元NY市警ベテラン最悪の一日:映画「トレイン・ミッション」の評価・あらすじ

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Commuter
    • トレイン・ミッション
  • 制作:
    • 2018年 Ombra Films / StudioCanal / The Picture Company

その男の内面に秘めた真価が再び炸裂

能ある鷹は爪を隠す、なんて言葉、日本だけの奥ゆかしい考え方かと感じますが、例えば、クラーク・ケントやジェイソン・ボーン、さらにはブルース・ウェインなども、本気を出したら実は凄いというタイプのヒーローですから、アメリカの様な国にも同様の威厳が通用するという事の様です。

娯楽映画の中で、世を忍ぶヒーロー像がもてはやされるのは、僕ら小市民が秘めている変身願望とか、ありのままの自分で周囲から認められたいという欲求などが、そこに共鳴するためだと思います。

そして、50歳代に入ってからの映画「96時間(Taken)」への主演を機に、自身のアクションスターとしての本領に目覚めたリーアム・ニーソンは、地味な庶民の願望を満たすと言う意味で、リアルなヒーローと呼ぶべき俳優でしょう。

そんなニーソンさんのファン待望、最新アクション映画が、ここでご紹介する「トレイン・ミッション(The Commuter)」。今回は、日々繰り返してきた通勤の途中で突然、危険な謀略の中へと引きずり込まれる不運な男を、彼が演じているという事です。

あらすじ

ニューヨーク市郊外に住み、毎朝、同じ通勤列車でマンハッタンへと向かう。

保険の営業マンをしている、この男性、マイケル・マッコーリー(リーアム・ニーソン)の日常は、この10年間変わりなく、安定したものでした。

車で列車の駅まで送ってくれるのは、美しい妻のカレン(エリザベス・マクガヴァン)。こんな平穏と安全をを求めて、マイケルは10年前にNY市警を退職したのです。

現在、息子のダニー(ディーン=チャールズ・チャップマン)が、ハイスクールを卒業し進学を目指しており、その学費の問題が悩ましいとは言うものの、このつましい生活に特に疑問は抱かないマイケルです。

そんな彼に、今日、思ってもいない不運が降りかかりました。10年間勤め上げた保険会社を、何の前触れもなく突然解雇されてしまったのです。

2つのローンと家族を抱え、さしたる資産もないマイケルには、厳しすぎる状況。

悲観にくれながらも、いつもの列車に乗り自宅がある郊外へ帰るマイケル。すると、彼が座っているボックス席に、1人の美女が身を滑り込ませました。

ややぶしつけにも、彼に言葉をかけてくるその女、名をジョアンナ(ヴェラ・ファーミガ)と名乗りました。こういった列車に乗っている人達の事を調べているとかなんとか、良く分からない事を言います。

一応、儀礼的に相手をしていたマイケルですが、次第に、その女が乗車した目的へと話が向かい始めました。そして、奇妙な提案を彼にしてきたのです。

プリンという名前だけが分かっている人物を見つけ出し、その人のバッグに追跡装置を取り付けて欲しい・・・

もちろん、無報酬ではありません、実際、列車のトイレには札束が隠してあるので、もしこの仕事を受けるのなら取って良いと言ってくるジョアンナ。更には、目的達成の時には10万ドルを手渡すとも。

彼女は、次の駅で下車して行きました。そして、いぶかしく思いながらも、話に出てきたトイレを探りにゆくマイケル。何と、相当額の札束は確かにそこに置かれています。いくばくかの葛藤を抱きつつも、その金を受け取ってしまうマイケル。

そしてこれが、列車の乗客全員、そしてマイケルの家族の命までがかかる、危険な一日の始まりでした・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ジャウム・コレット=セラ
  • 脚本:
    • バイロン・ウィリンガー
    • フィリップ・デ・ブラシ
    • ライアン・エングル
  • 制作:
    • ジャウム・コレット=セラ
    • マイケル・ドレイヤー
    • ロン・ハルパーン
    • ホアン・ソラ
    • アレックス・ハインマン…他
  • 出演:
    • リーアム・ニーソン
    • ヴェラ・ファーミガ
    • エリザベス・マクガヴァン
    • ディーン=チャールズ・チャップマン
    • パトリック・ウィルソン…他

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1人の紳士を巻き込む陰謀スリラー、その気になる評価とは?

礼儀正しく物静かなジェントルマンの、内面にある導火線に火が付いた後の苛烈な展開。そんな事を臆面なく描けるというのが、とにもかくにも、ハリウッド映画の大きな強みです。

そして、僕ら観客には、一度脳みそを停止してスクリーンに展開するスリルを純粋に楽しむ時間を与えてくれるのが、こういったアクション映画でしょう。

どんなに現実味が薄いプロットであっても、作品としてまとめ上げる仕事こそが、リーアム・ニーソンのような役者に求められる役割でもありますが、その彼が活躍する今回の作品、どんな印象なのでしょうか?

商業的には悪くなく記憶には残らない!?

