダン・フェルマン
    • ケン・マイヤー
    • アーノン・ミルチャン
    • ジョゼフ・P・ライディ
    • ジョセフ・マロック…他
  • 出演:
    • クレア・フォイ
    • ジョシュア・レナード
    • エイミー・アーヴィング
    • ジェイ・ファロー
    • ジュノー・テンプル…他

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「Unsane」、気になる現地メディアの評価は?

ソダーバーグ監督は、この映画の全編を特殊レンズを装着したiPhone 7で撮ったそうです。なかなか斬新な手法と言えますが、果たして、その様なモバイル機器はどの位の性能を発揮するかも興味が湧くところですね。

本作では、そんな要素を上手く演出する事で、見ている観客が画面に払う注意を更に高める効果も狙っているとも思えます。

そして、大掛かりな機材を持ち込める場所を確保するより、小型のモバイル機器を携帯しそれで撮影したほうが予算的にも合理的だし、主人公へより接近した感覚を映像に残せるかも知れません。

気鋭監督が描く最新スリラー

この作品「Unsane」の前には、ツイストの効いたコメディ「ローガン・ラッキー」を作っていたスティーブン・ソダーバーグ。今回放つのが、このサイコスリラーという事で、映画製作者としての器用さも光る部分となっています。

そんな彼は、明らかに、単純なジャンルもの映画の監督ではないと言える人であり、この作品にも何か鋭く捻りの効いた仕掛けが期待される所ですが、

本作の作りについては、まず、

「長く曲がりくねった、そして常に我々の関心を引き続けてきた自身の監督キャリア
の最終章においてスティーブン・ソダーバーグが描くこの映画『Unsane』は、古典的なB級映画のDNAにより不安感を演出するサイコスリラーである。こういった種類の映画で良く中心に置かれる、“彼女は常軌を逸しているのか、それとも?”という逆説的疑問を、賢い手法でいじくってみせるのが、この一作だ。それは、観客を引きずり回した挙句、終盤に用意された決着を押し付けるだけという以上の何かが、意図された一本だと言える。クレア・フォイは、ここで求められた役どころを素晴らしく演じつつ、彼女の進む複雑で絡み合った道筋へ、観客達も導き入れてみせる。(Detroit News)」

、という評価が書かれていました。

古典的なスリラーの流れも垣間見える一本

民生のモバイル機器で一流の映画が撮れてしまう、という事を示した本作は、世のアマチュア映画作家にとっては大きな動機付けになる一本とも言えそう。

しかし、大まかには、スリラーとして保守的なテーマを踏襲していると思しき本作では、撮影後の編集や音入れといった仕事に、かなりな力を入れる必要もあったでしょう。

そんな「Unsane」、過去の名作スリラーとの関連としては、

「スティーブン・ソダーバーグがiPhone 7で撮影したという、小型『シャッター アイランド』と呼べそうな本作『Unsane』は、小型アイテムを使い作られたにしては十分に存在感を示すものとなっている。あの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が賢かった点とは、演じる役者達を制作クルーとしても扱ったという所であるが、ここでのスティーブン・ソダーバーグも、このジャンル内のそういった上手い手法を継承してみせている。映画マニアの中には、ラース・フォン・トリアーの『キングダム』や、ロマン・ポランスキー『反撥』からの影響を感じとる者も居るだろう。(Boston Herald)」

、と言った事も書かれています。

見ている者を釘づけにする

こういう映画の中、現実と幻の境目で追い詰められてゆく主人公役には、ちょうど良い抑制が効いたテンションが求められます。

今回、その重要なポジションを任されたのは、ニコラス・ケイジの「デビルクエスト」にも出ていたクレア・フォイ。

作品のキーとなる彼女の存在を、ソダーバーグ監督がどう活かしているかという点については、

「もしあなたが、Netflixの『ザ・クラウン』に出ていたクレア・フォイの印象だけ記憶に留めているのなら、スティーブン・ソダーバーグが放つ本作『Unsane』での彼女を見るとかなり驚くかもしれない。あの英国貴族の話し方は姿を消し、代わりに、ややもすると耳障りであるが完璧なアメリカ訛りを操りつつ、ここでの彼女はカジュアルで少しゆるんだ素振りを演じている。いつも通りに偽名を使いながら、ソダーバーグ自身が撮影と編集を行ったのが本作で、その映像は印象的な出来栄えを見せる。そこには、作品のテーマと完璧に融合する、やや不明瞭な閉所恐怖症的感覚が存在するだろう。多くのスリラー映画と同様に、最大の疑問が解き明かされるエンディング近くでは、この話も少し色あせてくるのは確かである。とは言え、その段階においても観客に不安感を植え付ける働きがなくなることもない。これを見ているあなたは、席を立ちたいと欲しつつも、何故か椅子に張り付いて動きたくないと感じるはずだ。(The Seattle Times)」

、と言った批評が書かれている事もお伝えしておきます。

結末が楽しみなソダーバーグ流スリラー

本作「Unsane」は、気鋭の監督が作ったものでありながら、あまり飛躍していない世界を描きつつ、多くの観客に間口を開けた一本なのかも知れません。

まぁそれだけに、この映画のストーリーにどのような謎が秘められているのか、サイコスリラーファンならずとも気になるところです。

スティーブン・ソダーバーグ監督の今後としては、プレイを禁じられた若手バスケットボール選手が、マネージャーから一癖ある仕事を頼まれるというドラマ「High Flying Bird」と、まだタイトルが決まっていないパナマ文書に関する映画などが予定されています。

あいかわらず、話題性のあるシナリオに取り組み続けるのが、このソダーバーグという事ですね。

この「Unsane」は、現時点(2018年4月)では日本公開未定。とは言え、間違いなくベストのタイミングで公開されるはずです。ファンの人は、それまで、しばしお待ちを・・・

それではまたっ!

参照元
Detroit News
Boston Herald
The Seattle Times

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Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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