銃弾をかわしつつ、あの2人が新コンビ結成:映画「Hitman’s Bodyguard」について

命がけで守るのが仕事、と言っても限度が・・・

娯楽アクション系映画のストーリーというのは、襲われる人、それを警護する人、そして、その2人に襲いかかる者の間の、三角関係でなりたっています。

そんな定型的な映画の脚本に収益性を確保しようと思ったら、一番問題なのは、最初に出てきた襲われる役をどんな人間に描くかでしょう。

アイディアとしては、その主役に小学生くらいの子供を当てるというのが一つ。子供ならではの純粋さに、大人顔負けの賢さをかけ合わせれば、ある程度以上のウィットとひねりが自然と与えられます。

もう一つ魅力的なのは、キラキラした女性歌手やモデルさんなどが狙われる構図。これは、彼女達のために体を張る(挙句のはてに恋に落ちる)ヒーローの存在が引き立ちます。ロマンチックを求める層にもアピールできるのが長所ですね。

あと、政治家や科学者、あるいは、社会問題の活動家などが思いつきますが、こうなるとだんだん色気が落ちてきちゃうので、収益性の確保には、何か別の仕掛けも必要になります。

あぁ、そうそう、こんなのも有りましたね。最高のボディガードに、最悪の犯罪者を警護するという汚れ仕事を与えて、行く先々でぶつかり合い騒動を起こしながら、笑いとスリルを混ぜ込んで行くと言う、バディムービーです。

そんな中の典型的一本が、ここでご紹介する作品、「Hitman’s Bodyguard」でしょう。

ボディガード役にライアン・レイノルズ、それに守られる悪人の役に、サミュエル・L・ジャクソンが起用されたという、純粋な娯楽アクション映画ファンなら、手放しで期待してよい一本です。

あらすじ

ポンコツ車を乗り回し、生活態度もヘロヘロなこの男性、マイケル・ブライス(ライアン・レイノルズ)が、世界ナンバー1のボディガードだったなんて、誰にも想像もつかない事ですよね。

そもそも、彼がキャリアの道を踏み外したのは、数年前の事件が理由。その時に警護を担当していたVIP、クロサワ(ツワユキ・サオトメ)が目前で狙撃され、殺されてしまったのでした。

その事件が元で、マイケルは恋人のアメリア(エロディ・ユン)ともダメになりました。ちなみに、彼女はインターポールの捜査官です。

さて、そんなマイケルに最近、ちょっと大きな仕事が入りました。それをオファーしてきたのは、アメリア自身で、何でも、業界から外れた人間が必要なのだそう。

その仕事とは、なんと、そのスジでは超有名な凶悪暗殺者、ダリアス・キンケイド(サミュエル・L・ジャクソン)の身辺警護を頼むというものなんです。

最近逮捕されたキンケイドは、ベラルーシの独裁者、ヴラディスラフ・デュコヴィッチ(ゲイリー・オールドマン)が犯した大量虐殺を国際法廷で証言する代わりに、自身の減刑と、いま監獄に入っている妻のソニア(サルマ・ハエック)の釈放を要求したとか。

その司法取引は成立し、裁判での証言台に立つまで、腕の確かな者がキンケイドを守る必要が生まれた、という訳なんです。

そこで、白羽の矢が立ったのがマイケルでした。

落ちぶれた人生を送っている元ボディガードと、言葉使いが超悪い暗殺者。今、この不似合いなコンビによる、法廷に生きて辿り着くための旅が始まります。

当然の事ながら、キンケイドの証言を阻止したいデュコヴィッチの魔手が、次々と2人に襲い掛かる事になるのですが、果たして彼らの運命やいかに・・・

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • パトリック・ヒューズ
  • 脚本:
    • トム・オコナー
  • 制作:
    • ジェイソン・ブルーム
    • クリスタ・キャンベル
    • ボアズ・デヴィッドソン
    • トム・デ・モル
    • スコット・エインビンダー…他
  • 出演:
    • ライアン・レイノルズ
    • サミュエル・L・ジャクソン
    • エロディ・ユン
    • サルマ・ハエック
    • ゲイリー・オールドマン…他

放送禁止4文字言葉も連発の娯楽アクション、気になるその評価は?

