スティーブン・キング原作映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の気になる評価

オイデオイデ、、、風船があげるよ、なんて、ピエロの悪い企み

お子さんには絶対に言ってはいけない事ですが、この世の中が、嘘とか欲とかご都合主義、差別や横暴、そして無関心など、不条理なものによって動かされている、というのは事実です。

僕らは、そういったヤバい話を、どこか目に移らない場所、例えば道の脇にある側溝の中みたいな所へと押し込んで、一見きれいに整備されている日常生活という通路を闊歩しているだけです。

でも、側溝の中に押し込めた何かは、相変わらずそこに有り、ひょっとしたらアナタや大切な人を狙っているのかもしれません。それは、狡猾な悪魔のようなもので、人々がその存在を忘れかけた頃によみがえり、脅かすんです。

そのヤバいものこそ、スティーブン・キング原作のホラー、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の原動力となる邪悪なピエロ、ペニーワイズ。27年に一度現れては、デリーの街の人々を排水路の奥の暗がりへと引きずり込みます。

一見、ひょうきんに見える謎めいたピエロが、道の脇に有る排水用の黒い穴から子供に声をかけている、なんて、まさにこの世界の裏側の質の悪さを象徴している、そう感じさせる姿でしょう。

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • アンディ・ムスキエティ
  • 脚本:
    • チェイス・パーマー
    • キャリー・フクナガ
    • ゲイリー・ダウバーマン
  • 制作:
    • リチャード・ブレナー
    • ダグ・デイヴィソン
    • トビー・エメリック
    • セス・グレアム=スミス
    • ウォルター・ハマダ…他
  • 出演:
    • ジェイデン・リーバハー
    • ジェレミー・レイ・テイラー
    • ソフィア・リリス
    • フィン・ヴォルフハルト
    • ジャック・ディラン・グラザー
    • ワイヤット・オレフ
    • チョーズン・ジェイコブス
    • ビル・スカルスガルド
    • ニコラス・ハミルトン…他

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映画「It」に関する4つの評論

既に、米国で華々しいデビューを飾り記録的なオープニングを披露した本作ですので、ほどなくして、日本でも本格的で強力なプロモーションが立ち上がるはずです。

ですので、他のエリート級映画情報サイトが、詳細で完璧な内容の紹介をするはず。という訳で、ウチでは、そちらとは少し角度を変えて、専門家の評価からいくつか意見を拾う形でご紹介してゆきます。

とりあえず、この「It」が、スティーブン・キング作品の代名詞といっても差し支えないものだと思うのですが、この映画については、

「本作『It』の印象を代表する捕食者、ピエロのペニーワイズは、子供時代の深層的な恐れの化身であり、この世界の邪悪さを文字通りの殺人鬼として具現化したものだ。アンディ・ムスキエティが監督を務めたこのストーリーは、1990年のTVミニシリーズに続く2度目の映像化である。それは、ノスタルジックなムードと髪の毛も逆立つような恐怖描写を、自由度の高いR指定の中で巧みにブレンドし、そこへ劇場作品で可能になったデジタルの映像的魔法をアレンジした一本だ。そして、本作のクライマックスでは、アクション映画の騒ぎにホラーの怖さが場所を譲ってしまう形になりもする。ただ、ここでの若い俳優陣は、常によいチームワークを見せてくれるのだ。(The New York Times)」

、という評価がありました。

このストーリーが、プロ&アマ含めて、これだけ多くの観客のイマジネーションを刺激するのは、明らかにペニーワイズが発散している、妖怪としての妙なカリスマ性のおかげです。

満を持しての映画化という事で、その悪役の描き方にも少しの工夫が必要かもしれませんが、

「スティーブン・キングが描き出してくれた、地獄のような子供時代は、しかし、本作『It.』の監督アンディ・ムスキエティが持つ普通の感覚というフィルターを通して、ここに映像化されたようである。きしむドアや、暗闇へ続く階段、そして画面の外から聞こえる嘆きの声など、すべて観客にとっては慣れ親しんだものだらけだ。笑えて来るのは、ムスキエティがCGの恐怖映像を積み上げ、ペニーワイズによる悪魔の所業を見せれば見せる程、このクラウンは恐ろしさを失って行く点だろう。その被害者になるキャラクター達もまた、お約束通りの薄っぺらい性格だけを与えられている。(The Seattle Times)

