映画「スパイダーマン:ホームカミング(Spider-Man: Homecoming)」について

無限に前進し続けるマーベル・ヒーロー宇宙の最新形態

唐突な話ですが、オーショウのギョーザが、ある日全面リニューアルして、中身の具材をぜんぶベジタリアン用に変更したら、ある程度以上の客足が遠のく事は必然でしょう。

国の上の方の偉い人は、「日本も事業革新で成長だぁ」なんて掛け声ばかりかけているようですが、実際、革新なんて起こさない方が良いという商売のほうが、はるかに多いんだと思います。

とは言え、それも、「周囲の空気を読む」事が国家資格になりそうな、日本と言う独特な国でのお話。アメリカ、というより、ハリウッドでは事情が真逆のようです。

何と言ってもあちらでは、差し替え、着せ替え、塗り替え、作り替えに対する気おくれこそがタブー。収益の最大化のために合法な事なら何でもアリです。

さて、そんな2017年の夏、米国映画でも格段に収益力があるビジネスモデル、「マーベル系ヒーローアクション映画」の中に、とても素敵なレシピ変更がありました。

そう、この映画「スパイダーマン:ホームカミング(Spider-Man: Homecoming)」の舞台構成が、再び一新されたんです。

シリーズ6作目となる今回、初めてマーベルプロダクションが制作の手綱を引いたという事も、マニアの人にとっては大きな意味があるのでしょう。

さらに、ピーター・パーカー役には、新たに、トム・ホランド(「わたしは生きていける」、「ウィンターストーム 雪山の悪夢」)を迎えて、そのストーリーは、彼がクモに噛まれてから、スーパーヒーローになってゆくナイーブな段階を、もう一度、語りなおすという趣向になっているそうです。

ピーターという新しい材料を「アベンジャーズ鍋」に追加するため、ロバート・ダウニー・Jr演じるトニー・スターク(のアイアンマン)という出汁も効かせて、これまた、お盆の時期にぴったりの、贅沢なアクション巨編となったはず。

ヒーロー映画に必須の悪者役には、名優マイケル・キートンを起用、映画全体をきりっと引き締めているというのも、映画ファンには嬉しいところでしょうか。

東から西、右から左、全世界を席巻するマーベル映画の最新作、気になる評価は?

色んな所に出ている批評記事を見ても、それが肯定的か否定的かは別として、この「ホームカミング」が今年の映画産業をけん引する大作の一つである、という認識は変わらないようです。

まぁ、その存在感がデカければデカいほど、投資した金額が高ければ高いほど(予算は推定で1億7,500万ドル)、専門家さん達の評価眼はより厳しいものになってゆくのも確かでしょう。

そんな中、例えば、

「主役ピーター・パーカーの年齢と同じくらいに、ハリウッドは、この「スパイダーマン」映画を売り続けている。とは言え、この映画シリーズが完璧にまとまったという事はまだないだろう。本作は、全世界で40億ドルを稼いできたというシリーズの6作目で、今回、ヒーロースーツを身に着ける役のトム・ホランドは3代目である。そして、これまでの作品から派手な変更点が、その作品に見られるものだとしても、結果的な仕上がりは依然まだら模様である。(Los Angeles Times)」

、とか、あるいは、

「『シビル・ウォー』の終盤における、短い登場時間の中で彼が見せた存在感は、トム・ホランドがスパイダーマンとして適格だという事を、一瞬の内に証明してみせた。そして、彼から無限に発っせられるそのオーラは、本作『スパイダーマン:ホームカミング』を、2017年の夏休み映画シーズンにおける頂点に持ち上げる、その要素になったと言えるだろう。(The Seattle Times)」

トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド、と続いたピーター・パーカー俳優の中でも、ホランドの持つ(良い意味での)青い印象が良くフィットしている、そんな3代目スパイダーマンらしいですね。

ハリウッドにできて、日本映画にできない事の一つは、一つの映画シリーズの世界感を臆面もなく書き換えて、主演俳優も差し替えながら、平気な顔して最新作映画としてリリースし続けるという事かもしれません。

