リース・ウィザースプーンの離婚コメディ:映画「Home Again」の評価

映画製作、最良の語り口がベストではない!?

映画でもなんでも、それが成功するためには、より多くの人からの共感を勝ち取るのが大切、なのだそうです。

ただ、一つのストーリーが十分な集客力を発揮するには、そこに一定の驚きも必要。マジョリティの人が無条件に受け入れるアイテムを1から順に並べるだけでは、新たに執筆するという意味が無くなってしまいますからね。

かくして、作家の方達は、次の作品に新鮮なスパイスを聞かせようと頭を捻るのだと思いますが、その味付けが受け手側の大衆にどう解釈されるか、というのも運任せな訳で、能力や才能がすべて備わったプロフェッショナルの方であっても、時として的を外す事があるのです。

さて、その‘解釈のされ方’という意味において、意図した以上に高いハードルが設定されてしまい、その作風以外の部分で解釈・評価されているのが、ここでご紹介する「Home Again」という映画かもしれません。

映画監督ハリー・マイヤーズ・シャイヤーのデビュー作である本作は、リース・ウィザースプーンが人生と恋愛のやり直しを模索する姿を軽やかに描く、明るいロマンティックコメディ、との事です。

あらすじ

アリス(リース・ウィザースプーン)は、つい最近離婚が成立したばかりの女性。2人の娘、イザベル(ローラ・フラナリー)とロージー(エデン・グレース・レッドフィールド)の親権を獲得し、これまで暮らしていたニューヨークからロスにある実家へと戻ってきたところです。

そんなアリスは、この地でインテリアコーディネーターとしてやって行ければ、なんて考え中。

さて、その問題の実家、見てみるとなかなかな家屋。と言うのも、アリスは、元映画監督(既に他界)の父ジョン(デビッド・ネット)と元スター女優の母リリアン(キャンディス・バーゲン)の間に生まれた、いわば2世セレブリティなのです。

今日は、そんなアリスの誕生日。いろいろ有った後、地元に戻って初めての記念日という事で、彼女は友人たちと共にバーへと繰り出し、祝杯を挙げることにしました。

まぁ、こんな時のお酒は、大概量が行き過ぎちゃうものですよね。

ちょっと強めの酒を何杯かあおった後、アリスは、ふと、同じバーに来ていた若い男性、ハリー(ピコ・アレクサンダー)と視線が合ってしまいます。びびっ、と来てしまう2人。

話をしてみると、彼は、テディ(ナット・ウルフ)とジョージ(ジョン・ラッドナイツキー)という友人2人と飲みに来ているそう。男女のグループ同士、という事で、この晩が盛り上がったことは言うまでもないでしょう。

そんなこんなで、アリスは、この新しい彼氏ハリーとデートをするようになりました。そして、深い話を聞くにつけ、彼が駆け出しの映画監督だという事が判明します。今は、以前作ったショートムービーを劇場版に移行するため作業中。でも、金まわりはよくないので、テッドとジョージらと共に、モーテルの一室をシェアして暮らしているのだとか。

もちろん、こんな事情を知ったアリスが、彼らを放っておく訳がありませんよね。という事で彼女は、この3人を自宅の敷地内にあるゲストハウスへと住まわせる事にしました。その家に往年のスター女優が居る事を知った時、3人が超エキサイトした事は言うまでもないでしょう。

これからも、アリスとハリーの恋愛は発展してゆきそうですし、他の2人の男性共々、ハリーもアリスの娘たちとも仲良く過ごしている様子。ひょっとしたら、彼女、新しい幸せにむかって進んでいるのかもしれしれませんね。

そう思ったのもつかの間、突然、離婚したはずの元夫、オースティン(マイケル・シーン)が、このアリーの実家を訪ねてきました。一体何の目的ではるばる西海岸まで・・・?

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ハリー・マイヤーズ・シャイヤー
  • 脚本:
    • ハリー・マイヤーズ・シャイヤー
  • 制作:
    • ジェレミア・サミュエルズ
    • ナンシー・マイヤーズ
    • エリカ・オールド…他
  • 出演:
    • リース・ウィザースプーン
    • ピコ・アレクサンダー
    • キャンディス・バーゲン
    • ナット・ウルフ
    • ジョン・ラッドナイツキー
    • ローラ・フラナリー
    • エデン・グレース・レッドフィールド
    • マイケル・シーン
    • レイク・ベル
    • デビッド・ネット…他

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悩みは背負い込まない(!?)ヒロインの物語、気になるその評価は?

