イケてないJKと血を吸う魔のボックス、ホラー映画「Wish Upon」について

誰かの幸運のカゲには、いつも血のイケニエが必要だ

何か良いものを手にいれるためには、別の何かを手放さなければならない・・・

そんな話を、聞いた事があるという人も多いはず。でも、手元に手放すべき物が何も無かったら、どうしましょう。そんな場合は、やっぱり幸運を願うのは無理なのでしょうか?

世の中には、純粋な利己主義によって、豊かな生活を享受している人も結構いますから、なんか旨い魔法のような手段があるのかもしれませんね。

いやいや、たとえばそれは、ここで紹介するホラー映画「Wish Upon」のヒロイン、クレア(ジョーイ・キング)の手元に回ってきた薄気味悪いのと同じような方法なのかも。

あらすじ

クレアは17歳。でも、一般の女の子のように、青春を楽しんでいる訳ではありません。

事の起こりは12年前。彼女の母親が、突然、変死した事がすべての原因。クレアの心は、その時の体験がトラウマとなって、いまだに苦しんでいます。

さらに悪いのは、父親のジョナサン(ライアン・フィリップ)も心のバランスを崩し、何故だか、近隣のごみ箱あさりに没頭するようになった事。

そんな父親を恥だと思っているクレアでしたが、とある時、彼のごみ箱あさりが功を奏したのか、ちょっとミステリアスなものが発見されます。

それは、古風な感じのミュージックボックス。一応、中身は動作するようですが、その表面には何やら不可解な文字がびっしり書かれています。それは、どうやら中国語のよう。

好奇心からか、クレアは中国系の学友、ライアン(キー・ホン・リー)とジナ(アリス・リー)に頼んで、その翻訳をしてみる事にしました。すると、驚きの内容が判明します。

「この箱は、持ち主の願い事を7つまで叶える。ただし、願い事をするときは十分注意深く行うこと・・・」

まぁ、すぐには信じられないおとぎ話です。でも、クレアは試しに願い事をしちゃったんですね、いじめっ子である、ダーシー(ジョセフィン・ラングフォード)の肉体が朽ち果てますように、と。そしてそれは実現しました。

それからと言うもの、クレアは学校での人気や、イケメン男子との恋愛、さらにはお金と豪邸まで、このボックスの魔法により手に入れてしまいます。

ただ、彼女はまだ理解していません。「願い事は注意深くするように」という、ボックスのメッセージの本当の意味を。

その魔術の箱には、持ち主が望むものを一つ手に入れるたび、その近くにいる愛すべき人々の命を、陰惨な形で奪っていくという、悪魔の規則が隠されていたのです。

徐々に、その恐ろしい現実に気づき始めたクレア。しかし彼女はもう、魔物の罠にはまりきってしまい、その呪いからは抜け出せなくなっていました。

ライアンの真剣な忠告も無視して願い事を続けるクレア。その先には、破滅の運命が待っている事も明らかなのに・・・

夏休みの娯楽ホラーに薄く教訓を交えたストーリー、その評価は?

僕らが、「神様なんて居ない」、と言いたくなる大きな理由の一つは、ろくでもない事やってるくせに金だけは要領よく稼いでいる人間が、この世界には結構な人数居るからです。

神様が本物なら、こんな不平等な世界を作るわけありません。

結局、人が豊かな人生を送るのに必要な要素とは、誠実な信仰心などではなくて、狡猾な魔法のようなトリックだ、という事なのかも。

とはいえ、自分の得のためなら他人の不幸なんて気にしない、という考え方の真の恐ろしさを映像化したのが、この「Wish Upon」というホラー映画のようでもあります。

そんな、お話の作りこみには、

「筋書きのリサイクルは、ホラー映画にとって常套手段ではあるのだが、そんなジャンルの中でも特によく見かけるのは、(誰かが)不平等な苦しみにあっているという設定であろう。そんな見方をすれば、ホラー映画のヒロインが(願いをかなえるとかいう)奇妙なボックスに出会ったとしても、ギリシャ神話の教訓を参考にそれを対処しようなどと、考える必要もないのである。監督、ジョン・R・レオネッティの演出のもと、血のりは注意深くも時にウィットとともに使用され、見る者の域を詰まらせるというより、むしろ、跳ね上がらせるような映画に仕上がったのが、この一作だ。(The New York Times)」

、といったような評価がありました。

まぁ、夏休みのティーン向け娯楽ホラーとはいうものの、今どきの映像技術をもってすれば、それなりに残虐な画づらは簡単に出来てしまいます。だから、スリルというよりショックの方に、訴求ポイントを置こうとするのも、とても当然な事だと言えましょう。

さて、別のところでは、

「本作『Wish Upon』は、『ファイナル・デスティネーション』シリーズの子分のような一本で、そのシナリオは、恐怖、というより、一種の非現実的なペナルティを核に置いた話となっている。素晴らしい出来の映画という事も有り得ないが、それを気にしすぎる必要もない。そこで引き起こされる残虐な出来事には、楽しませるに足りる部分も含まれているからだ。まぁ、バカげた要素の繰り返しには飽きてくる部分もあるし、プロットの部品のいくつかは、他の映画からフランケンシュタインよろしく再生してきたものでもある。しかしながら、キャストと製作陣の全てが、いかなるものもシリアスに扱い過ぎないよう約束し結束して作られたのがこの一本なのである。(SFGate)」

、と言った論表があるように、やはり娯楽性をきっちり保った映画だという印象です。

僕も、この話のように、生贄は要求するけれど願いは必ずかなえられるという、魔力のボックスを目の前にしたら、少しだけでも試してみたいという衝動に、自分自身が勝てるとは思えません。

人間の欲求が、ときに恐ろしい結果を招くのだ、という教訓も、たくさんのホラー映画が描いているんですけどねぇ、、、人の行動は、なかなか変わらないものでもあります。

さて、最後に、

「仮に、サディスティックなショック場面を更に盛りつけたとしても、この『Wish Upon』は更に教訓を示す話には成り得ないだろう。実際、バーバラ・マーシャルによるオリジナルのこの脚本は、不穏な恐怖を煽っておきながらも、そこに社会学的な学びを、マイルドに注入するものになっている。『ファイナル・デスティネーション』や『キャリー』の影響が感じられる中において、本作はこれで、不気味な何かを収めた新しいボックスの登場、と言っても良いのだろう。(Boston Herald)」

、との評価もありました。イメージとしては、ホラーファンが楽しめそうな一本、といったところでしょうか。

できればDVDじゃなくて劇場で公開を

最近、いろいろな騒ぎにもなっている、ハリウッド映画の邦題付けですが、本作の場合はどうなりそうでしょうか。

「ウィッシュアポン」でも悪くない気がしますが、まぁ、最近流行のデスなんちゃらにひっかけて、「デス・ボックス」なんてのも悪くないですかねぇ(既にありそう?)。

皆様におかれましては、2017年の夏に、たくさんの幸運を願っていらっしゃると思います。でも、その願いが叶ったとしても、あなたを草葉の陰から見上げているモノ達の事を、少しだけ気にかけてあげてくださいね。

あなたにとって、ひと夏の素敵な出会いは、他の誰かから奪ってきたものに違いありませんから。

同時にヒトは、何かを手に入れれば何か別の物を手放すもの。皆さんの周りでは、事が穏便に済めば良いのですが、、、

それでは〜。

参照元
The New York Times
SFGate
Boston Herald

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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