映画「Lady Bird」:グレタ・ガーウィグが描く女子高生のリアル

さりげない日々に埋もれたストーリー

人間は、体験から学習する生き物。ですから、人が人生を構築しようとする時、周囲の環境からは計り知れない影響を受ける事になります。

なので、子供がまっすぐに成長してゆくためには、最低限の環境は不可欠。

まず、しっかりとした関心を子供に向けてくれる両親の下に生まれ、校則は厳しくてもちゃんとした教育方針のある学校に入れてもらい、適当に規則をやぶりつつも先生とは敵対する事もなく過ごし、恋をしてその先の事も知り、高校を卒業し希望通りの大学へ入学する。

その人の人生の初期段階で、こういう、とても普通の事柄が連なっていさえすれば、将来的には、一流企業とか芸能界に入ったとしても必要不可欠とされる人材に育ってゆくのでしょう。

ただ、普通の出来事を列挙するストーリーって、映画ビジネスの中では売り物になるのでしょうか?

実は、今回ご紹介する映画「Lady Bird」は、とある女子高生のリアリティをハートフルに描いたという事で、すこぶる評判の良い作品らしいのです。

ここで、自身の出身地であるサクラメントを舞台にしたストーリーを描いたのが、女優のグレタ・ガーウィグで、本作が監督としてのデビュー作ともなっています。

ガーウィグ監督の代わりに、自分も数年間分年齢をさかのぼって高校生になり切り演じているのが、シアーシャ・ローナン。

と言う訳で、女性目線の効いたラブリーな雰囲気は予想できるのですが、そこにどんな出来事が起こるのでしょうかねぇ? 【続きを読む】 “映画「Lady Bird」:グレタ・ガーウィグが描く女子高生のリアル”

映画「Suburbicon」:マット・デイモンの日常が切れる時

平穏な日常の裏側にあるもの

世間を騒がすような大騒動を起こした男性を報じるニュースの中で、彼はとても大人しい人だ、なんて周囲の人々が言っているのを見ると、なんとも混乱した気分になる事も多い昨今です。

逮捕された本人の供述が、「ストレスでいらいらしていたからやった」と語っていると伝わると、こちらの方こそイライラさせられる気がします。

とは言え、人は誰も感情を抑圧して生きているものですから、ちょっとの切っ掛けでそれが暴発し狂ったようになるリスクは誰にでもあるのです。だから、「ストレスが原因」というその犯人の発言も、実は人として最も率直な言葉なのかもしれません。

とにかく、見かけ上は平穏な生活も、真の意味で安定していて永遠に安泰という事はありません。あなた自身が壊れずに持ちこたえていたとしても、あなたの人生を崩壊させる事なんて気にもしない輩は、この世界にたくさん居るのです。

さて、不幸にしてそんな悪い奴らの被害にあったひとりが、ガードナー・ロッジ。ここでご紹介する映画「Suburbicon」の題名となっている、新興住宅街にすむ中流階級の男性です。

彼の住む世界は、その犯罪の被害に有った事がきっかけで大きく崩れてしまい、さらには彼自身も壊れてしまったらしいのですが・・・ 【続きを読む】 “映画「Suburbicon」:マット・デイモンの日常が切れる時”

映画「Most Beautiful Island」:美しき容姿が導くアンダーグラウンド世界

容姿も才能の一つ、とは言うものの

現代社会においては、テレビ地上波放送の番組に繰り返し顔を出す事は、国会議員になるよりも大きいな社会的影響力を持っています。

つまり、画面の中央にフィーチャーされ、衆目の的として耐えうる外見上の魅力は、あなたに富みと名誉を与えという事。だから、その大きなチャンスをものにしようと、今日も多くのハンサムで若い男女が、エージェント企業のオフィスを訪問するのです。

さて、今回ご紹介する映画「Most Beautiful Island」のタイトルは、とてもロマンチックで美しい島に、とても美しい女性が登場する、夢のある物語を想像させます。

もちろん、このストーリーの中心には、大きいスクリーンの中央にフィーチャーされるべき、美しいスペイン人女性が登場するのですが、彼女の場合、見ている多くの人達を引っ張って行けるだけの、しっかりした夢を抱いている訳でもなさそう。

そして、その外見的魅力が彼女を導いた先とは、一般市民があまり知らない大都会マンハッタンのダークサイドだったようなのです。 【続きを読む】 “映画「Most Beautiful Island」:美しき容姿が導くアンダーグラウンド世界”

全米映画トップ3(2017.11.13)

走れっ!、マイティソー

2017年の秋、アメリカ発で全世界に向けた最高の感謝祭ムードを盛り上げるため、あのマーベル・エンターテインメントが用意した最高の贈り物。それが、この娯楽超大作「マイティ・ソー バトルロイヤル(Thor: Ragnarok)」です。

当然の事ながら、人々のイマジネーションを刺激する前向きなバイブスは、ネットでのつぶやきが世論を動かす不安定な時代に生きる今の米国映画ファンも引き寄せ、公開後2度目の週末も、5,660万ドルという売上額を記録、堂々の1位を堅持しています。

という訳で日本でも大人気の本作、このままホリデーシーズン入り口の、映画ビジネスのけん引役になってくれそうですね。

クリスマスには、ホームパーティ盛大に!

クリスマスのホームパーティーは、人数が多い方が楽しいですよね。

母親サラには、ホリデーを供に祝うための素晴らしい子供達がおり、人の良い旦那さんが居て、子供達のお父さんも居て、その上今年は、お父さんと旦那さん、それぞれのお父さんにお婆ちゃんも加わって、賑やか賑やか^^。

と、聞くからにテンテコマイな感じ一杯の、アメリカンなホリデーコメディー「Daddy’s Home 2」が、今週初登場にして3,000万ドルの売り上げを記録、ランキング2位に滑り込みました。

ちょっと早いクリスマス映画な訳ですが、ひょっとして年末にはDVDで再リリースという運びにして、二匹めのドジョウを狙っているのかも?