おそらく、エイリアンバトルもののSFよりも、ずっとファンタジックだろうと思われるのが、こういったロム・コムの世界観です。

主人公は大概、何かの業界で働いている美男・美女で、彼らにとって一つの恋愛が終わると、その翌日には、前より良い条件の恋愛相手と巡り合って、またまた恋愛のすったもんだが展開する、なんてドラマ、どうも現実味が感じられないんですよね。

ただ、ロマンス映画である以上、全体を綺麗な甘い感じのデコレーションで飾らないと、観客がついてこないとも言えます。

その辺の、魅惑的な美観と人生の機微との描き方のバランスが、ロマンティックコメディを構築する時の肝なのでしょうが、本作では、

「この『Home Again』は、2人の娘をもつ母親が、意気揚々と離婚をし、元気にキャリアアップの問題に苦しんでみせるという、苦痛のかけらも含まないライフスタイルコメディである。脚本および監督を務めたハリー・マイヤーズ・シャイヤーは、ナンシー・マイヤーズとチャールズ・シャイアの2人の映画監督を両親に持つ人物で、本作がデビュー作となっている。難しい経済の時代に、一般大衆が感じる不安感からは遠ざけられた、中流より少し上に生活する人々を描くのは楽ではないとは言うものの、ハリウッドセレブが生活するようなバブルの中で物語を展開し、それが普通の人の人生にもあり得るなどと言うのは、いささか不愉快という以上のものを感じさせるのだ。(Variety)}

、という印象が書かれててもいます、また、別の所では、

「この『Home Again』は、ハリー・マイヤーズ・シャイヤー監督デビュー作で、彼女の母親であり(映画監督でもあり)プロデューサーでもあるナンシー・マイヤーズの影響が、色濃く感じられる作品だ。ただ、母親の作品に登場するのは、本作の主役であるアリスの40歳という年齢より、もうちょっと上の歳である事が多いと思われる。とはいえ、汚れ一つないような住居や庭など、2人の間で共通のイメージも見られるだろう。まぁ、マイヤーズ・シャイヤー監督独自の発想は、ロマンティックコメディの典型に、すこしひねりを加えるという事であり、従って本作では、2人の娘達を大きな題材として置いており、3人の若い男性達も、この娘たちに好かれようと躍起になったりする。(Washington Post)」

、のだそうです。

現代的なロム・コムにとっては、新しい恋愛を始めようとする美女に2人くらい娘がいても、主人公のロマンスの障害にも、物語の進展の邪魔にもならないのでしょう。その辺が、この映画と一般大衆との間の共通項となるよう、意味づけられているのかもしれません。

ロサンゼルスにある、いわゆるリアルなハリウッドの界隈は、世界でも一番と言ってよいセレブリティタウン。その中で育ったら、リッチで小奇麗なものに囲まれた人生が普通だし、また、その人が業界で働くようにならない方が不自然でもあります。

ただ、映画の着想や作り方としては、綺麗なテーブルに綺麗な食器を並べて画像に映すだけでは、これまたダメなのでしょうね。

この映画の作風や世界観については、

「本作は、明るすぎるといえそうな照明や、鋭さとソフトさを併せ持つセリフ、そして競い合いながらも印象を崩す事もない、それぞれの自惚れなどで出来ている。とはいえ同時にそこには、鈍感さも感じさせるだろう。結局これに不足しているのは、人生や映画つくりに関しての本物の経験なのだと思う。マイヤーズ・シャイヤー監督は、自分から両親の影響を削ぎ落としたいと考えているだろうが、次の機会には、実家から離れて仕事をするべきだろう。(Variety)」

、という真剣なアドバイスや、あるいは、

「家族の喜びや、キャリア上の幸運を、おとぎ話の中に描いたようなこのコメディでも、真の望みがかなわない人物も出てくるが、それも脇役の中のみに抑えられている。この監督の映画製作のキャリアが上手く発展しないような事があったとしても、彼女は、妖精のような代母にはなれるだろう。(Washington Post)」

、などと、やや皮肉っぽく書かれてもいます。綺麗な世界へ着ける染みの選択は、なかなか難しいもののようです。

もちろん、映画に対する評価というのは、その時の社会情勢とか他の作品との比較が影響すると思いますし、批評家が太鼓判を押した作品が、結局全然ヒットしないという一大事も、しょっちゅう起こるもんです。

この作品「Home Again」は、美しくキュートで明るく、(おそらく)ストレスのほとんどないロム・コムを求めている、という人にとっては、最適な一本だとは言えるかもしれませんね。

意外と難しいハリウッドの情勢

有名人の言動や、大企業のポリシーなどに、ちょっとでも問題視できる点をみつけると、みんなでネット上で攻撃して炎上させるという昨今の風潮は、日米共通のようです。

アメリカ製の映画やドラマがらみで言うと、政治的な正当性(公平性)が取り沙汰される事が多いでしょう。その半面、今夏の映画市場の冷え込みぶりをみると、作品そのものには、大衆の関心があまり向けられていないようにも思えます。

そんな中、初登場の週末3日間の売り上げランキングで、900万ドルという小さな数字ながら2位のポジションに滑り込んだのが、この「Home Again」。作品の内部にはそれほどなさそうな辛辣さを、リアルのマーケットが代わりに具現化した、と言う事になるのでしょうか。

まぁ、それでも2位ですから、ゆるい憧れを明るく刺激する話に、しっかりとした需要もあったのは事実ですね。

それにしても、振るわない興行収益に、これからのハリウッドはどう対処してゆくのでしょうね。何か、とても新しい基軸が発明されると良いのですけど、それは、メインストリームの映画産業からは、やっぱり生まれてこないような気もします。

それではまたっ!

参照元
Variety
Washington Post

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ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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