映画「ガール・オン・ザ・トレイン」:エミリー・ブラントが捕らわれる、悲哀と疑念の罠

〔見たはず聞いたはずなのに、憶えていないのはナゼ?〕

真夏のスリルと言えば、ビーチとかで出会ったイケてる異性を、友人と自分のどっちがものにできるか、という競争にあります。

でもまぁ、秋になればそんな「熱さ」よりも、落ち着いた「謎とき」の方が具合よくなるんです。ハロウィーンも近づきますしね。

んなワケで作られた一本が、テイト・テイラーさんていう作家が2015年にヒットさせたミステリー小説の映画化である、この「ガール・オン・ザ・トレイン(The Girl on the Train)」て事のようです。

ひと月くらいの遅れで、日本でも公開される予定だから、僕みたいなのがここで書く情報なんて無意味ですが、とはいうものの、少し大人な気分になって見てみるには良さげな映画みたい、って事は言えそう。

あらすじも、他の優れた映画サイトが紹介していると思います。ざっくり言うと、主人公はレイチェル(エミリー・ブラント)さん。彼女はアルコール依存症で、そのため仕事も結婚生活も失い悲しい人生を過ごしています。

飲酒以外でレイチェルの日課といえば、元夫のトム(ジャスティン・セロー)と新しい妻アナ(レベッカ・ファーガソン)に、ストーカーまがいな行為を働いたり、彼らの家を通過する列車の中から監視しようとしたりする事。

そんなことをしているうち、同じ沿線に立つもう一軒の家も監視するようになるレイチェルですが、ある日、予想していなかったものを目撃してしまいます。それが、彼女に襲い掛かる恐ろしい事件のはじまりでした・・・。

という感じです。

〔陰気でふさぎこんだミステリー〕

現代人の多くが、自分の人生は望むよりも上手く運んでいないと感じているでしょう。そして、その原因には何らかの謀略とかミステリーが絡んでいるハズ、って思っている人も、これまた多いはず。

そんな事が、ミステリー映画が好まれる大きな理由の一つなんじゃないかな、と思ったりもします。

とにかくまぁ、映画ファンにとっての2016年秋を確かなモノにしてくれる事が、期待されるのがこのスリラー映画なわけですが、

「この映画‘The Girl on the Train’は、都会人の自己憐憫を陰気に描きながら、周囲からうらやましがられつつ、のらくら暮らす特権を得た勝ち組が抱くという倦怠感を通じて、そこにある機能不全と病理を覗き見るというものだ。それは、真の面白みを秘めつつも、不機嫌から不愉快という領域へと広がってゆく。(Washington Post)」

、とか、あるいは、

「ユニバーサルが、今秋むけに用意したこの映画は、むっつりと不機嫌で、実に一直線的なスリラーでありつつも、金曜の夜にシネコンに出かける事が望みの大衆を呼び込むの事なら、十分期待できるものだろう。とは言え、この“トレイン”が進んで行く線路には黄色信号が待ち受けているのも明らかである。(The Hollywood Reporter)」

、という批評があったりします。

このストーリーは、お酒によって身を亡ぼす事の愚かさみたいなものも、中心に置かれているみたいに感じます。何事も、おぼれてしまうとキケンですし、酒はなおさらキケンです。

ちなみに、普段の愚痴やら不満を吐いてガス抜きしようと居酒屋へ行っても、結局ストレスは緩和されないという話もあるそうですよ。いやな気分が、アルコールの作用によって強化されてしまうという事だそうです。

ま、とにかく、今、少しでも癒しを欲しがっているのは、この主人公であるレイチェルさんです。

「映画化にあたって、その舞台は(原作における)ロンドンから米国へと移されたが、主人公のレイチェルの言葉からは英国なまりが聞き取れる。とは言うものの、海を渡ってくる過程で彼女の存在感が薄れたのも確かだろう。エミリー・ブラントは、ひび割れた唇、目の下のクマ、そして常に赤らんだ鼻先などを露わにしながら、この女性を、めそめそとした自己憐憫の虚ろさで描写してみせる。また、助演俳優陣は強力なものではある。だが、大人の映画ファンたちが吟味して見ようとする冒頭の20分間の展開でも、彼らに働きがいを与えたような部分は、さほど見受けられもしないのだ。(Washington Post)」

秋ですからね、それなりに湿っぽくて暗めの世界観も、個人的には悪くないと思います。映画が終わったときに劇場がしーんとなっても、それは風物詩、季節の味わいの一つと言うもんです。

そして、

「わずかの間、エネルギーが高まる時もあるが、観客はすぐに単調な世界へと引きずりもどされる。この映画は、それなりに不気味なエンディングへ向かって、ただトボトボと進んでゆく作品だ。途中の犯人捜しである程度は惑わされた観客でも、この結末によって感情的に動かされる者は少なそうである。(Washington Post)」

、と、こんな評価やら、

「監督のテイト・テイラーと撮影スタッフは、主人公の不安定さを描くために、幾度かに亘って、焦点や方向性がはっきりしない撮影手法を用いつつ、その周囲を画面に収めている。そして結果的に出来上がったものからば、力のない眼差しで肌にはシミが目立つ女性が、ひねくれた不満を表現しながらも、映画スターの美観も維持しているという様子を、見せられるだけである。(The Hollywood Reporter)」

、などとも書かれています。

日本の映画コメンテーターさんなら、湿った世界観になじんだ人も多そうですから、まったく違う評価を出されることでしょう。

とにかく、僕らが普段入り込めない世界へと足を踏み入れた一人の女性、その、ひょっとしたら恐ろしい体験が描かれるのが、この映画というのは間違いなさそうですね。

最後に、

「この筋書きに加えて、幾人もの人物像が、最終的にどう決着するのかというパズルは、見る上での少しばかりの関心事になるだろう。しかし、そのキャラクター達はどれも陰気で1次元的であり、ほぼ人の興味を引かないような存在になってしまっている。そう言った問題点も、本筋のミステリーに説得力が有ったならば気にもならかったと思う。しかし、絶対にエンディングに仕掛けがあると予感させ続ける中では、最もスジが通る悪役が誰かを推量することも、実に容易い。唯一クリエイティヴな点と言えば、ダニー・エルフマンの音楽だ。それは、ここでの変則的な語り口とリズムを操ってムードを盛り上げる。そのおかげで、たびたび作品が救われているだろう。(The Hollywood Reporter)」

、て事です。

僕の持論だと、自分の生活が本当に充たされるための鍵は、外ではなくて自分の中に有ると思うんですね。でも、それは常に大きな謎の雲の中に隠されている・・・

2016年の秋。そんな人生のミステリーを解こうとするなら、11月には公開になるこの映画「ガール・オン・ザ・トレイン(The Girl on the Train)」は、良い刺激剤になるのかもしれません。

それではまたっw。

参照元
Washington Post
The Hollywood Reporter

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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