面白いアクション映画には、驚愕のプロットよりも、むしろ、その疾走感や危険さを表現するための物理的な速度の方が必要です。

その意味では、ゆったりした豪華クルーザを舞台にしたアクションを成功させるためには、1つや2つの工夫だけでは充分とは到底言えません。

別の角度で考えると、本作の様に高速で疾走する通勤列車という、ローコストなアイテムを取り入れるのは、マーケティング的には正解でも、制作手腕としては安直だと評する事も可能です。

そんな本作には、まず、

「その半分は『バルカン超特急』から、もう半分は『ガール・オン・ザ・トレイン』で成り立ったのが本作『The Commuter』である。最もだまされやすい観客に的を絞ったお安い映画という意味で、この一作を超える映画は生まれ様もない事だろう。このジャンル内の複数の作品に、ある程度の演技力を提供してきた、あの偉大なるリーアム・ニーソンにしても、出演は見送るべきだった映画がこの一本である。監督を務めたジャウム・コレット=セラは、一応やり手と言っても良く、ニーソンとは『フライト・ゲーム』や『ラン・オールナイト』などの作品を共に作ってきた人物だ。そして、そんな低品質娯楽映画を観た事のある人も多いだろうし、記憶に残っていないという人もまた多いはずである。(Boston Herald)」

、と言った様な厳しめの評価が書かれています。とは言え、大概の娯楽アクション映画は記憶には残らないし、批判的なレビューが与えられるものです。

良く出来たリーアム・ニーソン映画

何かの出来上がりに対して、ニットピッキングするのは比較的に容易な行為です。そして、この「The Commuter」の様なローコストな映画は、そのターゲットとなりやすい存在です。

しかし、今やハリウッドの重鎮という立場になったリーアム・ニーソンが、お気楽な娯楽映画に出演し続けていながらも、キャリアの高見から落ちないで居るのは、1つの素晴らしい話でもあります。

そんな、ニーソン映画としての本作については、

「リーアム・ニーソン主演のアクション映画は、その出来具合に関わらず、基本的な魅力を内包している。そんな中でも、この映画『The Commuter』は、1つの確実なカテゴリーの中に置かれているものだ。本作は、時間との闘いとか、ハイテンションの連続とか、目を奪う展開など、ニーソン映画の最良の部分を結び合わせて出来あがった一本である。他のアクション映画は、そのスタート時点において、悪役に対する嫌悪感を煽り観客の興味を引くものであるが、ニーソン映画の公式の中では、悪者はもっとわかりずらい存在になる。観客は最後に彼が勝つ資格があり、彼にはそれが必要だと納得して応援するし、つましい平穏を取り戻すために多くを耐え忍ぶ彼を見ながら、物語の最後に号泣するのである。この作品では、複雑に展開してゆく様子も大きな良点となっていて、全体の構成も成功していると言えよう。もし、本作をそのままクルーザー版にしたものが来週公開されるとしたら、私は喜んで見に出かけるだろう。(SFGate)」

、と言う見方も書かれていました。

論理性は必要ないとしても出来が不十分な一作

結局のところ、バカらしいと言わせる位の事を書かなければ、アクション映画として観客を興奮させる事はできません。

できれば作品毎に、どこか斬新な部分が有ってくれればいいなぁ、というのが、映画ファンの控えめな願いでもありますが、突飛さと現実味、その辺りのバランス感覚というものも、娯楽映画の製作陣に求められる才能の1つなのでしょう。

と言う訳で、やり過ぎてしまうと逆効果になるのが、この様な映画だと思いますが、

「監督ジャウム・コレット=セラと俳優リーアム・ニーソンによる、4作目にして、最も満足度の低い映画、『The Commuter』は、今や馴染みとなった、ニーソン演じるベテランの活躍を描くアクション映画の新作である。ここに登場する謎の女ジョアンナが、何故プリンという人物の命を奪おうとするのか?、仮にそうだとしても、簡単に列車を爆破したりせず、何故ニーソンの様な男にその役目を負わせるのか、様々な疑問は尽きない。そして、その答えとは、この様なストーリーについて論理性を問う必要性など無い、という点に尽きる。それはただ、一般人のやさしいタフガイを演じるニーソンが、厳しい状況に立たされた中で、必要に迫られた上で手を汚す姿を見せるものだ。そして、この俳優が通常提供してくれる、気概、高潔さ、格闘場面などの魅力は、ストーリー自体に設定された非論理性を埋め合わせるにも不足気味で、作品を支える事にもなっていないだろう。(The Washington Post)」

、と言った様な評価が与えられてもいる事を、最後にお伝えしておきます。

儚い妄想は映画で満たそう

毎日の通学・通勤の間に、今日こそは何か面白い事が起きないかなぁ、と、ぼんやり考える人は多いはず。

僕ら一般人の生活は、自分の能力が正当に評価されたら、や、自分に運が回って来さえすれば、とか、自分だって本気を出せば、など、根拠や形のはっきりしない妄想の中で進んでいます。

そんな風に、哀れで幼稚な僕らに刺激を与え、願望を丁度良く満足させてくれるのが、銃を持たせたら超凄いジェントルマンの活躍を描く、この「The Commuter」の様な映画です。

その役どころに、現代ハリウッドの中でもベストと言えるリーアム・ニーソンを起用して作られた本作、2018年1月時点では日本公開は未定。

まぁ、抱き合わされる邦題も含めて、日本にやってくるのを楽しみにしても良さそうな一本、と言えるでしょう。

それではまたっ!

参照元
Boston Herald
SFGate
The Washington Post

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Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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