主演はウィル・フェレル、マーク・ウォールバーグ、加えて、メル・ギブソン&ジョン・リスゴーまで出ているのも話題です。

文芸の秋らしいミステリーも

そして、初登場の今週、2,820万ドルという(最近にしては)立派な売上額を記録して、ランキングの3位に入ったのが、香り高きミステリーの名作「Murder on the Orient Express」です。

今回、名探偵エルキュール・ポアロを演じるのはケネス・ブラナー。そして彼を取り巻く俳優陣には、ペネロペ・クルス、ジョニー・デップ、そしてウィレム・デフォーといった、趣ある面々が揃った上級の映画という印象の一本。

しかし何故、今、20世紀フォックス社がこのミステリーを映像化したのか、その理由も勘ぐって見たくなるところですが、数字を見る限りは、現代アメリカを支える大衆の多くが、率直にこの作品を受け止めたようでもあります。

ホリデーに向けて胸を撫で下ろしている人々も居る?

米国のメジャースタジオだけでなく、EU圏からも超絶VFXアクションを投入した結果、それがアダとなり悲惨な成績におわった8月を思えば、アメリカ人の映画への熱が少し戻ってきたように見えるのは、とても良い事だと思います。

ただ、ざっと公開予定タイトルを見てみると、かなりコメディー寄りな気もしてきて、年末に向けて夏の悲劇が再び繰り返されないかと心配です。

いやいや、季節はホリデーシーズンっ、これで良いのですよね。

まぁ、スリラーやホラー好みの映画ファンにとっては、話題が少なくなる時期になってきたのは確かです。

それではまたっ!

映画「All I See Is You」:ブレイク・ライヴリーが夫に縛られる訳とは?

コントロール狂の唄

例えば、あなたが何かのグループとか組織に加わろうとした時、その中に既に属している先輩達は、勝手にあなたに何かの役割をあてがいます。

それは、仕事の内容というものではなくて、むしろ人間としての存在性に関するもの、個性や振舞についてのものです。

最初の内は、そこに馴染もうと必死なので気にならないかもしれませんが、ある程度余裕が出てきて自分自身を表現しはじめた途端、そこのグループのリーダー格から、空気が読めないとか叱責されたり、最悪の場合は疎外されてしまうでしょう。

本来、あなたが何者であろうと、あなた個人の自由なのですが、場を取り仕切る事が自分の美点であると心から信じている人物にとっては、誰かが自分の意志に反する言動をとるなんて、神経を逆なでする不愉快な事きわまりないという訳です。

押し付けが嫌ならば、そのグループを捨てるのが一番とは言うものの、それが職場だったり、もっと悪い場合は、自分の家族だったりした時は、ちょっと厄介です。

さて、ちょうど今回紹介する映画「All I See Is You」の中でも、1人の美しい人妻が、今まで彼女を抑圧してきた大きな障害から解放され、本当の自分を探求し始めたところです。

ただ、こちらのケースでは、それを横で観ている夫の方に、言いしれない不満が募っているようでして・・・ 【続きを読む】 “映画「All I See Is You」:ブレイク・ライヴリーが夫に縛られる訳とは?”

ディザスター超大作映画「ジオストーム(Geostorm)」の気になる評価

繰り返す天変地異を治めるのは、誰?

世界で最も影響力のある文化芸術組織であるハリウッド映画界は、その業界創立以来、巨大資本と数えきれない人材、そして膨大なエネルギーを投入してまで、自身の愚かな行為が原因で滅亡して行く人類の姿を描き続けてきました。

にもかかわらず、地球温暖化抑止の枠組みが、いくつかの国によって利益を奪い合うための舞台に成り下がっているのは、まさに愚かな行為そのものでしかありません。

歴史の上では、地球が終わる日を明確に予言した人物も数知れず存在しますが、その予告の的中率が見事に0%だという事実もまた、この問題に関して人々を鈍感にさせる大きな要因となっているはずです。

何にしても、全人類のための啓蒙的映画を作り続ける使命から、ハリウッドが解放されるのはもうちょっと先の事のようです。

どうせ作るなら、観客がじんじんくる程ド派手なディザスターを描写しよう、という事で、再び、ぐらぐらゆすられてグデングデンになる地球を最新VFXで描き切ったというのが、今回ご紹介する映画「ジオストーム(Geostorm)」です。

地球を救うカリスマ科学者を、あのジェラルド・バトラーが演じているという文字通りのメジャー超大作で、日本の公式サイトも立ち上がっている以上、詳しい情報や解析は、他のエリート級の映画サイトをご覧いただくべきでしょう。

このサイトでは、この映画の本国での評価について、少しレポートをさせていただく事にします。 【続きを読む】 “ディザスター超大作映画「ジオストーム(Geostorm)」の気になる評価”

全米映画トップ3(2017.11.6)

さわらぬ神にスペクタクル無し

ユニバースは、ハリウッド映画業界にとって最後のフロンティア。この無限に変容する雄大な空間は、偉大な国家をさらに偉大にするのに十分な利得をもたらし続けています。

そんな宇宙の中でも、ビッグバンと同時に生まれたという老舗中の老舗「マーベル・ユニバース」は最強で、そこを統治する神の力に抗える者は、全米の映画ファンを探しても一人も見つからないのです。

かくして、今週初登場にして、週末3日間だけの売り上げは1億2,100万ドルを記録し、当然のごとくランキングトップに輝いたのが、巨大なユニバースを支配する「マイティ・ソー バトルロイヤル(Thor: Ragnarok)」。

まぁ、この映画については、正しいサーティフィケーションを取得した、正当なファン(もしくは批評家)しか語ってはいけなさソーなので、僕は、ちょっと距離をおいていた方がよさソーですね・・・

ホリデーの準備は早めに

2017年も、北半球の殆どの国ではこれからファミリーホリデーがやってくる、という嬉しいシーズンに入りました。

どんな楽しみでも、飾りつけをしたり料理やイベントを考えてと、それを思い描いて計画している時が一番楽しいもの。とは言うものの、その支度の殆どはママ達がやらなきゃならないのです。

そんな風に大忙しな3人のママ達に、さらなるやっかい事がのしかかった時、とうとう彼女達は自分らのためのクリスマスを過ごす事を決意。でも、その顛末は?