、という、スパイシーな評価もあります。ペニーワイズの邪悪な本質に、監督自身がもう少し没入して作ったら良かった、という事でしょうか。

ずっと昔から、アメリカ人が作る恐怖映画は、かなり明示的で、解釈以前に答えを与えてくれるものです。そこへ、もうちょっとの恐怖を望むなら、見えない何かの存在を匂わす必要もあると思いますが、この映画については、

「麻痺するほどに冷酷で、如才なく仕上げられた、この『It.』のリメイクは、フラッシュのような画像イメージと俳優の演技が伴って、その良点となった一作だと言える。監督のアンディ・ムスキエティは、邪悪なものが見せる高速で発作的な動作の映像が、観客の深い所に与える影響を、良く理解していると言えるだろう。ただ、本作に対して言うなら、もうちょっと暗示的に恐怖を示す映像が欲しかったところである。また、作品のリズムも疑問を感じさせる部分で、特に、一つの恐怖から次の場面に移るたびに、そこでの効果が薄れて行くという事もある。ムスキエティ監督は、色々そろえた要素の中で妙な具合に苦心していて、結局どの場面も、同じように始まり終わるという印象に終始してしまうのだ。(Chicago Tribune)」

、という評価もなされています。

S.キング学に詳しい専門家や、彼の小説のマニアの人は、代表的なベストセラーが映画になる時は、どれだけ原作に忠実に描かれるか、気になるのではないかと思います。

一般的には、小説の中の詳細な描写などを映画の中で全部網羅するのは困難ですが、この作品が、それにどう対処したかという点について、

「1,100ページにわたる原作を前半に焦点を絞って描くという、この『It』は、原作の全体像とはかなり違ったものになっている。そして本作が、興行成績上の大ブレークを狙った映画なのが明白だとしも、その舞台となる街には、モンスターの気配と同時に拭い去れない空虚さが感じられてしまうのだ。監督のアンディ・ムスキエティは、原作のデティール部分にはこだわらなかったとは言え、全体を通すムードには忠実さを守り通したようだ。だからこれが、各アイテムを並べただけのレベルを超えていないとしても、スティーブン・キングのファン達は、製作者の見せた努力と敬意は承認してくれるはずである。映画の作りとしても、決してサディスティックなものではないのが本作で、各アクションも基本的には明瞭かつきちっと設定されている。逆に言うと、この映画はリズムを構築するのに苦労していて、各場面同士は、不穏な空気を深める事やミステリー性を探求する事なく、一本調子で連なってゆくようだ。(Variety)」

、という事です。期待が大きい程に注文も付けたくなるのでしょうね。

長大と言っても過言ではない原作を網羅する手段として、既に「It2」のプロダクションも立ち上がっています。そちらの方は、成人した主人公達が物語の後半で再開し、再びペニーワイズに立ち向かって行くという展開になるそうです。

いけない大人の企みが大成功

YouTubeで見られる、この「It」の予告編は、問題のペニーワイズもちゃんとフィーチャーされ、結構効果的な出来上がりになっていて、この物語を知っている人も知らない人にとっても、実際の中身を見てみたいと感じるものだろうと思います(どうですか?)。

ニタニタ笑う邪悪な道化師が、大雨の降る中、いたいけな子供を側溝へと引きずり込む様子は、まさに、このストーリーの全てを方向付ける導入部でしょう。

それで、結局、始めて公開された週末3日間の米国内売り上げのみで、1億ドルを超えるという驚異的な成績を残したのがこの一本。

レイティングは‟R指定”で、想定される観客層にも制限があるなか、この数字を記録するなんて、あらゆる意味で、この映画の企画がうまく進んだ事を意味するでしょう。

実は邪悪である道化師が、おどけた仕草で人間の社会に入り込み、人々を暗闇で殺戮するなんて、ある意味、ホラーというより現実の事件を扱った悪いジョークにも感じられる話。僕らの隣にいる人物が、モンスターに変貌する事もありえるという比喩でもあります。

そんな話、本当にコワすぎます。怖すぎるからやはり僕らは、ひきつった笑いでそれをごまかすしかないんです。

そして、鏡に映るその顔は、ペニーワイズのそれと酷似しているはず。僕ら自身も、見方を変えればモンスターなのかもしれませんね・・・

ではまたっ!

参照元
The New York Times
The Seattle Times
Chicago Tribune
Variety

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ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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