ハリウッド重鎮の愉快な激突!?:映画「Just Getting Started」の評価・あらすじ

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Just Getting Started
    • ジャスト・ゲッティング・スターテッド(原題)
  • 制作:
    • 2017年 Broad Green Pictures / Endurance Media / Entertainment One…他

ベテランが活躍するフィールド

飲み会の席になると、焼酎のお湯割りが2杯くらい入った上司が、「俺も昔はワルだった」という武勇伝を繰り返し語るので困る、と思っている人も結構いらっしゃるでしょう。

ベテランの人々の口から出るそういった話の殆どが、ただの盛り過ぎた空想だと言う点は横に置いたとしても、そのプロットが何時もありきたりで、ウィットもミステリーも含んでいないのは、本当に困ったものです。

ですが、年齢が上の人が持つ強みというのは、過去という時間をリアルに体験したという事にあるのでしょうね。

若い層の人間が生きている、「今という未来」では思いもよらない事を、古い時代の人間達は当たり前のように行っていた・・・、その事実は、1つの物語にさえ成り得るものです。

そして、ロン・シェルトンのような映画製作者であれば、クリスマスを迎えた定年退職者のための高級リゾートで、そこで暮らすベテラン達の過去がちょっとした事件を引き起こす、という話を面白く書き上げてくれると期待も出来ます。

加えて、21世紀初頭のハリウッド映画界でも、その名前が特別な重みを持つ2人のベテラン俳優を起用して、そのプロットを映画化したら、それは格別な味わいを持つ作品となる事間違いなし、なはず。

かくして出来上がったのが、ここでご紹介する映画「Just Getting Started」というクライム・アクション・コメディという事らしいです。

あらすじ

カリフォルニアはパームスプリングスにある、居住型の高齢者施設「ヴィラ・カプリ」。

恵まれた気候とレクリエーションに恵まれた、この施設を取り仕切っている男性が、デューク・ダイバー(モーガン・フリーマン)。自身も入居者でありつつ、実質のマネージャー役も務めている彼には、施設の誰もが称賛を惜しみません。

デュークは、マーガライト(グレン・ヘドリー)、リリー(エリザベス・アシュリー)、そしてロベルタ(シェリル・リー・ラルフ)ら、同じく入居している女性達とも上手い関係を築いているようで、引退後の日々もますます充実、と言ったところ。

そんなある日、この施設に新しい仲間がやって来ます。彼の名前はレオ・マッケイ(トミー・リー・ジョーンズ)。到着早々、デューク専用に確保されている駐車スペースに堂々と車を止めたりして、なんだか、波乱の予感をまとっての登場です。

話を聞くと、どうも軍とか連邦捜査局とか、そんな方面のキャリアが有るらしいレオは、この施設内のヒエラルキーに縛られるつもりも無い様子で、ポーカーでの勝負をはじめとして、デュークと競い合う事にも躊躇しません。

なんだか面白くないヤツが来てしまった、と思ったその矢先、デュークに更なる問題が降りかかりました。施設の親会社が、運営状態を確認して改善するため、事業仕分け担当のキャリアウーマン、スージー(レネ・ルッソ)を送り込んできたのです。

なかなかな美貌の持主であるスージーには、まず、レオが関心を示しましたが、これまたデュークも、後れを取ってはならじとばかりにアピール合戦へ参入します。

しかし、いい歳した大人達の恋のから騒ぎ、が進行する中、もう一つの脅威がデュークに迫っているのを、一同はまだ知りません。

実は、デュークは、証人保護プログラムで守られている人物で、ギャング専門の弁護士だったという過去の持主なのです。そして、その時に裏切った連中は、未だに彼への復讐を諦めてはいません。

様々な人間関係のテンションと、過去の怨恨のるつぼと化した高齢者向けリゾート「ヴィラ・カプリ」。果たしてデュークは、その安定を守り切る事が出来るのでしょうか?

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ロン・シェルトン
  • 脚本:
    • ロン・シェルトン
  • 制作:
    • ジョン・マス
    • アラン・シンプソン
    • ビル・ガーバー
    • スティーヴ・リチャーズ…他
  • 出演:

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ベテラン俳優を起用して描くコメディ、その気になる評価とは?

完全に大人達が主役であるこの映画ですが、レーティング的には、上手い事PG13に収めている一作でもあります。

この辺りは、クリスマスシーズン公開のメジャー作には、ファミリー層を取り込める要素が必要だという、配給側の大人の事情も働いているのかもしれません。

逆に言うと、本来、存在したであろうスクリプトのページの多くが、ポストプロダクション段階で削り落とされ編集室の床に打ち捨てられただろう、との想像もしたくなります。

まぁ、どんな映画にもディレクターズカット版は有り得ますから、それがどんなものになるとしても、本作のリテール版リリース時はその編集が観れたりすると面白いですよね。

うまく行かなかった自己パロディ

とにかく、モーガン・フリーマンとトミー・リー・ジョーンズ、そしてレネ・ルッソ達が、それぞれの典型的な役どころを演じているというのが、この映画の1つの売りになっているのは確かな様です。

