戦争アクション映画「ホース・ソルジャー(12 Strong)」の評価とは?

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • 12 Strong
    • ホース・ソルジャー
  • 制作:
    • 2018年 Lionsgate / Alcon Entertainment / Black Label Media / Jerry Bruckheimer Films

クリス・ヘムズワースが自由主義社会を守る!:映画「ホース・ソルジャー(12 Strong)」

今や、その肉体美だけでなく存在感も含めハリウッド映画産業の牽引役となったクリス・ヘムズワース。その彼が、9.11直後のアフガニスタンで、後に訪れるであろう反撃の大勝利へ道筋をつけた先行部隊のリーダーを演じたというのが、ここでご紹介する映画「ホース・ソルジャー(12 Strong)」です。

彼を含むキャスト達が、当時のアフガンへ実際に派遣された最初のレンジャーとなるのがこの映画。見方によると感動の実話ドラマですが、そこからは愛とか青春とかが旅立つものではなく、むしろ、より直接的な戦争アクションとしてまとめられた一本のようです。

まぁ、今も昔も戦争映画というものは、その国のイデオロギーが刷り込まれやすいものです。だから、(特定の一部の国が作るものを除き)大量の火薬を使って派手な戦闘を描くこのタイプの映画では、兵士達は純粋なヒーローとして描かれるべきなのでしょうね。

この作品は、ハリウッドの大物プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーなどが、あの時期、恐怖と悲しみに包まれていたアメリカに希望を与えた精鋭部隊による、隠された真実のドラマを世に明かす、という一本らしいです。

あらすじ

ミッチ・ネルソン(クリス・ヘムズワース)は、人当たりの良いファミリーマン。

彼は軍人ですが、目下の任務は基地内でのデスクワークのみ。美しい妻のジョーン(エルサ・パタキー)と、同じく美しい娘のマディ(マリー・ワーゲンマン)に恵まれ、安定した生活を送っています。

しかし、2001年9月11日、彼らの暮らしていた世界は一変します。

いつも通りの出勤時、ふと目をやったテレビニュースに、業火に焼かれるワールドトレードセンターが映し出されていたのです。

程なくして、この事件は、反米テロ組織であるアルカイダの犯行であると断定され、合衆国政府は、その報復手段について検討を始めます。情報によれば、アルカイダはアフガニスタンの奥地で、テロリストの訓練を行っており、さらなるアメリカ本土への攻撃をも計画していると言うのです。

ミッチは決意しました。祖国の緊急事態に、立ち上がるべきは自分の様な人間なのだと。彼は、計画されているアフガン侵攻の前衛部隊に志願します。

その作戦とは、少数の特殊部隊兵をアフガンの地に下ろし、第160特殊作戦航空連隊がバックアップを行いながら、その国4番目の都市でありテロ集団の拠点と目されるマザリシャリフへの、後続部隊による侵攻の道筋をつけるというもの。

そして、その部隊「ODA 595」の隊長に任ぜられたミッチ。彼の下には、ハル・スペンサー(マイケル・シャノン)、サム・ディラー(マイケル・ペーニャ)、ベン・ミロ(トレバンテ・ローズ)他の計11人の精鋭が集います。

アフガニスタンでは、アブドゥル・ラシッド・ドスタム将軍(ナヴィド・ネガーバン)が率いる現地の反タリバン勢力が、彼らに協力する手はずとなっていますが、事が事だけに不確定要素も多い作戦です。

そして案の定、アフガンの地に降り立ったODA 595の面々は、酷く荒廃して交通インフラもない現地の状況に直面します。ドスタムが言うには、馬に乗り移動しながら敵の要衝を叩いてゆくしかないとの事。