その度、ネガティブな評判も生まれるでしょうけど、そんなものさえ跳ね飛ばして数百億円の黒字を計上してシリーズを存続する。ハリウッドには本当に力が有るんですよね。

アクション&ハイテンション、そして青春ドラマも

さて、新しいスパイダーマン、トム・ホランドの事が、やっぱり話題に乗りやすいのが本作ですが、

「この『ホームカミング』は、ピーター・パーカーが永遠に15歳くらいである必要があることを、多かれ少なかれ示している映画である。スパイダーマン映画を魅力的にしてきた要素とは、彼がスーパーパワーを持った少年であるという事だ。そして、このシリーズに個性を与え続け、彼に、ちょっと変わった少年としての魅力を与え続けられた理由とは、そこに、10代独特の不確かさや脆弱さを持たせ、常人と同じサイズの中で存在させてきた事に有るのだ。(The New York Times)」

、とか言う意見もあります。さらに、

「トニー・スタークにより、ピーター・パーカーがアベンジャーズへ参加を促される場面は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』においての、一つの見せ場であったろう。しかし、この最新スパイダーマン映画に、更なるものを求めた観客達は、落胆させられるかも知れない。(Los Angeles Times)」

と言う見方もあります。

この映画は、監督のジョン・ワッツを含めた6人の脚本家チームがシナリオを作り上げたという、大仕事の末に生み出されました。これだけの人でタッグを組めば、少なくとも、発想や着想の点で枯渇するという事も有り得ないでしょう。

その脚本については、

「まさにマーベル映画という感じの、特殊効果を見れるのもこの映画だが、本作を更によくしているのは、たくさんのユーモアと描写を与えられた、その脚本であろう。加えて、ロバート・ダウニー・Jr演じるトニー・スタークの、いつも通りに冷笑的でドライかつ屈折的な人格は、感情を露わにするホランドに対する、ちょうど良いつり合いを見せている。(The Seattle Times)」

、という評価。

また、どデカいだけのヒーローアクションかと思いきや、

「本作の前に、監督のジョン・ワッツが生み出したのが、緊迫のスリラー『COP CAR/コップ・カー』である。その監督が、本作『ホームカミング』の中、ピーターが自分のパワーを使いこなせずにいる場面においても、ある種のテンションを詰め込んで見せたのは、関心すべき点となっているだろう。メイ叔母さん(マリサ・トメイ)の目を盗んで、自分の寝室へと彼が忍び込む場面などは、他のどのアクション要素よりも緊張感が感じられたりする。(The New York Times)」

、と、演出面の高評価や、

「さらに登場するのが、マイケル・キートンだ。この『ホームカミング』での彼は実に良い演技で、もし、スパイダーマンが大人になる事を許されるのであれば、将来、より成長し経験をつんだ彼を演じる機会が、キートンへもたらされるべきだ、とさえ感じさせる。彼が、このヴァルターという役で演じるのは、(この世界の)とげとげしい反対側面である。キートンは、この男の長くうっせきした怒りや狂気を、わざとらしさをほぼ感じさせずに表現し、これを、一人の怒れる男の存在として成立させたのだ。(The New York Times)」

、という事です。

娯楽映画の脇役達にも、ある程度以上のディメンションを与えられるというのが、ハリウッドの大きな強みという事でしょうか。

スパーダーマンは、再び全世界を席巻する!?

正直言うと、マーベル作品群のように強烈な人気を誇るブランドは、大きすぎて、自分の記事に書くなんて事自体、僕ズレ太の手には余ります。

それでも、こういった派手で大きな娯楽が夏に投入されるというのは、その事だけで気分が上がってしまうんですよね。

そんな本作の続編も、制作される事がアナウンスされているそうですし、ここでのヒーロー試用期間を卒業したピーター・パーカーは、「Avengers: Infinity War」にも登場するくだりとなります。

無限に広がる「マーベル・ユニバース」が凄すぎて、僕は、もう目が回りそうです・・・

それでは、またっ!

参照元
Los Angeles Times
The Seattle Times
The New York Times

ズレ太

Author: ズレ太

いろんな事がズレまくってるズレ太です。 でも、意外とまじめですよっ! (記事の中で引用している映画批評は、米国の電子版メディアから抽出しての大意翻訳です。)

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