映画「Most Beautiful Island」:美しき容姿が導くアンダーグラウンド世界

〔広告〕

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Most Beautiful Island
  • 制作:
    • 2017年 Glass Eye Pix

ルックスを売るビジネスの危険な誘惑

現代社会においては、テレビ地上波放送の番組に繰り返し顔を出す事は、国会議員になるよりも大きな社会的影響力を持っています。

毎日、その愛らしい姿を画面の中で披露する芸能人は、遠い議事堂の中で、難しい上にポイントを欠いた話し合いを続ける先生達よりも、ずっと馴染み深い存在ですし、僕達のライフスタイルにも直結している事は確かです。

と言う訳で、カメラのアップに耐える外見が自慢だと言うハンサムで若い男女が、今日もエージェント企業(芸能事務所)のオフィスを訪問しているでしょう。

人間の世の中全体を発展させる原動力としても、そういった夢を追いかける人達の存在は、大切かつ不可欠ではあります。

ですが、そうであったとしてもなお、この芸能人ビジネスには、構造上の大きな問題が1つ有ります。それは、ムードに流されやすい大衆心理が、タレント個人の価値を決定する全権を持っている、という構図です。

そういった業界では、一度あなたに付いたプライスタグも簡単に値を下げてしまいますし、同時にそんな事情が、芸能界は甘くないと言われる根拠にもなっている訳です。

まぁ、別の見方で、外見的上の魅力についての良い面に注目すると、ご自分の姿を人に見せる事で収入を得られるというのは、とても素晴らしい事だとも言えますし、この世界には、そうしなければならない事情を抱えている人々も、また多くいるのでしょう。

さて、今回ご紹介する映画「Most Beautiful Island」の中心に居る一人の美しい女性も、自身のルックスを使って収入を得ようとしているらしいのですが、彼女には、芸能界に挑戦する事も許されない、一つの大きなディスアドバンテージがある様なのです。

この女性が、細々とでもなんとか生活しているのは、世界で一番美しいはずの場所、マンハッタン島。

しかし、彼女につけられる価値はあまりに低く、改善の兆しも有りません。そんな様々な状況に追い詰められ、思い余ったあげく彼女が最後に足を踏み入れた先とは、きらびやかな賑わいの陰にかくれた大都会のダークサイドだったようなのです・・・

あらすじ

ルシアーナ(アナ・アセンシオ)は、スペイン生まれの美しい女性。現在はニューヨークのマンハッタンに暮らしています。

とは言え、彼女は訳アリの人物。実は、観光ビザで入国したまま、ここにオーバーステイしているのです。

従って、彼女の住んでいる部屋も、衛生面ではかなり問題があるようなボロアパート。その家賃ですら、支払って行くのが難しいという生活です。

今、ルシアーナが就いているのは、地元の生意気な子供2人のベビーシッティングと、人目を引くため素肌を露出した衣装で行う、レストランの客引きという救われない仕事。

それでも、彼女はスペインには帰りません。そこには、もっと居心地の悪い環境が待っていると分かっているからです。

と言いつつも、ぎりぎりの生活は彼女から気力も奪い去って疲れ切っているのも事実。そんな折、有人であるロシア人女性オルガ(ナターシャ・ロマノヴァ)が、とある美味しい仕事を紹介してきました。

その仕事内容とは、この街のどこかにある秘密の地下室で、セクシーなドレスを身に着けパーティーに参加するだけというもの。

ただ、その場所にオルガも来るのか、と尋ねたところ、彼女は参加しないと言い、ルシアーナに地下室の場所だけを教えました。

もちろん、疑念を感じるルシアーナでしたが背に腹は代えられない。という事で、要求されたように魅力的な衣装を新調し、指定の地下室へと向かいます。

行ってみると、その暗い地下室には、彼女のような外国人の美人ばかりが何人も集められています。そして、無表情で不気味なマダムが、その場を取り仕切っている様子。

何が起こるのか不安になるルシアーナの前で、1人、また1人と、妙なドアの中に呼び込まれて行く女性達。

明らかに、普通の状況ではありません。

もし、自分に何か最悪な事が起きたとしても、違法移民である彼女は、この社会にはもともと存在しないと同じ。行政も警察も、たぶん何もしてくれないでしょう。

不安と恐怖がルシアーナの中で大きくなる中、とうとう、彼女に声がかかりました。

はたしてルシアーナは、無事にここから出る事が出来るのでしょうか?

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • アナ・アセンシオ
  • 脚本:
    • アナ・アセンシオ
  • 制作:
    • アーメット・S・ビルゲン
    • ホセ・マリア・ガルシア
    • ギル・ホーランド
    • ラリー・フェッセンデン
    • ノア・グリーンバーグ…他
  • 出演:
    • アナ・アセンシオ
    • ナターシャ・ロマノヴァ
    • ニコラス・トゥッチ
    • ラリー・フェッセンデン
    • アミ・シェス…他

〔広告〕

マイノリティ女性が体験する最悪の1日、気になるその評価は?