と言ったような内容が、初登場で今週2位に滑り込んだR指定コメディー「A Bad Moms Christmas」のようです。

この映画。久しぶりに、ほっこりした題名の作品が出てきたなぁ、と思ったら、本物のホリデーにぶつけるには悪い刺激が強すぎる、大人向けのコメディー映画でした。

伝説級の惨劇は3位に

実は、ソウはソウでもやばい方のソウも未だに映画業界で健闘しているソウで、ハロウィーンの惨劇祭りが終わっても、アメリカの映画ファン達はもう少しだけ殺戮展覧会を見学可能なのだソウです。

そんな方のソウ、「ジグソウ:ソウ・レガシー(Jigsaw )」が、売上金額670万ドルで、今週のランキング3位に入りました。

2017年、アメリカで言うところのサンクスギビング、日本では祝日(11月23日)に当たるようなので、彼女をデートに誘う男子も多かろうと思います。でも、11月10日に日本公開されるこの「ジグソウ」みたいな映画に連れて言ったら絶対に趣味を疑われるでしょうから、その計画をお持ちの方は考え直した方が良さソウです・・・

日本の秋には湯と映画

なんだかんだ言っても、日本も今は行楽シーズンのど真ん中ですから、皆さんご自慢のSUVは、シネコンの駐車場なんかに止めておくなんてもったいない話。

やっぱりその素敵な愛車は、日光、箱根、別府や湯布院などへ温泉旅行をするのに使ってください。

ただ考えてみると、映画館を併設した温泉宿というのは無いんですよね。大概の大型ショッピングセンターには入っているのですから、どこかのホテルチェーンが作ってみたら良いのに、と思います。

温泉で疲れを癒した後、浴衣のままオールナイトで「ソウ6連発」なんて、相当ウケそうな気がしますが、いかがですかねぇ。

それではまたっ!

映画「The Killing of a Sacred Deer」:コリン・ファレルに向けられた復讐の呪い

怨念は燃え尽きるまで消えず・・・

奥ゆかしき文化を誇る我が日本では、昔から、人を呪わば穴二つ、という言い回しが使われています。

他の誰かを恨んで呪い続けたって、むしろ自分にとって、ろくな事はないよという教訓な訳ですが、21世紀の現在でも丑の刻参りは結構行われているという話もあり、やはり未だに、人の世と怨恨というのは切っても切り離せない深い絆で結ばれているのでしょう。

とは言うものの、複数以上の人から呪われて死ねばいいのにと思われている輩が、大空の下を平気で闊歩している反面、その周囲の一般庶民がとばっちりを受けている事も多く見受けられる昨今、恨みの念の効力というのも、かなり疑わしいものでもあります。

何にしても、絶対にすっきり解決する事がないのが、人を恨む、という行いです。

さて、独特な角度から超常現象の存在を認めているハリウッド映画業界では、復讐の呪いの扱い方にも、藁人形&五寸釘というものより多様なスタイルが考案されます。

今回ご紹介するミステリアスなホラー映画「The Killing of a Sacred Deer」は、呪いが持つ微妙でミステリアスな性質を、上手く取り入れたストーリーで展開する一作なそうですが、どんなお話なのでしょうか? 【続きを読む】 “映画「The Killing of a Sacred Deer」:コリン・ファレルに向けられた復讐の呪い”

凶悪な炎から我が町を守った20人の男達:映画「Only the Brave」について

コミュニティを守る最後の砦

仮に、こちらが平和な理論で武装していても、暴力や災厄というものは勝手に近寄って来るものです。

そして、一度、そういったものに目を付けられたら、無力な僕ら一般小市民に成す術はなく、誰か他のオーソリティの力にすがるしかありません。

そういう事を考えると、時に煽情的な美談として利用される事が有るとは言え、町を守る仕事に就く公務員の方々を描くドラマは、彼らに対するメディアによる大切なトリビュートと言えるのでしょう。それらのストーリーは、どれも後に語り継がねばいけない物です。

たとえ、そのヒーロー達が非常に過酷な状況に対処していたとしても、シナリオと演出を上手く調整した物語の中であれば、全部をセンチメンタリズムにする事も可能ですし、同時に、素晴らしいVFXによって再現された事件当時の状況は、SFとかアクションを好まない正しい映画ファンの人にも、最新映像技術を楽しむ機会を提供します。

そういった諸々の理由から考えても、アメリカを守った現実のヒーロー達の活躍を再現する災害もの映画は、ハリウッドの出資者達にしても充分な収益性が期待できるビジネスだろうと思います。

さて、今回ご紹介する映画「Only the Brave」は、2013年にアメリカ合衆国アリゾナ州ヤーネルで発生した深刻な森林火災に、果敢にも体を張って対処した20人の消防隊員を描く、実話ベースの作品と言う事です。

消火に水さえも使えない状況で、燃え盛る大火に挑んだ男達のドラマ、一体、どんな印象の映画なのでしょうか? 【続きを読む】 “凶悪な炎から我が町を守った20人の男達:映画「Only the Brave」について”

全米映画トップ3(2017.10.30)

ジグソウ蘇る!

デーモンやゴーストよりも、本当に怖いのはニンゲンそのもの。

たとえフェイクであっても、同胞が血を流す姿を見て興奮する生き物なんて、ヒト以外に存在しないです。

宗教的な解釈によると、この世の中には大量のサタンがうろついていて、最も善良なタイプの人を魔界へ引きずり込もうと画策しているそうです。

とりあえず無罪と思われる人々を捕まえて、窓も無い薄暗い部屋に拘束し、時計仕掛けで動く不気味な刃物により切り刻む。それが、映画史上最悪の連続殺人鬼ジグソウ。今回、10年ぶりに人々の前に姿を見せる彼は、やはり人の世に潜むというサタンの化身なのでしょうか?、

それとも、人の皮を被り被害者を装う狡猾な悪鬼たちを、地獄へ追い返す使命を帯びた、ダークなヒーローなのでしょうか?

