ヘレン・ミレンと迷路屋敷の怨霊:映画「ウィンチェスター(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Winchester
    • ウィンチェスター
  • 制作:
    • 2018年 Blacklab Entertainment / Imagination Design Works

ハッピー・ゴーストハンティングも1つの文化

日本でも近々、民泊の規制が緩和されるらしいので、巷にあふれかえるいわく付きの出ちゃう空き家なんかを使えるように掃除して、そのまま外国人観光客にアピールしたら、意外と評判を呼ぶかもしれませんね。

日本だと、必ず不吉な印象が抱きあわされる心霊ですが、欧米社会では、また違った捉え方をされているように思います。

アメリカの都市なんかだと、地元の歴史と共にいわく付きスポットを探訪するガイドツアーが結構有って、あっちの世界の人も経済と文化の一翼を担っている様です。

とにかくまぁ、何かが出ると言うストーリーが金になる、と言うのは、洋の東西を問わず確かな事。

合衆国カリフォルニア洲サンノゼに有るウィンチェスターミステリーハウスは、その不思議なバックボーンと諸々の噂などを、ある意味で前向きにアトラクション化する事に成功したスポットと言えましょう。

20世紀初頭にこの異様な大豪邸を生み出したのは、悲劇の未亡人サラ・ウインチェスター。

彼女を突き動かした恐ろしい衝動を、実力派女優ヘレン・ミレンを起用し、現代の映像技術を駆使して再現したと言うのが、今回ご紹介するホラー映画「Winchester」です。 【続きを読む】 “ヘレン・ミレンと迷路屋敷の怨霊:映画「ウィンチェスター(原題)」の評価・あらすじ”

ニコラス・ケイジの狂気に火がつく時:映画「マム・アンド・ダド(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Mom and Dad
    • マム・アンド・ダド
  • 制作:2018年 会社

愛憎のカタチが歪んだ現代社会に放つホラー

世の中には、パラハラ、セクハラの嵐が吹き荒れるご時世です。

例え自分が、軽い皮肉とか洒落や愛嬌、あるいはコミュニケーションのつもりでそれを行ったとしても、相手がどう捉えるかによっては裁判沙汰となるので、各職場のオジサマ方は充分注意しなければいけません。

上に立つ側から、目下の者を蹂躙(じゅうりん)するという意味では、親が子供に行う行為も時としてハラスメントに似てきます。ただ、この場合は、いやがらせ、ではなくて、虐待と呼ばれてしまいますけどね。

それを糾弾された親御さんは、しつけとか教育である、と主張するでしょうが、周囲に居る100人の中、全体の51パーセントが間違っていると感じる事なら、いかに自分にとっては正しい事だと主張しても罪となります。

しかし逆説的に言って、仮に100人の親が全員、自分の子供を傷つけようと追いかけまわしたら、それは罪にならないと言う事なのでしょうか?

もちろん、その場合の親達にも、自分の子供の子供っぽい行動が与えるフラストレーションが限界に達した、という、正当な理由が有っての事です。

今回ご紹介する映画「Mom and Dad」は、世の中にいる全ての親が子供に対して抱く苛立ちの導火線に、とうとう本物の火が着いてしまい、全ての親達が凶器を振りかざしながら我が子を始末しようと襲い掛かる、という恐ろしくもナンセンスなプロットのお話だそうです。 【続きを読む】 “ニコラス・ケイジの狂気に火がつく時:映画「マム・アンド・ダド(原題)」の評価・あらすじ”

クリス・ヘムズワースが自由主義社会を守る!:映画「12 Strong」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • 12 Strong
    • 12 ストロング
  • 制作:
    • 2018年 Lionsgate / Alcon Entertainment / Black Label Media / Jerry Bruckheimer Films

攻撃は最大の防御

その武力を世界中に展開して、あたかも平和と民主主義を守る警察官のような顔をしているアメリカ合衆国には、色々な所から批判や反発の声が上がっていると思います。

とは言え、その存在が地域のパワーバランスを保つ役目をしている事も確か。その意味では、現実的な平和を維持するのに必要な力なのだ、と、評価するべきかも知れませんね。

東西冷戦が終わった瞬間は、これで戦争の脅威のない発展的な未来が開けたと誰もが期待したのですが、人の世はそれほど単純でもなく、世界情勢はより不安定化していると言えそうで、やはり実力行使をする人々が、居てくれないと困るのです。

まぁ、武器を使って殺し合う事は素晴らしい、などと、到底、言えるものじゃありませんが、何か大きな価値観を守るために、現実的なヒーローとして活躍した軍人のストーリーは、感動を呼ぶものとして多くの人に訴求する事は確かです。

そして、アメリカの出版界やハリウッド映画界は、合衆国政府を支持する一般ピープルに対して、その感動的というエレメントを効果的に伝える使命も負っていると言えます。

今回ご紹介する映画「12 Strong」は、ハリウッドの大物プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーなどが、あの時期、恐怖と悲しみに包まれていたアメリカに希望を与えた精鋭部隊による、隠された真実のドラマを世に明かす、という一本らしいです。 【続きを読む】 “クリス・ヘムズワースが自由主義社会を守る!:映画「12 Strong」の評価・あらすじ”

元NY市警ベテラン最悪の一日:映画「ザ・コミューター(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Commuter
    • ザ・コミューター
  • 制作:
    • 2018年 Ombra Films / StudioCanal / The Picture Company

その男の内面に秘めた真価が再び炸裂

能ある鷹は爪を隠す、なんて言葉、日本だけの奥ゆかしい考え方かと感じますが、例えば、クラーク・ケントやジェイソン・ボーン、さらにはブルース・ウェインなども、本気を出したら実は凄いというタイプのヒーローですから、アメリカの様な国にも同様の威厳が通用するという事の様です。

娯楽映画の中で、世を忍ぶヒーロー像がもてはやされるのは、僕ら小市民が秘めている変身願望とか、ありのままの自分で周囲から認められたいという欲求などが、そこに共鳴するためだと思います。

そして、50歳代に入ってからの映画「96時間(Taken)」への主演を機に、自身のアクションスターとしての本領に目覚めたリーアム・ニーソンは、地味な庶民の願望を満たすと言う意味で、リアルなヒーローと呼ぶべき俳優でしょう。

そんなニーソンさんのファン待望、最新アクション映画が、ここでご紹介する「The Commuter」。今回は、日々繰り返してきた通勤の途中で突然、危険な謀略の中へと引きずり込まれる不運な男を、彼が演じているという事です。 【続きを読む】 “元NY市警ベテラン最悪の一日:映画「ザ・コミューター(原題)」の評価・あらすじ”

