10代に溢れる青い殺意:映画「Thoroughbreds」の評価とは?

〔広告〕

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Thoroughbreds
    • サラブレッズ
  • 制作:
    • 2017年 B Story / Big Indie Pictures / June Pictures
  • 日本公開
    • 未定

10代女子のいけない決意、映画「Thoroughbreds」

純粋というのは、必ずしも正義と同意語ではありません。

純粋な心というものは、冷淡さの原因ともなり、時にとんでもない罪を犯させる理由にもなります。

だから、より純粋に近いと想定される10代の人間が、社会に大きな波風を立てるような大罪を犯す事もあるのは、ある意味で当然な事なのです。

基本的に自分の衝動に正直で、社会からのモラル的な刷り込みがされていない若者達にとっては、周囲の大人からの期待に反するということが行動規範に成り得ます。

そして彼らは、怖いものを知らず、結果も恐れないその行動は極端になりがち。つまり彼らの行いは、比較的簡単に陰惨な暴力に発展してしまうのです。

多くのホラー映画や小説にとって、大人を翻弄する怖い子供が絶好のテーマとなっているのは、その様な事実が裏に有るからかも知れません。

大きな罪を犯しそうな子供達。

もともと彼らには、とても繊細な扱いが求められる上に、もし、その当人達が美人女子高生2人組だったりしたら、一体全体、守ったら良いのか潰したら良いのか、周囲の大人は相当困惑するはずです。

同時に、才能のある一部の大人は、そこに新しいストーリー性を発見する事も有るのでしょう。そしてそれは、映画になります。

若手女優オリヴィア・クックとアニャ・テイラー=ジョイが、そんな風にヤバい女子高生を演じたという映画が、今回ご紹介する「Thoroughbreds」なのですが、これまた独特の美観と辛辣さを盛り込まれた一本らしいのです・・・

映画「Thoroughbreds」:あらすじ

アマンダ(オリヴィア・クック)は知っていました。

子供の頃、自分にいろいろ教えてくれたりしていたリリー(アニャ・テイラー=ジョイ)は、実は、アマンダの母親から200ドルの時給を受け取っていた事を。

それでも、二人は意外と上手くやっていたのですが、やはり学年が進むにつれて疎遠となり、十代後半に入る最近までは会う事も無くなっていました。

幼少の頃のトラウマが原因なのか、アマンダは、周囲の人の感情を全く感じとることができません。誰の前でもぶしつけな事実をぶつけてしまう彼女。

一方、リリーの方は別の問題を抱えています。横暴でたしなみも良くない義理の父親マーク(ポール・スパークス)の事です。

最近再会し、また付き合うようになったリリーとアマンダですが、やはり鬱陶しいのはマークの存在。そして、アマンダの「殺したいと思ったことある?」の一言が、二人の中のスイッチをオンにしました。

それを実行するためには銃が必要。ということで、とあるパーティに出向いたリリーとアマンダ。そこで、街のチンピラであるティム(アントン・イェルチン)と出合います。彼なら役に立ちそう、と言う事でその身辺を洗う二人。

そして彼女らは、この男性が、ストリートで麻薬の売人みたいな事をしている男だと知りました。

彼なら銃を用意できるはずと踏んだリリーとアマンダは、そこそこの金を用意してその話を持ち掛けます。最初は小娘だと舐めていたティムも、彼女達の強い態度にはかなわず銃を渡してしまいます。

果たして、10代の少女二人の「計画」は、実行に移されるのでしょうか?

無表情に計画をすすめるリリーとアマンダ、その胸中には何があると言うのでしょうか?

映画「Thoroughbreds」:キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • コーリー・フィンリー
  • 脚本:
    • コーリー・フィンリー
  • 制作:
    • デクラン・ボールドウィン
    • ライアン・ストゥエル
    • B. テッド・ディーカー
    • アンドリュー・ダンカン
    • ジム・ラッシュ…他
  • 出演:

〔広告〕

映画「Thoroughbreds」、気になる現地メディアの評価は?

