映画「オリエント急行殺人事件」の気になる評価とは?

蘇る伝説の名探偵

どんな時代においても、オッサンは「俺たちの時代はよかった」と言うものです。

その言葉は、便利になりすぎた時代に育った若者の文化を揶揄する目的で発せられるものですが、人類社会が単一方向にだけ発展するものである以上、常により簡単で便利になり過ぎているものなんです。

ただ、不便だった何十年か前の方が、社会の中に趣きが感じられたというのは事実で、それ故、ファッションや映像芸術といった分野には、常にノスタルジー趣味というテーマが横たわっています。

過去の時代はビジネスになる・・・

古い物は、若者の目にとっては新鮮に映るものだし、それが1930年代の文化や当時のセレブの生活などであれば、今の劇場のスクリーンに投影しても充分に金が取れるのではないか、大手映画会社のエリート企画部員がそう考えたとしても、何ら不思議ではありません。

かくして、その社名自体に遺物のような響きのある20世紀フォックス社が、1934年当時の豪華列車での旅を舞台にした名作ミステリーを、21世紀の今に再映画化する段取りとなりました。

その(新作)映画「オリエント急行殺人事件」、映画界の各分野・年代からオールスターキャストを集め重々しくも作り上げられた名作です。そしてそれが故に、プロの厳しい批評眼で評価されている一本でもあります。

今回は、その映画が受けた評価をいくつかご紹介する事にしましょう。 【続きを読む】 “映画「オリエント急行殺人事件」の気になる評価とは?”

マット・デイモン主演ダークコメディ:映画「Suburbicon」の評価

作品予告編・概要


タイトル:Suburbicon
制作:2017年/Black Bear Pictures(他)

穏健な男の日常が切れる時

世間を騒がすような大騒動を起こした男性を報じるニュースの中で、彼はとても大人しい人だ、なんて周囲の人々が言っているのを見ると、なんとも混乱した気分になる事も多い昨今です。

逮捕された本人の供述が、「ストレスでいらいらしていたからやった」と語っていると伝わると、こちらの方こそイライラさせられる気がします。

とは言え、人は誰も感情を抑圧して生きているものですから、ちょっとの切っ掛けでそれが暴発し狂ったようになるリスクは誰にでもあるのです。だから、「ストレスが原因」というその犯人の発言も、実は人として最も率直な言葉なのかもしれません。

とにかく、見かけ上は平穏な生活も、真の意味で安定していて永遠に安泰という事はありません。あなた自身が壊れずに持ちこたえていたとしても、あなたの人生を崩壊させる事なんて気にもしない輩は、この世界にたくさん居るのです。

さて、不幸にしてそんな悪い奴らの被害にあったひとりが、ガードナー・ロッジ。ここでご紹介する映画「Suburbicon」の題名となっている、新興住宅街にすむ中流階級の男性です。

彼の住む世界は、その犯罪の被害に有った事がきっかけで大きく崩れてしまい、さらには彼自身も壊れてしまったらしいのですが・・・ 【続きを読む】 “マット・デイモン主演ダークコメディ:映画「Suburbicon」の評価”

映画「バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)」の気になる評価

犯罪と陰謀と家庭生活

その男は、命をかけて娘を守る父親の顔を持ちながら、正義の秘密エージェントでもあり、同時に冷血な暗殺者でもありつつ、若手の敏腕弁護士の顔も持っています。

さらに彼は、NASCARのレーシングマシンを時速300キロで走らせたり、空軍のエリートパイロットとして、F-14トムキャットによるドッグファイトを演じて見せ、とても活動的な人物で有る事を伺わせもします。

一番最近の彼は?、と言うと、ルイジアナ州バトンルージュに美しい妻との平和な生活を維持しながら、南北アメリカ大陸をまたにかけ、大量のマリワナやコカイン密輸で大儲けしたようです。その一方で政府機関へ麻薬組織の情報を流し、その摘発にひと役買って罪を逃れたりしたとか。

まぁ、全部シナリオの上の話ですけどね・・・

そんな、ハリウッドにおけるカリスマの代名詞とも言える人物こそ、他でもありません、トム・クルーズ師匠。

そのクルーズの最新作は、「バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)」。前出の、密輸組織と政府機関の両方を一時だけ手玉に取って見せた伝説の男を描く、娯楽アクションといった風情の一本です。

しかし、クルーズ兄さん、どんな具合に母国を‘はめた’のでしょうね? 【続きを読む】 “映画「バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)」の気になる評価”