過去に潜む悪霊の闇:映画「インシディアス: ザ・ラスト・キー(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Insidious: The Last Key
    • インシディアス: ザ・ラスト・キー
  • 制作:
    • 2018年 Blumhouse Productions / Entertainment One / LStar Capital / Stage 6 Films

心霊の正体は薄暗い煉獄の中に

おそらく、ほとんどの憑依現象は精神疾患の症状だろうと思いますし、かなりな割合のポルターガイスト現象は、高校で教わる物理の知識で解明できるのだと思います。

だとしても、人間の理論では説明の出来ない超常現象は、世界中でちらりほらりと起きているのです。

そんな風に出ちゃうスポットの多くが、墓場や火葬場ではなく人が実際に住んでいる家の中だ、というのも、心霊現象が持つ興味深い傾向の1つ。ですが、この件については、YouTubeの存在がある程度の説明になるかもしれません。

何にしても、人間は本来、自分を守るために建物の中で生活します。守られるべきその環境の中に、目には見えないけれど不穏な何かが潜んでいる予感がしたら、心理的にも相当恐ろしい話です。

家の中だからこそ怖い、そんな深層心理の不安感を上手く使ったオカルトホラー映画は、歴史に名を残す一本に成り得ます。

さて、今やハリウッドでもコワい監督として鳴らしている、あのジェームズ・ワンが生み出し、あれよあれよと言うまにパート3まで作られていた、「インシディアス」の世界に、新たに加わった戦慄の新章こそが、ここでご紹介する「Insidious: The Last Key」です。

今回も、屋敷に巣くう悪霊と対決し、その住人を救済しようと立ち上がるのは、最恐の霊能者エリーズ・ライナー。

ところが、今回、彼女が向かう心霊スポットは、今までのものより、ちょっと毛色が違う現場のようなのです・・・ 【続きを読む】 “過去に潜む悪霊の闇:映画「インシディアス: ザ・ラスト・キー(原題)」の評価・あらすじ”

ポーカーゲームより熱いある女性の人生:映画「モリーズ・ゲーム(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Molly’s Game
    • モリーズ・ゲーム
  • 制作:
    • 2018年 STX Entertainment / Huayi Brothers Pictures / The Mark Gordon Company…他

人生はゲーム

人生は、複雑な人間社会を舞台にして繰り広げられる、壮大なゲームです。

そのゲームのゴールをどこに設定するかは、参加者の趣向によってかなりな自由度が与えられていて、たとえば、FX投資で資産を数億円まで膨らます事がゴールである人もいれば、オリンピックで金メダルを取る事が人生のゴールである人もいます。

また、このゲームで勝つには、自分自身の特性や性格が、どのプレイ内容に適しているかを早く見極める事も大切です。夢は必ずかなうと言いますが、人生の時間が限られているのも事実ですから、生きている内にゴールできなかったら意味がありません。

どちらにしても、これがゲームである以上、そのつもりで取り組まない限りは、自分の人生を上手く生きてゆく事は不可能ですし、そう考えると、元からゲームをプレイして勝利するセンスや才能のある人は、人生の舞台でも成功しやすいという事になります。

たとえば、一度は、スキー選手としてオリンピック(Olympic Games)代表候補にまで上り詰め、その後、賭博ビジネスも成功させたモリー・ブルームという美しい女性なども、ある意味、人生ゲームの勝利者と呼べるのかもしれませんね。

まぁ、彼女の場合は、ゲームのルールは完璧にこなしましたが、実社会のルールをちょっと読み間違えたようで、最終的には捜査当局のお世話になってしまいました。

とにかく、実在するその女性をジェシカ・チャステインが演じ、まるで彼女のスキー競技のように高速で刺激的なセリフを観客にたたきつけるというのが、今回ご紹介する映画「モリーズ・ゲーム(Molly’s Game)」です。 【続きを読む】 “ポーカーゲームより熱いある女性の人生:映画「モリーズ・ゲーム(原題)」の評価・あらすじ”

マット・デイモン主演の風刺SFドラマ:映画「ダウンサイズ」の評価とあらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Downsizing
    • ダウンサイズ
  • 制作:
    • 2017年 Paramount Pictures / Ad Hominem Enterprises / Annapurna Pictures

大きけりゃ何でも正解…ではない

おそらく1950年代以前から、巨大予算を投じた超大作映画は、それだけで観客達の目を引く事が可能で、従ってヒット作にもなりやすいものであったはずです。

大きな風呂敷は人目を引くし、その上に有名な俳優や監督、そして分かりやすいアドベンチャラスな脚本を並べたら、その前に立ち止まらない人はいないはず。

しかし、時を経て、21世紀になった昨今では、観客の目を満足させるに足りる映像効果も、家庭用のPCでディジタル画像処理を行えば作れてしまう様になっています。良い映画であるために必要なのは規模ではなくて製作者のアイディアだ、という時代になった訳で、これは、才能やセンスの有る人々にとって、とても良い事だと言えましょう。

ただ、原始の時代から、サイズコンプレックスの中で生きてきたのが人間という動物ですので、その価値観を大きさから意味・密度などへシフトする既得権からの強烈な抵抗が有るのも事実。ですが、物のサイズを小型化して行くのは、やはり時代の要請でもあるのです。

物理的に言っても、大きなサイズの中身は薄くなりやすいですし、小さいモノの中は濃密にしやすいもの。そして、1人の人間を満たして豊かにする事を考えた時でも、これは同じです。

さて、新しい資源を採掘する事より、人類その物が小さくなれば、相対的に豊かになれるという、ある種の逆転の発想を基に書かれた物語が、ここで紹介する映画「ダウンサイズ(Downsizing)」なのだそうです。

これは、奇抜さの中に社会風刺を込めた、SF系のコメディドラマという事なのですが、どんなお話なのでしょうか? 【続きを読む】 “マット・デイモン主演の風刺SFドラマ:映画「ダウンサイズ」の評価とあらすじ”

ハリウッド重鎮の愉快な激突!?:映画「ジャスト・ゲッティング・スターテッド(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Just Getting Started
    • ジャスト・ゲッティング・スターテッド(原題)
  • 制作:
    • 2017年 Broad Green Pictures / Endurance Media / Entertainment One…他

ベテランが活躍するフィールド

飲み会の席になると、焼酎のお湯割りが2杯くらい入った上司が、「俺も昔はワルだった」という武勇伝を繰り返し語るので困る、と思っている人も結構いらっしゃるでしょう。

ベテランの人々の口から出るそういった話の殆どが、ただの盛り過ぎた空想だと言う点は横に置いたとしても、そのプロットが何時もありきたりで、ウィットもミステリーも含んでいないのは、本当に困ったものです。

ですが、年齢が上の人が持つ強みというのは、過去という時間をリアルに体験したという事にあるのでしょうね。

若い層の人間が生きている、「今という未来」では思いもよらない事を、古い時代の人間達は当たり前のように行っていた・・・、その事実は、1つの物語にさえ成り得るものです。