見事に10代後期の女性になりきった主演女優の2人が、その年代風な衣装をまといつつ全編の映像に存在感を示す、というのが、この映画「Thoroughbreds」の映像的な美点でしょう。

同時に、その2人がどこまで暴力的で血なまぐさい事をやってしまうのか、というのが、観客が興味を引かれるべきポイントだし、美しい2人のバックボーンにはどんな物語が用意されているかというのも、このシナリオ上の核となるはずです。

そんな、本作のシナリオは、監督のコーリー・フィンリー自身が書き上げたものとなっています。

批評1:ただのB級映画とは言い切れない

10代の女子二人を中心に置いているとは言うものの、この映画はR指定となっています。

もちろんこれは、大きな企画会議から生まれてきた訳ではない、インディーズ系の一本であり、制作段階で世論に迎合する意図もさほど無かったろうと想像できます。

そんな作品に求められるのは、トゲとかエッジとか捻りみたいな何かです。だから、映画としての作り込みと言う要素が、より楽しめるという事になるはずですが、本作には、

「コーリー・フィンリー監督によるこの映画『Thoroughbreds』には、冷淡な10代の少女達と、ドラムの響き、そして非常識な程飾り立てられたコネチカット州の家々に、推理劇のごとき殺人のプロットなどが用意されている。そして、オリヴィア・クックとアニャ・テイラー=ジョイの二人が、セリフを強調したり無表情に立ち尽くしたりを繰り返す中、全ての事は、とてもダークな風刺劇のように演じられてゆく。本作『Thoroughbreds』は、時に予算をたくさん投じたB級映画のように感じさせもするが、不快感を感じさせる物でも無いだろう。それは、エレガントに収められた映像美と、道徳にしばられない少女をクックが魅力的に演じていることの恩恵である。そして、アントン・イェルチンの存在は、この映画に想定外の感情性を与えてもいる。彼の演技は、愉快さと正直さを兼ね備えたものとなっているからだ。(The Seattle Times)」

、と言う批評が書かれていて、ダークさと美観の両方に魅力が出ている、そんな印象です。

批評2:脇を固める男優の存在

リリーとアマンダの二人を、ある意味露骨な目線で見つめてゆくのが、この映画「Thoroughbreds」の個性の一つになっている様です。

それが、全体を支えるフレームワークになっている、とも考えられますが、そんな映画的作りについては、

「これが初の劇場映画となるコーリー・フィンリー監督は、俳優達の演技力を引き出しつつ、作品にはプロフェッショナルとしての艶(つや)を与えている。その中でアントン・イェルチンは、本当は内面に筋が通っているはずの負け犬を上手く演じている。そしてリリーの義父を演じるポール・スパークスにも見るべきものがある。この二人のキャラクターが行うことは、さほど驚くべき物ではないかもしれない。しかし、この役者達の演技には生命感がきらめいているように感じられるはずだ。そういった要素は、もしフィンリー監督が様式に拘り過ぎなかったならば、本作が向かったであろう本来の方向性を観客に示唆しているはずだ。(The New York Times)」

、と言った評価を書いている所もあります。

批評3:見応えのある主演二人

10代の女性の行動を描くドラマであると同時に、犯罪スリラー要素も織り込んだのが、この「Thoroughbreds」と言う事です。

見た目のムードからは、そこには何か、安直ではないストーリーが用意されている予感も伝わってくるこの映画。大人向けのちょっとした楽しみになる事を、期待したいところです。

そんな映画について、最後に、

「リリーとアマンダ、二人の少女の交友を見せながら、この映画『Thoroughbreds』は、誰が病んでいて、より屈折しており、邪悪であるのかについて知ろうとする観客の視線を、上手く捻じれさせてみせる。監督コーリー・フィンリーは、彼女達の内にある抑えが効かない感情を巧妙に描き出すため、押しの強く様式的な映像スタイルを採用した。彼女達はどちらもコミカルかつ明瞭であるが、その真の姿が見えるのは最後の最後になってからだ。とにかく、この中の演技は見応えを感じさせるもので、オリヴィア・クックが演じるアマンダは、社会的な不適応とともに、それを忘れさす程の完全なノーマルさで描写されもする。同時に、観客からリリーという少女の中身を暴く仕事を託されるアニャ・テイラー=ジョイは、やはり目を離せない女優の一人として存在感を示すのだ。(Boston Herald)」

、と言った風な、演技への前向きな評価が書かれている事をお伝えしておきましょう。

美しい女子高生の仕組んだ殺人スキーム、一体どうなる?

英語原題の「Thoroughbred」は、単語としては毛並みや育ちが良い、という意味だそうです。

そんな名を与えられた本作は、小奇麗な外側上の魅力と共に、内部にはエッジを巧みに仕込んだ一本という印象が有ります。

日本で上映するスクリーンがみつかるかどうか、かなり微妙な感じもする訳ですが、個人的にはかなり興味を引かれる一本だと言えます。

まぁ、そういう映画って多数あったと思うのですが、DVDリリースされた時に全然違う邦題になっちゃうと、結局、見つけられないってのが常であり、困ったもんです^^。

どちらにしても、僕らにはただ待つという事しか出来ないのです。

それではまたっ!

参照元
The Seattle Times
The New York Times
Boston Herald

〔広告〕