ポーカーゲームより熱いある女性の人生:映画「Molly’s Game」の評価・あらすじ

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Molly’s Game
    • モリーズ・ゲーム
  • 制作:
    • 2018年 STX Entertainment / Huayi Brothers Pictures / The Mark Gordon Company…他

人生はゲーム

人生は、複雑な人間社会を舞台にして繰り広げられる、壮大なゲームです。

そのゲームのゴールをどこに設定するかは、参加者の趣向によってかなりな自由度が与えられていて、たとえば、FX投資で資産を数億円まで膨らます事がゴールである人もいれば、オリンピックで金メダルを取る事が人生のゴールである人もいます。

また、このゲームで勝つには、自分自身の特性や性格が、どのプレイ内容に適しているかを早く見極める事も大切です。夢は必ずかなうと言いますが、人生の時間が限られているのも事実ですから、生きている内にゴールできなかったら意味がありません。

どちらにしても、これがゲームである以上、そのつもりで取り組まない限りは、自分の人生を上手く生きてゆく事は不可能ですし、そう考えると、元からゲームをプレイして勝利するセンスや才能のある人は、人生の舞台でも成功しやすいという事になります。

たとえば、一度は、スキー選手としてオリンピック(Olympic Games)代表候補にまで上り詰め、その後、賭博ビジネスも成功させたモリー・ブルームという美しい女性なども、ある意味、人生ゲームの勝利者と呼べるのかもしれませんね。

まぁ、彼女の場合は、ゲームのルールは完璧にこなしましたが、実社会のルールをちょっと読み間違えたようで、最終的には捜査当局のお世話になってしまいました。

とにかく、実在するその女性をジェシカ・チャステインが演じ、まるで彼女のスキー競技のように高速で刺激的なセリフを観客にたたきつけるというのが、今回ご紹介する映画「モリーズ・ゲーム(Molly’s Game)」です。

あらすじ

モリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、FBIに逮捕・起訴され、今、裁判へと出廷しています。

心理学者でもあり、厳しいだけの父親ラリー(ケビン・コスナー)に育てられ、元スキーのオリンピック代表候補でもあった彼女が、どうしてこの様な場所に身を置いているのかと言うと、それにはちょっとしたストーリーがあるのです。

彼女のスキー選手としての未来は、それなりに期待されたものでした。しかし、運命は必ず、美しいヒロインの前に悲劇を用意しているもの。ある時スキー滑走中に転倒した彼女は大きな怪我を負い、その選手生命までが絶たれてしまったのです。

モリーは、この出来事を機会に、籍を置いていた大学の法学部も辞めてしまい、ロサンゼルスに住んでいる友人のアパートへと転がり込みました。

とりあえず、とあるクラブでホステスの仕事にありついたモリー。しかし、この店で、彼女の人生を変える出会いが有ります。店の常連客である、ディーン・キース(ジェレミー・ストロング)という男性が彼女の容姿を気に入り、自分の店へとスカウトしてきたのです。

実は、ディーンが営むのは、セレブやエリートばかりを相手にするポーカー賭博クラブ。もちろん、待遇が良さそうなこの仕事に、モリーは飛びつきます。

そして、モリーはただのホステスで終わるような人間ではありませんでした。

新たな職場で、金持ちの機嫌取りをしながら、彼女は急速にポーカーのルールや用語、そしてビジネスとしての運営などを頭の中へ吸収していったのです。

とは言え、頭の良いところを見せ始めたホステスは、店のオーナーにとっては目障りな存在です。結局、ディーンとの間に軋轢が生じた事によりモリーは店を止めてしまいます。その手には、顧客リストをしっかりと携えて。

さて、既にポーカービジネスのプロとなったモリー。ロサンゼルス内の高級ホテルの一室に、自分自身の賭博クラブを立ち上げました。そして、魅力的な彼女を、前の店から何人もの男性客が追いかけてきました。プレイヤーX(マイケル・セラ)と呼ばれる人物も、その1人です。

もちろん、知的で頭の切れるモリーは、このクラブを成功に導きます。とは言え、彼女を取り巻く男達が、このクラブを乗っ取ろうとするまで、さほど時間もかからなかった事は言うまでもないでしょう。

