ジャパンで悪霊にであう恐怖:映画「Temple」について

本当は怖い海外旅行・・・日本編

大抵の人は、エキゾチックな外国の文化に魅力を感じていると思います。

自分のものとは違った生活や行動様式は、どういう訳だかお洒落に見えますし、それ以上に、世界の文化的多様性に触れる事自体が、その人の世界観を間違いなく広げる体験となります。

だけれども、この世には、外国人が安易に触れたり土足で踏み込んだりしてはいけないポイントもあります。例えば、宗教的概念とかその施設などが典型でしょう。

宇宙の真理や人の死についての、神秘的な答えを与えてくれるその場所は、ローカルの人間達から、崇敬と共に、ある種の畏怖をもって接せられているものです。

だから、そこにまつわる‘事情’を知っている人の、真摯なアドバイスを軽視してはいけません。うかつにそのポイントへ踏み込んだら、想像もしていなかった超常的な存在の怒りに触れてしまうかもしれませんから。

まぁ、そんな話、映画のネタとしてはピッタリですけどね。

日本文化のエキゾチシズムに触れようと、そんな曰くつきスポットへと安易に踏み込んだアメリカ人観光客が、闇に潜む悪霊と遭遇してしまうというストーリーが、今回ご紹介する「Temple」というホラー映画です。 【続きを読む】 “ジャパンで悪霊にであう恐怖:映画「Temple」について”

ダーレン・アロノフスキーのスリラー:映画「Mother!」の評価

天才監督が再び全米を震撼させる

ダーレン・アロノフスキー脚本・監督でジェニファー・ローレンス主演の映画、というだけで、ゴシップ系のニュースには十分ネタを提供し得るのかもしれませんが、そこへ、エド・ハリスとミシェル・ファイファーまで加えたら、一つの映画としても何かが起こりそうな予感が漂いはじめます。

そんな一作が、今回ご紹介する「Mother!」。

‘マザー’と言うと、すべての愛や包容力の象徴となる言葉ですが、時として映画の中では、歪んだ人格や狭量や過去のトラウマなどの象徴として使われる存在です。そしてどちらかと言うと本作では、後者のイメージが近いのかもしれません。

とにかく、2017年のヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映された時点から、色々な所でバズられている話題作が、この「Mother!」だという事ですね。

アロノフスキー監督はこの新作によって、再び米国映画界を震撼させる事になるのでしょうか? 【続きを読む】 “ダーレン・アロノフスキーのスリラー:映画「Mother!」の評価”

ピーター・ディンクレイジが探す記憶の鍵:映画「Rememory」について

記憶は消すものではなく見直すもの!?

この宇宙に、「記憶」というものほど神秘的なものはないかもしれませんね。

それは、新聞とか辞書のように情報を平面的に並べただけのものではありません。日常的に機能している僕らの意識とは、また別の次元に一種の格納領域があって、その領域には、僕らが生まれてから体験したすべての事象が、相互に連結して登録されているのです。

それは、複雑に絡み合い影響しあって、僕らの人格までも形成しています。だから、人にとって正しい経験を積み重ねる事は、実に大切なのです。

一方、それが過ちの記憶であっても、死ぬまで永遠に消える事がありません。もし、その記憶を物理的に取り出して検証する事ができたら、人間は秘密を持つことも出来なくなり、人生の意味も変わってしまうでしょう。

そんな話をモチーフにして展開するSF系スリラーが、今回ご紹介する「Rememory」。主役を演じるのは、「ゲーム・オブ・スローンズ」のピーター・ディンクレイジです。 【続きを読む】 “ピーター・ディンクレイジが探す記憶の鍵:映画「Rememory」について”

リース・ウィザースプーンの離婚コメディ:映画「Home Again」の評価

映画製作、最良の語り口がベストではない!?