ロバート・パティンソンが大都会の裏社会を走る:映画「グッド・タイム(Good Time)」について

キャリアメーキングはご心配無用です

トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2」が2012年の作品ですから、世界中が青年バンパイアと美少女の純愛色に染められていたあの時代から、もう5年が経っているんですね。

5年と言えば、大抵の人が何かを成し遂げられる時間ですし、仮に青白いメークとローコストかつ高性能なVFXが無かったとしても、思春期の吸血鬼の悲哀を見事に表現しきっていただろう、あの、ロバート・パティンソンさんなら、「何か」よりもっと良い「ナニカ」が達成できた事は、言うまでもないでしょう。

ざっと数えると、「トワイライト」後に6本程の映画に出演してきたパティンソン。中には、あのデヴィッド・クローネンバーグが監督をした「マップ・トゥ・ザ・スターズ」なんていう作品もありました。おそらく、ライトノベルの人気にあやかる軽い娯楽の世界から、本格的なドラマ俳優へと転身してきている段階だと思われます。

そんなロバート・パティンソンが、ニューヨーク市クイーンズ地区の裏社会を行く、あやうい(ひょっとして無軌道な)青年を演じているのが、今回、ご紹介する「グッド・タイム(Good Time)」、という、ファンタジー色ではなくリアリティ感が強いドラマなのだそうです。 【続きを読む】 “ロバート・パティンソンが大都会の裏社会を走る:映画「グッド・タイム(Good Time)」について”

映画「ローガン・ラッキー(Logan Lucky)」:チャニング・テイタム発案の細密な強奪計画とその顛末

どうせやるなら、人生大逆転を賭けて・・・

人生は上手く行かない事が多いですので、そんな時は、いっそのこと全部をひっくり返して、とんでもない行動に出てしまいたい、と、お考えになる方も多いでしょう。

そうですね、例えば、消費者からズル賢く金を巻き上げている通販会社なんかを襲って、汚れたマネーを全部ぶん取ってやる、なんて出来たら、さぞスッキリするんだと思います。

まぁ、どんな行動に出るにしても、あなた自身には一応、正当な理由があるのですからOK。かもしれませんが、それを行った後、30分間くらい逃げ回った挙句、お巡りさんにつかまって手が後ろに、というのでは困りますね。

人生大逆転のギャンブルには、それなりの周到な計画と準備が必要です。

特に、この映画「ローガン・ラッキー(Logan Lucky)」の主人公であるジミー・ローガン(チャニング・テイタム)みたいに、NASCARの一大レースイベントを襲って現金強奪、なんて大それた事をやるなら、なおさら緻密な計画とスキルのある仲間が必要です。 【続きを読む】 “映画「ローガン・ラッキー(Logan Lucky)」:チャニング・テイタム発案の細密な強奪計画とその顛末”

映画「最後の追跡(Hell or High Water)」の前評判

〔俺らが超ワルイ事するのも、ちゃんと理由が有るさ!〕

日本みたいな国は、物事の良し悪しを決めるための話し合いが長引き過ぎちゃって、その間に問題がもっとこじれる、という轍を踏みがちです。

まぁ実際のところ、普遍的にモラルとかの問題を解決するテンプレートなんて、この世に存在しません。つまり、それ自他が言う程に綺麗な何かでもなく、従って、犯罪映画の脚本家にとっては発想を刺激する、いじりがいの有る題材と成る訳です。

さて、今回ご紹介する映画「Hell or High Water」は、銀行強盗を繰り返す兄弟、タナー(Hell or High Water)とトビー(クリス・パイン)のハワード兄弟と、彼らを追う警察官、マーカス・ハミルトン(ジェフ・ブリッジス)とアルベルト・パーカー(ギル・バーミンガム)を中心に回転します。

片や、モラル的にペケの人、片やモラル的に一応マルの人達ですね。

まぁ、ペケの強盗兄弟にしても、こんな事になってしまったのには理由があります。どっかのエリートが変な事して発生した世界的な金融信用不安のあおりを受け、彼らの家が担保価値を失いそれを元に受け取っていた年金が入らなくなったんです。そればかりか、銀行は家を差し押さえるとか言い出す始末。

財産を全部はぎとられ、約束の金ももらえないとなったら、誰だってちょっとは考えるでしょ?。ハワード兄弟は、考えるだけでなく実行に移しただけなんです。そう、大銀行に押し入って要領よく札束をふんだくってくる仕事を。

金融界のエリートが彼らからふんだくっていった財産を、ただ取り戻しているだけ?、まぁ、見ようによったらそうとも言えそう。そして、重大な犯罪であることもこれまた動かしようのない事実です。

