マギー・Qが光をあててしまった眠りの恐怖:映画「Slumber」の評価

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予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Slumber
  • 制作:
    • 2017年 Tea Shop & Film Company / Goldcrest Films International

毎夜、アナタとあちらの世界をツナげる扉が開く

人間の脳というのは、その全容積の10%しか活動していない、という俗説が有ります(いや、有りました。)

それは、休止状態にあると思われる脳細胞を全て活動させる事ができたら、自分も、とてつもなく凄い知性や認知能力が発揮できるハズ・・・、という妄想を刺激する説でもありますね。

まぁ、都市伝説というのは、合理的な根拠が薄いのが良いところなので、込み入った領域の話はここではパスします。

とはいえ、僕らの意識では把握しきれない深い部分で、脳みそが何等かの未知なる機能を果たしている事は確かです。そして、様々な超常現象の究明が、そういった部分に答えを求めているのも事実で、脳の奥底に隠された不思議な霊能力が、人間の意識が半ば眠っている状態の時に発揮されやすいという考え方もあるようです。

だから、ベッドでうとうとした時の枕元に立った御先祖様が残した、庭の南の角を掘れ、なんてお告げ通りにそこを掘り起こしたら、古い小判が一つ出てきた、、、なんてエピソードにも、少しばかりの信憑性が感じられてきます。

さて、同じ睡眠時に見るヴィジョンでも、小銭稼ぎになるものばかりではありません。と言うか、逆に、とても恐ろしいモノばかり見ると言う人も多いはずですよね。また、映像や声のイメージだけでなく、金縛りにあうケースも考えられます。

そして実は、その現象の正体は、とてもとても、とっても恐ろしいものなのだ、、、と言うのが、今回ご紹介するホラー映画「Slumber」の基本プロットです。

あなたが、暗闇の中で意識という防御壁を停止させ無防備になる瞬間。かたわらの暗がりの中で襲いかかるチャンスを伺う存在とは、一体、何者なのでしょうか?・・・

あらすじ

睡眠障害の研究・治療に関する専門家、アリス・アーノルズ(マギー・Q)の下に、今、一組の家族が相談に訪れています。

彼らは、父親チャーリー(サム・トロートン)と母親サラ(クリステン・ブッシュ)、娘のエミリー(ホナー・ネフジー)、そして息子のダニエル(ルーカス・ボンド)ら4人の、モーガン一家です。

実は、最近この一家は、1人の子供を夢遊病に関係する事故で亡くしています。そして、残された子達にも同じ様な事がまた起こるのではと心配しているのです。

なんでも、両親によると、ダニエルが毎夜のように金縛りにあい、暗がりから迫りくる恐ろしい存在の事を口にするようになったという事。

科学者であるアリスは、このよく聞く金縛り現象については、当然のように合理的な解釈を持っています。その恐ろしい怪物は、「あなたの脳が生み出したイメージにすぎないのよ」、とダニエルを励ましましたが、彼の両親は、そんな問題ではないのだと主張します。

何故かと言えば、一家全員が睡眠中に同様に恐ろしい目にあっている、との事。

という訳で、モーガン一家全員を自分の施設に入院させ、眠っている間の行動をモニターする事にしたアリス。夜中の同じ時刻に、睡眠中である彼らが起き上がり部屋の中を無意識で歩き回る様子を確認します。

さらには、アリスに対してチャーリーが暴力的な行動を取った事から、一家の睡眠異常には、彼のDVが根底的な原因となっていると言う仮説がたてられました。

これによりチャーリーは留置所へ、しかしもっと悪かったのは、彼が居なくなった後でも一家の異様な行動は止まりそうもない事です。

実は、アリス自身も睡眠障害に関係する悲劇的な体験がありました。子供の頃、兄を夢中歩行による事故で亡くしているのです。さらに、彼女の愛娘も悪夢を見るという症状を訴えています。