そんな訳で、再び一人になったモリーですが、彼女の様な有能で野心的な人物がこれで終わるはずも有りません。今度は世界一の大都市ニューヨークへと拠点を移し、この街でもポーカー賭博クラブを成功させました。

しかし、そんな頃から、ドラッグに手を出すようになったり、さらには、店の客にロシア系マフィアの大物が加わるようになるなど、彼女のビジネスは徐々に危険な方向へと傾き始めます。

そして、この世界でかなり名を売ったモリーを、FBIが気づかずにいる訳もありませんでした。

今、裁判においてモリーを弁護しながら、可能であれば司法取引へ持ち込むべく、弁護士チャーリー・ジャフェイ(イドリス・エルバ)が奮闘中です。

しかし、その取引の条件となるだろう顧客に関する情報について、モリーは一切、話そうとしないのでした・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • アーロン・ソーキン
  • 脚本:
    • アーロン・ソーキン
  • 制作:
    • スチュアート・M・ベッサー
    • レオポルド・ゴウト
    • ロバート・シモンズ
    • フェリース・ビー
    • ドナルド・タン…他
  • 出演:
    • ジェシカ・チャステイン
    • イドリス・エルバ
    • マイケル・セラ
    • ケビン・コスナー
    • ジェレミー・ストロング…他

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刺激的でカリスマ的な女性のドラマ、気になる評価は?

ともあれ、僕みたいな小市民は、常識を超えて刺激的な人生ゲームなんて、例え与えられたとしても耐えられる訳がありません。

まぁ、どんなに刺激やドラマに満ちた人生でも、最終的に手が後ろに回るのでは元も子もないのですが、そんな部分も含めて、僕らには絶対体験できない波乱万丈を見せてくれるのが、この「モリーズ・ゲーム」の様な映画だとも言えます。

それを、ジェシカ・チャステインやイドリス・エルバといった、盤石のキャストが固めてくれているのも、本作の見るべき点となっているでしょう。

スリルを盛り込んだ人生ドラマ

モリー・ブルームが実際に体験した事をつづった書籍が、この映画の原作となっています。そして、予告編映像を見るだけで、それを脚色する段階から、かなりのテンションで作業が進められた事を感じさせてくれる一本でもあります。

とりあえず、どうやって息継ぎしてるんだろう、などと心配になるのがこの映画のセリフまわしですが、そんな方面からは、

「この刺激的な映画『モリーズ・ゲーム』において、主演のジェシカ・チャステインは、ほとんど語気を強める姿も見せず演じている。彼女は、観客を引き込む様な明晰にして静かな言葉を使いつつ、親密感と重みさえ同時に表現してしまう。整然と響きわたるチャステインによるこの演技は、また彼女が、扱うにも大変な量のセリフを背負い込んでいたと示唆するものだ。声を張る事は、時間と安定感、そしてスタミナの浪費にもつながるのである。この『モリーズ・ゲーム』は、訂正や謝罪の要求も受け付けず、前方や後方、また横方向に吹く突風の様に疾走を続ける、荒波にもまれた人生の伝記映画である。監督のアーロン・ソーキンは、ここで描くモリー・ブルームという女性像を、映画の主役として見出していると同時に、チャステインの中には、格別で抗しがたい魅力を持つヒロイン像を投影している。そのチャステインは、まるで脳神経が発火でもしているのでは、とさえ思わせる、超高速な思考の内部へと観客を導いてゆく。それは本作を、単純な伝記映画からマインドスリラーとも言うべきものへと、発展させてみせるのだ。(Los Angeles Times)」

、という刺激的な批評が書かれてもいます。

素晴らしい監督デビュー作

この映画は、感動と涙を誘う事が主目的となっている、他の実話系ドラマとはかなりイメージが違うでしょう。そんなドライな所が、逆に特定の映画ファンにとっては魅力となるはずです。

監督のアーロン・ソーキンは、2010年の「ソーシャル・ネットワーク」や、2015年の「スティーブ・ジョブズ」に脚本を提供していますが、映画の演出としては本作が初めてなのだそうです。