どちらにしても、この殺人鬼のビジネスに継続性があるかどうかは、この週末にどれだけの観客が劇場に足を運ぶかにかかっていました。

かくして、ハロウィーンにぴったりと照準を合わせて復活した、殺戮のホラー映画「Jigsaw」の売上額は、1,630万ドルという数字を記録。見事ランキングのトップを奪取したのですが、はたしてこれは良い事なのか・・・

怖いもの知らずも逃げ出すハロウィーン

連続殺人鬼で騒いでいる様じゃ、まだまだシロウト。

と言う訳で、今年のマディア(タイラー・ペリー)は、ありとあらゆる(そして、どこかで見たような)モンスターの集う、呪われたキャンプ場へとわざわざ出向き、いつも通りの大騒動を繰り広げているそうです。

シリーズ最新作である、この「Tyler Perry’s Boo 2! A Madea Halloween」は、この週末3日間の売り上げに1,000万ドルという数字を記録して、ランキング2位を堅持。

既に、何年も前から「マディア・ユニバース」と呼ぶべき世界観を生み出して、無駄な金を使うことなく(本作の予算は2,500万ドル)作られているこの人気シリーズ、この分だとトリロジー化は必至。ファンとしては、来年は「Boo 3!」が期待できそうです。

地球の危機もまだまだ続く

まぁ、ここでハロウィーンのコスプレ熱を少し冷まして、リアリティのある世界に戻りましょう。

人類にとって真の脅威とは何か?、そうそれは、あの世からやって来た幻などではなく、ヒトがこの地上に作り出したテクノロジーそのものなのです。

その重大な事実について、ハリウッド的に正しい方法を用いて僕らに再考させるのが、今週、570万ドルの売り上げを記録してランキング3位に滑り込んだ超大作、「Geostorm 」なのだと言えそう。

ノアの大洪水を完全に凌駕する程の大災厄を、21世紀の映像世界に再現する事で、全世界の人々に破滅の警鐘を鳴らすのが、制作に1億2,000万ドルを投じたという、この一本。

ですが、まぁ、映画制作会社といのはお好きですねぇ、ディザスターパニックもの映画。

映画業界は無風状態

理由はともあれ、8月のハイシーズンに深刻な業績不振に陥ったハリウッド業界は、未だにそれを引きずっているようです。

季節的には、これからホリデー映画の時期でもあるし、サンクスギビングの休日にはたくさんの観客を家から引きずり出したいところ。

そのためには、もう一発、業界に疾風を吹かせる起爆剤が必要ですし、まだまだ公開する話題作も残っているハリウッドです。

そんな中の一本には、タクヤ・キムラ、ハナ・スギサキ共演の「Blade of the Immortal」という一作も控えています。

果たして風は吹くのでしょうか?。

映画「The Snowman」:マイケル・ファスベンダーを翻弄するノルウェーの殺人鬼

残虐性が悪いのじゃない、残虐な映画を撮る人間の方が・・・

2017年のハロウィーンに向け、いよいよあのジグソウが復活するそうです。

これで、殺戮の展覧会ものホラー映画のブームが再来して、担当する10代の子供達に悪影響が出ないだろうかと心配している、教育関係者の方々も多くいらっしゃる事でしょう。

まぁ、切断されたり破裂したりする人体の描写が、どれくらい映画に必要なウィットとかペーソスになっているかは、演出の意図によって決まって来るものだとは思います。

見ていても、決して趣味の良いとは言えないですが、ある程度までの残虐描写は恐怖を描くためには必要不可欠です。そして、収益性を重要視したハリウッドが、全ての作品でPG13の枠に収まる描写しかしなくなったら、恐怖を描くという文化も衰退・消滅してしまうのでしょう。

それも、また困ります。

なので、エグいホラーを見る楽しみは、とりあえず(R指定で)大人だけの特権とされているのなら、それが映画世界を保つために考案された、賢い均衡点という事になりますね。

さて、今回ご紹介するのは、そういった露骨なアメリカンテイストのホラーではない(はずの)、ノルウェー産のミステリースリラー、「The Snowman」です。

この中でも、女性を無理やり拉致した上で残虐に殺害するという、狂った殺人鬼が登場して、1人の刑事と追いつ追われつのサスペンスを展開するのだそう。

なので一応、血のりの量が多めを何時もご注文される映画ファンにも、それなり訴求する一作のようです。 【続きを読む】 “映画「The Snowman」:マイケル・ファスベンダーを翻弄するノルウェーの殺人鬼”

映画「ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)」の気になる評価とは?

レプリカントの居る未来

1945か46年頃、アメリカは、プロジェクト・ペーパークリップにより、当時としては最先端を誇ったナチスの分子生物学的知識と科学者を自国に接収したと思われます。

同様に、時のソビエト連邦も高度なバイオテクノロジーを入手。したがって、1960年代に入るころまでには、生物の遺伝子改変技術は完成していたでしょう。

もちろん、その技術は人間にも適用されたと思われますが、まぁ、国家をあげてDNA改造人間を作る目的と言えば、他よりも強いオリンピック選手を作るか、兵隊を作るかのどちらかです。

とにもかくにも、この時代の世界秩序は、彼ら遺伝子強化人間達の暗躍によって保たれていたと言っても、過言ではありません。

さて、その後も明らかに進歩を続けた生物工学は、今や、既に人間を含めた生物のクローニングや、もっと進んだ人造人間の製造という領域にまで達しているでしょう。先進国の一部では、本来の人間とバイオ人間との人口上の置換が進んでいるのです。

来る2019年ごろには、彼ら新興勢力の存在が大きくなって、新たな政治的軋轢を生み出す事でしょう・・・

そんなシナリオは、1982年にリドリー・スコットが制作したSF映画「ブレードランナー」に予言されている事に、かなり酷似していますよね。

幸いにして、2つで十分なくらい大盛りのうどん以外、止まない酸性雨も、空飛ぶ自動車も、そしてレプリカントも、表面上は実現していません。しかし、物事や世の中には、必ず裏側があるものです。

どちらにしても、未来と言うものは常に変わってゆくものですから、最初に公表されてから35年が経過したこの「予言」も、アップデートの時期を迎えました。

そして今登場したのが、ファン待望の新説未来史、「ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)」なのです。

人類史さえも変えてしまう、このメガ・ギガ・テラ級映画については、僕ズレ太のような小市民があれこれ書くのもおこがましいし、細密な情報や分析については、公式サイトならびに他のエリート級映画情報サイトをご覧いただくのがよろしいと思います。

なのですが、一枚も噛まないでいるのも寂しいので、今回は、この映画についての本国における公開直後の批評を、いくつかかいつまんでご紹介してみようと思います。ご興味があったら、ご一読ください・・・ 【続きを読む】 “映画「ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)」の気になる評価とは?”