それでも、全ては人の脳の機能に障害があるから起こるのであって、研究が進めば確実な治療法が見つかるはずだ、というのがアリスの信念。

しかし、モーガン一家についての調査が進むにつれ、その科学的考え方とは違う説明が成り立つかもしれないと、アリスの同僚でもあり職場内の変わり者としても有名な、カム(ヴィンセント・アンドリアーノ)は主張してきます。

ばからしい事かもしれませんが、古代から人の眠りに憑依する魔物がいて、その連中がモーガン一家を餌食にしようとしている、と言うのです。

そして、明らかに常識外れなその説明が、徐々に信憑性を増してゆく中、アリスは自身の過去に起きた悲劇の原因にも近づいて行くのですが・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ジョナサン・ホプキンズ
  • 脚本:
    • リチャード・ホブリー
    • ジョナサン・ホプキンズ
  • 制作:
    • パスカル・ディゴーヴ
    • ジェームズ・ハリス
    • マーク・レーン
    • ケイト・グローバー
    • ジョン・カナック
  • 出演:
    • マギー・Q
    • ルーカス・ボンド
    • ホナー・ネフジー
    • サム・トロートン
    • クリステン・ブッシュ…他

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金縛り現象にまつわる恐怖の真実!、気になるその評価は?

ファンタジー好きな映画ファンとしてみると、今年2017年の晩秋にディズニー&ピクサーが放り込んできた、「リメンバー・ミー(Coco)」のように、ロマンチックな形で死者の霊と通じる話も、まぁ悪くはないのでしょう。

しかし、もうちょっとホラーな領域を探索したい観客にしてみると、映画界も、ほんわかムードを売る事が主力になる感謝祭からクリスマスにかけての晩秋の時期は、お気に入りの作品が見つかりにくい季節でもありますね。

そんな状態に置かれたアメリカの映画ファンに、やっとこさっとこ与えられた祝日の美味しいブランチであるのが、この映画「Slumber」と言う訳です。

主流派ホラージャンル映画ファン向けに作られた・・・

エクソシスト」が、あれほど恐ろしかったのは、基本に重々しいストーリーテリングが有ったからです。

そして、ある意味その真逆、つまりスプラッター的描写で伝説を作ったのが、「死霊のはらわた」でしたし、リアルかもしれない、と世間をざわつかせて成功したのが「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」でした。

そして、その3者を上回る新規な方向性は、ハリウッドからも未だに生まれていない気がします。

そんな中で、気になる本作の作り込みについては、まず、

「ストーリーが1/3程に差し掛かった時点で、この超常現象スリラー映画『Slumber』の主役である睡眠研究学者のアリス・アーノルズの下へ、一枚のミステリアスなメモが届けられる。悪夢によって苦しめられている患者を治療しつつ、自身の過去における謎に直面するという、このアリス役として、マギー・Qの演技は観客を惹きつけてみせるし、脚本と監督を務めたジョナサン・ホプキンズは、キャストの全員を適切に導きながら、作品に磨きをかけつつ確実なものへ作り上げたとも言える。しかし、幾多の技術的専門用語と時間的な背景を盛り込み、そこに洗練さを漂わせていたとしても、依然としてこの作品は、再び登場した悪魔憑依系映画の一作、と呼ぶべきものでしかないだろう。(Los Angeles Times)」

、と言う評価が与えられてもいますが、最後のシメに視覚的な怖さがないと、ホラーを観た気がしないという人も多いでしょうから、なんとも言えないところです。

制作手腕が感じさせる将来性

毎年、映画界に旋風を巻き起こす作品の多くが、B級のスマッシュヒットだと思います。

そう考えると、映画作りにおいて最も大切なのは、大型予算ではなく適切なプロダクションデザインと演出、そして編集の手腕だと言えるでしょう。また、その辺りの映画作りに関する妙技が、一番効果的に活かされるのが、娯楽恐怖映画のジャンルであるはずです。

