ロバート・パティンソンが大都会の裏社会を走る:映画「グッド・タイム(Good Time)」について

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キャリアメーキングはご心配無用です

トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2」が2012年の作品ですから、世界中が青年バンパイアと美少女の純愛色に染められていたあの時代から、もう5年が経っているんですね。

5年と言えば、大抵の人が何かを成し遂げられる時間ですし、仮に青白いメークとローコストかつ高性能なVFXが無かったとしても、思春期の吸血鬼の悲哀を見事に表現しきっていただろう、あの、ロバート・パティンソンさんなら、「何か」よりもっと良い「ナニカ」が達成できた事は、言うまでもないでしょう。

ざっと数えると、「トワイライト」後に6本程の映画に出演してきたパティンソン。中には、あのデヴィッド・クローネンバーグが監督をした「マップ・トゥ・ザ・スターズ」なんていう作品もありました。おそらく、ライトノベルの人気にあやかる軽い娯楽の世界から、本格的なドラマ俳優へと転身してきている段階だと思われます。

そんなロバート・パティンソンが、ニューヨーク市クイーンズ地区の裏社会を行く、あやうい(ひょっとして無軌道な)青年を演じているのが、今回、ご紹介する「グッド・タイム(Good Time)」、という、ファンタジー色ではなくリアリティ感が強いドラマなのだそうです。

あらすじ

アメリカ合衆国ニューヨーク市はクイーンズ地区。その街角を、今、猛然とダッシュしている男性がいます。彼の名前は、コニー・ニカス(ロバート・パティンソン)。

彼は、最愛の弟、ニック(ベン・サフディー)を、とあるシチュエーションから助け出そうと、必死になっているところです。

実は、ニックは、聴覚と精神に障害がある男性。そんな彼は、今日、ほぼ強制的に精神分析医のクリニックへと送り込まれて、いろいろ要らない事を吹き込まれているらしいのです。

そんな物は、ニックに必要ない。コニーは、分析医の部屋に強引に踏み込んで、そこからニックを引っ張り出しました。

そして、2人にとって本当に必要なもの、まとまった金と、バージニア州に引っ越しての新生活を手に入れよう、とニックにもちかけます。

と言う訳で、彼らが行ったのは、コニー発案の計画による「銀行強盗」。ラバーのマスクを被ったりして、顔が知れないよう細心の注意を払いましたが、奪った札束を確認しようと広げた瞬間、中に隠されていた容器が破裂、そこにあったキャッシュばかりか彼ら2人までもが、紫色の染料でマーキングされてしまいました。

ほどなくして警察も彼らの足取りを確認、追跡の手はコニー達にせまってきます。

もちろん、必死で逃げようとする彼ら。しかし残念にも、ニックの方だけが怪我を負い、逮捕される事となってしまいました。

かくして、ニックは留置所へと送り込まれる事に。その場所は、まさに野獣達が押し込められた檻のような所です。明らかに、弱者であるニックが耐えられる環境ではありません。

このままじゃ、すぐに弟は殺される、そう感じたコニーは、ガールフレンドのコーリー(ジェニファー・ジェイソン・リー)に頼んで、彼女の母親の銀行預金をニックの保釈金にあてようとしましたが、それもうまく行きませんでした。

一刻も早く、弟を救い出さなければ。だんだんと、焦燥感にかられはじめるコニーは、保釈金を集めるために、ニューヨークの裏側、更に厄介な世界へと足を踏み入れてゆくのですが・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ジョッシュ・サフディー
    • ベン・サフディー
  • 脚本:
    • ロナルド・ブロンスタイン
    • ジョッシュ・サフディー
  • 制作:
    • ジャン・リュック・デ・ファンティ
    • セバスチャン=ベア・マクラード
    • オスカー・ボイソン
    • テリー・ドゥーガス…他
  • 出演:
    • ロバート・パティンソン
    • ベン・サフディー
    • ジェニファー・ジェイソン・リー
    • バディー・デュレス
    • バーカッド・アブディ…他

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ファンタジー映画の元アイドルを犯罪社会に放り込む問題作、その評価は?

観客の気持ちを入れこませるドラマとしては、普通の人(あるいは、観客が普通の人である事を期待する役者)を、だんだんヤバくなる犯罪世界へと引き込んで、最終的には現実の最悪ケースでも有り得ないような大騒動に巻き込んで行く、というのが、美味しい作りかと思います。

とは言え、この映画でのロバート・パティンソンは、最初から社会の低階層でもがいていて、やや汚れた危うい印象の男性のようで、普通の人という事でもなさそう。ともすると神格化されてしまうイケメンのバンパイアとは、これまた、正反対の側に立っている人物かもしれません。

