映画「ウィッチ(The Witch)」の前評判

〔古代の悪魔に森で憑りつかれた少女達〕

その接し方にもよりますが、日本だと神様が平気で人々に祟るんですよね。そんな様子は、キリスト教社会から見たら、神じゃなくて魔物だ、と映るのかもしれません。

現実世界のあれやこれや、全てが自分の腕力で動かせると自信の有る向きは、太古の超自然パワーなんか恐れたり頼ったりする必要も無いのですが、まぁ、最近増えた外国人観光客が、神前において失礼な態度をとって、よけいな祟りを自国へ持ち帰ったりしないように、お祈り申しあげます。

さて、その地の事情を知らない移住者がうかつな行動をして、古くから存在するパワーに当たっちゃう、というのは、ホラー映画としても面白い題材ですが、17世紀頃の北米へ移り住んだ家族達の上にも、何かの怖い事が起きたんだよ、というのが、この映画「ウィッチ(The Witch)」が語る実話ベースのストーリーらしいです。

時は1630年。その家族、父ウィリアム(ラルフ・アイネソン)、母キャサリーン(ケイト・ディッキー)、長女のトマシーン(アニヤ・テイラー=ジョイ)、そして、ケイレブ(ハーヴェイ・スクリムショー)、マーシー(エリー・グレインジャー)、ジョナス(ルーカス・ドーソン)ら兄弟からなる6人家族は、いま、人里離れた入植地へと引っ越してきました。と、言うより、ピューリタンが仕切る居留地には居る場所がなく、追われてここへ来たといっても良いのかも知れません。

ここで、強い信仰を胸に、コーンを栽培して生計を立ててゆく。彼らに当てがわれた土地の脇には、黒い森がうっそうと茂っています。

ある日の事、トマシーンはケイレブをつれて、土地の周囲を散歩していたのですが、その歩く方向は、だんだんとあの森へ向かって行きました。彼女には、何の悪気もさしたる目的すら無かったかもしれませんが、その行動が、森の中の何かを目覚めさせてしまいます。

それは、古代からこの土地を支配してきた、超常的な存在。トマシーン達の信仰世界からは全く逆の側に居る、そう、デーモン達だったのです。

トマシーンは、その古い霊を自分の家に連れて帰ってしまいました。そして、説明のつかない不気味な現象が頻発するのに、さほどの時間も要しませんでした。

果たして、一家が抱く神への信仰心は、彼らを救う事が出来るのでしょうか?

〔ムード、照明、ショック!、一流ホラーの要素満載な一作、気になる評価は?〕

信念と思い込み、そして拘りと妄想というのは、それぞれがとても接近していて、簡単に見分けがつかないものです。別に見分けなくてもいいじゃん、と言われればそれまでですが、人間というもの、自分にはただ一つの正解しかない、と言い張っていると、意外に色んなものを失ったりするんです。

ただまぁ、天の上の存在に対する信仰は、もっと高尚な精神だと思うのですが、やっぱり先鋭化すればするほど、リスクも増えるというか、少なくとも敵は増えそうです。

その敵の中でも、一番恐ろしいのが、実存の掴めない邪悪な存在です。ホラー映画としては、その存在感をいかに醸成するかがキーとなりそうですが、

「監督兼脚本家であるロバート・エガースが、大胆にして確かな手腕で描いたデビュー作、この“The Witch”には、不気味で不安に満ちた破滅の予感が広がる。妄信的カルヴィン主義とそこへ忍び寄るヒステリアを映し出すこのストーリーは、“オーメン”、“ローズマリーの赤ちゃん”、そして‟エクソシスト”などの、ランドマーク的ホラー映画の階級へその肩を並べる一作である。本作が、そういったクラシック映画のイミテーションを超えた格とともに描かれたのは、新人とは思えないこの製作者が、その大人びた苦悶を、恐ろしい程の手腕によって構築した事の功績によるものだろう。(The Washington Post)」

