映画「ドント・ブリーズ(Don’t Breathe)」について

〔襲ったはずの自分達が一人ずつ餌食にされる・・・〕

どの世界でも、ルール無視を決め込んだものが一番強いというのは事実でしょう。ただ、強さについて考えると、どんな分野においても上には上が居るもの、とも言えます。

結局、悪い事をして勝とうと思ったら、どの位の勢いで人の道を踏み外せるか、にかかってくるんです。

また、良い行いでも悪事でも、人が何かをやろうとしたら動機や理由付けが必要ですよね。でも、本当に邪悪でモンスター級の輩は、一般的な考えでは理解できない理由を持っていそうです。ここで紹介する映画‛Don’t Breathe’は、一応の理由が有って強盗に押し入った若者グループと、その家の家主、どちらの悪さが強かったか?、というお話しのようです。あらすじとしては、以下のよう、、、

合衆国はデトロイトに住む女の子、ロッキー(ジェーン・レヴィ)は、すぐにでもまとまった金が欲しいと思っています。でもそれには、ちゃんとした理由が有るんです。

彼女には妹、ディディー(エマ・バーコービチ)が居ますが、2人の母親は、ほぼ育児放棄状態。だからロッキーの願いはただ一つ、家を飛び出してカリフォルニアに移り住む事だけなんです。

ロッキーと、その仲間アレックス(ディラン・ミネット)、マネー(ダニエル・ゾバト)ら3人は、普段から、そこそこ金の有りそうな家に押し入っては、さほど罪にならなそうな額を盗んでいる窃盗団をやっています。そして今、マネーがちょっとした話を聞きつけてきました。街にすむ退役軍人の男性が、最近娘を事故で亡くし、ちょっとした補償金を手に入れたと言うんです。

その額、なんと30万ドル、しかも、その男性は盲目。

3人にとっては、その金をかっさらう事なぞ、ちょろい仕業に思えましたから、もちろんその計画を実行に移します。そして彼らは、金が有ると思しき部屋へ押し入ったのですが、もうちょっとと言うところで、この家主に気づかれてしまったんです。とっさに銃を向け、盲目の男性をけん制しようとするマネー。

しかし、その音に反応して、目にもとまらぬ技により銃を奪いマネーを殺してしまたのは、なんと目が不自由なはずの家主の男性でした。どうやらこの男、当初3人が思っていた様なか弱い老人ではなかったらしいのです。

いや、それどころか彼は、すべての灯りを消した闇の中、ロッキーとアレックスを家の中に閉じ込め、追いかけまわし始めたんです。1人ずつ捉えて残酷な罰を与えるために・・・

〔質の良い映画作りが、一転、残虐ホラーへ展開する〕

伝説の悪趣味ホラー、「死霊のはらわた」をリメイクしたのが本作の監督さんという事で、多分、ご本人も陰惨なスリラーがお好きなんではないかと思われます。アメリカではハロウィンにかけて、新作スリラー映画のレンタル需要も増えそうなので、今ぐらいはリリースの良いタイミングと言えばそうなんでしょう。

この映画も、ある意味、使い古された感もある、追っかけっこ殺人ホラーのようではあります。

「監督のフェデ・アルバレスは、追う者と追われる者のスリラーを、ここに効果的に設定してみせている。だが、その中の問題点と言うのは、観客達が、肩入れすべき人物をしばしば見失うだろうという事だ。(The Washington Post)」

まぁ、殺されそうになる連中が元より窃盗団だったら、ストーリ的にも応援されるべきではないのです。

「本作に、モラル的な問題の幅が少ないのは残念な点である。‘暗くなるまで待って’、に通じる面白そうなこの設定も、やがてモンスターが暴れ出すという、軽いノリへと変貌してしまうのだ。始まってしばらく、監督のフェデ・アルバレスの演出技法は、しっかりとしたスタイルを見せてくれる。この映画の前半半分には、音というものが重要な役割に使われていて、そういった職人的映像作りには感嘆させられるだろう。(Miami Herald)」

そして、娯楽ホラーに、道徳的なメッセージを載せて作ろうとしても、なかなか企画書が通らないかもしれません。

また、闇の中に閉じ込められて追い詰められるのが、ここでの怖さの中心だと思うのですが、

「没落したデトロイトの街並みは、この国の衰退を象徴するべく幾つかの映画でも使われてきた。そして本作はその映像を更に予算をかけ、優雅さも感じさせるカメラワークに収めている。ただ、この盲目の男の立場を観客にも感じさせるための格闘シーンは、貧弱に演じられるもので、上記の映像美なども効果を失いがちである。(The Washington Post)」

、と言った評価や、

「この映画の真の怖さは、キャラクター全員が、その視野が開けているいないに関わらず共通に感じている無益さが、そこへ滲み出てしまう点にあるようだ。(The Washington Post)」

、なんて事も言われています。ただ、そこそこ逃げ足が速くて司法当局が捕まえられない窃盗団は、いっそ、押し入った先の家主に始末してもらえばいいじゃん、という、ダークな世論を若干満足させてくれるとも言えそう。

最後に、

「およそ一時間の間、ほぼ言葉を発しなかった盲目の男が声を発する段になると、映画も、不謹慎にしてばかばかしいという典型的なホラー作の方向へと進みだすのみだ。そこからは、恐ろしい何かが発散しているとは言うものの、やはり重さも意味も無く感じられるのが、この‘Don’t Breathe’だろう。最初怖がっていた観客も、それが終了する頃には苦笑しているはずだが、笑顔などは意図されてもいない作品である。(Miami Herald)」

まぁ、観客の顔面にゆがんだ笑みを残すことこそ、この映画の最大の意図なんだとも言えそうです。上映時間は1時間28分と、スリラーとしては最適のまとまり具合な映画でもあります。

闇のなか、サイコパスのモンスターに見つからないようにするには、呼吸を含めた一切の音を立ててはいけない、、、ドント・ブリーズ。今の所、日本公開は未定です。

みなさん、安直な考えで悪さをすると、とんでもないお仕置きが待っていますよ、くれぐれも身を慎んでください。ではまたっW。

参照元
https://www.washingtonpost.com/goingoutguide/movies/dont-breathe-is-a-cat-and-mouse-thriller-but-whos-the-cat/2016/08/25/6ead1124-6a07-11e6-99bf-f0cf3a6449a6_story.html
Miami Herald

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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