映画「Midnight Special」の前評判

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〔大人の世界をひっくり返すのは無垢な少年の眼差し〕

「この世の中を変えなきゃっ」、と声を上げた活動家の人達も、社会を全部ひっくり返した後、そこに作ろうと思っている世界には、結局自分の好みにあう姿を、想像しているんだと思います。

教養の有る無に関わらず、人間は皆、なんやかんや言っても、自分の喜ばしいものだけを優先的に求めるんです。もちろん、悪い事じゃありません。

でも、通常は、それぞれ別個の好みが適当にぶつかり合ってごちゃごちゃになり、大きな一つに結束する事が無いので、結果、この世の中は慣性の法則に従い、ただ一つの方向へと動いてゆくのみです。あるいは、変革を起こしたいと願う人にはパワーが無く、そんなん考えたくもないという人の所に、すんごい能力が授かったりしてるのかもしれません。

つまりまぁ、不安定化しないため、この宇宙はちょうどよい具合に出来上がっているという事なんでしょう。

さて、本人の意思とは関係なく、そのスーパーパワーが与えられちゃったというのが、この映画「Midnight Special」の主役である男の子、アルトン君(ジェイデン・リーバハー)です。彼は今、2人の男性とともに郊外のモーテルに宿泊中。どうやら、いずこかへ向かって急ぎの旅の途中らしいです。

その2人の男性。1人はロイ(マイケル・シャノン)、もう1人はルーカス(ジョエル・エドガートン)と言います。実は、ロイはアルトンの実父。だのに、どうして世の中から身を隠し行動しているか、と言うと、アルトンの事を、強大な組織が狙い追いかけてくるからなんですね。

その組織とは、ポール(アダム・ドライバー)というアナリストが務めるNSAっていう国家機関、もう1つは、カルヴィン(サム・シェパード)という男性が率いる、ちょっと面倒くさい感じの宗教団体です。

でもどうして? 実はアルトンには、世界をぶち壊せるかも知れない程の強い超能力が有るから。NSAは安全保障上の理由で、就航団体はお告げをする役目として、この小さい少年を利用したくて仕方が無いんだそうです。

今、3人は、アルトンの超感覚に従って旅を続けます。途中、彼の母親であるサラ(キルスティン・ダンスト)と会ったりしつつ、ひょっとしたら、彼らにとっての救いが有るかも知れない場所を求め、移動し続けます。

でも、このミステリアスな逃避行を終えた時、果たして彼らに、本当の安息がもたらされるのでしょうか?

〔劇場用大型作品に身近な親密感を込めて〕

ハリウッドの中では、毎年、50人は「特別に選ばれし者」が生まれていると思います。そいういう存在に対する大衆の関心が、それだけ強いという事なんでしょう。まぁ、救世主、という宗教的な概念と深く関係があるだろうと、容易に想像はつきますよね。

そして、救世主とか特別な人の事を、これまた現代風でライトな味わいへ、翻訳しすぎるのがハリウッド映画でもある、と思うのですが、

「この映画“Midnight Special”については、いかに最新の注意をはらって解説したとしても、作品が持つ重要なサプライズのいくつかを、事前に知らせてしまうリスクとなってしまうだろう。本作は、この分野を描く時の巧みな制作技巧を使う事で、そのサスペンスのかなりな部分を醸し出すという一本である。(The New York Times)」

、とか、

「本作“Midnight Special”は、一人の映画制作者に、演出技術、および、見る者の感情を完全にコントロールする手腕がある事を、世に知らしめる一本となるだろう。監督のジェフ・ニコルズが、これまでに制作した映画も評判は悪くなかったとは言え、今回の作品では、その要素をまた違うレベルまで引き上げていると言って良い。(Los Angeles Times)」

、とか、いくつかのメディアでは、開口一番に良い評価が発せられています。なんとなく、「グーニーズ」の焼き直しかなぁ、と思っている人も居そうですが、それほど懐疑的にならなくてもよさそう。

まぁ、沼に沈んだエックスウィングを、むむむっ、と念じて浮揚させる事より、父と息子の絆のほうにフォーカスしたスト―リーと言う事らしいですね。

そういう意味では、SciFiとは言うものの、真面目なドラマなのかもしれません、

「監督のジェフ・ニコルズは、少年が向かう一か八かのアドベンチャーに、強い好みがあることも証明済みであるが、とは言え彼は、そういった自己満足のためにやり過ぎるという事はない。そして一方では、特別な一人の少年が発する無垢なオーラが、常識を超えたパワーを映し出すスクリーンとなるような作風が、観客達の気持ちをくすぐるという事実も、彼はよく心得ているのだ。(The New York Times)」

、あるいは、

「マイケル・シャノン、ジョエル・エドガートン、そして名子役のジェイデン・リーバハーら、エキスパート級の俳優を起用しつつ、この監督は、この地上に有り得ないような物語を驚くべき抑制をもって語る、その事のもつパワーを理解しながら、この作品を知的かつ効果的なメロドラマとして仕上げている。(Los Angeles Times)」

、だそうです。

とはいえ予告編には、いちおうCGによるアクション的な場面も出てきますので、基本は娯楽映画だと思います。その上で、

「ニコルズ監督の映画スタイルには、効果的な自然さが備わっている。その作品群は、サンダンス映画祭から取り出したような、見栄えと聞こえ方を保持するものだ。そしてこの監督は、異様であるか、まったく平常通りな事態、それら両方の中を膨らませるニュアンスやフィーリングなどに、敏感な感覚を見せる人物でもあるだろう。(The New York Times)」

、との事だそうです。

だいたい、ホラーとかファンタジーものは、そこそこの予算と複数の脚本家がついたりすれば、トゲも全部抜け落ちて丸くなるものですが、本作は、監督自身が執筆したシナリオです。

そんな作風は、

「この“Midnight Special”を、かように効果的に仕上げた一つの要素とは、カメラの背後で関わった人々、撮影監督アダム・ストーン、プロダクションデザイナーのチャド・キース、編集のジュリー・モンロー、そして楽曲を書いたデビッド・ウィンゴら、監督にとっても長年のスタッフ達が、彼の求める描き方やその手法に同調し、この制作作業にあたったと言う事も大きいだろう。そしてこの監督は、クリストファー・ノーランが以前そうであったように、大手スタジオが放つこの映画の中にも、インディーズ的なフィーリングを込める事に成功した、というのも、もちろん喜ばしい話なのである。(Los Angeles Times)」

、とか評されているみたいですね。

神様とかから特別なパワーが与えられる事を妄想したりする人も、暗躍する政府の機関が許せないと思う陰謀論者の人も、へんな宗教グループのおかげで厭な思いをした事が有るという方々も、それぞれに楽しめそうだという、ただのエスパーファンタジーではない、気の利いた作りになっているのが、この一本らしいです。

日本公開(時期未定)を楽しみにしてください。それではまたっ!

参照元
The New York Times
Los Angeles Times

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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