そして、ロン・シェルトンのような映画製作者であれば、クリスマスを迎えた定年退職者のための高級リゾートで、そこで暮らすベテラン達の過去がちょっとした事件を引き起こす、という話を面白く書き上げてくれると期待も出来ます。

加えて、21世紀初頭のハリウッド映画界でも、その名前が特別な重みを持つ2人のベテラン俳優を起用して、そのプロットを映画化したら、それは格別な味わいを持つ作品となる事間違いなし、なはず。

かくして出来上がったのが、ここでご紹介する映画「Just Getting Started」というクライム・アクション・コメディという事らしいです。

あらすじ

カリフォルニアはパームスプリングスにある、居住型の高齢者施設「ヴィラ・カプリ」。

恵まれた気候とレクリエーションに恵まれた、この施設を取り仕切っている男性が、デューク・ダイバー(モーガン・フリーマン)。自身も入居者でありつつ、実質のマネージャー役も務めている彼には、施設の誰もが称賛を惜しみません。

デュークは、マーガライト(グレン・ヘドリー)、リリー(エリザベス・アシュリー)、そしてロベルタ(シェリル・リー・ラルフ)ら、同じく入居している女性達とも上手い関係を築いているようで、引退後の日々もますます充実、と言ったところ。

そんなある日、この施設に新しい仲間がやって来ます。彼の名前はレオ・マッケイ(トミー・リー・ジョーンズ)。到着早々、デューク専用に確保されている駐車スペースに堂々と車を止めたりして、なんだか、波乱の予感をまとっての登場です。

話を聞くと、どうも軍とか連邦捜査局とか、そんな方面のキャリアが有るらしいレオは、この施設内のヒエラルキーに縛られるつもりも無い様子で、ポーカーでの勝負をはじめとして、デュークと競い合う事にも躊躇しません。

なんだか面白くないヤツが来てしまった、と思ったその矢先、デュークに更なる問題が降りかかりました。施設の親会社が、運営状態を確認して改善するため、事業仕分け担当のキャリアウーマン、スージー(レネ・ルッソ)を送り込んできたのです。

なかなかな美貌の持主であるスージーには、まず、レオが関心を示しましたが、これまたデュークも、後れを取ってはならじとばかりにアピール合戦へ参入します。

しかし、いい歳した大人達の恋のから騒ぎ、が進行する中、もう一つの脅威がデュークに迫っているのを、一同はまだ知りません。

実は、デュークは、証人保護プログラムで守られている人物で、ギャング専門の弁護士だったという過去の持主なのです。そして、その時に裏切った連中は、未だに彼への復讐を諦めてはいません。

様々な人間関係のテンションと、過去の怨恨のるつぼと化した高齢者向けリゾート「ヴィラ・カプリ」。果たしてデュークは、その安定を守り切る事が出来るのでしょうか?

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ロン・シェルトン
  • 脚本:
    • ロン・シェルトン
  • 制作:
    • ジョン・マス
    • アラン・シンプソン
    • ビル・ガーバー
    • スティーヴ・リチャーズ…他
  • 出演:
    • モーガン・フリーマン
    • トミー・リー・ジョーンズ
    • レネ・ルッソ
    • グレン・ヘドリー
    • エリザベス・アシュリー
    • ジョー・パントリアーノ
    • ジョニー・マティス…他

ベテラン俳優を起用して描くコメディ、その気になる評価とは?

完全に大人達が主役であるこの映画ですが、レーティング的には、上手い事PG13に収めている一作でもあります。

この辺りは、クリスマスシーズン公開のメジャー作には、ファミリー層を取り込める要素が必要だという、配給側の大人の事情も働いているのかもしれません。

逆に言うと、本来、存在したであろうスクリプトのページの多くが、ポストプロダクション段階で削り落とされ編集室の床に打ち捨てられただろう、との想像もしたくなります。

まぁ、どんな映画にもディレクターズカット版は有り得ますから、それがどんなものになるとしても、本作のリテール版リリース時はその編集が観れたりすると面白いですよね。

うまく行かなかった自己パロディ

とにかく、モーガン・フリーマンとトミー・リー・ジョーンズ、そしてレネ・ルッソ達が、それぞれの典型的な役どころを演じているというのが、この映画の1つの売りになっているのは確かな様です。

という訳で、上手くすれば本物の映画ファンや、この文化に詳しい批評家の人達の心の琴線を、愉快にかき鳴らす事もできるはずなのですが、本作には、

「2人の男が私を取り合うなんて初めての事じゃないわ。本作『Just Getting Started』にあるレネ・ルッソのセリフである。そしてこれが、この映画の中で最も笑える言葉なのかもしれず、同時に、(過去の映画と引っかける意味において)1つの隠喩的ジョークともなっている。この無理やりにロマンチックなおふざけ話である本作が、ロン・シェルトン監督の過去の作品を感傷的な形で再現している関係上、そういったユーモアでさえも自滅的に響いてしまう。本作のキャストには、笑いと個性を提供する申し分のない役者が揃っている訳で、これが酷い出来になる可能性はとても低いと思われるが、実際、色々と考えを回す気にもならない程にダメな仕上がりなのが本作である。彼らスター俳優達の魅力と仕事ぶりをもってしても、ここでのジョークは何時も不発に終わり、場面はきしみ音を発してつまづいたりするのみだ。この、無視されるか直ぐに居なくなるべき作品『Just Getting Started』は、ロン・シェルトンの映画を飛行機内で見た事のある誰かが、そのプロットを暗唱しなおしている様に、スローでだらだらと長い一作である。(The New York Times)」

、と、ネガティブな評価が書かれています。

長たらしく不自然

もともと、クリスマス前に公開されるアンサンブルキャスト作品は、ストーリー自体も定型的なロマンチックドラマにしか成り得ず、結局、そこに顔を揃えた個々の俳優のファン達に贈るプレゼント、という役割がメインなのだと覆います。

だから、このシーズンにリリースされる作品に、あまり厳しい見方をする事自体が無理があるのですが、この映画については別の所で、

「悪い出来の映画のいくつかは、苛立ちと憤怒を沸き立たす原因となり、あるいは、業界からの冷笑的かつ軽蔑的な批評を得るものだ。そして、本作『Just Getting Started』の様にかったるい駄作は、完璧に無益な何かのために、どれ程の時間と予算そして才能が浪費されたかを思い起こした時の、言い様も無い悲しい気分をも引き起こさせる一本である。やたらと長たらしく不器用で不自然、そして酷く退屈なだけの無益なこの作品は、この領域の中で最悪な何かを明らかにする映画だと言えよう。あえて良い点を上げれば、ここでの役者がかつて行った仕事について、今でも抱かれている尊敬の念が、感傷的な親近感を観客から引き出すという点であろうか。(Variety)」