という訳で、上手くすれば本物の映画ファンや、この文化に詳しい批評家の人達の心の琴線を、愉快にかき鳴らす事もできるはずなのですが、本作には、

「2人の男が私を取り合うなんて初めての事じゃないわ。本作『Just Getting Started』にあるレネ・ルッソのセリフである。そしてこれが、この映画の中で最も笑える言葉なのかもしれず、同時に、(過去の映画と引っかける意味において)1つの隠喩的ジョークともなっている。この無理やりにロマンチックなおふざけ話である本作が、ロン・シェルトン監督の過去の作品を感傷的な形で再現している関係上、そういったユーモアでさえも自滅的に響いてしまう。本作のキャストには、笑いと個性を提供する申し分のない役者が揃っている訳で、これが酷い出来になる可能性はとても低いと思われるが、実際、色々と考えを回す気にもならない程にダメな仕上がりなのが本作である。彼らスター俳優達の魅力と仕事ぶりをもってしても、ここでのジョークは何時も不発に終わり、場面はきしみ音を発してつまづいたりするのみだ。この、無視されるか直ぐに居なくなるべき作品『Just Getting Started』は、ロン・シェルトンの映画を飛行機内で見た事のある誰かが、そのプロットを暗唱しなおしている様に、スローでだらだらと長い一作である。(The New York Times)」

、と、ネガティブな評価が書かれています。

長たらしく不自然

もともと、クリスマス前に公開されるアンサンブルキャスト作品は、ストーリー自体も定型的なロマンチックドラマにしか成り得ず、結局、そこに顔を揃えた個々の俳優のファン達に贈るプレゼント、という役割がメインなのだと覆います。

だから、このシーズンにリリースされる作品に、あまり厳しい見方をする事自体が無理があるのですが、この映画については別の所で、

「悪い出来の映画のいくつかは、苛立ちと憤怒を沸き立たす原因となり、あるいは、業界からの冷笑的かつ軽蔑的な批評を得るものだ。そして、本作『Just Getting Started』の様にかったるい駄作は、完璧に無益な何かのために、どれ程の時間と予算そして才能が浪費されたかを思い起こした時の、言い様も無い悲しい気分をも引き起こさせる一本である。やたらと長たらしく不器用で不自然、そして酷く退屈なだけの無益なこの作品は、この領域の中で最悪な何かを明らかにする映画だと言えよう。あえて良い点を上げれば、ここでの役者がかつて行った仕事について、今でも抱かれている尊敬の念が、感傷的な親近感を観客から引き出すという点であろうか。(Variety)」

、との評価が書かれています。

明確にならない方向性

日本と同様に、欧米社会も高齢化していますし、それは逆に、各業界の中に元気なベテランが増えている事も意味します。

演技者としてだけでなく、ハリウッド界隈のビジネスにも詳しいと思われる大物俳優は、おそらく、出演するどんな作品の世界にも溶け込んでくれるはずです。

したがって、この映画「Just Getting Started」においても、微妙で細いライン上で上手くバランスを取って、彼らの手で作品をまとめ上げてくれる事が望まれるのですが、批評家の目から見た時、

「オスカー受賞俳優、モーガン・フリーマンとトミー・リー・ジョーンズの初共演であれば、観客を歓喜させるに充分なそろい踏みであるはずだし、ロン・シェルトンの様に実績ある監督の手に寄るのなら、ますます期待感は大きいはずだ。だが残念な事に、本作『Just Getting Started』は、オスカーのノミネーションを受けた、あのロン・シェルトンの仕事とは呼べないものだ。これは、定年後の人が属するコミュニティ内の関係性か、あるいは、一番を子供の様に競い合う2人の成人男性を描くのか、はたまた、自分への復讐から逃げられない誰かを描く犯罪映画なのか、シェルトンはその目的が見えないまま脚本を書き上げてしまったのだ。この中の全てのセリフには、いかに実力ある役者達が語ったとしても、ニュアンスを与えられるだけの微妙さも場所も存在していないのである。(Los Angeles Times)」

、と言う様に捉えられてしまった様です。

だとしても、主演の2人のオジサマが発揮する、特別な愛嬌と言うかユーモアからは、悪くないオーラも出ていそうに感じるのですが、どうなのでしょうか?

貴重な経験だんになら、耳を傾けて・・・

昔とった杵づか、なんて表現もありますが、杵なんてもの自体が21世紀の今では見る事すらない遺物です(そういったのは、スマホとかでピポパすると完了するのでしょう、たぶん^^)。

しかし、そんなご時世になった今でも、依然として人間社会の根底を支えているのは情報ではなくノウハウです。だから、超便利な道具がなくとも色々なモノを作っていた、古い人達の話が持つ貴重さは、時代を超えて存在してゆくものなのです。

ハリウッド界隈で言えば、撮影後にコンピュータ処理で画像修正する事など考えられもしなかった時代に、演技やプロダクションデザインを勉強した人の知識は、未だに生きていると言えるでしょう。

そういう話は、可能な限り傾聴するべきです。

とは言え、「俺も昔は荒れたモンだぜ。」なんて繰り返すベテランさんとは、あんまり飲みに行きたくはないですけどね。

ではまたっ!

参照元
The New York Times
Variety
Los Angeles Times

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Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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