映画「Joy」の前評判

〔重い足枷から脱却する・・・一人の女性の成功物語〕

もう、ほとんどメディアの話題にもなりませんが、今年は格差が流行って、いやいや、格差を批判するブームがあったりしましたよね。

一般論的には、所得の低い家に生まれると良い教育環境に恵まれる事がないので、その人自身も低所得になってしまい、その子孫もずーっと低所得のまま固定される、って、まぁ所得の高い人が思いつきそうな理論が言われていると思います。

でも、必ずしも、、どうなんでしょうねぇ、トヨタ、ホンダ、東芝、日立、そんなクラスの一部上場企業に就職するなら相当レベルの学歴は必須ですけれど、それだけが、生活水準を決める訳でもないからなぁ。

一方で必要は発明の母、という考え方もあると思います。そしてその発明がまんまとビジネスにはまれば、この映画「Joy」で、ジェニファー・ローレンスが演じている女性起業家、ジョイ・マンガーノみたいに、大成功出来てしまうんです、ハイっ^^;。

でも、ジョイは、その発明品「Miracle Mop」を、大学の講堂やカフェテリアでのディスカッションから思いついた訳ではありません。

もともと、彼女の人生は、ほぼ希望の無い日々の繰り返しでした。

ジョイはシングルマザー、だけど妙なことに、その離婚したはずの夫トニー(エドガー・ラミレス)は、彼女の家の地下室に暮らしています。

母親のテリー(ヴァージニア・マドセン)は、とても無責任な人で、一日中ベッドの上に寝ころんだまま、ひたすらテレビドラマを見るだけ。あらゆる家事をジョイに押し付けてきます。

祖母のミミ(ダイアン・ラッド)は、ジョイの事を気遣ってはくれますが、やはりその世話も彼女の仕事です。

ジョイは、そんな家庭環境から、大学進学をあきらめたんです。

さて、そんな一家にもう一人、厄介者が戻ってきます。その昔、愛人と逃げた父親ルディー(ロバート・デ・ニーロ)が、他に住む場所を無くしたから、しばらく居させてくれと言うのです。

もともとジョイは聡明な女性、普段から色々と便利そうな商品を思いついたりするのですが、こんなに、ただ忙しく過ぎ行く日々の中で、その一つ一つにちゃんと向き合う事など到底できません。

しかし、誰にもチャンスは訪れるもの、ふとした事から知り合った通販番組の関係者のニール(ブラッドリー・クーパー)は、ジョイの一つのアイディアである“ミラクルモップ”に、売れる可能性を見出すのですが・・・。

と言った感じの、実話ベースの物語がこの作品だそうです。

〔ローレンス&クーパー、再びの共演で〕

僕ら一般人の中でも、日々、アイディアを思いつくという人は結構いるでしょうし、また、この映画のストーリーが、事実を基にしているというのが、僕らを勇気づけてくれるポイントでもあります。

とは言う物の、一つの映画としては、「本作“Joy”は、その表面上においては、一人の負け組が、賢くて有益そうなアイディアを、大きなビジネスに育て上げるという、クラシカルなスタイルを取っているのだろう。しかし、この映画が本当に明らかにする事とは、それとは本質的にも違う点である。つまり、ジェニファー・ローレンスなら、どんな素材でも、いつ何時も、たとえ本作のように大した事ない一本でさえ、高みに持ち上げる事が出来る、という事実である。(Miami Herald)」、とか言う評が有ります。

今の所、米国景気は上向きのトレンドを保っている、と思えるので、こういったサクセスストーリーの公開には、ナイスなタイミングです。

そして、ジャンル的にはコメディーにも分類されている本作ですが、「これは、とても酷い家庭環境から脱却して勝ち上がる、一人の女性を描くシンデレラストーリーであるが、その酷い環境について、監督のデヴィッド・O・ラッセルは、観客がそう認識する程度には十分に、しかし、彼自身がその中身を理解しているとは示さない程度に描写してみせる。そして結果として、インパクトが無いドラマと、悪趣味なコメディーの間に置かれた、変な具合に不愉快な映画となってしまった。(SFGate)」、と、かなりしょっぱい感じの批評も出ています。

日本のテレビでも、評論家さんとか経済アナリストさんが、「経済成長には国民の生活スタイルを変えるようなイノベーションが必要だ。」、ってよくおっしゃいます。でも、どっちかと言うと、そこが日本人の一番苦手な所かもしれませんね。

なんか、アイディアの本質や新規性より、社会のしがらみを守る事のほうが、日本人の僕らにとっては大切なのかもしれません。

時として、観客や批評家に刺さるような斬新な新作を放つのが、米国映画界でもあると思いますが、その発明品的な意味での本作はどうなんでしょうか。

〔関連作品〕
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「最終的に、ジョイの発明を通販番組の載せる助けをだすニールとジョイが見せる相互作用は、彼女の家族の芝居がかった様子の後では、適度な助けとなる要素になっているだろう。しかし、ラッセル監督は、ここでのキャラクター達を、まるで本人が模倣したいと願っているソープオペラの中でのように、ざっくりとだけ描き過ぎている。(Miami Herald)」、とか。

あるいは、「監督は、本作“Joy”で、斬新な何かを表す手前までは至る、それは、家族を取り巻くすべてのセンチメンタリズムを思っても、やはりそこは、心身症の生産工場なのであり、だから尊重し続けるより逃げ出した方がずっと良い、という指摘だ。しかし監督は、突き出したその拳は引っ込めてしまうのだ、というよりむしろ、本当には突き出してもいないのだろう。(SFGate)」、だそうです。

確かに、21世紀の大発明スマフォの誕生は、世界中の多くの人の生活スタイルに影響を与えただろうと思います。でも、生活に関する発明品のアイディアは、もっと本質的な世界に眠っているのかも。

それは、雑巾とかキッチンナイフとか、そういう領域の何かで、だから、僕や皆さんのちょっとした思い付きが、ひょっとしたら新たなミラクルモップに成り得るのです。

そう、様はそれを、「やるかやらないか」、ジェダイの修行と一緒ですね^^;。

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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