凶悪な山火事と戦った男達を描く:映画「オンリー・ザ・ブレイブ(Only the Brave)」の評価とは?

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Only the Brave
    • オンリー・ザ・ブレイブ
  • ジャンル:
    • 実話 / ドラマ
  • 制作:
    • 2017年
    • Black Label Media
    • Conde Nast Entertainment
    • Di Bonaventura Pictures
  • 日本公開:
    • 2018年6月22日

ジョシュ・ブローリン主演『オンリー・ザ・ブレイブ』

アメリカ人のヒーロー好きは、今や世界中のポップカルチャーに浸透していて、毎年の大作映画シーズンに登場する見栄え重視のコスチュームを来たスーパーヒーローは、数千億円分以上のチケットを売りさばきます。

そんな彼らは、この国の経済をけん引する、1つのパワーである事は確か。

しかし、そのお国柄にしても、やはり現実の事件や事故から自分のコミュニティを守る、地元の公務員こそがヒーローの真髄であるのは確かでしょう。

この映画『オンリー・ザ・ブレイブ』は、あのジョシュ・ブローリンが、我が街を守るため猛烈な山火事に体を張って立ち向かった、消防隊のチーフを演じているという、実話ベースのドラマです。

ヤーネルヒルの山火事

山火事による被害が、ここ数年酷くなり続けている様に見えるアメリカ。この映画の中でブローリン達が立ち向かうのは、2013年6月28日にアリゾナ州の山間で実際に発生した大火災です。

雷が発火の原因とされるこの山火事。延焼エリアは、最大の時で3,400ha(東京ドームの720倍以上)におよび、地元ヤーネルの街で127軒の建物を消失させました。

最大で400人規模の消防隊員が導入されましたが、一時炎は制御不能な状態になり、結果的に、延焼防止作業に従事していた19人の消防士が命を落とした、まさに歴史に残る凶悪な炎がもたらした大災厄です。

少なくとも発生当時で、アリゾナ州に発生した中でも最も深刻な山火事のケースであり、2011年のN.Y.テロ以来では、合衆国の消防隊員に最大の犠牲を出したのが、この山火事でした。 【続きを読む】 “凶悪な山火事と戦った男達を描く:映画「オンリー・ザ・ブレイブ(Only the Brave)」の評価とは?”

神の光は地のめぐみを通じてあたえられん:映画「オール・セインツ 幸せのはじまり(All Saints)」について

信じなければ地獄行き、というのではちょっと困ります

大抵の宗教というのは、超自然的な奇跡を起こしたとされる何かが、その信仰の対象となっていますよね。

信仰心のある人は、天の雲の上に居るとされる存在を全身全霊で信じぬく事で、いつの日か自分の身にも同じ奇跡がもたらされると期待する訳です。

当然、真摯な信仰心は、その人の心にとって大きな糧となる事は確か。だとしても、現実の生活の中にある深刻な問題の方に、直接的な答えをまったく与えないというのでは、やっぱり、信仰されるものとしての存在感が薄くもなります。

本来なら、多くの人に与えている教えの中に、心と物質、両面の折り合いのつけ方も語ってくれるべきだと思います。

そんな意味でいくと、ここでご紹介するキリスト教系の映画、「オール・セインツ 幸せのはじまり(All Saints)」では、大赤字でつぶれそうな教会を受け持った牧師が、その苦境に立ち向かい、教会ばかりか他の多くの困窮する人達も同時に救済したという、実際に起こった本物の軌跡を描いているのだそうです。 【続きを読む】 “神の光は地のめぐみを通じてあたえられん:映画「オール・セインツ 幸せのはじまり(All Saints)」について”

ケイト・マーラと軍用犬の絆、新作映画「Megan Leavey」について

イラクで多くの兵士を助けたワンちゃんの実話

大きな災害の直後などに、よく、活躍する姿が見られる、救助犬。

こういった現場に彼らを送り込むのには、犬としての鋭敏な感覚に頼む、という理由もございましょうが、正直な所は、ヒトが入り込むのにははばかられる危険なポイントへと、身代わりに入ってもらうという意味が大きいのだろうと思います。

そんな意味でいうと、合衆国海兵隊が所有するK9ユニットは、危険な現場を引き受ける犬達としては精鋭中の精鋭と言えます。なんと言っても、人間の世界で最もヤバい領域へと派遣され、兵隊達のために働くのです。

人間には出来ない仕事を、体を張って引き受ける彼らは、まさに本物のソルジャーなのです。

さて、今回ご紹介する、映画「Megan Leavey」では、そんな、世界でも最も危険で厳しい現場で培われた、一人の女性兵士と一頭の軍用犬の絆が描かれて行くそうです。 【続きを読む】 “ケイト・マーラと軍用犬の絆、新作映画「Megan Leavey」について”