そんな角度から、本作については、

「そのオープニングで、現実の出来事に着想を得た、と、それらしい雰囲気を漂わせる文章が表示されるこの映画『Slumber』は、前半部分では、この(ホラー)ジャンルにおいて平均を上回る作品である、と予感させもする。監督兼脚本家のジョナサン・ホプキンズは、この物語を医学的な睡眠障害研究という枠組みの中に置きながら、そこにゾクっとする不安感を染み渡らせてみせる。そして同時に、エグゼクティブプロデューサーも務めたマギー・Qが率いるキャスト達は、このシナリオを驚くほどのシリアスさと自然さの中に描写してみせる。だとしてもやはり、一度は抱かせる本作の期待感も、度重なり見せられるいつも通りのドッキリシーンによって、すり減らされて行く結果となるだけなのだ。この『Slumber』は、最終的にみれば印象にずっと残るような一本とは言えない。それでも、作り込みや演出の手腕に見られる美観そのものは、監督であるジョナサン・ホプキンズが、より良い素材を与えられたなら、頭角を現し得る人物である事を示唆しているだろう。(Variety)」

、と言ったような評価が書かれています。

興行成績ランキングの上位など取らなくても、充分に黒字化できるのがこのクラスの映画ですので、うまくしたら、さらに改良されたパート2も作られるのかもしれません。

クライマックスの恐怖

怪談話では定番のアイテムでもあるのが、金縛り現象です。

日本では、お盆近くになると繰り返し聞くこのエピソードについて、合理的な解釈を求めるのなら、脳内の肉体をつかさどる部位が睡眠状態のまま、認知や知覚に関する部位が覚醒した状態である、となるのでしょう。

とは言うものの、それもフリンジサイエンスの一種みたいな解釈ですから、教養の塊みたいな立派な科学者の人が深く研究しているという話ではなさそうです。

一方で、心霊現象として金縛りの恐怖は現実に存在する、と主張する人も少なくないし、その様な事情が本作「Slumber」のプロットにおいて、主要な骨格にもなっています。

その作品について、最後に、

「金縛り、を体験した人であれば、そこに待つ恐怖について知っているはずである。幸いにして、この身も凍る現象自体は1分間か2分間程度しか持続しないものだが、不幸な事に、ジョナサン・ホプキンズ監督によるホラー映画『Slumber』では、それよりはるかに長く恐怖が持続する。そして、上映時間のかなりの部分がその状態に置かれるとは言いつつ、この映画は結局、長たらしくもやり過ぎなクライマックスに落ち込むもので、それは映像的にも筋書きとしても安っぽい結果を生んでいる。かなりの場面を、整然としているとはいえ観客の多くがそこで一夜を過ごそうなどと思わないだろう、睡眠障害の治療研究機関に置きつつ、その中で抑制の効いた物語を構築してみせる本作が、最後は力業に頼らなければいけなかったのは、実に残念な事と言うべきだろう。(The Hollywood Reporter)」

、と言った様な評価が書かれているのをご紹介しておきます。

あなたは、まだ、眠りの真実を知らない・・・

ヒトの脳には、受け取った情報をそのまま受け入れる以外にも、ひっくり返す能力や、ひねってみる能力とか、忘れる能力に加えて無視する能力など、幅広いアビリティが備わっています。

それら、一つ一つの力は、僕達が人間社会で快適に暮らすために、なくてはならないものです。

そして、自分の脳みそがそれ程に複雑な物だと知っているが故、僕らは、さらに先にある超常的な可能性を夢想してしまいますし、その領域にも、まだまだ探求すべき事項が残っているのは確かです。

何と言っても、人間の意識や魂がどこに存在しているのかさえ、未だに科学的で最終的な説明はなされていないのですから。

今日の夜も、日本のどこかで、脳が半覚醒状態にある誰かが金縛りにあいます。それは眠っていると言うよりむしろ、その人の普段使わない感覚が覚醒している瞬間なのかもしれません。

その時、唯一動かせる眼を通して部屋を見渡せば、普段は目に映らないモノ、家具などの物陰に潜んでいる黒い何かの姿を、はっきりと確認する事ができるでしょう。

眠るのが怖い・・・、それこそ、この映画「Slumber」のタグラインでもあります。みなさんも、どうぞ気を付けてください。

それではまたっ!

参照元
Los Angeles Times
Variety
The Hollywood Reporter

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ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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