巷では色々と小難しい事件も多いですが、それでも今は2017年の夏、この一大消費シーズンに米国GDPを押し上げるには、脳みそ不要の本物の娯楽アクション映画が絶対必要です。

そして、アメリカ映画産業の場合、エージェントとの交渉がまとまりさえすれば、超Aクラスの世界級スターを自在に組み合わせて大型娯楽映画を撮れるという、とても羨ましい映画インフラを持っているのです。

かくして、そんなアメリカンパワーによって生み出された、いわば商業映画の一つが本作だと思うのですが、

「この映画『Hitman’s Bodyguard』は、主役である2人の俳優に名声を与え続けてきた、すべての映画要素の詰め合わせ作品と言って良い。『デッド・プール』のマスクが無くとも、依然としてライアン・レイノルズは軽妙に皮肉ったセリフを操る天才であるし、サミュエル・L・ジャクソンの方は、‟マザー”という言葉を子供に聞かせられないような意味で使う、その達人なのだ。この2人の周囲を囲むのは、アクションファンであれば誰でも一度は見た事のある要素ばかりとは言うものの、彼らの見せる相乗効果やウィットは、我々を楽しませるものとなっている。(USA TODAY)」

、と、期待した一定の評価を得るのには成功している様子。

そして当然、この映画の原動力は、やはり、軽妙なセリフを発射し続ける、この2人の役者さんであるのですが、

「本作は、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』を撮った監督、パトリック・ヒューズの物としては、予想を上回る出来だったと言える。そして、『トランスポーター』シリーズや『ジェイソン・ボーン』映画などから、結構な部分を取り入れているものでもあるだろう。結果的に、長すぎる感もあるとはいえ、かなりなユーモアが上手くまとめられた映画になっている。(Boston Herald)」

、といった評価もありました。

2人の主役のどちらも、「どこかでみた役どころ」を演じているのが本作だと言えそうですが、まぁ、それも一つの映画的ウィットなのでしょうかね。

そんなストーリーに活力を与えるには、特殊効果だけでなく、脚本のセリフ使いや編集も大切な要素になると思います。

犯罪アクション系映画ですから、‟マザーなんちゃら”なんていう放送禁止用語も、遠慮なく投入されるのですが、

「(役者2人の対比が上手くいっている)とは言え、本作はやはりサミュエル・L・ジャクソンのためのものだろう。この脚本もまた、ジャクソンから悪い言葉使いをこれでもかと言う程引き出す事で、その存在をアピールするために働いている。この作品では、現実世界につながるテーマ性を、薄っすらと感じさせることで、そこに存在する軽薄さをカバーしてもいるが、そのアクション場面は悪くはなくとも過剰な感もある。そんな本作は、映画としてのちゃんとした目的が見えないながら、観客に何かを与えてくれる一本ではあるだろう。(USA TODAY)」

、などとの評価もあります。

今どきの娯楽アクションなら、映像技術を使ってなんでも描けてしまうのですが、それによって味気のない作品になってしまう事もしばしばです。ここには、そうならないギリギリの線のセンスが活かされている印象が伝わりますね。

最後に、

「レイノルズとジャクソンは、さながら、父と息子の戦闘チームという風情であり、エロディ・ユンには、元カノを象徴するようなハートとキャラクターが感じられる。そんな『Hitman’s Bodyguard』は、生焼け、と呼ばれる程に悪くはない出来の作品だが、正直、パート2は必要ないだろう。(Boston Herald)」

、という、言い得て妙(?)な批評もあります。

ベストなコンビの超絶アクションは、スカッとしたい日本にこそ必要

今まで、無数と言っても良いほどの、ハリウッド娯楽アクション映画が作られてきたと思います。

それほど多いという事は、このビジネスに、大人を納得させる程の収益性が有る事の証明でもありますね。この映画「Hitman’s Bodyguard」は、初登場の週末に米国内だけで22億円以上の売り上げを上げて、ランキングトップに躍り出ました。

焼き直しと言われるストーリーでも、ちゃんとした人材を起用して作りこめば、何か新しいものに成り得るという、映画作りの面白味の証明になっているでしょうか。

DVDダイレクトは有り得ないと思いますが、米国で公開になった今、日本公開は決定しているのでしょうかねぇ?

日本の娯楽映画ファンの人にとっても、充分に期待して良い作品ではないかと、推測します。

それではまたっ!

参照元
USA TODAY
Boston Herald

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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