映画でもなんでも、それが成功するためには、より多くの人からの共感を勝ち取るのが大切、なのだそうです。

ただ、一つのストーリーが十分な集客力を発揮するには、そこに一定の驚きも必要。マジョリティの人が無条件に受け入れるアイテムを1から順に並べるだけでは、新たに執筆するという意味が無くなってしまいますからね。

かくして、作家の方達は、次の作品に新鮮なスパイスを聞かせようと頭を捻るのだと思いますが、その味付けが受け手側の大衆にどう解釈されるか、というのも運任せな訳で、能力や才能がすべて備わったプロフェッショナルの方であっても、時として的を外す事があるのです。

さて、その‘解釈のされ方’という意味において、意図した以上に高いハードルが設定されてしまい、その作風以外の部分で解釈・評価されているのが、ここでご紹介する「Home Again」という映画かもしれません。

映画監督ハリー・マイヤーズ・シャイヤーのデビュー作である本作は、リース・ウィザースプーンが人生と恋愛のやり直しを模索する姿を軽やかに描く、明るいロマンティックコメディ、との事です。 【続きを読む】 “リース・ウィザースプーンの離婚コメディ:映画「Home Again」の評価”

レイク・ベルが夫婦生活に疲れた2人に捧げます:映画「I Do … Until I Don’t」の評価

結婚はタダのしきたり!?

人は皆、自由であると言いつつも、結局、自分が生まれるずっと前に決定された社会のしきたり、例えば結婚なんていう制度に縛られ、同時にそれに依存しないと生きていけません。

まぁ普段は、そういった縛りの中で適当に妥協をしながら、上手い事やってゆくのが、一応の幸福を手に入れる秘訣でもあります。その典型なのが結婚生活でしょう。

同時に、すべての先進国に住む多くのカップルが、我慢によって結婚生活を守っているというのも、なんだか皮肉な図式ではあります。

そして、世の中の皮肉な実情や問題は、ひょっとすると面白いストーリーの出発点になるかも。という事で、結婚生活に関する面白おかしい(そして皮肉な)コメディー映画が、毎年のようにリリースされる訳ですね。

さて、その一本と思しき、今回ご紹介するコメディ、映画「I Do … Until I Don’t」は、監督・脚本・出演の全てをこなす才女、レイク・ベルが、結婚という文化の問題に切り込む風刺ドラマであるそうです。 【続きを読む】 “レイク・ベルが夫婦生活に疲れた2人に捧げます:映画「I Do … Until I Don’t」の評価”

スティーブン・キング原作映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の気になる評価

オイデオイデ、、、風船があげるよ、なんて、ピエロの悪い企み

お子さんには絶対に言ってはいけない事ですが、この世の中が、嘘とか欲とかご都合主義、差別や横暴、そして無関心など、不条理なものによって動かされている、というのは事実です。

僕らは、そういったヤバい話を、どこか目に移らない場所、例えば道の脇にある側溝の中みたいな所へと押し込んで、一見きれいに整備されている日常生活という通路を闊歩しているだけです。

でも、側溝の中に押し込めた何かは、相変わらずそこに有り、ひょっとしたらアナタや大切な人を狙っているのかもしれません。それは、狡猾な悪魔のようなもので、人々がその存在を忘れかけた頃によみがえり、脅かすんです。

そのヤバいものこそ、スティーブン・キング原作のホラー、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の原動力となる邪悪なピエロ、ペニーワイズ。27年に一度現れては、デリーの街の人々を排水路の奥の暗がりへと引きずり込みます。

一見、ひょうきんに見える謎めいたピエロが、道の脇に有る排水用の黒い穴から子供に声をかけている、なんて、まさにこの世界の裏側の質の悪さを象徴している、そう感じさせる姿でしょう。 【続きを読む】 “スティーブン・キング原作映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の気になる評価”

ロンドンを守るのはJBではなく、AR!?:映画「Unlocked」について

陰謀は現場で起きてるんじゃない、シナリオの上で起きてるんだ!