、との評価が書かれています。

明確にならない方向性

日本と同様に、欧米社会も高齢化していますし、それは逆に、各業界の中に元気なベテランが増えている事も意味します。

演技者としてだけでなく、ハリウッド界隈のビジネスにも詳しいと思われる大物俳優は、おそらく、出演するどんな作品の世界にも溶け込んでくれるはずです。

したがって、この映画「Just Getting Started」においても、微妙で細いライン上で上手くバランスを取って、彼らの手で作品をまとめ上げてくれる事が望まれるのですが、批評家の目から見た時、

「オスカー受賞俳優、モーガン・フリーマンとトミー・リー・ジョーンズの初共演であれば、観客を歓喜させるに充分なそろい踏みであるはずだし、ロン・シェルトンの様に実績ある監督の手に寄るのなら、ますます期待感は大きいはずだ。だが残念な事に、本作『Just Getting Started』は、オスカーのノミネーションを受けた、あのロン・シェルトンの仕事とは呼べないものだ。これは、定年後の人が属するコミュニティ内の関係性か、あるいは、一番を子供の様に競い合う2人の成人男性を描くのか、はたまた、自分への復讐から逃げられない誰かを描く犯罪映画なのか、シェルトンはその目的が見えないまま脚本を書き上げてしまったのだ。この中の全てのセリフには、いかに実力ある役者達が語ったとしても、ニュアンスを与えられるだけの微妙さも場所も存在していないのである。(Los Angeles Times)」

、と言う様に捉えられてしまった様です。

だとしても、主演の2人のオジサマが発揮する、特別な愛嬌と言うかユーモアからは、悪くないオーラも出ていそうに感じるのですが、どうなのでしょうか?

貴重な経験だんになら、耳を傾けて・・・

昔とった杵づか、なんて表現もありますが、杵なんてもの自体が21世紀の今では見る事すらない遺物です(そういったのは、スマホとかでピポパすると完了するのでしょう、たぶん^^)。

しかし、そんなご時世になった今でも、依然として人間社会の根底を支えているのは情報ではなくノウハウです。だから、超便利な道具がなくとも色々なモノを作っていた、古い人達の話が持つ貴重さは、時代を超えて存在してゆくものなのです。

ハリウッド界隈で言えば、撮影後にコンピュータ処理で画像修正する事など考えられもしなかった時代に、演技やプロダクションデザインを勉強した人の知識は、未だに生きていると言えるでしょう。

そういう話は、可能な限り傾聴するべきです。

とは言え、「俺も昔は荒れたモンだぜ。」なんて繰り返すベテランさんとは、あんまり飲みに行きたくはないですけどね。

ではまたっ!

参照元
The New York Times
Variety
Los Angeles Times

ジェームズ・フランコと最低の駄作:映画「ザ・ディザスター・アーティスト(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Disaster Artist
    • ザ・ディザスター・アーティスト
  • 制作:
    • 2017年 New Line Cinema / Good Universe / Point Grey Pictures…他

出来が悪いから愛される

議員とか芸能人の、ほんのちょっとの言い間違いやワードチョイスの悪さ、はたまた、声色の使い方までが、全社会的な炎上を巻き起こす最近の日本社会です。

そんな様子を見ていると、この世界に存在できるのは、一点の汚れもなく理論的に完璧なプロポーションを持ったものだけ、と誰かが主張しているようにも感じます。

でも、その反面、ルックスなどが若干以上にデフォルメしている動物とかキャラクターが、ブサかわ、キモかわ、と人気を集めたりするので、これまた、人の価値観の多様さを再認識させられる、興味深い事柄ともなっているのです。

まぁ、完璧に均整の取れたモノとかヒトだけで、自分の周囲を固めるのも悪くありませんが、それでは変化も無いし、選択の幅が狭くなってしまうのも事実でしょう。逆に、もの凄く不出来なモノの中を探索してみると、今まで接した事がなかった、面白くて愛すべき対象がみつかる可能性もあります。

映画でも、あまりに酷い出来の作品は、逆に、物見高い人達の関心を引くという事も有る様で、そんな作品の一つが、2003年に公開された低予算映画「The Room」でした。

「最低だから見てみたい」と言う、理屈では説明できない様なカルト的人気を今も誇るこの映画。実は、俳優ジェームズ・フランコのお気に入りでもある様で、そんな事情から、彼が監督・主演、そして制作にも関与して作りあげたのが、今回ご紹介する新作映画「The Disaster Artist」なのです。

原点となった(名)駄作へのリスペクトも充分盛り込んだという、この作品。一体、どんな作りなのでしょうか? 【続きを読む】 “ジェームズ・フランコと最低の駄作:映画「ザ・ディザスター・アーティスト(原題)」の評価・あらすじ”

デル・トロとUMAとロマンス:映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Shape of Water
    • シェイプ・オブ・ウォーター
  • 制作:
    • 2017年 Bull Productions / Double Dare You / Fox Searchlight Pictures

高等生物ならばこそ

話によると、1950年代の中ば、第34代合衆国大統領であったドワイト・D・アイゼンハワーは、外宇宙から飛来したエイリアンとの会見を実現し、アメリカと彼らの間に一つの協定を成立させたと言います。

その協定では、合衆国政府がエイリアンに対して、北米大陸での人間を対象にした生体実験を許す見返りとして、彼らの超技術を独占的に供与される約束を得た、というのです。

しかしながら、100光年も遠くからワームホールを通過してやってきた、超絶科学の持主である彼らが、いかにその時代の地上の大国であったとは言え、50年代のアメリカなぞとわざわざ協定を結ぶ必要が有ったのか、そこは疑わしい所です。

まぁ、夢は有るけれど真偽のほどは分からない、そんな陰謀オカルト説の一つがこのストーリーと言えるでしょう。

仮に彼らが実在したとして、エイリアン連中から見れば、人間なんて地上に上がったウーパールーパーとさして変わりませんから、もし彼らが地球に来ていると言うのであれば、どちらにしても生体実験が行われているのは確実な気はします。

同時に、エイリアンアブダクション問題が、所詮、都市伝説の1つに過ぎないと言うのであれば、自分より下等だとみくびった相手には凄く酷い仕打ちでも平気で行うという人間の本質的な残虐さを、深いところで皮肉った話なのかもしれません。

さて、冷血な残酷さ、そして、献身的な優しさ、その両方を同時に備えるのが人間性というもの。そんな説明のつかない矛盾をはらんでいるからこそ、映画の基本的なモチーフとして面白い訳です。