映画「ドリーム(Hidden Figures)」について

除外しようとしても無理だった、リケジョ達の才能

まぁ、だいたい、リケジョなんて言葉が有る時点で男女差別なんですよね。

考えてみれば、どんな場所、どんな時代でも、ある程度は差別的な考えが存在するのが、この人間の社会というものです。それが、時代と共にゆっくり是正されて行くのなら、それはそれで良いという事でしょう。

でも場合によると、その差別が理由となって、貴重な人的資源を無駄にしたり、世の中から抹殺していたりもする訳で、それはそれで国の発展のためには大きなマイナスです。

1960年代のアメリカ。アフリカ系米国人には、まだ公民権が与えられていない頃の話。ある日の事、バージニア州の田舎道で故障のために止まってしまっている自動車が一台ありました。

中に乗っていたのは、キャサリン・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)、ドロシー・ヴォーン(オクタヴィア・スペンサー)、メアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)ら3人の女性達。みなさんアフリカ系アメリカ人で、この映画「ドリーム(Hidden Figures)」の主役のトリオです。

実はこの3人、あのNASAの職員であり、その職名は「コンピュータ」。プログラマーじゃありません、自身の頭脳を使って高度な数式を解くためのスペシャリストが彼女達なんです。

この日。3人が、警察官にNASAのIDを見せたところ、パトカーで車を職場までけん引してもらったりして、その時のアフリカ系女性としては、これも奇跡といってよい体験でありました。

さて、時は冷戦の絶頂期。ソビエト連邦と合衆国は、敵より先に宇宙空間を我が物とするべく開発競争にしのぎを削っています。そして、有人宇宙飛行ではソ連に先を越された米国は、一日も早く人間による軌道上の飛行を成功させなければいけない、大きなプレッシャーにさらされています。

もちろん、宇宙船の飛行を成功させるためには、事前に長大な数学的計算や解析が必要です。まだ、アップルコンピュータだって無い時代には、その計算を人の頭脳が行っていたんです。

そんな訳で、抜群な数学の才能を買われてNASAに入ったのが、キャサリン達でした。

でも、やはり忘れちゃいけないのが、これが1960年代の話だという事。他の白人男性が苦労している数式を、すらすら解いてしまう程のキャサリン達も、職場での露骨な人種差別でいろいろ邪魔をされます。

一方、NASAのプロジェクトリーダーである、アル・ハリソン(ケビン・コスナー)には、一秒でも早く宇宙飛行士ジョン・グレン(グレン・パウエル)を宇宙空間へ送り出さなければならない、その重圧がのしかかっています。

そして、そんなアルの下に配属されてきたのが、数字については天才的な能力を発揮する、キャサリンでした。もちろんすぐに彼女は、自身の才能を発揮し始めます。

ここに、たぐいまれな才能に恵まれ、差別にも負けないガッツのある女性達に助けられ、米国の威信をかけた遠大なるプロジェクトが幕を開けました。はたしてその結末やいかに・・・ 【続きを読む】 “映画「ドリーム(Hidden Figures)」について”

映画「ザ・ブリザード(The Finest Hours)」の前評判

〔公務のためなら冷たい海にも身を投じる、それがレスキュー!〕

僕ズレ太は、時間に追われるのがまぁ苦手なダメ人間です。それが、だれか偉い人の命令を遂行する仕事だったりすると、ますますダメで、心のどこかが機能を停止して全身が固まり、ポンコツ人間になってしまうんです。

しかし、僕らの生きている時間は常に前進しつづけていますから、くだらない心の葛藤とかで動作が停止していたら、それはもう、金をドブに捨ててるのと同じ事なんですよね。だって、時は金なり、って言うじゃぁありませんか。

そして、完全に限られた貴重な時間の中、不可能に思えるような仕事をこなす事で、世界全体を支えている人々が居るのも事実で、例えば、この映画「ザ・ブリザード(The Finest Hours)」の主人公であるバーニー・ウェバー(クリス・パイン)さんもその一人でしょう。

彼の仕事は、アメリカ沿岸警備隊のチーフです。

最近、ミリアム(ホリデイ・グレインジャー)さんていう綺麗な女性と結婚を決めて、バーニーの生活は平穏・幸福でした、1952年の冬、あの凶暴な嵐がマサチューセッツの沖を通過して、一隻のタンカー、ペンドルトン号を真っ二つに引き裂いたりするまでは。

この想像を絶する程の大事故が、警備隊オフィスに知らされた時点で、タンカーの上にはまだ33人もの人が生存していたんだそうです。だから、バーニーのチームが救助活動へ送られる事になりました。しかし、海の荒れ具合は一行に収まる様子も見せていません。 【続きを読む】 “映画「ザ・ブリザード(The Finest Hours)」の前評判”