陰謀説的に言うと、ハリウッド映画は全部、大衆の思想を操るためのプロパガンダなのです。

映画なんて夢物語を絵に描いているだけですが、人の深層心理にメッセージを刷り込むのに一番良い状態は、見ている人がそれをただの夢と思ってリラックスしている時です。だから、知らず知らずのうちにハリウッドからの指令が僕らの心へとプログラムされている訳。

まぁ、陰謀論自体も夢物語かもしれませんけど・・・

さて、そんな洗脳プログラムの中にも、時として斬新なアイディアが盛り込まれているのも、アメリカ映画の良いところ。映画の批評家さんたちも、かならず新鮮味があるかどうかに注目して、作品の良し悪しを決めています。

そんな‟斬新さ”が特に求められるのが、今回ご紹介する「Unlocked」のような、国際社会の裏側を舞台にしたスパイスリラーです。

何と、過去の失敗がトラウマになって第一線から身を引いた超敏腕女性エージェントが、見た所は敵と思しきスジから得た情報をもとに、あのロンドンをねらう巨大なテロリズムのスキームを暴くために奔走する、という物語がこれ。

どうです、ハリウッドからあなたに向けられた、斬新なプロパガンダがお分かりいただけてますでしょうか・・・ 【続きを読む】 “ロンドンを守るのはJBではなく、AR!?:映画「Unlocked」について”

映画「フェリシーと夢のトウシューズ(Leap! )」の気になる評価

壁や挫折を恐れず夢に向かって走る姿は、いつも美しい

本来の題名が「Ballerina」、その米国版は「Leap!」、そして日本でのタイトルが「フェリシーと夢のトウシューズ」と、数々の呼び名を持つ映画が、快活な一人の少女による、本格バレリーナへの挑戦を描いたこのアニメーションです。

せっかくなので、邦題の方にもう少し説明要素を追加すると、「発明家を目指すヴィクターに助けられながら、お金は無いけれど才能はある少女フェリシーが、パリのバレースクールに忍び込み、事情があって挫折したかつての名ダンサーであるオデットの指導の下、夢のトウシューズを手に入れるまでの物語」、という事になりましょう。

これで、まぁ、基本的なあらすじになっているのではないでしょうか。

さて、米国より日本などの国の方が公開が早かった事もあり、こちらでも、エリート級の映画評論サイトが精密な評価を数多く発表していると思います。

でも、そういう上層階級と対抗する意識がまったくない、というのが僕の良い所。と言う事で、ウチではちょっと違う所から、この米国版「Leap!」に関する評価の幾つかを、ピックアップしてみようと思います。 【続きを読む】 “映画「フェリシーと夢のトウシューズ(Leap! )」の気になる評価”

ロバート・パティンソンが大都会の裏社会を走る:映画「グッド・タイム(Good Time)」について

キャリアメーキングはご心配無用です

トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2」が2012年の作品ですから、世界中が青年バンパイアと美少女の純愛色に染められていたあの時代から、もう5年が経っているんですね。

5年と言えば、大抵の人が何かを成し遂げられる時間ですし、仮に青白いメークとローコストかつ高性能なVFXが無かったとしても、思春期の吸血鬼の悲哀を見事に表現しきっていただろう、あの、ロバート・パティンソンさんなら、「何か」よりもっと良い「ナニカ」が達成できた事は、言うまでもないでしょう。

ざっと数えると、「トワイライト」後に6本程の映画に出演してきたパティンソン。中には、あのデヴィッド・クローネンバーグが監督をした「マップ・トゥ・ザ・スターズ」なんていう作品もありました。おそらく、ライトノベルの人気にあやかる軽い娯楽の世界から、本格的なドラマ俳優へと転身してきている段階だと思われます。

そんなロバート・パティンソンが、ニューヨーク市クイーンズ地区の裏社会を行く、あやうい(ひょっとして無軌道な)青年を演じているのが、今回、ご紹介する「グッド・タイム(Good Time)」、という、ファンタジー色ではなくリアリティ感が強いドラマなのだそうです。 【続きを読む】 “ロバート・パティンソンが大都会の裏社会を走る:映画「グッド・タイム(Good Time)」について”