今回ご紹介する映画「シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)」は、そう言った2つの性質の真ん中に、一体の異生物を置いて描かれた、ファンタジックでロマンチックかつスリリングなドラマのようです。

監督を務めたのは、誰あろう、あのギレルモ・デル・トロです。 【続きを読む】 “デル・トロとUMAとロマンス:映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の評価・あらすじ”

マギー・Qが光をあててしまった眠りの恐怖:映画「スランバー(原題)」の評価

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Slumber
  • 制作:
    • 2017年 Tea Shop & Film Company / Goldcrest Films International

毎夜、アナタとあちらの世界をツナげる扉が開く

人間の脳というのは、その全容積の10%しか活動していない、という俗説が有ります(いや、有りました。)

それは、休止状態にあると思われる脳細胞を全て活動させる事ができたら、自分も、とてつもなく凄い知性や認知能力が発揮できるハズ・・・、という妄想を刺激する説でもありますね。

まぁ、都市伝説というのは、合理的な根拠が薄いのが良いところなので、込み入った領域の話はここではパスします。

とはいえ、僕らの意識では把握しきれない深い部分で、脳みそが何等かの未知なる機能を果たしている事は確かです。そして、様々な超常現象の究明が、そういった部分に答えを求めているのも事実で、脳の奥底に隠された不思議な霊能力が、人間の意識が半ば眠っている状態の時に発揮されやすいという考え方もあるようです。

だから、ベッドでうとうとした時の枕元に立った御先祖様が残した、庭の南の角を掘れ、なんてお告げ通りにそこを掘り起こしたら、古い小判が一つ出てきた、、、なんてエピソードにも、少しばかりの信憑性が感じられてきます。

さて、同じ睡眠時に見るヴィジョンでも、小銭稼ぎになるものばかりではありません。と言うか、逆に、とても恐ろしいモノばかり見ると言う人も多いはずですよね。また、映像や声のイメージだけでなく、金縛りにあうケースも考えられます。

そして実は、その現象の正体は、とてもとても、とっても恐ろしいものなのだ、、、と言うのが、今回ご紹介するホラー映画「Slumber」の基本プロットです。

あなたが、暗闇の中で意識という防御壁を停止させ無防備になる瞬間。かたわらの暗がりの中で襲いかかるチャンスを伺う存在とは、一体、何者なのでしょうか?・・・ 【続きを読む】 “マギー・Qが光をあててしまった眠りの恐怖:映画「スランバー(原題)」の評価”

名作小説の誕生秘話、映画「The Man Who Invented Christmas」の評価

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Man Who Invented Christmas
  • 制作:
    • 2017年 Mazur / Kaplan Company …他

今や数十億人に愛される、1人の作家のクリスマス寓話

あらためて思うと、聖書の中に「12月25日は主の生誕された日であるので、世界中の信徒はこれを心して祝せよ」とか、「主の生誕日は、電球の色と数で競い合い盛大に祝意を表せよ」、なんて一言も書かれていない訳です。

それでも、この季節が醸し出すウキウキするようなムードには、僕ら日本人は完全にやられてしまっていて、一年の中でも最も消費が活発になる次期を演出する、重要なアイテムにもなっています。

そして依然として、あの赤と緑と白の色彩に、キラキラの電飾、あきらかにそれと分かるメロディーラインの数々は、聖書の時代のずっと後に生きたどこかの誰かが考え付いた、一つの様式であるに違いないのです。

どの様なトラディションも、人類発生の瞬間から存在した訳じゃないですからね・・・

まぁ、イデオロギーの問題はともかくとして、他者への思いやりとか、いたわり、そして施しの精神という、クリスマスを定義づけるメインテーマでさえ、それを明確にしたのは、結局のところ1人の人物らしいのです。

その人こそ、英国ビクトリア朝時代に活躍した著名な小説家である、チャールズ・ディケンズであり、現代に通じるクリスマスの基本イメージを固める事になったのが、彼の代表的一作「クリスマス・キャロル」なのだ、というのが、今回ご紹介する映画「The Man Who Invented Christmas」のコンセプトです。

19世紀という、ともすると堅苦しい時代を舞台にしながらも、ディケンズがこのおとぎ話を生み出すまでの過程は、ファンタジックかつユーモラス、そしてポップに描かれているというのが、この作品の特徴らしいです。 【続きを読む】 “名作小説の誕生秘話、映画「The Man Who Invented Christmas」の評価”

映画「ダディーズ・ホーム 2(原題)」:マーク・ウォールバーグとウィル・フェレルのおかしな父親!?

親の上にその親が乗っかり生まれる、もめ事と笑い話

中学校の頃、国語を教えてくれていたお婆ちゃん先生が、「所詮、親がいなかったらアンタらも居ない訳だから、アンタらなんて絶対に親には叶わないんだよ」、と仰っていたのを記憶しています。

まぁ、僕らが両親に叶わないのなら、両親はその親に叶わず、親の親はその親に叶わなくなってしまい、全ての人間の親である最初のヒト、アダムとイブは、極めて高尚な人でなければならない事になってしまいます。

とは言え現実に人間は、その年齢に関わらず皆が等しく無責任だし、幼稚で自己中心的で低俗なもの。だからこそ、パパと息子、ママと娘の間には、身内に独特のライバル関係が生じたりする訳です。

多分、ハリウッド映画のシナリオテンプレートには、そういった親子関係をいじくる構図が組み込まれている様でして、今回ご紹介するホリデー向けコメディー映画「Daddy’s Home 2」もまさにその一本です。

この映画、2017年のクリスマス、家族のお手本にならなければいけないはずのパパ達の前に、もっと手強いお父さん達が立ちはだかり、家族の休日が大騒ぎになるという話らしいのですが・・・ 【続きを読む】 “映画「ダディーズ・ホーム 2(原題)」:マーク・ウォールバーグとウィル・フェレルのおかしな父親!?”

映画「ジャスティス・リーグ(Justice League)」の気になる評価とは?

今年最後のヒーロー祭り開催

スーパーヒーローをアイコニックにしている要素は、そのコスチュームと能力の組み合わせで表現されるキャラクターです。すなわち、その2つの部品が彼らについての全てを語っていると言えます。

中の人を差し替えて何度でもリブートが出来るという、映画的には非常に大きなメリットも生み出している、そんな彼らの強い個性ですが、それでも単純にスクリーンへ投射するだけでは、際立たせる事などできません。彼らの隣には必ず立派な比較相手が必要なのです。

オーソドックスには、強力な悪役を登場させるという手が使われますが、例えば、変形する複雑な作りのロボモンスターとか、海から這いあがって来るクラーケン的なやつとか、直径が3kmくらいあるUFOとか、考えられる限りの怪物はアクション映画に既に登場済みで、今や充分なカリスマ性を発揮できないでしょう。

そこで新たに採用されるのが、何種類かのヒーローを集合させて、観客に彼らの違いを見比べて楽しんでもらおうというアイディア。

そして、最近のハリウッド界隈では、その思惑が事のほか上手く当たっている様子です。

今回は、そんな2017年のヒーロームーブメントをおそらく締めくくる一作である、「ジャスティス・リーグ(Justice League)」について、米国公開時に書かれた本当の評価をいくつかご紹介して行きます。 【続きを読む】 “映画「ジャスティス・リーグ(Justice League)」の気になる評価とは?”

