ディラン・オブライエンが世界戦争を止めるっ!:映画「American Assassin」について

陰謀渦巻く裏の世界へと飛び込む一人の青年

この世界は、「陰と陽」の2側面でなりたっています。光ある所には必ず闇があり、人には表の顔と裏の顔があるのです。

表面上見えている世の中の姿は、実は真実を全て反映している訳ではありません。そして、一般人に対しては隠ぺいされた裏の世界で、さまざまなパワーゲームが進行しているのが、僕らの住んでいる人類の社会というもの。

そんな世界の平和と騒乱の2局面を天秤にかけて、常にバランスする様に画策するのが、先進各国が持っている諜報機関の役割ですが、これまた、アクション映画にとって鉄板のネタでもありますね。

スパイは、ビジネス界でのキャッシュフローも生み出すという訳です。

フィクションの中では、毎日5,6人は人を殺しているスパイですが、まぁ、実際のスパイというのは、普通の社会生活に溶け込んで、裏側から何かをしているものです。だから、本当は米国CIAなども、僕みたいに華も無い目立たないヤツをリクルートするんじゃないかと思うのですが、映画の中では、そんなつまらない事が描かれるハズもありません。

かくして、この映画「American Assassin」でスパイに抜擢されたのも、アメリカのみならず世界中の女性映画ファンを引き付けるイケメン男性。

ただ彼は、ある最悪の出来事が原因で、世界を転覆させようとする連中への復讐を誓った、という複雑な背景を持つ人物のようです

あらすじ

陽光溢れるスペインのリゾート、イビザ島。

アメリカ人青年、ミッチ・ラップ(ディラン・オブライエン)は、1つの大きな決意と共に、このロマンチックな旅行に望みました。

ガールフレンドのカトリーナ(シャルロット・ヴェガ)に、結婚を申し込もうというのです。

もちろん、彼女の答えはOK。美しい浜辺で2人はまさに幸せの絶頂へと昇りつめました。ですが、それもほんの一瞬の間だけの夢と果てます。

なんと、そのビーチをイスラム系テロリスト集団が襲撃、無差別に銃を乱射し始めたのです。つい先ほどまで人々の笑顔にあふれていた浜辺が修羅場と化す中、ミッチの視界に飛び込んできたのは、テロリストの残虐な銃弾に倒れるカトリーナの姿。

彼女は、この事件で命を落とします。

以来、ミッチの人生は一変しました。今や彼の生きる目的は、あの時に襲ってきたテロリストを全員探し出し、自分の手で殺害・復讐するという事のみ。

彼は、格闘技、武器の扱い、そしてアラビア語までも独学で習得し、なんとテロ集団へと単独で潜入してゆきます。そして、そんなミッチの存在は、テロ組織を監視し続けているCIAの副長官、アイリーン・ケネディ(サナ・レイサン)の目にも留まる事となりました。

アメリカ諜報部はミッチをリクルート、彼にしても、テロ集団を追う仕事が今までよりしやすくなりそうなオファーを、断る大きな理由もありません。

かくして彼はスパイとなり、‘オリオン’という暗号名をもつ極秘プロジェクトの一員となりました。とは言え、直ぐに現場へアサインされるのではなく、バージニア州ロアノーク郊外の人里離れた施設で、まず一定の訓練期間をこなさなければいけません。その教官を務めるのが、元ネイビーシールズの敏腕、スタン・ハーレー(マイケル・キートン)です。

もともと組織に縛られる事を望まないミッチでしたが、プロによる本格的なトレーニングを受け、スパイとしての頭角を現してゆきます。

そして、晴れて本当の任務が彼に与えられる日が訪れました。その仕事とは、元オリオンのメンバーで裏切り者である、ゴースト(テイラー・キッチュ)という男により盗まれ、中東近方に隠されていると思われる核弾頭を、ハーレーと協力しあって捜索し取り戻す事。

どうやらゴーストは、この兵器を使って、再びこの世界を戦禍の中へ叩き込もうと企んでいるらしいのです。

初の任務が、人類の未来を救うという大仕事になったミッチ。果たして彼は、ゴーストを見つけ出し、第3次世界大戦を防ぐことが出来るのでしょうか・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • マイケル・クエスタ
  • 脚本:
    • ステファン・シフ
    • マイケル・フィンチ
    • エドワード・ズウィック
    • マーシャル・ハースコビッツ
  • 制作:
    • エイダン・エリオット
    • ダニエル・M・スティルマン
    • ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ…他
  • 出演:
    • ディラン・オブライエン
    • マイケル・キートン
    • サナ・レイサン
    • テイラー・キッチュ
    • シャルロット・ヴェガ…他

期待通りの娯楽スパイアクション、気になるその評価は?