開業直後の時間に押し入って、金をせしめては逃げ、車は人知れない場所に埋めてしまう、そんな彼らの強盗スキーム。最初のうちは、なかなか上手く事が運んだようです。

しかし、どんな事にも終わりはある訳です。とりわけ、後3週間で定年退職だという超ベテランのマーカス捜査官が事件を追いかけているんです。このまま逃げ切れるはず、ないですよね・・・ 【続きを読む】 “映画「最後の追跡(Hell or High Water)」の前評判”

映画「トリプル9 裏切りのコード(Triple 9)」の前評判

〔汚れた英雄たちの企みが転げ落ちる想定外の展開〕

この世界には、真の意味で自分の力だけを頼りにやってる人なんて、実は一人も居ないと思うんですね。

たとえ、給料が入り始めて家賃を払える様になったとしても、そのお金の価値というのは、ほうぼうの力が寄せ集まって出来上がっている訳ですし、食べるもの着るもの、そして住む場所も、それなりな他人が作ってくれたものですから、自力で勝ち取ったというのは一つの平和な幻想です。

そして結局、社会人として上手くやるというのは、右から来たものを左へ、左から来たものを右へ手渡しする、という、非クリエイティブな作業にうまく折り合いをつけるために、自分に対して多いに妥協する、という事と同義でしかありません。

ヒトにとって妥協というのはコワいものでもあります。最初の妥協は次のちょっと大きい妥協への呼び水となり、そして次、また次と、気づいたら止まれない速度で坂道を直滑降している場合もありますから。

それで、そんな風に落ちる人たちが、世の中を守ったり正したりするポジションに就いていたら、そりゃあもう恐ろしい事になっちゃうんです、例えば、この映画「トリプル9 裏切りのコード(Triple 9)」の冒頭で、なにやらいけない相談をしている5人のアトランタ市警、マイク(キウェテル・イジョフォー)、マーカス(アンソニー・マッキー)フランコ(クリフトン・コリンズ・Jr)、ラッセル(ノーマン・リーダス)、そしてゲイブ(アーロン・ポール)らのケースもそんな喜ばしくないお話しの一つ。

もともと、素行には若干問題が有ったかもしれない彼らなんですが、今回の場合、外国のマフィアから強奪行為を強要されている様なんですね。アトランタの街においてそのマフィアを牛耳っているのが、イリーナ(ケイト・ウィンスレット)という謎の美女。なんか、牢屋に入れられた旦那さんの代わりに、彼の組織を動かしているのだとか。 【続きを読む】 “映画「トリプル9 裏切りのコード(Triple 9)」の前評判”

映画「レジェンド 狂気の美学(Legend)」の前評判

写真:トム・ハーディ双子のクレイ兄弟ってのは、1950から60年代にかけてのロンドン東地区において、ギャングとしてならした連中だそうです。(The photo by GabboT is used here under the license of Attribution-ShareAlike 2.0 Generic

いろんな意味で“伝説”でもある、そんな二人組が絶好調だった日々を描くのが、この映画「レジェンド 狂気の美学(Legend)」という事らしいです。(僕、ズレ太は、暴力だけでなく力ずくで自分の都合を通す輩が大嫌いなので、今、ネットでこの兄弟の顔写真を見ただけで、若干不愉快です・・・^^;)

ブライアン・ヘルゲランドが脚本&演出を手掛け、何と、トム・ハーディに、ロナルドとレジ―のクレイ兄弟両方を演じさせたというのが、この作品のミソなのかもしれませんね。

もともとボクサー志望だったという、クレイ兄弟は、時のロンドン東地区に経営するナイトクラブを根城に、殺人、強奪、放火、上納金取たて、などのあらゆる犯罪に手を染めつつのし上がって行き、その影響力がピークの時は、セレブリティ扱いまでされていたという、まぁ、確かに逸話には残りそうなギャングではあります。

映画ではクリストファー・エクルストンが演じている、レオナルド・リード刑事の執念によって、二人が逮捕されたのが1968年の5月9日。ロニーは、1995年3月17日に病院に収監されたまま他界し、レジ―の方は、2000年の10月1日に釈放されましたが、その8週間後に病死しました。

そんな彼らの伝説について、エミリー・ブラウニング演じる(レジ―の愛人)フランシスが語ってゆくのがこの映画の構成だという事です。 【続きを読む】 “映画「レジェンド 狂気の美学(Legend)」の前評判”