全米映画トップ3(2017.10.23)

口では誰にも負けない「お婆ちゃん」が、ゴーストに遭遇すると?

ちょうど今の季節は、2017年のハロウィーンという事で、ハリウッド映画界からもウィットに富んだ(ややもするとエクスプロイティングな)作品が最もリリースされる、超ハイシーズンとなっております。

そして、映画的な意味で冥界への扉が開くこの時期は、むしろ予算を抑えて小型だけれどもエッジが効いていて、巷の噂になるような作品が成功を収めるでしょう。

まぁ、今週、初登場にして興行成績ランキングの1位を奪取した、「Tyler Perry’s Boo 2! A Madea Halloween」については、その予算がいくらであったかは別にしても、小型の映画とだけは言えないだろうと思います。

アメリカでは、相変わらずすたれない絶大な人気を誇るタイラー・ペリーの、‘マディア’。今回の彼女(そして彼、男女3つのキャラを演じています)は、若者たちをつれて呪われた地獄のキャンプ場へとバケーションに向かいます。

もちろん、様々なホラー映画の定番キャラクターが寄せ集められた本作の中、ゴーストやデーモンに遭遇したマディアの巨体が震え上がれば、全米が観客達の笑い声によって震撼している事必至でしょう。

この映画、週末3日間の売り上げ額は、2,170万ドルを記録しました。

季節遅れのVFX大作

ハリウッド映画のテンプレートとしては、神に与えられたこの世界の仕組みを、自分の都合にあわせて変更しようとする人間達が現れれば、必ず天罰がくだって大災厄を招く事になっています。

そういう宗教的な教訓を薄っすらと盛り込みつつ、得意のVFXで派手に描くスペクタクルは、あらゆる角度から見てもスキが無い、鉄板のエンターテインメントとなる訳ですね。

そんな作品群の中でも、どういう訳だか夏休みに公開する事が出来ず、お化けやデーモンや猟奇殺人器と肩を並べて登場する事を余儀なくされたのが、今週初登場にしてランキング2位に滑り込んだ、「Geostorm」です。売上額は、1,330万ドルを記録。

近未来、人類は、地球上の全天候を技術的に操作するシステムを手に入れますが、これもお約束通りに、かなり不都合な出来事が起きて、地球は滅亡の危機に瀕すると言うSF系パニック大作です。

ジェラルド・バトラーが、愛する人のために地球を救う主人公、を演じているそうで、日本向けの訴求力も十分に仕込まれている一本と言えそう。

定番B級ホラーも健在

まぁ、なんだかんだ言っても、B級の娯楽ホラーは映画収益における太い柱の一本。

例えば、1,000万ドルに満たないような予算で作っても、アイディアに光るものがありヒットすれば、フランチャイズ化してパート2、3、、、と大型映画に育つ事も十分有り得ます。

そして、このハロウィーンに登場しスマッシュ的ヒットとなりそうなホラー映画が、今週ランキングの3位に滑り込んだこの作品、「Happy Death Day」です。売上額は940万ドルという数字でしたが、作品の規模からしてみれば十分な額であるはず。

この中では、「ラ・ラ・ランド」にも出ていた女優ジェシカ・ローテが、自分が殺された、という一日を繰り返し体験してしまう女子大生を演じているそうです。

この映画、かなりの確率で続編の企画が出てきそうな一本となりました。そのタイトルは、、、「Happy funeral Day」ですかね、やっぱり。

世界は今日も変化中

国家運営に風を吹き込むと言う、新しい大統領が奮闘中のアメリカですから、一般市民の消費パターンも変化しているのかもしれません。それが、この夏に起きた、映画業界低迷を引き起こしたとも言えそう。

これから、ディジタル配信という新しい見せ方が普及するので、映画ももっとそれに適合してゆく事になるでしょう。

ダーウィン曰く、生き残るのは強いものではなく、変化に対応できるもの、です。

しっかりしたVRゴーグルが、普通に購入可能な価格になれば、直接それ向けに体験型映画を配信する会社も現れるはずですね。当初は、ホラーやミステリが主体になるかもしれませんが、ゴーグル用の描き方が確立すれば、他のタイプのドラマもどんどん作られるでしょう。

現在、僕たちの住む世界は、そういった大きな変化の真っただ中にあるのです。信じるか信じないかはアナタ次第。

ではまたっ!。

リーアム・ニーソン対ニクソンの陰謀:映画「Mark Felt」について

権力の陰謀渦巻く、この世界

どの様な国家の元首でも、最大の関心事項は、領土内の秩序を保つという事です。

そして、どんな世界でも秩序を乱そうとするのは人民達。国家や共同体に対する責任感を持たない彼らは、自らを堕落的な生活に置いているくせに、つねに指導者層に対して疑念や不満を抱き、勝手な被害者意識を内部にため込んでいるものです。

そして、勝手に暴発する・・・

そういった事情の中では、国家の最高責任者達が、一般市民や対抗する政治勢力の言動を傍受・監視するという行為も、充分に‘正当化’されるでしょう。

まぁ、最近ですと、合衆国を中心として稼働する‘エシュロン’なんていう、とても洗練された通信傍受システムがあるそうで、ネットや携帯の通話など、すべて超高速コンピュータが解析、体制に反するような危険な内容を割り出しているそうです。