そして、彼が街の危険な裏側を奔走する姿にファンの気持ちを引きつける、という商売っ気も、あまり無い映画が、この「Good Time」のようです。

さて、クイーンズ辺りのリアルを、ひょっとしたら浮彫にしているかもしれない本作には、

「この映画のタイトルでもある、『Good Time』という言葉を、その中のキャラクターが口にする場面は、皮肉をもって絶望感を表現するものとなっている。しかし別のレベルで見てみると、この映画自体はさほど皮肉の効いたものとも言えないだろう。これは、スリルや爆発を高速の展開の中で活気つけ、登場人物の瀕する危機が観客たちの気分を逆に高揚させるという、(その意味でグッド・タイムと呼んでしかるべき)そんな映画だ。(Los Angeles Times)」

、という評価があり、犯罪スリラーとしてもちゃんとしている事が期待できます。

まぁ、予告編から伝わる印象も、すべての層に直接アピールしてゆく作品でもなさそう(レイティングもR指定)で、

「ロバート・パティンソンが、ベンと ジョッシュのサフディー兄弟に託した情熱は、間違った使われ方をしたようだ。この兄弟監督が作った前作『神様なんかくそくらえ』と同様に、この作品も、愛されるべき負け犬となるべき人々を、リアリティTV的に追いかけてゆく。とは言え、この中でコニーとニック、そしてコリー達がどなりあっている様子は、個人的には楽しめるものではなかった。私は彼らと場を共有するのはもちろん、叫び声を聞くことだけでも不愉快に感じたのだ。どなりあいは、よいセリフだと評価する事もできないし、演技の能力さえ要求されないだろう。ただ、健康な肺がそろっていれば良いだけだ。(Boston Herald)」

、と、ネガティブな見方をした評論家さんも居ます。

犯罪ストーリーというのは、一定以上のスタイル性を用意してあげないと映画にできないと思います。だから、その作り方が与える印象も、良し悪しの二通りにはっきり分かれるのでしょうね。

そういう意味では、

「監督である、 ベンと ジョッシュのサフディー兄弟は、これまでも、現実生活の題材を取り入れる事で、贖いや高揚感を安直な筋書きの中に描く事を拒否してきた。そしてこの作品においても、その姿勢に妥協しない事を証明している。彼らはここで、低階層に暮らす人生を映画の枠組みに当てはめ描き出すのみならず、一人の真摯な映画スターの演技も、しっかりとらえて見せている。この映画『Good Time』は、ロバート・パティンソンのブレークスルーとなる作品であり、役者としての彼の一つの開眼点とも言えるものだ、そしてもっと言うなら、彼が最近見せた中でも最も鋭く観客の気持ちを遠ざけて見せる、そんな演技となっている。(Los Angeles Times)」

、という事で、パティンソン兄さんの演技の評価は良好なようです(良かったですね^^)。さらには、

「さらに、サフディー兄弟は、その画面をネオンライトで満たし、エレクトロ系ミュージックの音量を上げる事をも楽しんでいるようだ。とはいえ、ここで我々の鼓動を早くさせるような演出は、全てその手腕により達成されたものと感じさせる。そして彼らの注意深い作りこみは、この映画にレーザー光のような鋭い焦点を与え、すべての瞬間で予想を許さない展開をもたらしている。(Los Angeles Times)」

、だそうです。

これまた、強奪もの映画の常套句とは言うものの、稚拙な銀行強盗計画が見事に失敗して窮地に追い込まれる、という設定自体、見る側にも常に、ある程度の心構えを要求するものです。

今回、その事件の舞台となるのは、人類社会の縮図とも言えるニューヨーク市はクイーンズ地区。それだけで、ゴツいイメージが、今から伝わって来るようです。

2人の監督にとっても馴染みがあるだろう、その土地のリアルを、スクリーン上に浮き彫りにするというのが、この作品ではないでしょうか。

さて、最後に、

「本来なら、もっと良い配役を得るべきソマリア出身俳優のバーカッド・アブディが、麻薬がらみのコニーの共犯者が出てくる、アミューズメントパークの場面に、ついていない警備員役として姿を見せている。そういったすべてが、ダニエル・ロパティン作曲の、やかましく気が散るだけの派手な音楽で彩られる。本作『Good Time』は、異質な何かを行うという事が、必ずしも良いという意味にならないと証明するような作品である。とはいえ、パティンソンが操るクィーンズ訛りは、かなり本物に近いと評しておこう。(Boston Herald)」

、という、フェアな批評も書かれていました。

日本公開は2017年秋

僕ズレ太は、例えそれがスタイリッシュに描かれていたとしても、誰かが利己的な理由でルールを逸脱した挙句、世の中に迷惑をかけるといった物語は、あまり好きではありません。

犯罪を美化するのがけしからんっ、なんて、つまらない事を言う気もないのですけどね。

けれど、それは人間社会のリアルの一部。その現実を描いて世間に知らしめる事も、映像芸術の一つの使命ではあるのです。そして、それを多くの人に見てもらうためにはロバート・パティンソンのように、上級のキャスティングも必要という事でしょう。

日本にも多くのファンがいるパティンソン主演の、この犯罪スリラー、こちらでの公開は2017年11月3日の予定です。

ご期待あれっ!

参照元
Los Angeles Times
Boston Herald

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ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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