映画「オリエント急行殺人事件」の気になる評価とは?

蘇る伝説の名探偵

どんな時代においても、オッサンは「俺たちの時代はよかった」と言うものです。

その言葉は、便利になりすぎた時代に育った若者の文化を揶揄する目的で発せられるものですが、人類社会が単一方向にだけ発展するものである以上、常により簡単で便利になり過ぎているものなんです。

ただ、不便だった何十年か前の方が、社会の中に趣きが感じられたというのは事実で、それ故、ファッションや映像芸術といった分野には、常にノスタルジー趣味というテーマが横たわっています。

過去の時代はビジネスになる・・・

古い物は、若者の目にとっては新鮮に映るものだし、それが1930年代の文化や当時のセレブの生活などであれば、今の劇場のスクリーンに投影しても充分に金が取れるのではないか、大手映画会社のエリート企画部員がそう考えたとしても、何ら不思議ではありません。

かくして、その社名自体に遺物のような響きのある20世紀フォックス社が、1934年当時の豪華列車での旅を舞台にした名作ミステリーを、21世紀の今に再映画化する段取りとなりました。

その(新作)映画「オリエント急行殺人事件」、映画界の各分野・年代からオールスターキャストを集め重々しくも作り上げられた名作です。そしてそれが故に、プロの厳しい批評眼で評価されている一本でもあります。

今回は、その映画が受けた評価をいくつかご紹介する事にしましょう。 【続きを読む】 “映画「オリエント急行殺人事件」の気になる評価とは?”

映画「All I See Is You」:ブレイク・ライヴリーが夫に縛られる訳とは?

夫婦のチカラ関係が見せる物語

好むと好まざるとに関わらず、僕達は人間関係という空間に拘束されて生きています。そしてそれは、不平等な上下の階級に支配された世界です。

原始の頃は、上に立つ者に権力を集中させて、そこから複数の手下を使ってグループ全体を回す事が、全員を生き延びさせるために必須だったという名残が、今でも生きているのですね。

そして、技術や道具が凄く進歩した21世紀の今になっても、人間のこの性質は変化する兆しも無さそう。結局これは、人間の本質を表しているものかも知れません。

まぁ、角度を変えて見ると、人と人の間に、上下の階級などを持ち込むと、かえって問題が生まれる場合も有る事はあります。たとえば、夫婦の間の関係性がそれ。

一般的に(そして本質的に)1人の男性と1人の女性により構成されるのが夫婦で、お互いが相手にはない機能を担っている訳ですから、合理的に考えても2人が基本的に対等・平等であるべきです。

ですが、必ずしも合理的な正解を求めていないのが、人間という生き物が持つ興味深い性質の一つ。様々なケースがありますが、夫婦という最も近しく濃密な人間関係にも、不条理なシステムが適用された上、一応うまくまとまっている事も少なくないだろうとは思います。

そして、その不条理を見つめようとすると、そこに1つのドラマが生まれます。

例えば、今回ご紹介する映画「All I See Is You」の中でも、今まで機能していた歪(いびつ)な力関係に、新しい局面が生まれている様子です。

それは、この話の中心に居る1人の美しい人妻に、新たなが備わったためらしいのですが、はたして、どんな話なのでしょうか・・・ 【続きを読む】 “映画「All I See Is You」:ブレイク・ライヴリーが夫に縛られる訳とは?”

映画「キリング・オブ・ア・セイクレッド・ディア(原題)」:コリン・ファレルに向けられた復讐の呪い

怨念は燃え尽きるまで消えず・・・

奥ゆかしき文化を誇る我が日本では、昔から、人を呪わば穴二つ、という言い回しが使われています。

他の誰かを恨んで呪い続けたって、むしろ自分にとって、ろくな事はないよという教訓な訳ですが、21世紀の現在でも丑の刻参りは結構行われているという話もあり、やはり未だに、人の世と怨恨というのは切っても切り離せない深い絆で結ばれているのでしょう。

とは言うものの、複数以上の人から呪われて死ねばいいのにと思われている輩が、大空の下を平気で闊歩している反面、その周囲の一般庶民がとばっちりを受けている事も多く見受けられる昨今、恨みの念の効力というのも、かなり疑わしいものでもあります。