そして、そのような、ハイテクIT機器が存在しなかった時代、たとえば1970年代にも、合衆国の情報活動部門は大統領による適切な指導の下で、様々な盗聴活動を行っていたのです。

もちろん、21世紀の盗聴に比べればひどく幼稚な道具を使っていたり、場合によるとおっちょこちょいな結果になったりもしました。その代表格と言えるのが、‘ウォーターゲート事件’かもしれません。

今回ご紹介する映画、「Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House」は、アメリカ史上ただ一度だけ大統領を辞任に追い込んだという、一大盗聴・陰謀スキャンダルを、さらに裏から引っ張っていた人物を描くドラマだそうです。

しかし、この長い題名、日本の配給会社から裏でアドバイスでも貰ったんですかね? 【続きを読む】 “リーアム・ニーソン対ニクソンの陰謀:映画「Mark Felt」について”

ホラー映画「Happy Death Day」:ジェシカ・ローテが最後に繰り返す怖い事とは?

やり直しが効くからって良い事ばかりじゃ・・・

人の好みというものも、それぞれではあります。

ですので、かなり特殊な趣味とも言える‘殺戮系ホラー’の楽しみ方も、これまた十人居れば十通りあるのです。

その中には、誰かの頸動脈に尖ったものを突き刺して、真っ赤な潜血が噴き出る様子がたまらん、といったような、ちょっとヤバい趣味もあり得るのですが、もう一つ娯楽ホラーの楽しみに忘れてはいけないのが、若手女優さんの演技を味わうというもの。

一般的に言っても、ほぼ同じパターンの繰り返しになりがちなB級娯楽ホラーを、最後まで鑑賞する気にさせてくれるのも、ひとえに主演を務める美人女優さんのおかげです。

まぁ、願わくば、いつもの繰り返しパターンを脱却してくれる新鮮なプロットが、その映画にも与えられているならもっと嬉しいでしょう。

そう、例えば、新進女優のジェシカ・ローテが、一つの事を延々と(ひょっとしたら死ぬまで)繰り返す、という、従来のアイディアのリサイクルに少し捻りを加えた映画、「Happy Death Day」なら、色々な層の映画ファンを楽しませてくれるかもしれません。

今回は、2017年ハロウィーン向けに米国でリリースされた、その新作映画のご紹介です。 【続きを読む】 “ホラー映画「Happy Death Day」:ジェシカ・ローテが最後に繰り返す怖い事とは?”

全米映画トップ3(2017.10.16)

ショービジネスにまぐれはない

それなりに意図をもって、誠実な態度で作られた生産物であれば、すべてが公平に評価されて、平等に世の中に受け入れられるべきでしょう・・・

でも、現実的には、それもただの理想論か妄想でしかありません。実際には、そのモノの本質より外見やイメージが先行して世の中に評価されてしまいます。だから、その段階でうまくポジション固めができなかった製品は、もともと存在しなかったのと一緒、という憂き目にあう訳です。

しかし、イメージ戦略が上手く運ぶと、チープで小型の製品でも、有名ブランドの地位を揺るがす程のインパクトを市場に与える事も可能。そういう逆転劇が起こるからこそ、例えばハリウッドの若手プロデューサーなどが、日々その知恵を絞っているのですね。

さて今週、初公開にして他の強豪作品を抑え、全米映画興行成績ランキングのトップに躍り出たホラー映画「Happy Death Day」が、かように若いクリエーターのみにより作られた一本か、と言うと、そうでもないらしいのですが、映画のサイズで言えば相当小型であるのは確かです。

制作予算は、(主演女優のギャラが出せるのかと心配になるほどの)500万ドルという超コンパクトな作りなのが、ハロウィーン前の絶好のタイミングでリリースされたこの一本。この週末における売上額は、2,650万ドルを記録しています。

主演は、「ラ・ラ・ランド」にも出ているジェシカ・ローテ、監督を務めたのが、「パラノーマル・アクティビティ」シリーズに脚本を提供してきた、 クリストファー・ランドンです。

そのストーリーの方は、ローテ演じる女子大生が、自身が殺害される一日を繰り返し体験するという、ちょっと興味深いお話なんだそうですよ。

2049年に何が起きた?

そして、本来ならば、10月の間くらいはランキングのトップに君臨し続ける使命がある、このSF大作「ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)」が、公開2週目にして2位に陥落。週末3日間の売上額は1,510万ドルという記録に留まりました。

まぁ、空飛ぶ自動車や巨大なホログラフィー、そして「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリングに加えて(レジェンド)ハリソン・フォードまで登場するという、この大作、事前のイメージ構築に失敗していたとは思えません。

日本でも、かなり強力なプロモーションが立ち上がってきているようなので、これから、どんなページを映画の歴史に残してゆくことになるか、期待をするべきなのでしょう。

ですが、制作・撮影費用も、出演者のギャラもかさんだこの作品、制作にはなんと1億5,000万ドルが投じられたのも事実。

やっぱり、今のこの状況にはまったままになってしまえば、(もし仮にその企画が存在したとして)「ブレードランナー2052」の話にも暗雲が垂れ込めてしまいそうで、心配です・・・

怒らすと危険な外国人 in USA

そして、これまた初公開で興行成績ランキング3位に飛び込んだのが、ジャッキー・チェン主演の復讐スリラー、「The Foreigner」で、売上金額は1,280万ドルという数字を記録しました。

今年のル・マン24時間レースでは、自身が所有のレーシングチームをクラス優勝に導き、いま、アクセル全開で疾走中のチェン先生。この映画では、アメリカを狙ったテロのとばっちりを受け、家族を殺された中国人を演じているそうです。

もちろん、カンフーの格闘技やマシンガン、そしてワイヤーアクションもたっぷり見られそうなのが、この一本という事。

でも、、、まだ日本公開の予定が立ってないんですね。なんででしょう?

