オーブリー・プラザが見せる、いいね!、のヤバい真実:映画「Ingrid Goes West」について

まだ増やしますか? あなたのフォロワー・・・

三省堂辞書サイトに寄れば、セレブ(celebrity)という言葉は、誉め称える(celebrate)などというワードから来ているのだそうです。

それが発展して、名声のある人、名士、の意味に使われるようになったのですね。とにかく、その名前が広く世間から称えられるセレブというのは、やっぱり特別に選ばれた人でなきゃいけません。

ただ、たたえられる人に必要とされる行いは、時代と共に進化もしていて、今じゃあ誰でもネットに上げたスイーツの写真が、比較的簡単に10万人から「いいね」と称えてもらえる時代になりました。

物事が、どんどん簡易的になってゆくのは、文明社会が本質的に向かう方向です。だとしても、何事もオープンで容易になるのは、新たな危険を生み出すものでもあります。

あなたに、「いいね」してくれた10万人は、あなたにとって好ましい人々なのでしょうか?

そんな疑念に答えるべく、ここで紹介する映画「Ingrid Goes West」では、オーブリー・プラザが、ネットのカリスマをフォローする事に病的にはまった、超ややこしいネットユーザーを演じています。

あらすじ

とある結婚式場の駐車場に車を止めて、その中で怒りと悲しみに身を震わせている女性が居ます。

彼女の名前は、イングリッド・ソーバーン(オーブリー・プラザ)。何に腹を立てているかというと、彼女が友人と思っていた女性が、自分を結婚式に呼ばなかったばかりか、一方で、SNSには幸せな式の様子をアップして、ラブラブなハッシュタグを打ちまくっているから。

これは、何と言う侮辱!。怒ったイングリッドは、この結婚式をぶち壊すために乗り込んで、花嫁に「仕返し」をしてやった事は言うまでもありません。

ソーシャルメディアに悪くはまったイングリッドは、小さい事にも過敏に反応する不安定な心の持ち主。結局、一時的に精神科に入院するはめになります。

一応の治療を受けた彼女は、すっきりと日常生活に戻れそう?、いえ、それほど事は簡単ではなさそうです。実際、退院と同時にネットに入ったイングリッド、すぐに、そこに出ていた別の女性に興味をひかれました。

その女性は、ロス在住の、テイラー・スローン(エリザベス・オルセン)。

なんでも、フリーのアイテムをゲットし続けて、よかったらそれをネットに挙げることで、30万人のフォロワーを獲得したという、いわば、ネット世界のカリスマ読者モデル、インフルエンサーといった感じの人物がテイラーです。

そのテイラーは自分とうまくやってくれるはず。そう思ったのか、イングリッドは、自分の家のあるペンシルベニアから大陸を横断して、彼女の居るロスへ引っ越すことを決意、すぐに実行します。

とにかく、ネットのカリスマに関するイングリッドの執着心はとてつもなく、どんな事をしてもその人に近づこうとするほど。

何と彼女は、テイラーの愛犬を誘拐して、それを偶然ひろった風に装った嘘の出会いにより、テイラーと仲良くなってしまいました。

アパレルの共通の話題などもあり、最初からイングリッドに心を開いてしまうテイラー。でも、このインスタグラムクイーンはまだ知りません。

イングリッドが、酷いネットストーカーだという事実を・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • マット・スパイサー
  • 脚本:
    • デイビット・ブランソン・スミス
    • マット・スパイサー
  • 制作:
    • アーラン・マンデルバウム
    • リック・リカートセン
    • ジャリッド・イアン・ゴールドマン…他
  • 出演:
    • オーブリー・プラザ
    • エリザベス・オルセン
    • オシェア・ジャクソン・Jr
    • ワイヤット・ラッセル
    • ワイヤット・ラッセル
    • ポム・クレメンティーフ…他

今の‘タイムライン’を捉えた、ダークなコメディ、気になるその評価は?

アナタの魅力は、本来、アナタの人生を豊かにするべきものです。なので、そのきらめく魅力とセンスは、ネットを通して世界中の人達と共有されてしかるべき、なのです。

とは言うものの、自分を不用意にバラ撒き過ぎるのも考え物です。なんといっても、あなたには、誰があなたを愛するのか、決定権が何もありませんから。

場合によると、SNSも、ややこしい事件の原因になりますよ、というのがこの映画のモチーフですが、

「これまでに、この映画『Ingrid Goes West』程に、ソーシャルメディアの魅力と病みを捉えて見せた作品は無かっただろう。これは、デジタル時代を生きる人間にとっての真のホラーストーリーと言うべきもので、オーブリー・プラザとエリザベス・オルセンによる上質な演技が、そのテーマを直接的に描写してみせる。そして、いかに我々が、ウェブサイト上のタイムラインと供に生活をし、そこで自分を隠ぺいしているかを露呈させるのだ。さらに、スマフォを手放さない人々が使うネット用語を使いながら、この中に登場する‘逆ヒロイン’が、現代人をどんな時も縛り付けている風潮の中へと、ただ埋没して行く姿を描いてゆくものだ。(Chicago Tribune)」