リアルなスパイは、何も、アストンマーティンやランボルギーニをぶいぶい言わせて乗り回すなんて目立つことはしません。

そう、何にしても、現実は期待外れな事が多いのが常なのです。逆に、それだからこそ、フィクションの中でのスパイについて、人々の妄想は膨れあがってしまう事になります。

しかし、ファンタジーの世界だとは言っても、ある程度のリアリティも必要かもしれませんが、この映画については、

「『24』のコンサルタントでもある、ヴィンス・フリンが2010年に出した書籍を原作としたのが、この映画『American Assassin』であるが、これを『アメリカン・スナイパー』と同列に扱ってはいけない。監督のマイケル・クエスタは、ドラマの『HOMELAND』シリーズに8話分のクレジットがあるとは言うものの、CIAアクション映画に有りがちなセリフで格好良く飾った、本作のようなスパイの世界の演出は得意でもなかったようである。常に存在感が冴えるマイケル・キートンでさえ、誰かが書き上げましたという印象が満載のセリフの中では、描写できる事も制限されてしまうというものなのだ。そして、‘ジュニア版007’かのように演じるディラン・オブライエンは、確かにアスリートのごとく疾走してくれるのだが、その一本調子な演技力からは、カリスマ性だけでなく魅力も感じられないのである。(Boston Herald)」

、と、これまた辛辣な評価が見られます。

こういった分野は、ハリウッドの比較的に楽な収益源ではないかと思うのですが、同時に、定型的なストーリーテリングに終始すると、一種の堕落へと落ち込むリスクもあるという事なのでしょう。

他の所では、

「ディラン・オブライエンを主役に据えた本作、『American Assassin』は、残虐なテロリスト集団と、高速の追跡劇やアクション、そして盗まれた核兵器など、お馴染みの要素を一通り揃えた映画である。そして、その問題点とは、すべてが、お馴染み過ぎるという事だろう。『バードマン』以来、キャリア上の復活を成し遂げたマイケル・キートンは、ここでのクールなタフガイ役に真実味を持たせている。しかしそんな彼も、この裏にある諸々の要素が結局はバカらしいものでしかないと、そう見透かしているような皮肉な愉快さも伝えてしまうのだ。オブライエンも身の入った演技をみせてはいるが、やはり、マット・デイモンやダニエル・クレイグには及ばない。(The Seattle Times)」

、と言う評論もあります。

批評家の先生方が、いろいろと言うのはいつもの事です。しかしまぁ、なんと言っても、ひと時だけ非現実的なアクションに没頭させて、日々の憂さを忘れさせるというのが、娯楽アクション映画の唯一の目的。それに最も合うのが、イケメン(あるいは美女)のエージェントが爆発と弾丸をかいくぐるスパイものだというのも、確かな話でしょう。

さて、そんな中の一作と思しき、この「American Assassin」について、最後に、

「おそらく、ミッチ・ラップという役どころにディラン・オブライエンがしっくりくる日も訪れるかもしれない。しかしながら、その出発点となる本作、『American Assassin』での彼は、まだまだのレベルだ。髭面により少し汚した風体になっているとは言え、ここでの彼は、「メイズ・ランナー」で演じるキャラクターより少し年上で、すこしばかり怒りの熱が上がったという程度に留まっている。(作品中にいろいろある中でも)マイケル・キートンはキーとなる存在で、本作の殆どのアクション要素は彼のために書かれていたりする。そしてその物語は、公式通りに描かれた各アイテムの中に、少しばかりの本当のスリルを混ぜ込んで、分かり切った結論に達するまでの時間を装備や兵器のこまごました話で繋げつつ、見慣れた場面を別の見慣れた場面によって、次々と覆い隠して行くだけなのである。(Washington Post)」

、という評価も書かれていました。

いわゆる、鉄板のスパイアクションを見たいと感じている観客層には、ぴったりの一本だと言う事です。

スパイを見るか、スパイになるか、スパイされるか!?

スパイは、どこにでもいるからこそ、スパイ。ひょっとして、アナタの横に座っている、さほど身長も高くなくイケメンでもなく、いつもボーっとしている男性が、実は某国諜報部のエージェントかもしれません。

それがリアルというものです。

別の角度で考えてみると、ありきたりのアクションの繰り返しと言われながらも、ハリウッドでスパイ映画が作られ続けるのは、そこに少しばかりのリアリティが有る事を、観客達が理解しているからです。

同時に、こういった映画が、米国人のスパイ活動アレルギーを緩和する一種のプロパガンダになっているかもしれません。

そして、世界の諜報戦の中で、最も負け組に入っている日本という国の国民としては、そんな映画でも純粋な娯楽として楽しめるという事で、これまた世界で一番幸せなポジションに座っている事になるのでしょう。

それではまたっ!

参照元
Boston Herald
The Seattle Times
Washington Post

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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