どこを見ても怖い顔したカボチャばかり

夏に比べると蚊が少なくなるので、本当は今頃の方がBBQなどに適している季節なのです。

そんな時期には、インドア派の人も外にでて、何かしてみたくなりそうですが、同時に10月は、世の中全体をホラー色に染めても大人達から揶揄されないという、一年でも貴重な1か月でもあります。

なのでやっぱり、月後半の今はホラーDVDをがっつり借りて、脳がしびれるまで見まくりたい所。しかし、レンタルの需要も多くなりそうですから、当日、突然思い立っても、良いのが借りれない可能性も高まります。

この月末、ムードの演出を失敗したくない方は、今の内から宅配月額レンタルに予約して、お気に入りを確保しておくことをお勧めいたします。

ま、コスプレのデートに出るという方は、そんな必要もないでしょうけれどね^^

それではまたっ!

映画「The Mountain Between Us」:素敵な2人を惹き合わせたのは命の危機

よい映画を作るのも、やっぱり素材から

一年の季節も押し迫ってくると、ハリウッドとしては、いわゆるアンサンブルキャストによるホリデー映画の準備に余念がない事でしょう。

時代を代表する俳優を、各年代から取り揃えつつも、彼らを定型的シナリオ構造の中に当てはめて制作する、観客の脳にはストレスを全くかけないとうい映画が、こういったクリスマス周辺のドラメディになります。

言ってみれば、料理の腕試し番組で出てきたテーマが普通のネギであっても、それにバフンウニやら伊勢海老とかA5和牛まで盛り込めば、どうやってもグルメになってしまうという、その同じ原理を映画に適用したもの。

とは言うものの、その晩さんにありつくには、まだ5,6週間ほど季節が早すぎますので、今公開される映画の中での材料は、まだまだ厳選され絞り込まれたものとなります。

そして、控えめな中でも、ちゃんとお金を払っても納得できる素材を組み合わせた作品は、やはり特筆されるべき。おそらく、そんな映画の一本が、今回ご紹介する「The Mountain Between Us」です。

この映画、主演にはイドリス・エルバとケイト・ウィンスレットという、大変魅力的なキャストを用意しただけでなく、その2人の関係性が、物語のほぼ全てを支えるという一作らしいのです。 【続きを読む】 “映画「The Mountain Between Us」:素敵な2人を惹き合わせたのは命の危機”

大人の自分探しは意味深い:映画「Brad’s Status」について

何も不足はないはずの自分なのに

成人年齢の人の多くは、「いつかは取り組もうと思いながらも20年くらいお蔵入りになってる課題」を、ひとつくらい心の深い所に持っているものです。

人は、何かを手に入れるために何かを手放すもの、だそうですので、現在のあなたの幸福な生活も、遠い昔に諦めてきた何かのおかげで手に入れたと言っても、過言ではないでしょう。

でも、社会的な幸福と心の充足が必ずしも一致しないのが人の常。芸能人や国会議員といった著名人が不倫に走ったりするのは、あきらかに、失ったり諦めてきた何かにより心に開いた穴を塞ごうとするためです。

あるいは、人生についての後悔とか愚痴をこぼして過ごす場合もあるでしょうが、どちらにしても、そういった自滅的な行為は、上手くかかれたドラマのシナリオくらいでしか、満足の行くあがないへ辿り着く事はありません。

さて、今回紹介する映画、「Brad’s Status」の主演の男性は、社会的にも価値のある仕事と文句のつけようのない家族を持ちながら、自分の人生についての心残りが吹っ切れなくて困っているのだそうです。

自慢の息子が大人への扉を開けようとしている今、彼もまた、自身の人生に結論を出す必要を感じているらしいのですが、そこに辿り着くには、やっぱり一連のドラマが必要です・・・ 【続きを読む】 “大人の自分探しは意味深い:映画「Brad’s Status」について”

映画「バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)」の気になる評価

犯罪と陰謀と家庭生活

その男は、命をかけて娘を守る父親の顔を持ちながら、正義の秘密エージェントでもあり、同時に冷血な暗殺者でもありつつ、若手の敏腕弁護士の顔も持っています。

さらに彼は、NASCARのレーシングマシンを時速300キロで走らせたり、空軍のエリートパイロットとして、F-14トムキャットによるドッグファイトを演じて見せ、とても活動的な人物で有る事を伺わせもします。

一番最近の彼は?、と言うと、ルイジアナ州バトンルージュに美しい妻との平和な生活を維持しながら、南北アメリカ大陸をまたにかけ、大量のマリワナやコカイン密輸で大儲けしたようです。その一方で政府機関へ麻薬組織の情報を流し、その摘発にひと役買って罪を逃れたりしたとか。

まぁ、全部シナリオの上の話ですけどね・・・

そんな、ハリウッドにおけるカリスマの代名詞とも言える人物こそ、他でもありません、トム・クルーズ師匠。

そのクルーズの最新作は、「バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)」。前出の、密輸組織と政府機関の両方を一時だけ手玉に取って見せた伝説の男を描く、娯楽アクションといった風情の一本です。

しかし、クルーズ兄さん、どんな具合に母国を‘はめた’のでしょうね? 【続きを読む】 “映画「バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)」の気になる評価”

全米映画トップ3(2017.10.9)

30余年の時を超えて、その先の深い未来を描く

考えてみると、すべての物の成否を決定するのは、それをいつ行うかという点につきます。つまり、すべての結果はタイミングの良否が生み出すものなのです。

いつ新型のスマートフォンを発売するか、とか、いつ別々の政党が合併するか、とか、いつマイホームのローンを組むか、はたまた、いつインスタントラーメンをお湯から上げるかまで、すべては厳密なタイミング論によって支配されています。

かくして、30年間以上の準備期間を経て、満を持するように公開される名作映画の続編については、配給会社が設けた企画部のエリート達の間で、その公開期日をめぐって相当な議論がなされたはずです。

その映画とは、今週初登場で興行成績ランキングの1位を奪取した、「ブレードランナー2049(Blade Runner 2049)」。売上額は3,150万ドルという数字を記録しました。