神の光は地のめぐみを通じてあたえられん:映画「All Saints」について

信じなければ地獄行き、というのではちょっと困ります

大抵の宗教というのは、超自然的な奇跡を起こしたとされる何かが、その信仰の対象となっていますよね。

信仰心のある人は、天の雲の上に居るとされる存在を全身全霊で信じぬく事で、いつの日か自分の身にも同じ奇跡がもたらされると期待する訳です。

当然、真摯な信仰心は、その人の心にとって大きな糧となる事は確か。だとしても、現実の生活の中にある深刻な問題の方に、直接的な答えをまったく与えないというのでは、やっぱり、信仰されるものとしての存在感が薄くもなります。

本来なら、多くの人に与えている教えの中に、心と物質、両面の折り合いのつけ方も語ってくれるべきだと思います。

そんな意味でいくと、ここでご紹介するキリスト教系の映画、「All Saints」では、大赤字でつぶれそうな教会を受け持った牧師が、その苦境に立ち向かい、教会ばかりか他の多くの困窮する人達も同時に救済したという、実際に起こった本物の軌跡を描いているのだそうです。 【続きを読む】 “神の光は地のめぐみを通じてあたえられん:映画「All Saints」について”

オーブリー・プラザが見せる、いいね!、のヤバい真実:映画「Ingrid Goes West」について

まだ増やしますか? あなたのフォロワー・・・

三省堂辞書サイトに寄れば、セレブ(celebrity)という言葉は、誉め称える(celebrate)などというワードから来ているのだそうです。

それが発展して、名声のある人、名士、の意味に使われるようになったのですね。とにかく、その名前が広く世間から称えられるセレブというのは、やっぱり特別に選ばれた人でなきゃいけません。

ただ、たたえられる人に必要とされる行いは、時代と共に進化もしていて、今じゃあ誰でもネットに上げたスイーツの写真が、比較的簡単に10万人から「いいね」と称えてもらえる時代になりました。

物事が、どんどん簡易的になってゆくのは、文明社会が本質的に向かう方向です。だとしても、何事もオープンで容易になるのは、新たな危険を生み出すものでもあります。

あなたに、「いいね」してくれた10万人は、あなたにとって好ましい人々なのでしょうか?

そんな疑念に答えるべく、ここで紹介する映画「Ingrid Goes West」では、オーブリー・プラザが、ネットのカリスマをフォローする事に病的にはまった、超ややこしいネットユーザーを演じています。 【続きを読む】 “オーブリー・プラザが見せる、いいね!、のヤバい真実:映画「Ingrid Goes West」について”

銃弾をかわしつつ、あの2人が新コンビ結成:映画「Hitman’s Bodyguard」について

命がけで守るのが仕事、と言っても限度が・・・

娯楽アクション系映画のストーリーというのは、襲われる人、それを警護する人、そして、その2人に襲いかかる者の間の、三角関係でなりたっています。

そんな定型的な映画の脚本に収益性を確保しようと思ったら、一番問題なのは、最初に出てきた襲われる役をどんな人間に描くかでしょう。

アイディアとしては、その主役に小学生くらいの子供を当てるというのが一つ。子供ならではの純粋さに、大人顔負けの賢さをかけ合わせれば、ある程度以上のウィットとひねりが自然と与えられます。

もう一つ魅力的なのは、キラキラした女性歌手やモデルさんなどが狙われる構図。これは、彼女達のために体を張る(挙句のはてに恋に落ちる)ヒーローの存在が引き立ちます。ロマンチックを求める層にもアピールできるのが長所ですね。

あと、政治家や科学者、あるいは、社会問題の活動家などが思いつきますが、こうなるとだんだん色気が落ちてきちゃうので、収益性の確保には、何か別の仕掛けも必要になります。