、あるいは、

「エガース監督は、(舞台となる)室内を美しく飾り付けると同時に、すばやくムードを醸成する術を心得ているだろう。アートに始まった彼のキャリアは、舞台セットとコスチューム担当などを経てきたものだ。彼とそのスタッフが、この作品“The Witch”の中に召還した世界観は、細部にわたっていて没入を誘うようなものである。(The New York Times)」

、と言う、良質な怖さを思わせる批評が目につきます。

たぶん、ビジュアルなショックを最初に大々的に打ち出したスリラー映画が、「エクソシスト」だったんだろうと思うんですが、この映画もちゃんと見てみると、事件の背景というか伏線にいろいろ用意された問題が実に上手く絡まって、不気味なムードを発生していたのがわかります。

恐怖こそ、その背景が最も大切なのですね。

「話では、セーラム魔女裁判より数十年以前に書かれた日記と人物名をもとに、エガース監督は脚本を作り上げたそうだが、それは、この作品“The Witch”へ、フィルムに収められたものというより、羊皮紙の上に記された文言のような、形式を守る調子とリズムを与えるという結果を生んだのである。(The Washington Post)」

たとえ、真実だなんて事を無理にプッシュしなくても、後ろにそれなりの物が見えると、物語が僕たちの頭の中で、より明確に形を成してゆくんです。

「時代物の詳細や、自然光を思わせる照明と、人々のきつく締めあげた衣装などを通じて、信仰が生み出すファンタジーに人々の集団的思考が縛り上げられた場所での、閉塞的な恐怖感の存在を感じさせる。エガース監督は、芸術映画のような身のこなしや、このジャンルに必要なショック場面、そして、徐々に騒々しさを増す周囲の空気を含めた素晴らしいキャストなどを通じて、我々の身震いにさらなる密度を与えてくれるのだ。、(The New York Times)」

17世紀じゃぁ、北米大陸はイギリス人の入植先だったので、迷信が生きていたというだけでなく、その場所での文化は、いまのアメリカとは全然違ったはず、という訳で、本作品にも、イギリス系の俳優さん達が活躍していいます。

「しかし、本作が誰のための映画かと問われるならば、そこにアニヤ・テイラー=ジョイの名が上がるだろう。弟役のハーヴェイ・スクリムショーの脇に寄り添いながら、彼女は本作を、繊細かつ強固で、脆弱性と有能さを同時に表す演技で飾り、感銘と言うより啓示的な域へと持ち上げているのだ。(The Washington Post)」

、かわいい娘さんが魔物にいたぶられるっ、つーのも、あれですよね、ホラーのマニアさんにとっては、外せない要素ですよね(僕は、そこまで求めませんよっw)。

そして最後に、

「この監督もそうした様に、面白いホラーというのは恐怖を具現化しなければならない。とは言え、エガース監督がここで行い、見るものと作品自体も飛び跳ねさせた最も鋭い選択と言うのは、全てが破滅的に制限されているこのキャラクター達の世界観と思考の中に、踏み留まり続けたという点にある。(The New York Times)」

、と言ったような、この映画のムードと作りについての評が有りました。

〔あなたの周りにも、土地にまつわる不気味なハナシが・・・〕

どこかの土地に家を建て住み始める、というのは、どんな形であれ理由であれ、そこに以前からあるものを無理にどかして侵略する、という事にほかなりません。

人間の歴史より長い間、その土地は存在しているんですから、人間じゃないナニかだって住んでいるかもしれないじゃないですか。だから、最低限の作法をもって接する方が良いに決まってます。

今、マイナス金利になったのでローンが借りやすくなりました。あなたが、今購入を検討している家とかマンション、古くから、何かが守ってきた土地に建ってませんか?

値段と設備だけでなく、そういう世界にも慎重に接する様にしてくださいね。ではまた・・・

参照元
The Washington Post
The New York Times

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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