映画「Chi-Raq」の前評判

写真:テヨナ・パリスアジテーションの仕方というのも色々有るんでしょうし、中には、ただの自己満足じゃないか、と思えるようなアジテーションも見受けられる気がするのも、これまた事実です。(The photo by PunkToad is used here under the license of 表示 2.0 一般.)

自己満足が悪い訳じゃあないし、一応、筋の通った思想を持って法に則った行動に移し、結果的に本人が満足ならそれに越した事もないんですけれど。

しかしその後も、世を表す数字は、冷酷に、固く、厳然として存在し続けます。それは動かしようのない結果です。

例えば、この映画「Chi-Raq」の中で、監督を務めたスパイク・リーが主張しているのも、ある種、おぞましい現実を表す数字なんです。

それは、「2003〜2011年にイラク戦争で死んだアメリカ人の数は4424人、対して、2001〜2015年にシカゴで殺された人数は、7356人」、という統計。

そんな、実在の街シカゴを舞台に、リー監督がいま描き出したのは、対立しあう架空のギャング集団、サイクロプス(ウェズリー・スナイプス)が率いるトロヤン、そして、シ=ラク(ニック・キャノン)が率いるスパルタン。そして、シ=ラクの恋人であるリューシストラテー(テヨナ・パリス)をはじめとした女性達。

終わりのない暴力と破壊の押収。そしてついに、リューシストラテーの住居までもが破壊されるにいたり、彼女は一つの決意をします。

他のギャングの恋人・愛人達とともに、彼女はこう宣言したのです。「抗争を止めなさい、さもなくば、あなたたちとの性交渉は一切拒絶します。」

・・・この映画「Chi-Raq」は、古代ギリシアの喜劇作家アリストパネスによって書かれた戯曲「女の平和」を、現代のシカゴを舞台に描きなおすという、鋭い作りの一作なのだそうですよ。

ちょっと言い訳なのですが、現時点でこの題名の読み方がどう日本語に紹介されるかわからず、とりあえずあてずっぽうです。チ・ラク?、チャイ・ラク、Chiはシカゴのシだと思うので、シ=ラク??。(予告編の中で、サミュエル・L・ジャクソンは、チャイとシャイの間くらいの発音をしてるような、そんな気がしますがよく解りません。識者の方、コレクションをお願い足します。)

さて、ヒトの社会は、程度の差こそあれ暴力によって体裁が維持されている、と言っても過言ではないのですが、ただ反面、芸術の中でそれをどう見せるかというのも、おそらく方向性は2つに分かれる事でしょう。つまり、超リアルに鮮血を描くか、あるいはウィットで覆って皮肉を効かせるか、です。

「そのオープニングは、殺人や暴力についてをキャッチーに歌い上げるニック・キャノンの姿からはじまり、さらに、サミュエル・L・ジャクソンが観客に面と向かて、現実社会の知恵について説教ぶる姿へと引き継がれる。スパイク・リーは、いくつものアートや語調を混合する事で、この映画に不思議な程の効果を与えているのだ。(StarTribune)」

あるいは、「ここで、リー監督は、移ろいゆく色合いや、いくつもの楽曲達、そして鈍く刺さる美麗字句など、氾濫するほどの要素を用い、まさに映画的に描き出したのである。(The New York Times)」

日本にも任侠ものっていう固いジャンルが有るんですが、そっちは、ウィットや批判的風刺と言うより、その文化を格好良いと感じる観客層が有る、から作られている気もします(、が、どうなんでしょうか?)。

この映画「Chi-Raq」の土台には、ずいぶんと酷い状況におちいったシカゴの街の現状、ってのが有るらしいのですが、この現実も、僕にはよく解らない点でして、このクリスマスにシカゴ旅行をして、分厚いピザでも食べようと計画中の方々を、しらけさせるような意図は全くありませんので許してください。

まぁ、映画としては、いつもどおりに豊かな人材によって支えられ、彩られているのが、このスパイク・リー最新作のようで、「良質の助演俳優が脇を固めるのがこの映画で、悲哀にくれる母親を演じるジェニファー・ハドソンは完璧に心に触れるし、道徳心ある書店経営者を演じるアンジェラ・バセットも、同様に良い演技を見せる。そして、特筆すべき役どころは、街の宗教的指導者を誠実かつ、バランスよく演じたジョン・キューザックであろう。スクリーンに現れる、ほとんどすべての個性に、鮮やかでユニークなキャラクターが与えられているのが本作だ。(StarTribune)」、とまぁ、その方向性でも刺さってきそうなのがこれらしいです。

もっと小さな映画業界・芸能界だったなら、語る事さえかなり難しいテーマを与えられているかもしれませんが、「映画「Chi-Raq」は、すべてのコミカルかつドラマチックな、そして技術的な要素を用いつつ、かなりなスピード感とともに主張をぶつけてくる一作だ。(StarTribune)」、そうです。

社会性や風刺と娯楽性が詰め込まれた一作、そんなドラマがお好きな向きには、待望しても間違いなさそうなのがこの一作なのかもしれませんね。

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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