そんな彼に対し、今までの作品の出来を知る観客が期待するであろうレベルにも、しっかりと応えているというのがこの一本のようで、

「本作は、主役のモリー・ブルームが司法取引を受け入れるか思案する時を中心に、現在と過去の間を巧みに行き来してみせる。その彼女がハイスピードの会話をやり取りするのが、イドリス・エルバが演じている、シルクの如き身のこなしを見せる弁護士である。早い言い回しだけでなく、活気のあるウィットと熱情のこもった視線を要求するこの役は、エルバにとってはまさに適役だろう。それは、難解な法解釈を小さく切り分け整理して、分かりやすく観客に示すという役柄でもある。しかし、中盤を超えたあたりから、モリーと父親の確執を物語に利用しようとする点では、この脚本の芸術性もやや鋭さを失う感がある。ともあれ、この『モリーズ・ゲーム』が持つ最良のポイントは、鋭さとリズムにあふれると言う意味で、『ソーシャル・ネットワーク』が見せたものを凌駕する。本作は、アーロン・ソーキンの劇場映画監督デビュー作であるが、そんな感じはまるでしないという事を、私は喜んでここにお伝えしたい。(Chicago Tribune)」

、と言う高い批評も与えられています。

カリスマ的女性の人生に不足するもの

まぁ、どんなものでも、前向きに評価する向きが有れば、逆に捉える人が居るものです。

モリーの様な人物が大きく成功した(あるいは、しようとしていた)時でも、大きく失敗した時でも、どちらも彼女を揶揄する人間が存在していたでしょう。

そんな中、あまり湿っぽいとか、不愉快であるといった批評記事が少ないのが、やはり本作「モリーズ・ゲーム」について前向きな力を感じさせる部分です。ここでモリー・ブルームを演じるジェシカ・チャステインの仕事振りが、作品全体をしっかり支えているという印象も伝わります。

そんな作品について、最後に、

「アーロン・ソーキンの監督デビュー作である、この『モリーズ・ゲーム』の中、言葉は交わされるものではなく、まるでラケットボールの打ち合いの如く激しく交換される。早口だが親近感も与える主役のモリー・ブルームが、ナレーションの中で物語の背景を語る様子は、それを執筆・演出をしたソーキン監督の手に、ストップウォッチが握られていたのでは、とさえ思わせるだろう。ただ、自身のポーカークラブを立ち上げたモリーを追いかけてくる、プレイヤーXと名乗る男の存在が、更に掘り下げられないという事は、この映画『モリーズ・ゲーム』にとって欠点となっているだろう。何故ならば、ソーキンの脚本が要求する、高速のセリフとカリスマ性を表現する能力を、ジェシカ・チャステインが発揮したとしても、モリーという人物自体はさほど興味深くもなく、様々な事象は、ポーカーテーブルの上だけで展開してゆくからだ。主役の人物に感情移入した人であれば、本作を女性の地位向上ストーリーだと位置づける事も出来よう。しかし、もしソーキンが、その人物をもっと狡猾に描いていたら本作がどの様に変化しただろう、と想像しない訳にはいかない。また、この女性が、これほどの男を取り巻きにする必要もない人物であったら、このストーリーはどう展開したろうか?、とも考えさせられてしまうのだ。(The New York Times)」

、といった批評が与えられている事を、お伝えしておきましょう。

映画はエンパワーメント

人生というものは、明らかに賭け事と似ています。

その人生のギャンブルが用意している、様々なリスクを打ち負かし、利益を得る事に楽しみを感じられる人だけが、大きな勝利者になります。

まぁ、そんな事を僕らに伝えて勇気づけようと(エンパワーメント)するのが、この「モリーズ・ゲーム」の様な実話ベースの映画なのかもしれませんが、やはり、不安定さや危険には怖くて近づけないのが、僕ら一般小市民だと言うのも現実です。

と言う訳で、スリルや刺激は、当面の間、映画から得られれば充分と考える事にいたしましょう。

それではまたっ!

参照元
Los Angeles Times
Chicago Tribune
The New York Times

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