ディザスター超大作映画「ジオストーム(Geostorm)」の気になる評価

繰り返す天変地異を治めるのは、誰?

世界で最も影響力のある文化芸術組織であるハリウッド映画界は、その業界創立以来、巨大資本と数えきれない人材、そして膨大なエネルギーを投入してまで、自身の愚かな行為が原因で滅亡して行く人類の姿を描き続けてきました。

にもかかわらず、地球温暖化抑止の枠組みが、いくつかの国によって利益を奪い合うための舞台に成り下がっているのは、まさに愚かな行為そのものでしかありません。

歴史の上では、地球が終わる日を明確に予言した人物も数知れず存在しますが、その予告の的中率が見事に0%だという事実もまた、この問題に関して人々を鈍感にさせる大きな要因となっているはずです。

何にしても、全人類のための啓蒙的映画を作り続ける使命から、ハリウッドが解放されるのはもうちょっと先の事のようです。

どうせ作るなら、観客がじんじんくる程ド派手なディザスターを描写しよう、という事で、再び、ぐらぐらゆすられてグデングデンになる地球を最新VFXで描き切ったというのが、今回ご紹介する映画「ジオストーム(Geostorm)」です。

地球を救うカリスマ科学者を、あのジェラルド・バトラーが演じているという文字通りのメジャー超大作で、日本の公式サイトも立ち上がっている以上、詳しい情報や解析は、他のエリート級の映画サイトをご覧いただくべきでしょう。

このサイトでは、この映画の本国での評価について、少しレポートをさせていただく事にします。

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ディーン・デヴリン
  • 脚本:
    • ディーン・デヴリン
    • ポール・ギヨー
  • 制作:
    • ドン・グレンジャー
    • マーク・ロスキン
    • ディーン・デヴリン
    • デヴィッド・エリソン
    • ダナ・ゴルドベルク…他
  • 出演:
    • ジェラルド・バトラー
    • ジム・スタージェス
    • アビー・コーニッシュ
    • エド・ハリス
    • アンディ・ガルシア…他

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地球の危機ジオストームを鮮烈に描くストーリー、気になる評価は?

どんな正義にも、どんな理念や技術にも、そして予言にも、必ず明部と暗部があります。

人類の終わりを知らせようとする予言が持つ最大の欠点とは、あまり語り過ぎると陳腐化して誰もまともに聞かなくなる事です。

映画にディジタル画像処理が取り入れられた当初は、世界中の観客の心に深く突き刺さったディザスター描写ですが、1年を通して公開される殆どの作品の中で、おなじ都市が同じ構図で破壊され続けるようになってしまえば、不都合な予言としての価値も薄れてしまうのです。

そんなご時世にもかかわらず、歯を食いしばるように1億2,000万ドルの予算を投じて制作された本作には、

「デカくて、ばからしく退屈な、この映画『Geostorm』は、『インデペンデンス・デイ』の脚本家ディーン・デヴリンに監督デビューの機会を与えようと、また同じようなプレイブックを描いてゆくものだが、このゲームに必要なルールは忘れられたようである。もちろん、この世の終わりなどやってこないが、「アルマゲドン」のレベルにも達していないのが事実なのだ。最終的には世界を破壊する陰謀に焦点が移ってゆくこの話であるが、監督と脚本を共同執筆したポール・ギヨーらは、その犯人についての背景をほとんど構築していない。さらに不思議に思えるのは、この世の終わりが迫っている状態で、登場人物達の内面に観客の関心を向けさせないようにしている点だ。ここでの、ジェラルド・バトラーとジム・スタージェスの演技を見れば、デヴリンは実写映画で俳優の演出をしないほうが良いのは明白であるし、画面上で奇妙にも動きが感じられない災害の場面からは、CGの演出にも手を出さないほうが良いと言う事がわかるだろう。(The Hollywood Reporter)」