もちろん、ミッチ達の決意は揺るぐ事はあり得ません。現地の人間達との微妙な緊張感の中、馬にまたがった12人の米軍精鋭達による、反撃作戦が開始します。

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ニコライ・フルシー
  • 脚本:
    • テッド・タリー
    • ピーター・クレイグ
  • 制作:
    • ジェリー・ブラッカイマー
    • イェール・バディク
    • ギャレット・グラント
    • エレン・H・シュワルツ
    • ブロデリック・ジョンソン
  • 出演:
    • クリス・ヘムズワース
    • マイケル・シャノン
    • マイケル・ペーニャ
    • ナヴィド・ネガーバン
    • エルサ・パタキー
    • アリソン・キング
    • トレバンテ・ローズ…他

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映画「ホース・ソルジャー」気になるその評価は?

陰謀論では、中東周辺に起きる紛争も、軍産複合体が利益を得るために陰で仕掛けたものだ、という事になりますから、そこで活動した軍隊を単純に英雄視するプロパガンダ的映画もいかがなものか、という気はします。

しかし、現場で個々の兵隊が見せたコミットメントと発揮したスキルについては、充分に語り継がれる資格が有ると言えるでしょう。

この戦争映画「ホース・ソルジャー(12 Strong)」は、社会学的な立場で戦争を見つめるというより、戦争アクション娯楽系の映像構成の中へ、ブッシュ政権によるアフガン侵攻に隠された精鋭達の実話ストーリーをはめ込んだ、そんな印象の一作らしいです。

現実から離れて表面的な描き方

戦争は、始めるより終わらせる方が難しい、とは良く聞く話ですし、実際のところ、人類史上で綺麗に片が付いた戦争なんて、1つも無いのかもしれません。

多くの無意味な犠牲を出しながら、とっちらかしまくった後に収まった戦禍のけじめを、1つの娯楽映画で付ける事も不可能です。

そんな中でも、1つの大きな事実を明るみにするという本作には、まず、

「この映画『12 Strong』は、ニコライ・フルシー監督が、その戦闘場面をゲーム『コール オブ デューティ』のプレイ画面かのごとく描いた作品であるが、その銃撃の様子には一貫性が欠け、冗長的なだけである。行ったり来たりの話の中では、全てのキャラクターは立ち位置を見失い、見分けがつかない文句の多いだけの連中にしか感じられない。さらに、米軍隊長ネルソンと現地将軍ドスタムの間の複雑な関係性は、特に掘り下げられる事もないのだ。本作の脚本も、戦争やそこで戦う者達が内包する意味などは扱いもせず、大ざっぱに一筆で書かれただけという印象だ。この作品がただフォーカスしてみせるものは、国旗をかかげ歓声をあげるという高揚感のみで、本来触れるべきである深い響きは一切聞こえてこない。この映画『12 Strong』は、アメリカ史上でも真っ暗なページに書かれた1つのヒロイズムを語ってみせはする。とは言え、現実の問題ははるかに複雑なのである。(Detroit News)」

、と言った、批評が書かれています。

戦場を再現する映像美は・・・

とりあえず予告編映像を見ると、ODA 595による適格な誘導により空爆が直撃したタリバンの要塞の、ドが付く位に派手な爆発場面があり、それはハリウッドらしく美しく撮影されたものとなっています。