あぁ、そうそう、こんなのも有りましたね。最高のボディガードに、最悪の犯罪者を警護するという汚れ仕事を与えて、行く先々でぶつかり合い騒動を起こしながら、笑いとスリルを混ぜ込んで行くと言う、バディムービーです。

そんな中の典型的一本が、ここでご紹介する作品、「Hitman’s Bodyguard」でしょう。

ボディガード役にライアン・レイノルズ、それに守られる悪人の役に、サミュエル・L・ジャクソンが起用されたという、純粋な娯楽アクション映画ファンなら、手放しで期待してよい一本です。 【続きを読む】 “銃弾をかわしつつ、あの2人が新コンビ結成:映画「Hitman’s Bodyguard」について”

映画「ローガン・ラッキー(Logan Lucky)」:チャニング・テイタム発案の細密な強奪計画とその顛末

どうせやるなら、人生大逆転を賭けて・・・

人生は上手く行かない事が多いですので、そんな時は、いっそのこと全部をひっくり返して、とんでもない行動に出てしまいたい、と、お考えになる方も多いでしょう。

そうですね、例えば、消費者からズル賢く金を巻き上げている通販会社なんかを襲って、汚れたマネーを全部ぶん取ってやる、なんて出来たら、さぞスッキリするんだと思います。

まぁ、どんな行動に出るにしても、あなた自身には一応、正当な理由があるのですからOK。かもしれませんが、それを行った後、30分間くらい逃げ回った挙句、お巡りさんにつかまって手が後ろに、というのでは困りますね。

人生大逆転のギャンブルには、それなりの周到な計画と準備が必要です。

特に、この映画「ローガン・ラッキー(Logan Lucky)」の主人公であるジミー・ローガン(チャニング・テイタム)みたいに、NASCARの一大レースイベントを襲って現金強奪、なんて大それた事をやるなら、なおさら緻密な計画とスキルのある仲間が必要です。 【続きを読む】 “映画「ローガン・ラッキー(Logan Lucky)」:チャニング・テイタム発案の細密な強奪計画とその顛末”

魔人形誕生の悪夢:映画「アナベル 死霊人形の誕生(Annabelle: Creation)」について

ほら、デーモンはすぐそこ、あなたの隣に・・・

ここに、いくつかの真理があります。

まず1つめは、あなたが敵がい心を持たなければ、あなたを攻撃してくる者も現れない、という真理。

2つめは、互いに心を開いて信じあえば、必ずそこに幸福が訪れる、という真理。

3つめは、あなたが純粋に愛すれば、相手も清い愛で応えてくれる、という真理。

4つめは、でも、そんな誠実さや愛情につけ込んでくる悪者もいて、目に見えない存在であるそいつは、時に、常識を超えた事を引き起こすパワーすら発揮する、という真理。

そして5つめは、、、その悪意の持主は、子供が好みそうな人形に憑りつくという真理。

有名な心霊研究家であるエドとロレインのウォーレン夫妻によれば、その憑りつくモノは「悪魔」と呼ばれる存在なのだそうです。そしてそいつは、人形を利用して子供に近づき、その子の命と魂を食い物にしようと狙っているのです。

そんな、「祟りの人形」の中でも世界一コワいと噂なのが、今はコネチカット州の郊外に厳重に安置されている、アナベル。

この映画「アナベル 死霊人形の誕生(Annabelle: Creation)」は、その人形の呪いに最初に触れた、いたいけな少女の恐怖体験を描くものです。 【続きを読む】 “魔人形誕生の悪夢:映画「アナベル 死霊人形の誕生(Annabelle: Creation)」について”

若き女性捜査官が暴く雪原の鮮血:映画「Wind River」の評価

知らぬ土地、知らぬ顔、協力者は約1名

スリラー映画というのは、登場人物を日常ではあり得ない状況へと押し込む事で、おっかないムードを醸成してくものです。

非日常的、という意味で言うと、自分達の文化を守る保守的なコミュニティに、若手のプロフェショナルを送り込み、その人物に一仕事させるというのも、スリラー向けテンプレートの原型でもあります。