、という事で、SNSこそ人生という人にとっては、ドキドキするような期待させるような映画のようです。

ただ、「ネットで厭な事がありました。」では映画にならない訳で、そういう素材よりも中身の作りが問題です、それには、、

「この『Ingrid Goes West』は、オーブリー・プラザにとって完璧にフィットした映画で、彼女がいつも見せてくれる演技性をうまく利用しつつ、同時に、彼女にとっては初めてのチャレンジも要求してみせる。この女優は、身のこなしで何か一つの事を暗示していても、その眼差しには別の意味を込める事ができる人物で、本作のほぼ全編に亘りコメディの要素を使いつつも、そこに染み渡るドラマ性も同時に描写しているのだ。(SFGate)」

、と、俳優としてのオーブリー・プラザの評価が良いようです。

現実的に、プラザさんのようなハリウッドセレブには、最低でも数十人くらいはネットストーカーが居そうですので、その対処法も心得ているでしょう。そんな点も、本作への肉付けに役立っているのかもしれませんね。

もう一つ、映画の全体像については、、

「脚本を書いたデイビット・ブランソン・スミスと、監督でもあるマット・スパイサーは、ここに、ロサンゼルス辺りに満ち亘る、派手な暮らしぶりへの執着心を取り扱った事で、サンダンスの脚本賞を受けている。そして、ここで派手に飾られたテイラーの生活を覗き見ている我々自身も、イングリッドと同じ嫌な目線を持たされてゆくようである。それを演じるオーブリー・プラザは、これまででも最も多面的な役の中で輝きを放っていて、イングリッドという、いびつな性質の人間を、ある種の気概を持ちつつ精密に表現してみせている。この女性は質の悪いストーカーではあるが、プラザは同時に、切望感に狂わされるような彼女の人間性も表していて、観客からは大きな思い入れを勝ち取るだろう。(Chicago Tribune)」

、という評価もありました。

ネットを通してストーカーになって、付きまとった挙句に刃物を持ち出す、なんて良くない事件は日常的に耳にする昨今。ともすると、血なまぐさいサスペンスにしかならない題材かもしれませんが、意外としっかりした所が有るのがこの一本のようで、

「本作でのプラザは、本当に素晴らしく、このイングリッドの不安定さを表現しきっている。彼女は、この人物像について、セリフで説明するのではなく、彼女の痛みを体現することで我々に伝える。この出来栄えは、演技のみならず演出からも生まれたものであり、これに関わったすべての俳優が、特別な目標を与えられて演じているのは明白である。監督のマット・スパイサーは、ここでの自身の目的を明確にとらえていて、ストーリーが展開して行くうちに観客も、描かれているそのテーマに価値を認めるようになってゆく。最終的にこの監督は、本作『Ingrid Goes West』を、正い出来上がりだと感じさせるだけでなく、同時にリアルで、不愉快にも真実味のある、想定外のポイントへと導いてゆく。(SFGate)」

、と、作品の全体像も評価を受けているようです。

SNSでつながり、認め合い、愛し合い、もめ事も増え・・・

ネットとはこうあるべき、という定義が全くないのがネットの良いところ。そして、正しい方向に向かっているという事を、社会的に担保する義務さえ無いのも、その面白さを増幅しているポイントです。

そんな中で、第3者の批判をあえて書き込んで、炎上を誘い、広告の表示回数を稼ぐという新たなビジネスモデルさえ生まれています。法に触れなきゃ(あるいは、ちょっと触れるくらいなら)、そこではすべてが自由です。

まぁ、週末に食べたかわいいスイーツの写真だけで、サイトに10万人も集められるなんて、僕スレ太みたいな小ネット市民にとっては、正直うらやましい限りではあります。

ただ、利益にはリスクもつきもの。そして、人気者にとって誹謗中傷を受ける事は、払わなければいけない税金みたいなものです。

どうですか?、いざと言う時には、10万人のフォロワーがあなたを守ってくれるでしょうか? もめ事がかたずいて気が付いたら、みんな別のネットセレブを見つけて移動していた、何て事、あなたに限ってはあり得ないですよね。

どうぞ、せっかく偶然に手に入れたセレブリティですから、大切にしていってくださいね・・・

ではまたっ!

参照元
Chicago Tribune
SFGate

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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