映画「オリエント急行殺人事件」の気になる評価とは?

蘇る伝説の名探偵

どんな時代においても、オッサンは「俺たちの時代はよかった」と言うものです。

その言葉は、便利になりすぎた時代に育った若者の文化を揶揄する目的で発せられるものですが、人類社会が単一方向にだけ発展するものである以上、常により簡単で便利になり過ぎているものなんです。

ただ、不便だった何十年か前の方が、社会の中に趣きが感じられたというのは事実で、それ故、ファッションや映像芸術といった分野には、常にノスタルジー趣味というテーマが横たわっています。

過去の時代はビジネスになる・・・

古い物は、若者の目にとっては新鮮に映るものだし、それが1930年代の文化や当時のセレブの生活などであれば、今の劇場のスクリーンに投影しても充分に金が取れるのではないか、大手映画会社のエリート企画部員がそう考えたとしても、何ら不思議ではありません。

かくして、その社名自体に遺物のような響きのある20世紀フォックス社が、1934年当時の豪華列車での旅を舞台にした名作ミステリーを、21世紀の今に再映画化する段取りとなりました。

その(新作)映画「オリエント急行殺人事件」、映画界の各分野・年代からオールスターキャストを集め重々しくも作り上げられた名作です。そしてそれが故に、プロの厳しい批評眼で評価されている一本でもあります。

今回は、その映画が受けた評価をいくつかご紹介する事にしましょう。 【続きを読む】 “映画「オリエント急行殺人事件」の気になる評価とは?”

映画「レディ・バード(Lady Bird)」:グレタ・ガーウィグが描く女子高生のリアル

さりげない日々に埋もれたストーリー

人間は、体験から学習する生き物。ですから、人が人生を構築しようとする時、周囲の環境からは計り知れない影響を受ける事になります。

なので、子供がまっすぐに成長してゆくためには、最低限の環境は不可欠。

まず、しっかりとした関心を子供に向けてくれる両親の下に生まれ、校則は厳しくてもちゃんとした教育方針のある学校に入れてもらい、適当に規則をやぶりつつも先生とは敵対する事もなく過ごし、恋をしてその先の事も知り、高校を卒業し希望通りの大学へ入学する。

その人の人生の初期段階で、こういう、とても普通の事柄が連なっていさえすれば、将来的には、一流企業とか芸能界に入ったとしても必要不可欠とされる人材に育ってゆくのでしょう。

ただ、普通の出来事を列挙するストーリーって、映画ビジネスの中では売り物になるのでしょうか?

実は、今回ご紹介する映画「レディ・バード(Lady Bird)」は、とある女子高生のリアリティをハートフルに描いたという事で、すこぶる評判の良い作品らしいのです。

ここで、自身の出身地であるサクラメントを舞台にしたストーリーを描いたのが、女優のグレタ・ガーウィグで、本作が監督としてのデビュー作ともなっています。

ガーウィグ監督の代わりに、自分も数年間分年齢をさかのぼって高校生になり切り演じているのが、シアーシャ・ローナン。

と言う訳で、女性目線の効いたラブリーな雰囲気は予想できるのですが、そこにどんな出来事が起こるのでしょうかねぇ? 【続きを読む】 “映画「レディ・バード(Lady Bird)」:グレタ・ガーウィグが描く女子高生のリアル”

マット・デイモン主演ダークコメディ:映画「Suburbicon」の評価

作品予告編・概要


タイトル:Suburbicon
制作:2017年/Black Bear Pictures(他)

穏健な男の日常が切れる時

世間を騒がすような大騒動を起こした男性を報じるニュースの中で、彼はとても大人しい人だ、なんて周囲の人々が言っているのを見ると、なんとも混乱した気分になる事も多い昨今です。

逮捕された本人の供述が、「ストレスでいらいらしていたからやった」と語っていると伝わると、こちらの方こそイライラさせられる気がします。

とは言え、人は誰も感情を抑圧して生きているものですから、ちょっとの切っ掛けでそれが暴発し狂ったようになるリスクは誰にでもあるのです。だから、「ストレスが原因」というその犯人の発言も、実は人として最も率直な言葉なのかもしれません。

とにかく、見かけ上は平穏な生活も、真の意味で安定していて永遠に安泰という事はありません。あなた自身が壊れずに持ちこたえていたとしても、あなたの人生を崩壊させる事なんて気にもしない輩は、この世界にたくさん居るのです。

さて、不幸にしてそんな悪い奴らの被害にあったひとりが、ガードナー・ロッジ。ここでご紹介する映画「Suburbicon」の題名となっている、新興住宅街にすむ中流階級の男性です。

彼の住む世界は、その犯罪の被害に有った事がきっかけで大きく崩れてしまい、さらには彼自身も壊れてしまったらしいのですが・・・ 【続きを読む】 “マット・デイモン主演ダークコメディ:映画「Suburbicon」の評価”

映画「Most Beautiful Island」:美しき容姿が導くアンダーグラウンド世界

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Most Beautiful Island
  • 制作:
    • 2017年 Glass Eye Pix

ルックスを売るビジネスの危険な誘惑

現代社会においては、テレビ地上波放送の番組に繰り返し顔を出す事は、国会議員になるよりも大きな社会的影響力を持っています。

毎日、その愛らしい姿を画面の中で披露する芸能人は、遠い議事堂の中で、難しい上にポイントを欠いた話し合いを続ける先生達よりも、ずっと馴染み深い存在ですし、僕達のライフスタイルにも直結している事は確かです。

と言う訳で、カメラのアップに耐える外見が自慢だと言うハンサムで若い男女が、今日もエージェント企業(芸能事務所)のオフィスを訪問しているでしょう。

人間の世の中全体を発展させる原動力としても、そういった夢を追いかける人達の存在は、大切かつ不可欠ではあります。

ですが、そうであったとしてもなお、この芸能人ビジネスには、構造上の大きな問題が1つ有ります。それは、ムードに流されやすい大衆心理が、タレント個人の価値を決定する全権を持っている、という構図です。