小さな事すべてが障害となり、ろくに協力者も居ない環境で活動するのは、どんな人にとっても苦しく、場合によっては怖い事でもありますからね。

見る人に寄っては、その人物が女性だったらなお嬉しいし、たとえば、エリザベス・オルセンちゃんみたいな人なら最高です。

と言うわけで、この映画「Wind River」は、良いスリラーの題材を一通りそろえた作品、とも言えそう。ここでは、保守的な辺境の地に派遣される事になった、若手FBI捜査官をオルセンが演じています。 【続きを読む】 “若き女性捜査官が暴く雪原の鮮血:映画「Wind River」の評価”

世界を救うため裏の世界で展開する究極の戦い:映画「The Dark Tower」について

スティーブン・キングのイマジネーションが炸裂!?

2017年の秋にかけて、あの伝説ホラー「イット(IT)」や、別の角度から(多分)もっと刺激的な「ジェラルドのゲーム(Gerald’s Game)」が劇場公開される予定であり、ファンにとってはスティーブン・キング祭り、と呼びたくなる様相を呈してきた昨今です。

そんな、このS・Kロードの露払いを担って真っ先にスクリーンに載っかったのが、多層世界の崩壊を企む悪魔と戦う一人のガンマンを主人公にした、この映画「The Dark Tower」です。

キング原作系映画として、嫌な怖い話を期待している向きも多いと思いますが、とりあえず本作はSFチックな設定を与えられたアクション巨編、と言った風情の一本という事。

主演のイドリス・エルバとVFXのコレボレーションによる、超絶な銃さばきも見ものになりそうですね。 【続きを読む】 “世界を救うため裏の世界で展開する究極の戦い:映画「The Dark Tower」について”

映画「デトロイト(Detroit)」:キャスリン・ビグローがアメリカの不寛容さを斬る

人の作ってきた理不尽な歴史をみつめて

僕達が普段考えている事は、全部、別の所で誰か(もしくは何か)に吹き込まれた情報がベースになっています。

この世の中が、頼りにできる位に安定した状態にあるためには、「普通」とか「常識」っていう基準ラインが絶対必要で、僕らは、それに無意識のうちに従っているから、生きていけてる訳です。

だけど、皆が考えている常識が、とても悪い出来事の原因になる事もあります。

今でも無くならない、人種とか宗教、あるいは異文化間の摩擦というのも、お互いの基準がズレている事に原因があります。

そういったものも、正義と悪とかの問題ではなくて、皆の「常識」の中に必ずある間違ったポイントが原因で、起きている争いなんですけどね・・・

さて、常に異才を放つ映画監督(ですよね?)、キャスリン・ビグローさんみたいな人が、エイリアンとロボットを総動員状態の真夏の娯楽映画シーズンに、この映画「デトロイト(Detroit)」みたいな作品をメジャーリリースしたのも、時が経っても変わらない、人間の偏見にみちたダークな内面をえぐり出すため、とも思えます。

これは、60年代のアメリカの人種間の対立が元で発生してしまった、陰惨な事件を描き切っているものだそうです。 【続きを読む】 “映画「デトロイト(Detroit)」:キャスリン・ビグローがアメリカの不寛容さを斬る”

マジで触れてはいけない、呪いの人形アナベル

幽霊や妖怪よりヒトの方が怖い、とは申しますが・・・

写真:魔物を呼び出す儀式の図
古い儀式
The photo is in the public domain.