ですので、戦争(映画)好きという向きの観客層に対しては、充分に訴求力を発揮する事が予想できるでしょう。

そんな様に、やり手のプロデユーサーが持ち込んだハリウッド的制作手腕が光っているこの映画については、別の所でも、

「プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが、明らかにここで描こうとした唯一のものとは、敵をぶちのめす、というアメリカ的スピリットが収めた勝利のみだ。ブラッカイマー映画としては数少ないシリアスな作品である、本作『12 Strong』は、9.11の直後に最初にアフガニスタンへ降り立った米兵部隊の物語を描く。もし、『プライベート・ライアン』や『ハート・ロッカー』といった優れた戦争映画が何か教訓を残したとすれば、それは、実戦における勝利は、ストリートファイト映画の舞台を過酷な自然環境に移した程度のものとは程遠いという事実その物だろう。そして、この映画『12 Strong』が行おうとするのは、ただ、観客にアメリカの無敵さを認識させ、爽快になってもらろうと言う事なのである。この映画で最も感嘆させるポイントは、岩で覆われ人の姿も見えないアフガニスタンの情景を模した、ニューメキシコ州で撮影されたという荒廃した土地の様子である。そこへ、監督のニコライ・フルシーと撮影のラスマス・ヴィーゼベクらは、いかにも戦闘が巻き起こりそうな、無限の荒野の雰囲気を醸し出して見せたと言えるだろう。(Variety)」

、と言う様な、やっぱり冷めた評価が書かれています。

結局は戦争アクション

こう言った映画も、最終的には主演俳優のファンの反応を考慮して作り上げられているでしょう。

そして、今回の場合は、あのクリス・ヘムズワースが、埃にまみれ、傷だらけになりながら無数の銃弾を避けつつ、悪の軍勢を倒すという、シビれるヒーローを演じています。

ですので、演出とかプロットとかより、その部分だけを見るために劇場へ向かうと言うのが、最も正しい鑑賞の仕方かもしれません。

そんな感じで制作された、この映画については、

「『アメリカン・スナイパー』以来、さらなるブレークスルーとなる戦争映画を探し続けているハリウッドは、そこに、いくつものタイプの結果を残してきただろう。そして、9.11の直後に出兵した真実のヒーロー達を空虚に描く本作『12 Strong』は、充分な武装をしていたはずとは言うものの、教科書通りにしか描かないその語り口は、作戦行動を完遂するには明らかに力たらずである。主演のクリス・ヘムズワースは、空想的アメコミ映画の中の縛り事を巧みに脱ぎ去りつつ、ここでの人物にある程度の人間性を導入してみせている。しかし、大げさなクレッシェンド が場面を少しも盛り上げないBGMの横で、かなりな戦闘場面が見られるとしても、作品自体のキャラクター構築は平坦そのものである。それでも、最後の所で、この『12 Strong』が取りこぼした要素について解説される場面は、作品内で最も印象深い瞬間ともいえるだろう。そして、その段になるまでこの制作者達は、本来であれば向こう見ずと言える軍事作戦を、一本の無難な娯楽映画に仕立てる様に腐心して見せるだけなのだ。(CNN)」

、と言う批評が書かれている事を、最後にお伝えしておきます。

まぁ、今(2018年1月時点)の様に、メディアとホワイトハウスがいがみあっているご時世に、米国の軍事活動を単純なヒロイズムの中に描く映画をリリースしても、リベラル系の批評家が良いスコアを与える訳も無いですよね。

プロモが組みやすい一作です!?

そこに、どんなイデオロギーが関与していたとしても(いなかったとしても)、充分な台数のカメラを用意して、才能あるプロダクションデザイナーの下で、一流のスタッフが撮影にあたるハリウッド戦争アクションは、その大型で派手な画像だけでも一見の価値が有るでしょう。

どちらにしても、映画や音楽というものは、ある特定の人の気分を良くさせ、別の人々を不快にさせるものなのです。

そして、ハリウッドをリードするハンサム俳優が、「愛する者を守る戦いのため」荒野の戦闘に身を投じるという構図は、日本の映画業界が、洋画に対して一番求めているポイントでもあります。

まぁ、この原題のままだとニュアンスが伝わらないので、日本に輸入する際には、原作書籍の題名「ホース・ソルジャー」に切り替えた方がよろしいかも知れません(注:執筆時の思い付きだったのですが、ほんとにこの邦題になりました^^;)。

そんな映画「12 Strong」は、2018年1月現在、日本公開は未定との事です。さすがに、DVD直行は無いと思うんですけどね・・・。

それではまたっ!

参照元
Detroit News
Variety
CNN

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