何にしても、絶対にすっきり解決する事がないのが、人を恨む、という行いです。

さて、独特な角度から超常現象の存在を認めているハリウッド映画業界では、復讐の呪いの扱い方にも、藁人形&五寸釘というものより多様なスタイルが考案されます。

今回ご紹介するミステリアスなホラー映画「The Killing of a Sacred Deer」は、呪いが持つ微妙でミステリアスな性質を、上手く取り入れたストーリーで展開する一作なそうですが、どんなお話なのでしょうか? 【続きを読む】 “映画「キリング・オブ・ア・セイクレッド・ディア(原題)」:コリン・ファレルに向けられた復讐の呪い”

映画「The Snowman」:マイケル・ファスベンダー主演、北欧発のスリラー

マイケル・ファスベンダーを翻弄するノルウェーの殺人鬼

2017年のハロウィーンに向け、いよいよあのジグソウが復活するそうです。

これで、殺戮の展覧会ものホラー映画のブームが再来して、担当する10代の子供達に悪影響が出ないだろうかと心配している、教育関係者の方々も多くいらっしゃる事でしょう。

まぁ、切断されたり破裂したりする人体の描写が、どれくらい映画に必要なウィットとかペーソスになっているかは、演出の意図によって決まって来るものだとは思います。

見ていても、決して趣味の良いとは言えないですが、ある程度までの残虐描写は恐怖を描くためには必要不可欠です。そして、収益性を重要視したハリウッドが、全ての作品でPG13の枠に収まる描写しかしなくなったら、恐怖を描くという文化も衰退・消滅してしまうのでしょう。

それも、また困ります。

なので、エグいホラーを見る楽しみは、とりあえず(R指定で)大人だけの特権とされているのなら、それが映画世界を保つために考案された、賢い均衡点という事になりますね。

さて、今回ご紹介するのは、そういった露骨なアメリカンテイストのホラーではない(はずの)、ノルウェー産のミステリースリラー、「The Snowman」です。

この中でも、女性を無理やり拉致した上で残虐に殺害するという、狂った殺人鬼が登場して、1人の刑事と追いつ追われつのサスペンスを展開するのだそう。

なので一応、血のりの量が多めを何時もご注文される映画ファンにも、それなり訴求する一作のようです。 【続きを読む】 “映画「The Snowman」:マイケル・ファスベンダー主演、北欧発のスリラー”

キルスティン・ダンストの幻想的ドラマ:映画「Woodshock」の評価

幻惑の森に溶けるキルスティン・ダンスト

神様、あるいは、超古代に地球を訪れたエイリアンの手によって、人類には知性が与えられました。

しかし、知恵がつくという事は、生きている限り悩みや苦しみがつきないという、宿命も背負わされたようなものです。絶対に変える事ができないと分かっている事実にさえ、人の知性は解決を求め、終わりのない苦悩にさいなまれるのです。

そして神は、そんな人間を苦しみからひと時だけ救うために、例えば、酒とかタバコ、ギャンブルやドラッグといった癒しも用意してくれました。

でも、たった一時の救いは、問題の影響をただ大きく広げるだけです・・・

さて、今回ご紹介する映画は、ファッションブランドの‘ロダルテ’を主宰する、マリービー姉妹が、脚本と監督を務めたという話題の一本。

そして、キルスティン・ダンストが、逃れようもない罪悪感の苦しみから、破滅的な癒しに手を出してしまう女性を演じているという、なかなか刺激的なストーリーなのだそうです。 【続きを読む】 “キルスティン・ダンストの幻想的ドラマ:映画「Woodshock」の評価”

ダーレン・アロノフスキーのスリラー:映画「Mother!」の評価

天才監督が再び全米を震撼させる

ダーレン・アロノフスキー脚本・監督でジェニファー・ローレンス主演の映画、というだけで、ゴシップ系のニュースには十分ネタを提供し得るのかもしれませんが、そこへ、エド・ハリスとミシェル・ファイファーまで加えたら、一つの映画としても何かが起こりそうな予感が漂いはじめます。

そんな一作が、今回ご紹介する「Mother!」。

‘マザー’と言うと、すべての愛や包容力の象徴となる言葉ですが、時として映画の中では、歪んだ人格や狭量や過去のトラウマなどの象徴として使われる存在です。そしてどちらかと言うと本作では、後者のイメージが近いのかもしれません。

とにかく、2017年のヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映された時点から、色々な所でバズられている話題作が、この「Mother!」だという事ですね。

アロノフスキー監督はこの新作によって、再び米国映画界を震撼させる事になるのでしょうか? 【続きを読む】 “ダーレン・アロノフスキーのスリラー:映画「Mother!」の評価”