現実的にヤバくて、怖い人間は多々いるとは言っても、心霊的な意味でなら、やっぱり人形が怖い、と、おっしゃる方は少なくないでしょう。

何故、あれが不気味かと言うと、人を思わせる形をしているくせに、絶対に動くはずの無い物だから。それがもし、自分で動いたりしたら恐ろしい、なんて事を想像させるからです。

更には、それがヒト形である以上、死してなお彷徨える魂が、そこの中に乗り移りやすいという理屈も、なぜだか真実味を帯びて感じられてしまうからですよね。

と、言う訳で、洋の東西を問わず、人形にまつわる怪奇なストーリーはたくさん語られてきました。

そんなお話の代表としては、目下のところの東の横綱は「稲川淳二の生き人形」、それに対抗すると思しき西の横綱が、「ウォーレン・オカルト・ミュージアムに所蔵される、アナベル」なのです・・・ 【続きを読む】 “マジで触れてはいけない、呪いの人形アナベル”

ポルターガイストが、映っちゃった

ゴーストはだいたいキッチンがお好き!?

劇場用映画だと、最低でも90分間を埋めるエピソードを脚本の上で用意しなければならず、時々それに苦労している作品も見受けられたりします。

さらに、今どきのスリラー系映画は、凝った筋書きの上のツイストと謎の解き明かしがないと、観客の評価を得られないので、そのネタを発想し続けるのも大変そうです。 【続きを読む】 “ポルターガイストが、映っちゃった”

殺人許可証を持つ美女:映画「アトミックブロンド(Atomic Blonde)」について

ヤバい時代こそ、スパイはクールに決めろっ

「世界終末時計」という、シゲキ的な名前のものが存在します。

核戦争が勃発して世界が滅びるリスクを、真夜中0時までの残り時間で表したという、一種のサインがこの時計です。2017年8月現在では、破滅までの残り時間は2分30秒を指しています。

これは、世界が、ソビエト側と欧米側に分かれていがみあっていた、いわゆる東西冷戦の頃に、アメリカの原子力系の科学雑誌が掲載しはじめたもの。でも、現実の核戦争は起こらず、1991年にソビエト連邦が消滅して冷戦も終結。これで一安心という事になった訳です。

確かにそれは素晴らしい事だったと思うのですが、しかし待ってください、世の中が完全に平和になってしまったら、小説やドラマの題材探しは相当困る事になりそうですよね。世界中さがしても、軍や武器どころか争い事も、そしてスパイも無くなってしまう。

まぁ、もしそんな風に理想の世界が生まれたなら、作家達は、冷戦が終わる直前の、最も危険でオイシイ時代に題材を求めて、売れる本を書き続けるのでしょう。

ここで紹介する映画「アトミックブロンド(Atomic Blonde)」も、超シゲキ的だった20世紀終盤の、東西陣営がいがみあう最先端の場所に、超イケてる女スパイを放り込んでみた。という、エキサイティングな一本です。 【続きを読む】 “殺人許可証を持つ美女:映画「アトミックブロンド(Atomic Blonde)」について”

オトナ女子4人がサイコーの夏を満喫?:コメディ映画「Girls Trip」について

ええじゃないかっ、夏なんだからっ、大人なんだからっ!

さて、全国の中学・高校に通う不良の皆さん、ここで一つ、目からウロコな話をお聞かせいたしましょう。

それは、「大人はもともと、自分のご都合主義で適当にルールやマナー違反をする生き物だ」、という事実です。

本質がそうですから、君たちを枠にはめようとガミガミ言うくせに、自分らでは平気でルールを破っているっ、なんて反発するのも、あんまり意味の無い事です。

ですので、、大人なんてみんな嘘つきだっ、と、怒ったり悩んだり苦しんだりする必要は、君たちにはもう無くなった訳ですね。

なんと言っても、オトナっていうのはそういう小ズルい生き物なのですから。

まぁ、そういった大人のご都合主義が通用しているのも、彼らが、世の中の酸いも甘いも一通り知っていて、分別がある人達だと認められているから。そこが、少年少女との大きな差なんですね。

さて、ここでご紹介する映画「Girls Trip」の中心にいる4人の女性達も、そんな風に大人らしいハメの外し方を知っている人達・・・な、はずなのですが、ちょっと怪しい感じもします。 【続きを読む】 “オトナ女子4人がサイコーの夏を満喫?:コメディ映画「Girls Trip」について”