そういった業界では、一度あなたに付いたプライスタグも簡単に値を下げてしまいますし、同時にそんな事情が、芸能界は甘くないと言われる根拠にもなっている訳です。

まぁ、別の見方で、外見的上の魅力についての良い面に注目すると、ご自分の姿を人に見せる事で収入を得られるというのは、とても素晴らしい事だとも言えますし、この世界には、そうしなければならない事情を抱えている人々も、また多くいるのでしょう。

さて、今回ご紹介する映画「Most Beautiful Island」の中心に居る一人の美しい女性も、自身のルックスを使って収入を得ようとしているらしいのですが、彼女には、芸能界に挑戦する事も許されない、一つの大きなディスアドバンテージがある様なのです。

この女性が、細々とでもなんとか生活しているのは、世界で一番美しいはずの場所、マンハッタン島。

しかし、彼女につけられる価値はあまりに低く、改善の兆しも有りません。そんな様々な状況に追い詰められ、思い余ったあげく彼女が最後に足を踏み入れた先とは、きらびやかな賑わいの陰にかくれた大都会のダークサイドだったようなのです・・・ 【続きを読む】 “映画「Most Beautiful Island」:美しき容姿が導くアンダーグラウンド世界”

映画「All I See Is You」:ブレイク・ライヴリーが夫に縛られる訳とは?

夫婦のチカラ関係が見せる物語

好むと好まざるとに関わらず、僕達は人間関係という空間に拘束されて生きています。そしてそれは、不平等な上下の階級に支配された世界です。

原始の頃は、上に立つ者に権力を集中させて、そこから複数の手下を使ってグループ全体を回す事が、全員を生き延びさせるために必須だったという名残が、今でも生きているのですね。

そして、技術や道具が凄く進歩した21世紀の今になっても、人間のこの性質は変化する兆しも無さそう。結局これは、人間の本質を表しているものかも知れません。

まぁ、角度を変えて見ると、人と人の間に、上下の階級などを持ち込むと、かえって問題が生まれる場合も有る事はあります。たとえば、夫婦の間の関係性がそれ。

一般的に(そして本質的に)1人の男性と1人の女性により構成されるのが夫婦で、お互いが相手にはない機能を担っている訳ですから、合理的に考えても2人が基本的に対等・平等であるべきです。

ですが、必ずしも合理的な正解を求めていないのが、人間という生き物が持つ興味深い性質の一つ。様々なケースがありますが、夫婦という最も近しく濃密な人間関係にも、不条理なシステムが適用された上、一応うまくまとまっている事も少なくないだろうとは思います。

そして、その不条理を見つめようとすると、そこに1つのドラマが生まれます。

例えば、今回ご紹介する映画「All I See Is You」の中でも、今まで機能していた歪(いびつ)な力関係に、新しい局面が生まれている様子です。

それは、この話の中心に居る1人の美しい人妻に、新たなが備わったためらしいのですが、はたして、どんな話なのでしょうか・・・ 【続きを読む】 “映画「All I See Is You」:ブレイク・ライヴリーが夫に縛られる訳とは?”

ディザスター超大作映画「ジオストーム(Geostorm)」の気になる評価

繰り返す天変地異を治めるのは、誰?

世界で最も影響力のある文化芸術組織であるハリウッド映画界は、その業界創立以来、巨大資本と数えきれない人材、そして膨大なエネルギーを投入してまで、自身の愚かな行為が原因で滅亡して行く人類の姿を描き続けてきました。

にもかかわらず、地球温暖化抑止の枠組みが、いくつかの国によって利益を奪い合うための舞台に成り下がっているのは、まさに愚かな行為そのものでしかありません。

歴史の上では、地球が終わる日を明確に予言した人物も数知れず存在しますが、その予告の的中率が見事に0%だという事実もまた、この問題に関して人々を鈍感にさせる大きな要因となっているはずです。

何にしても、全人類のための啓蒙的映画を作り続ける使命から、ハリウッドが解放されるのはもうちょっと先の事のようです。

どうせ作るなら、観客がじんじんくる程ド派手なディザスターを描写しよう、という事で、再び、ぐらぐらゆすられてグデングデンになる地球を最新VFXで描き切ったというのが、今回ご紹介する映画「ジオストーム(Geostorm)」です。

地球を救うカリスマ科学者を、あのジェラルド・バトラーが演じているという文字通りのメジャー超大作で、日本の公式サイトも立ち上がっている以上、詳しい情報や解析は、他のエリート級の映画サイトをご覧いただくべきでしょう。

このサイトでは、この映画の本国での評価について、少しレポートをさせていただく事にします。 【続きを読む】 “ディザスター超大作映画「ジオストーム(Geostorm)」の気になる評価”

映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」:コリン・ファレルに向けられた復讐の呪い

怨念は燃え尽きるまで消えず・・・

奥ゆかしき文化を誇る我が日本では、昔から、人を呪わば穴二つ、という言い回しが使われています。

他の誰かを恨んで呪い続けたって、むしろ自分にとって、ろくな事はないよという教訓な訳ですが、21世紀の現在でも丑の刻参りは結構行われているという話もあり、やはり未だに、人の世と怨恨というのは切っても切り離せない深い絆で結ばれているのでしょう。

とは言うものの、複数以上の人から呪われて死ねばいいのにと思われている輩が、大空の下を平気で闊歩している反面、その周囲の一般庶民がとばっちりを受けている事も多く見受けられる昨今、恨みの念の効力というのも、かなり疑わしいものでもあります。

何にしても、絶対にすっきり解決する事がないのが、人を恨む、という行いです。

さて、独特な角度から超常現象の存在を認めているハリウッド映画業界では、復讐の呪いの扱い方にも、藁人形&五寸釘というものより多様なスタイルが考案されます。

今回ご紹介するミステリアスなホラー映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(The Killing of a Sacred Deer)」は、呪いが持つ微妙でミステリアスな性質を、上手く取り入れたストーリーで展開する一作なそうですが、どんなお話なのでしょうか? 【続きを読む】 “映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」:コリン・ファレルに向けられた復讐の呪い”

凶悪な炎から我が町を守った20人の男達:映画「Only the Brave」について

コミュニティを守る最後の砦

仮に、こちらが平和な理論で武装していても、暴力や災厄というものは勝手に近寄って来るものです。

そして、一度、そういったものに目を付けられたら、無力な僕ら一般小市民に成す術はなく、誰か他のオーソリティの力にすがるしかありません。

そういう事を考えると、時に煽情的な美談として利用される事が有るとは言え、町を守る仕事に就く公務員の方々を描くドラマは、彼らに対するメディアによる大切なトリビュートと言えるのでしょう。それらのストーリーは、どれも後に語り継がねばいけない物です。

たとえ、そのヒーロー達が非常に過酷な状況に対処していたとしても、シナリオと演出を上手く調整した物語の中であれば、全部をセンチメンタリズムにする事も可能ですし、同時に、素晴らしいVFXによって再現された事件当時の状況は、SFとかアクションを好まない正しい映画ファンの人にも、最新映像技術を楽しむ機会を提供します。