、などとも書かれていて、ちょっと厳しすぎじゃないか、という気もします。何と言っても、米国公開前から既に日本でのお座敷も決定している超話題作なのですから、スペクタクルが安っぽいなんて事は許されないのです。

さて、社会教育的な話は別にすると、巨大な娯楽を世界中の劇場に配信するのが、巨大予算で作られた本作の一番の目的です。

そして、

「もし私が、誰かと共に世界の終わりを目の当たりにするとしても、ジェラルド・バトラーを第一候補には上げないだろう。とは言え今の私に選択権はない。今回、バトラーには、破滅のカウントダウンを睨みながら、宇宙空間に浮かぶ気候制御システムを修理するという仕事があり、私の方には、本作『Geostorm』が終了するまで時計を睨み、その後に、事の顛末を全て報告するという仕事があるのみだ。今回私は、人生初の4DX上映をこの作品で体験した。そこでは、作品内の状態を再現するために、雨の夜のタクシー乗車から高速のチェイスシーンにおける振動、さらにはゼロ重力の時の体の傾きなどまでが体験できる。個人的には、それは上手く機能していると思うし、次の4DX作品が楽しみになってもいる。反主流派の天才科学者という役どころは、ジェラルド・バトラーにとっては良くも悪くもないものだろう。とは言え、一貫性を見せられるというのが、彼の最大にしておそらく唯一の魅力なのだ。(The New York Times)」

、と言ったように、かなり本作の娯楽性を楽しんだ批評家の人もいます。

また、別のところでは、

「もしあなたが、砂漠を襲う津波や、加熱された街の車道で卵が調理されるとかいう様子を観てみたいと思ったのなら、この映画『Geostorm』はまさにぴったりの一作である。また、最近の大型ハリケーンの影響を実際に受けたという数百万の内の1人であるのなら、ディーン・デヴリンにより悪いタイミングでリリースされた本作は、我々の大統領が現実の窮状に対して見せたものより、さらに無神経かつ侮辱的な態度をあえて示すような一作になるだろう。結局、悪い天候よりリアルな影響のあるのは出来の悪い映画でしかなく、その意味で言っても、本作『Geostorm』についての予報は当たっていたと言わざるを得ない。この中で、宇宙ステーションのソフトを修繕して、大規模災害を消し去るというアイディアを、デヴリン監督がどこで思いついたかなど気にするにも値しない話だ。この映画は、本当に科学に関心のある人は自身で地球温暖化を食い止める行動をとるし、映画に描かれる最悪の事態を楽しむ事などしないと、ちゃんと認識して作られたものなのである。(Variety)」

、と、ドライな評価も書かれています。

クールなデザインの人工衛星を使い、地球規模で気象を制御する事は、人類の大きな夢の一つでもあります。ですが、そんな技術、ロズウェルに墜落したUFOの中でも覗かないかぎり、見つかりそうもありません。

まぁ、少し現実的に考えてみると、大気中の二酸化炭素濃度を制御するため、人口光合成の技術を実現するほうが合理的だし近道だろうと思えます。

ジオストームは2018年1月公開予定

この映画の中では、地球温暖化による悪影響は巨大な科学によって抑え込まれ、その新しい調和を壊すのはどこかの狂人(のような犯人)だという設定です。これは、物質文明が環境を破壊していると糾弾されて憤慨している、文明的保守派の人には訴求力がある部分と言えます。

そして結局、この「Geostorm」のような映画が壮大なおとぎ話でしかない以上、環境問題に関する過剰な緊張感を逆に緩和する作用も与えるでしょう。

そんなこんなのために作られた本作の、1億ドルを優に超える予算は、それなりな量のエネルギーと物質の消費へと向けられました。

ディザスターはヒーローにより解決され、しばらく経てばこの映画もブルーレイとして発売され、僕らはまた、日常の生活へと戻ってゆくのです。

この繰り返しが続くというのが、一番の幸福という事でしょう。それではまたっ!

参照元
The Hollywood Reporter
The New York Times
Variety

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ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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