娯楽映画を超えた壮絶な撤収作戦:映画「ダンケルク(Dunkirk)」について

真実の物語は、あくまでも誠実に見つめよう

クリストファー・ノーランが監督したという事で、ともするとバトルアクション娯楽大作、みたいなものを期待したくなるのが、この「ダンケルク(Dunkirk)」かもしれません。

とは言え、1940年に、実際に、連合国軍とナチス・ドイツの間で展開した戦闘を描く以上、脚本上のお涙頂戴とか、VFXとワイヤーアクションてんこ盛りのオモシロ映像に成り得なかったのが、この一本でしょう。

と言う訳で、ある意味、お堅いというか冒頓とした語り口に描かれたのが、ここでの「ダンケルクの戦い」なんだそうです。 【続きを読む】 “娯楽映画を超えた壮絶な撤収作戦:映画「ダンケルク(Dunkirk)」について”

イケてないJKと血を吸う魔のボックス、ホラー映画「Wish Upon」について

誰かの幸運のカゲには、いつも血のイケニエが必要だ

何か良いものを手にいれるためには、別の何かを手放さなければならない・・・

そんな話を、聞いた事があるという人も多いはず。でも、手元に手放すべき物が何も無かったら、どうしましょう。そんな場合は、やっぱり幸運を願うのは無理なのでしょうか?

世の中には、純粋な利己主義によって、豊かな生活を享受している人も結構いますから、なんか旨い魔法のような手段があるのかもしれませんね。

いやいや、たとえばそれは、ここで紹介するホラー映画「Wish Upon」のヒロイン、クレアの手元に回ってきた薄気味悪いのと同じような方法なのかも。 【続きを読む】 “イケてないJKと血を吸う魔のボックス、ホラー映画「Wish Upon」について”

映画「猿の惑星: 聖戦記(グレート・ウォー)」:地上の支配を決める偉大なる大団円

人類、と、類人猿を分けるものとは?

いわゆる猿の類から、2足歩行を獲得してホモサピエンスが生まれる系譜には、未だに「ミッシングリンク」が存在するのだそうです。

つまり、どうやってヒトが生まれたかの問題は、まだまだ、しっかりした科学的確証が無く、謎の領域なんですね。

一部の人達は、古代にやってきた宇宙人が、地球上のおサルに生体実験をして知性を植え付け、ヒトが生まれた、と信じているでしょう。いや、ひょっとしたら、その頃地球を支配していた別の超文明が生み出した、脳を刺激するウィルスかなにかで突然変異を起こしたのかもしれません。

ま、色々と想像すると面白い話である事は確かです。そして、その面白いテーマは、「猿の惑星」という面白い映画シリーズの、いわば屋台骨。

この2017年夏休みに(米国)公開された、「猿の惑星: 聖戦記(War for the Planet of the Apes)」では、地球を猿の星にするための「グレートな戦争」が勃発しそうです。 【続きを読む】 “映画「猿の惑星: 聖戦記(グレート・ウォー)」:地上の支配を決める偉大なる大団円”

切ない死後の世界をゆくケイシー・アフレック:映画「A Ghost Story」について

肉体を奪われた後も永遠に鳴り響く思慕の残響

依然として、科学的に証明されていないとは言うものの、世界中のほぼ全ての文化圏で、おそらく数万件では効かないくらい、幽霊やゴーストの目撃談が有ります。ですので、そこに、何らかのモノが存在する事は認めざるをえないでしょう。

とはいえ、YouTubeにアップされる、それらの幽霊の姿の多くが、「サダコ」の焼き直しバージョンになっているのは、ちょっと安直すぎる気もします。

だいたい、あの姿は、幽霊としては間違いです。本当のゴーストというのは、この映画「A Ghost Story」に出てくるように、白いシーツに身を隠していないといけません。 【続きを読む】 “切ない死後の世界をゆくケイシー・アフレック:映画「A Ghost Story」について”