スリラー映画「スプリット(Split)」について

心の傷が生み出す不穏な‘チカラ’のストーリー

ホラーやスリラー映画なんてのは、本質的にエクスプロイテーション、つまり搾取なんです。

そして同時に、若手女優の登竜門。彼女達が業界でグレードアップしてゆくための足掛かりでもありますよね。美形のお姉さんが、異常なゴーストやら犯人やらに虐められる様子は、恐怖映画としてはお約束要素です。

まぁ、そう言った業界の事情自体も、若者のやる気に乗じた搾取だと言えなくもないです。そして、単純な娯楽映画であっても脚本とか演出が上手くいった作品には、映画の歴史に名を残す一本に成り得るのもまた事実。

さて、「ハリウッドの鬼才」と称されるM・ナイト・シャマランが、満を持するようにして放つ最新サイコスリラー、この映画「スプリット(Split)」は、業界においてどの位の地位を得る事が出来るのでしょうか。

とりあえず、ここで「恐怖もの映画」にその身を捧げてくれたのが、クレア(ヘイリー・ル・リチャードソン)、マルシア(ジェシカ・スラ)、そしてケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)ら3人の女子達です。

なんと3人は、とある駐車場で異常に非常識な男に襲われ、変なスプレーで意識を奪われたあげく拉致されてしまいます。

気が付くと、気味の悪い地下室のような部屋に監禁されていたケイシー達。そこには窓は無く、妙に綺麗なバスルームだけが備わっています。そしてしばらくすると、ケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)という男が姿を現しました。どうやら、この人物が誘拐犯らしい。

見た所出口の無い地下室から、なんとか脱出方法を見出そうとあがく3人の女の子達。そんな中、ドアのカギ穴を除いたところ、一人の女性が居る事に気づきました。大声で助けをもとめる3人。

しかし、ドアを開けて入ってきたその人を見た3人は、再び驚愕。なんとそれは女装をしたケヴィンなのです。

いや、正確に言うと、その人間はパトリシアという女性、の人格に切り替わったケヴィン。そう彼は、解離性同一性障害、つまり多重人格だったのです。ケヴィンやパトリシアを含めて、23人の人格を持つのがこの男性、、、。

その人格の中には、3人の被害者達に同情的な態度を見せる者もいます。それを糸口に、なんとか脱出をしようとするケイシー達ですが、事態はだんだん混沌としてゆきます。

ただ、ケイシーだけは、この男性の事を他の2人とはちょっと違う見方でみているようにも伺えます。実は、彼女の心にも過去にまつわる大きなトラウマがあるようです・・・

今度もまた衝撃の結末に期待を、気になる評価は?

シャマランさんの出世作、「シックス・センス」もまた、映画史に爪痕を残した心霊スリラーです。そしてその映画も、限定的なリソースの中でしまりの良い作風に仕上がっていることが、その魅力になっている映画だとと思います。

そして、今回ご紹介している最新作の「スプリット」は、限定された場所と人間関係の中に、テンション高めな演技が炸裂していそうな、上級スリラーという事らしいです。

基本的に、メディアの評論家さん達の印象は、

「M・ナイト・シャマランは、その作品の最後の部分に驚愕の事実を示す力を、いまだに彼が持っていると言う事を、この映画”スプリット”で証明して見せた。(この作品に与えられたツイスト=仕掛け、について言及しなくとも)ここで驚きと共に明確になったのは、彼の初期の作品を構成していた精密さや大胆なコンセプト性などを、シャマラン監督が取り戻してきたという点であろう。(Los Angeles Times)」

、とか、あるいは、

「M・ナイト・シャマラン映画を観ている者は、スクリーン上に描かれている事より、どこに仕掛けや捻りが設定されているのだろう、という事ばかりに気を取られるはずである。これは、良い演技が込められた良い映画が上映されている場合は、実に良くない傾向とも言える。そして、この新作”Split”では、ジェームズ・マカヴォイとアニャ・テイラー=ジョイの2人が、お互いが認識しあってているより強い関連性を持つ犯人と被害者としての演技が、輝きを放ちあっている一作である。(Chicago Tribune)」

、とまぁ、なかなかポジティブなものになっています。

僕ズレ太は、ちょっと前に、比較的最近のシャマラン作品である「ヴィジット」を見たんですが、「いぃーっ!、そ、そういう事だったのかぁ」という衝撃部分には、結構満足しました。

そして今回も、結末は他言無用なのが、この「スプリット」らしいです。

「今回のシャマラン監督は、超自然的な現象と心的・肉体的なトラウマの間に存在するミステリアスな関係という、彼が過去に何度も訪れてきたテーマへと回帰している。多重人格であるケヴィンについて、ジェームズ・マカヴォイは力のはいった熱演を見せているが、共演のアニャ・テイラー=ジョイもまた存在感では負けていない。(Los Angeles Times)」

僕も、アニャ・テイラー=ジョイさんは良いと思います。まぁ、色んな意味で^^。

「シャマラン監督は、過去に出来上がっている同じ手法を本作でも採用した。(それは陳腐かもしれないが)それでも彼は、この飾りを配したスリラーの手法の中で、巧みな演出を見せているのも確かなのだ。そのカメラワークは、犯人と被害者、見張る立場と見張られる者の立場を素早く切り替えながら、両方の視線を体験させてくれる。奇妙かつ不穏なこの描写は、現実世界に走った亀裂をも映し出すようだ。(Chicago Tribune)」

確か、有名なビリー・ミリガンは24人の人格を持っていた、と記憶しています。今回の映画では23人の人格という事で、やっぱりモチーフにはなっているのでしょうね。

とは言え、この症状(現象?)も一つの病である訳で、映画の中でコワく描かれ過ぎてしまうと、一般の認識をミスリードしてしまいます。そう言う意味では、さして軽いテーマでもないのがこの映画とも思えます。

「この映画”Split”に描かれる種々の事柄が、解離性同一性障害に関して正しいのか、という事は考えておくべきだろう。マカヴォイ一人でが表現して見せる多くの個性も、精神医学的に厳密性が保たれているというより、観客を楽しませるための演技である。また、同時に述べなければならないのは、この物語のツイストが、作品の全体像を不足もなく十分に説得力を持ち満足させるものとしている点であろう。これでシャマランは、職をつないだだけでなく本来の彼のブランドさえ生き返らせた訳だ。(Los Angeles Times)」

例え自分が現実主義を標榜していたとしても、意外と身近な現実の中に変な歪みやギャップが隠れているかもしれません。とある時、それに気づいたり目撃したりして、背筋がぞぅーっとなる・・・。そんなイマジネーションが刺激されるのが、良質なスリラーの魅力の一つです。

さて、最後に、

「ここでのシャマランは、痛みから力を引き出しトラウマを強みに変える様子を強力に描いているだろう。そして巧みにそれを、本作”Split”を駆動するメッセージと成しているのである。(Chicago Tribune)」

、だそうです。

かの「シックス・センス」は、薄気味悪い中にも心に触れる要素がしっかりとある作品。もし、シャマラン映画に対して食わず嫌いでいる、というのでしたら、DVDで見直してみるのをお勧めします。

とにかく、その作品依頼、業界の中でも強いプレッシャーがかけられ続けただろうM・ナイト・シャマランです。逆に言えば、非常に多くの映画ファンが、更なる傑作を彼が放つことを強く望んでいるという事。

本作が、その一本になりそうな、、、そんなムードが伝わってきますよね。

それではまたっ^^/。

参照元
Los Angeles Times
Chicago Tribune

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。