そういった諸々の理由から考えても、アメリカを守った現実のヒーロー達の活躍を再現する災害もの映画は、ハリウッドの出資者達にしても充分な収益性が期待できるビジネスだろうと思います。

さて、今回ご紹介する映画「Only the Brave」は、2013年にアメリカ合衆国アリゾナ州ヤーネルで発生した深刻な森林火災に、果敢にも体を張って対処した20人の消防隊員を描く、実話ベースの作品と言う事です。

消火に水さえも使えない状況で、燃え盛る大火に挑んだ男達のドラマ、一体、どんな印象の映画なのでしょうか? 【続きを読む】 “凶悪な炎から我が町を守った20人の男達:映画「Only the Brave」について”

映画「The Snowman」:マイケル・ファスベンダー主演、北欧発のスリラー

マイケル・ファスベンダーを翻弄するノルウェーの殺人鬼

2017年のハロウィーンに向け、いよいよあのジグソウが復活するそうです。

これで、殺戮の展覧会ものホラー映画のブームが再来して、担当する10代の子供達に悪影響が出ないだろうかと心配している、教育関係者の方々も多くいらっしゃる事でしょう。

まぁ、切断されたり破裂したりする人体の描写が、どれくらい映画に必要なウィットとかペーソスになっているかは、演出の意図によって決まって来るものだとは思います。

見ていても、決して趣味の良いとは言えないですが、ある程度までの残虐描写は恐怖を描くためには必要不可欠です。そして、収益性を重要視したハリウッドが、全ての作品でPG13の枠に収まる描写しかしなくなったら、恐怖を描くという文化も衰退・消滅してしまうのでしょう。

それも、また困ります。

なので、エグいホラーを見る楽しみは、とりあえず(R指定で)大人だけの特権とされているのなら、それが映画世界を保つために考案された、賢い均衡点という事になりますね。

さて、今回ご紹介するのは、そういった露骨なアメリカンテイストのホラーではない(はずの)、ノルウェー産のミステリースリラー、「The Snowman」です。

この中でも、女性を無理やり拉致した上で残虐に殺害するという、狂った殺人鬼が登場して、1人の刑事と追いつ追われつのサスペンスを展開するのだそう。

なので一応、血のりの量が多めを何時もご注文される映画ファンにも、それなり訴求する一作のようです。 【続きを読む】 “映画「The Snowman」:マイケル・ファスベンダー主演、北欧発のスリラー”

映画「ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)」の気になる評価とは?

レプリカントの居る未来

1945か46年頃、アメリカは、プロジェクト・ペーパークリップにより、当時としては最先端を誇ったナチスの分子生物学的知識と科学者を自国に接収したと思われます。

同様に、時のソビエト連邦も高度なバイオテクノロジーを入手。したがって、1960年代に入るころまでには、生物の遺伝子改変技術は完成していたでしょう。

もちろん、その技術は人間にも適用されたと思われますが、まぁ、国家をあげてDNA改造人間を作る目的と言えば、他よりも強いオリンピック選手を作るか、兵隊を作るかのどちらかです。

とにもかくにも、この時代の世界秩序は、彼ら遺伝子強化人間達の暗躍によって保たれていたと言っても、過言ではありません。

さて、その後も明らかに進歩を続けた生物工学は、今や、既に人間を含めた生物のクローニングや、もっと進んだ人造人間の製造という領域にまで達しているでしょう。先進国の一部では、本来の人間とバイオ人間との人口上の置換が進んでいるのです。

来る2019年ごろには、彼ら新興勢力の存在が大きくなって、新たな政治的軋轢を生み出す事でしょう・・・

そんなシナリオは、1982年にリドリー・スコットが制作したSF映画「ブレードランナー」に予言されている事に、かなり酷似していますよね。

幸いにして、2つで十分なくらい大盛りのうどん以外、止まない酸性雨も、空飛ぶ自動車も、そしてレプリカントも、表面上は実現していません。しかし、物事や世の中には、必ず裏側があるものです。

どちらにしても、未来と言うものは常に変わってゆくものですから、最初に公表されてから35年が経過したこの「予言」も、アップデートの時期を迎えました。

そして今登場したのが、ファン待望の新説未来史、「ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)」なのです。

人類史さえも変えてしまう、このメガ・ギガ・テラ級映画については、僕ズレ太のような小市民があれこれ書くのもおこがましいし、細密な情報や分析については、公式サイトならびに他のエリート級映画情報サイトをご覧いただくのがよろしいと思います。

なのですが、一枚も噛まないでいるのも寂しいので、今回は、この映画についての本国における公開直後の批評を、いくつかかいつまんでご紹介してみようと思います。ご興味があったら、ご一読ください・・・ 【続きを読む】 “映画「ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)」の気になる評価とは?”

リーアム・ニーソン対ニクソンの陰謀:映画「ザ・シークレットマン」の評価・あらすじ

権力の陰謀渦巻く、この世界

どの様な国家の元首でも、最大の関心事項は、領土内の秩序を保つという事です。

そして、どんな世界でも秩序を乱そうとするのは人民達。国家や共同体に対する責任感を持たない彼らは、自らを堕落的な生活に置いているくせに、つねに指導者層に対して疑念や不満を抱き、勝手な被害者意識を内部にため込んでいるものです。

そして、勝手に暴発する・・・

そういった事情の中では、国家の最高責任者達が、一般市民や対抗する政治勢力の言動を傍受・監視するという行為も、充分に‘正当化’されるでしょう。

まぁ、最近ですと、合衆国を中心として稼働する‘エシュロン’なんていう、とても洗練された通信傍受システムがあるそうで、ネットや携帯の通話など、すべて超高速コンピュータが解析、体制に反するような危険な内容を割り出しているそうです。

そして、そのような、ハイテクIT機器が存在しなかった時代、たとえば1970年代にも、合衆国の情報活動部門は大統領による適切な指導の下で、様々な盗聴活動を行っていたのです。

もちろん、21世紀の盗聴に比べればひどく幼稚な道具を使っていたり、場合によるとおっちょこちょいな結果になったりもしました。その代表格と言えるのが、‘ウォーターゲート事件’かもしれません。

今回ご紹介する映画、「ザ・シークレットマン(Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House)」は、アメリカ史上ただ一度だけ大統領を辞任に追い込んだという、一大盗聴・陰謀スキャンダルを、さらに裏から引っ張っていた人物を描くドラマだそうです。

しかし、この長い題名、日本の配給会社から裏でアドバイスでも貰ったんですかね? 【続きを読む】 “リーアム・ニーソン対ニクソンの陰謀:映画「ザ・シークレットマン」の評価・あらすじ”