SF映画「アナイアレイション -全滅領域-」の評価とは?

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Annihilation
    • アナイアレイション -全滅領域-
  • 制作:
    • 2018年 Paramount Pictures / DNA Films / Scott Rudin Productions / Skydance Media

命を侵す謎のフィールドに踏み込むナタリー・ポートマン:映画「アナイアレイション -全滅領域-」

今どき、小さな子供をお持ちのママさん達は、家の中にキケンな菌がはびこらないよう、日夜、除菌に苦労されていると思います。

人間は、世界でも特別で孤高の英知を築いた生き物ですから、目に見えない上に悪事だけ働くバイ菌に生活を侵かされることなど、絶対に許す事はできません。

しかし一方で、人間の生活から一切の菌を排除することも不可能なのです。いかに、清潔感のあるライフスタイルを追求したとしても、人間自体が細菌の助けをかりて生きているのでどうしようもありません。

現実には、億とか兆の数もある微生物の群れに、僕らは埋もれる様にして生きています。

それにまぁ、エントロピーの増大というものは宇宙の本質ですから、どんなに予防線をはっても、僕らの生活がだんだんと外界に馴染んでくことを止める術はありません。

だから、遠い未来では、人間という特別な存在自体も宇宙に飲み込まれて、他のものと同化・均質化してしまう運命です。

細菌類などの微生物とか、他の下等な生命体と人間の間の垣根が消滅するなんて、考えるだけでおぞましい。そのおぞましいことが目の前のスクリーン上で展開するというのが、今回ご紹介するSF映画「アナイアレイション -全滅領域-(Annihilation)」です。

あらすじ

ジョンズ・ホプキンズ大学で生物学を研究しているレナ(ナタリー・ポートマン)は、今、夫の帰りを待ち続けながら生活しています。

彼女の夫ケーン(オスカー・アイザック)は軍人で、とある秘密任務のために家を空けたまま、長らく返って来ません。

彼の事を思い不安に暮らすレナでしたが、ある日、軍から一本の電話がかかってきます。夫が帰還したとの連絡です。そしてケーンは、原因不明の重病に侵されている事も判明します。

軍の説明はこうです。少し前、とある湿地帯に空から何かが落下し、それ以来、周囲の地域が謎のフィールドに囲まれている。ケーンは、その内部を調査する極秘任務を担ったチームの一員だった・・・。

そのフィールドから生きて出てきたのは、ケーンただ一人。そして今彼は、重い病に侵され意識もない状態で、エリアXと呼ばれる軍の施設に置かれています。

実はエリアXは、謎のフィールドの目と鼻の先にあり、現在、軍は次の調査隊を編成しようとしています。今度のメンバーは、心理学者のヴェントレス博士(ジェニファー・ジェイソン・リー)、救命士のアニヤ(ジーナ・ロドリゲス)、物理学者のジョージー(テッサ・トンプソン)、そして人類学者のキャス(トゥーヴァ・ノヴォトニー)達、女性のみのクルーです。

過去に従軍経験があるレナは、夫の病の正体を知るためにこの調査チームに参加することを志願しました。

かくして彼女達5人の女性チームは、軍がシマーと呼んでいる謎に満ちたフィールドへと足を進め始めます。外側から見ると、異様な形のシャボン玉にも見えるシマー。

一度足を踏み入れると、即座に外部との通信は絶たれてしまいましたが、一見、シマーの内部は元通りの湿地帯が広がっている様にも見えます。

しかし5人はすぐに気づきます。このフィールド内部の生物が、そのDNAを異様に、そして恐ろしい形へ変化させているという事実を。

人知を超えた作用が働くシマーの内部から、彼女達は無事に帰還する事が出来るのでしょうか?

そしてレナは、夫の病の原因を突き止める事ができるのでしょうか?

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • アレックス・ガーランド
  • 脚本:
    • アレックス・ガーランド
  • 制作:
    • ジョー・バーン
    • デヴィッド・エリソン
    • ダナ・ゴルドベルク
    • ドン・グレンジャー
    • イーライ・ブッシュ…他
  • 出演:
    • ナタリー・ポートマン
    • オスカー・アイザック
    • ジェニファー・ジェイソン・リー
    • ジーナ・ロドリゲス
    • テッサ・トンプソン…他

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期待のSciFi映画「アナイアレイション -全滅領域-」気になるメディアの評価は?

変幻自在の巨大なロボ戦士とか、でかい口の中に歯が200本くらいある宇宙ワームとか、タングステンで出来た翼とジェット推進で飛び回る怪人とか、、。クロマキーとCGを使えば、どんなキャラクターも出現させられるのが、現代の映像技術です。

ただ、2017年8月の映画興行成績を見る限り、そういった要素をCGで派手に描きまくる映画が流行だと考えていたのは、ハリウッド界隈のエグゼクティブだけだった事も分かります。

元来、SciFiというのは、見る人や読む人の思考の中を刺激するため作られるもの。若年のアクション映画ファンは別として、今や、他の多くのSciFiマニアは、フィクションの中にもっと骨太のストーリー性を求めているのです。

そういった、幾多のSciFi作品を味わってきた経験豊かな人にとって、かなりな期待感を抱かせてくれるのが、2010年のアカデミー受賞女優ナタリー・ポートマンを主演にした、この一作「アナイアレイション -全滅領域-(Annihilation)」だと言えるでしょう。

見るべき要素に満ちた不思議空間

もちろん、現代の映画作品にはCGによる描写がかかせないものとなっています。

問題は、シナリオより前の段階、ストーリーのテーマ性とか世界観に、どれだけ良質なSF要素を盛り込めるかなのです。そして、そのレベルが上手くかみ合っていれば、おのずとCGの効果的な使用法も生まれてくるというものです。