隣の芝生はいつも青いものです。それを見た多くの若者が、自分を囲っている垣根を飛び越え、もっと可能性のある世界に飛び出したいと切望します。

世界中から、情報や富、そして才能が集まり続けるマンハッタンの大都会は、大志を抱くそんな人にとってぴったりの目的地。

ですが、そんな場所だからこそ、自分にとって唯一の自慢である才能も並みレベルに埋もれてしまい、競争に敗れ、結果的に社会の下層へと追いやられる危険性も有り得ます。

そんな中から成功を掴んだ人の語る教訓は、何よりも重みがあると言え、その人物の1人が本作を作ったアナ・アセンシオです。

惹きつけられるに十分な監督デビュー作

この映画は、そんな彼女の経験がモチーフになった興味深いフィクションですが、

「ニューヨークに住む移民が体験する暗黒。それが、アナ・アセンシオにとって脚本&監督のデビュー作であり自身が主演も務める、この『Most Beautiful Island』の中、謙虚さを保ちつつ効果的でゾッとするドラマとして描かれる題材である。撮影監督のノア・グリーンバーグ、そして、音響デザインのジェフェリー・アラン・ジョーンズの力も借りて、アセンシオ監督は、止まることなく追い続ける視点を用いると同時に、忙しい都市の情景や引き伸ばされた静寂などを込めつつ、不安感と恐れを沸き立たせてゆく。(The New York Times)」

、と言うように、なかなかサスペンスフルに描かれているもののようです。

結末がわかるまで離れられない

そして、新進の作家が描くスリラー系映画というと、映像効果などにたよりきったB級作品も多そうに思えるのですが、

「実は、スペイン生まれの女優であるアナ・アセンシオ自身が過去に忍耐を強いられた、(容姿を曝す事で)単に人の目を楽しませるだけの仕事というのが、この映画「Most Beautiful Island」の着想のベースとなっている。そんな本作は、背景構築の段階から決着に至るまで興味が尽きる事はない一作と言える。特に、怪しげな地下室に立たされた女性達が、1人ずつ部屋へ呼び込まれて行く段では、アセンシオ監督は、その先に有り得るサディスティックで最悪な出来事を想像する様に我々を促がして見せる。彼女のように華奢なだけの美人が、このような状況でどう抵抗できるかという問題も、最終的には正しい答えが与えられるが、その部分こそが、この実績もない映画製作者が観客達から何かしらの信頼を勝ち取るポイントと成り得るだろう。(Variety)」

、と言う批評もあって、映画的にもその見応えが評価されている、そんな印象が伝わってきますね。

見応えある演出と演技

おそらくですが、そこに居てはいけないと言われつつも、搾取しやすい相手としては経済的に便利に使われているのが、不法移民なのだろうと思います。

そして、彼ら皆が人間である以上、その周囲に生まれるドラマには、なんらかの意義があるはずなのです。

その問題を、観客の興味を引きやすい形として上手く織り込んだのが、この「Most Beautiful Island」という事のようですが、最後に、

「ここでのルシアーナ役としてアナ・アセンシオは、状況が徐々に切迫度を増す中、最後に残された人間性の切れ端に必死にすがり付こうとする女性の、記憶から消えないような存在感を表現している。そして同時に、制作者の立場からは、この素晴らしくもダークかつ恐ろしいファンタジーを紡いでみせてもいる。しかしながら、(地下室の)ドアの向こうで待つものの正体が明らかになった時点では、この映画のパワーもやや弱まるのも事実だ。だとしても、アセンシオ自身の気概と見ごたえのある演技に支えられ、この映画は、(アメリカで)しばしば無視される住人達への断固たる目線を、我々に指し示すものとなっているのだ。(Los Angeles Times)」

、と言う批評も書かれていたのをご紹介しておきましょう。

君の魅力があれば必ず成功するよ、でもね・・・

自分の容姿を現金化できるとしたら、それはゼロから利益を直接生み出す、ある意味で超越的な一次生産と呼ぶべきビジネスに成り得ます。

まぁ、現実にはそのキャッシュフローは、パトロンとなった企業(多くは製造業)が起点となっているので、まったくのゼロからではないのも事実。

そんな事情の中であっても、多くの人から愛されるという事は、依然、あなたにとって最大の価値であり才能です。そしてまた、愛情や愛着は、いつか冷めて消えてゆくものでもあります。

その段になれば、生み出していたはずの利益も、あっと言う間に消滅してまうでしょう。

華の命は短い、そこにこそ美学があるとは言うものの、せっかく与えられた外見上の魅力を、資本家によって搾取の対象とされ、異様なアンダーグラウンド世界に落ちないよう、充分お気を付け下さい。

それではまたっ!

参照元
The New York Times
Variety
Los Angeles Times

〔広告〕

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。