そういった、作品の深い所などについては、

「イギリス人の監督兼脚本家アレックス・ガーランドが、幻惑的な未知の世界を探索してみせる映画『Annihilation』は、見ている者を美しくうっとりとした心理にさせるだろう。これは、突然変異したワニや殺人クマ、そして止まる事のない危機感で一杯の映画を語るには、奇妙に響く言い方かも知れない。しかし、そういった危険なものを表面で見せつつも、この映画には、不穏な中で落ち着きを維持する中心核が存在しているのだ。この映画は、時に物憂げにまとわり付くかと思えば、観客に襲い掛かってきたりもするが、本質には見るべき意義が存在する。それは、何かを研究している様なカメラのレンズを通じて、多くの題材を提供するだろう。本作において最も素晴らしい点は、このジャンルの定型となる骨組みと映画のための新たなアイディアを、上手く融合させたその語り口にあるだろう。ガーランド監督はこの作品に、恐ろし気な見栄えを与えている。しかし、人の死をスペクタクルのネタとして作られた他の作品群とは違い、この映画は、創造と破壊の間にある奇妙で切り離す事の出来ないつながりへ、より多くの関心をよせたものとなっているのだ。(Los Angeles Times)」

、と言った様な評価が書かれています。

不安とミステリーと人間心理

どんなに原作のベストセラーが緻密で、本格的な内容を取り上げていたとしても、一度ハリウッドの大手スタジオの手に落ちてしまうと、5、6人の脚本家チームが週一で開く企画会議のなかで、作品の良点がどんどん薄くなり消えてしまうものです。

その点、この映画「Annihilation」の脚本は、監督を務めたアレックス・ガーランドの手によってまとめられていて、それは、原作とのつながりを断ち切らないまま、ある程度自由な設定も取り入れたものになっている様です。

そんな風な描き方については、

「本作『Annihilation』は、不気味かつ不吉な中で想像を刺激する映画で、素晴らしい出来のものと言って良い。これは、見る者を耐えがたい程の恐怖や緊張、そして殺伐とした妄想の中に誘う一本である。その中で監督のアレックス・ガーランドは、『エイリアン』や『遊星からの物体X』といったクラシック作からの影響をあまり見せず、むしろ、話の焦点を広げてみせてもいる。それは時に比喩的でもあり、謎かけにも似たミステリアスな興味と、映画的なショックとを合わせて描かれているのだ。抒情的とも言ってよいこの映画が生み出す情景は、息を飲む程の見栄えとともに深い不安感も併せ持つ。何人かの女性が謎の空間へ足を踏み込む時、そこには一つの心理劇が説得力を持って描かれてもゆく。(Miami Herald)」

、と言った論評が書かれています。

重みのある作風と、その核となる演技

多分、SF的スペクタクルというものには、映像制作者にとって麻薬の様な効果があるのだと思います。

彼らのイマジネーションを、そこそこの絵コンテにして予算とともに特殊効果制作会社に発注すれば、どんなに巨大な災厄であっても、本物と見まごうような映像にしてくれます。

そして、そんな作品の多くでは、主演に据えられた名俳優の演技も台無しになるか、浮いてしまうか、陳腐になるかです。

本作の場合は、派手さなどを追求した訳ではないようで、書かれている評判を見る限り、そのテーマやストーリー性と演技が合体した、しっかりした映画作品という印象が伝わります。

そんな風に期待感も感じさせる映画として、

「この野心的なパズルとも言える映画『Annihilation』で、監督のアレックス・ガーランドは、安易な意味づけや分かりやすいだけの回答には手を伸ばさなかった様だ。本作を見る観客達は、それが自分の頭脳の中で響き渡り、表現とテーマ性について繰り返し考えさせられる事を覚悟の上のぞむべきである。もちろんそこには、スペクタクルとハイテンションの場面も十分に用意されてはいる。だとしても、それ以外の殆どの部分は、意図的にペースを抑制されていて、アクション映画と呼ぶより人物描写のドラマと呼べる作風になっている。主演のナタリー・ポートマンは、歯切れのよい中にも傷ついてむき出しの感情を込める演技を見せてくれる。この役どころは心の深い部分に傷を負った人物像であり、ポートマンの演技は恐ろしいほどぴったりである。この『Annihilation』は、感情的にも心理的にも張り詰めた一作であり、ポートマンは、この作品自体が浮き彫りにしようとする人間性のリアルに、完璧な足場を築く演技力を発揮している。(The Detroit News)」

、と言う評価も書かれている事を、最後にお伝えしておきます。

消滅を食い止める術はない!?

多分、ここ十億年位の間に、地球上の生命の殆どが死滅するような一大事が何度も起きていると思います。

僕らが一つの世界観について、それが正しいという確信を持っていたとしても、宇宙全体からしてみれば、何の根拠もない思い込みに過ぎません。

直径が1キロくらいある円盤型エイリアンシップが飛来して、その攻撃により人類が滅亡するというハリウッド的な発想も、本質的には貧相な思い付きでしかないのです。

本当の全滅的侵略は、もっと静かに見えないレベルで、ある程度の時間をかけて行われるものですし、それは既に進行しているとも考えられます。

そう、今も、あなたと家族の生活に音もなく浸透してきている、いくらスプレーを吹きかけても消えないアレこそが、真のアナイアレーションの予兆なのです・・・

ではまたっ!

参照元
Los Angeles Times
Miami Herald
The Detroit News

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Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

One thought on “SF映画「アナイアレイション -全滅領域-」の評価とは?”

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