夏の間には寒風が吹きすさんだ2017年のハリウッド映画産業を、デングリ返す役割を与えられたこのSF大作。全部のタイミング、ばっちりですよね・・・

一足早い極寒体験

一部の人達にとっては、深い雪に覆われる真冬の季節は、一年を通しても最も祝福すべき時期でしょう。

そんな風に極寒を待ち望む人達や、あるいは、厳しい自然の中での冒険を疑似体験したいと考えている人にとって、かなり良いタイミングで公開されたのが、初登場で今週のランキング2位に入った「The Mountain Between Us」で、売上金額は1,010万ドルという数字を記録しました。

夏の間のVFX祭りが、いまいち盛り上がり切らなかった事を思うと、上級の俳優2人による上質な演技で、雪山でのサバイバルの緊迫感と、そこにあるべき感情性を描写しきる、という映画らしい映画は、ある意味で時流に乗っているかもしれません。

そんな本作でダブルで主演をはっているのが、イドリス・エルバとケイト・ウィンスレットです。

ハロウィーンの恐怖が地獄のクラウンをさらに強化

いくらハロウィーンの前だからと言って、新作映画の全てがオバケ話や殺人鬼スリラーになるという事も有り得ません。

という事で、大物ホラーをどこでリリースするかというのも、これまた配給会社が考えなければいけない大切なポイントでしょう。

そして、ともすればリリース日が早すぎたと感じさせた、このホラー映画「It」が、10月31日の前後まで延命しそうなのは、タイミング理論上でも特筆すべき現象だと言えます。

今週もランキングの3位に滑り込んで、売上金額は970万ドルを記録した本作ですが、米国内だけの累積売り上げも3億ドルを突破(制作予算は3,500万ドル)するという成功作となっています。

このスティーブン・キング原作による恐怖映画、続編にも、たくさんの人が期待している、といったところですが、一体ナニをみたら全部おわりなんでしょうね?

まぁ、秀逸な邦題も含めて、公開時期を絶対にはずさない日本の配給会社さん達は、やっぱりすごいのです・・・

それではまたっ!

ホラー映画「Flatliners」:あっちの世界を垣間見たエレン・ペイジ

全ての終わりの先には何がある?

世の中で、「死」について直接的に言及する事が許されているのは、医者や、一部の学者、そして宗教家くらいのものです。

人が、その人生を終えるという事は、それほどに厳格であり、ある種、絶対的な事象だからです。

そして、この世での命が有効期限を終えた後は、本当に自分という存在は消えてしまうのか?、あるいは、その先にも続きがあるのかは、古くから続く根源的な論争でもあります。

まぁ、死後の世界の実体が誰にも確認できないものなので、諸説紛々とするのは仕方ないところですが、もうちょっとライトに、入り口の部分からこの問題を探求する事もできます。

それが、臨死体験という現象。

世界中で臨床的な事例の報告もあり、かなり現実的な調査・研究が行えそうなのが、人が死ぬ一歩手前で何を体験するかという、このテーマなのです。

同時に、「現実的」で「興味深く」て「ちょっと怖い」、そんな出来事は、そうです、ハリウッド映画の題材としても超ぴったりではありませんか。

と言う訳で、1990年には、この問題が「フラットライナーズ」という娯楽スリラーとして、映画化されました。

今回ご紹介するのは、その21世紀版リメイク作。あっちの世界を覗こうと危険な実験に臨む医学生を、「JUNO/ジュノ」や「X-MEN」でおなじみの、エレン・ペイジが演じています。 【続きを読む】 “ホラー映画「Flatliners」:あっちの世界を垣間見たエレン・ペイジ”

幻惑の森に溶けるキルスティン・ダンスト:映画「Woodshock」について

人は皆、苦痛を抱え彷徨える魂

神様、あるいは、超古代に地球を訪れたエイリアンの手によって、人類には知性が与えられました。

しかし、知恵がつくという事は、生きている限り悩みや苦しみがつきないという、宿命も背負わされたようなものです。絶対に変える事ができないと分かっている事実にさえ、人の知性は解決を求め、終わりのない苦悩にさいなまれるのです。

そして神は、そんな人間を苦しみからひと時だけ救うために、例えば、酒とかタバコ、ギャンブルやドラッグといった癒しも用意してくれました。

でも、たった一時の救いは、問題の影響をただ大きく広げるだけです・・・

さて、今回ご紹介する映画は、ファッションブランドの‘ロダルテ’を主宰する、マリービー姉妹が、脚本と監督を務めたという話題の一本。

そして、キルスティン・ダンストが、逃れようもない罪悪感の苦しみから、破滅的な癒しに手を出してしまう女性を演じているという、なかなか刺激的なストーリーなのだそうです。 【続きを読む】 “幻惑の森に溶けるキルスティン・ダンスト:映画「Woodshock」について”

全米映画トップ3(2017.10.2)

ペニーワイズの反撃

少なくとも、10月に入った時点で日米の消費者が(参加するしないは別として)意識し始める事と言えば、そう、あの一大仮装イベント、ハロウィーンの存在です。

毎年、フェイクから本当にヤバい輩まで、キラークラウンはコスプレの定番。そして、今年は彼らがお手本にすべきカリスマが米国全土の劇場に出没中です。

それこそ、あのペニーワイズですよね。

と言う訳で、2017年10月の第1週末における、米国内映画興行成績のトップに返り咲いたのが、スティーブン・キング原作のホラー映画、「It」という事になりました。

ただまぁ、売上額は1,730万ドルと言う事で、業界全体の生煮え状態は依然継続中だと、感じざるを得ません…。

ダーティワークが似合う男

実際に、ハリウッド映画スタジオの重役達や出資者を手玉に取っている。

そんなワケじゃないと思いますが、本当にやり手である事は確かなのが、クル様、いや、トム様、いえいえ、トム・クルーズ様です。

そんな彼が、「M:I6」あるいは「Top Gun: Maverick」というアイコニックな大作の撮影までの合間に(ちょいちょいと)仕上げたのが、今週初登場でランキング2位に入ってきた、「バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)」で、売上額は1,700万ドルという数字を記録しました。

この物語は、アメリカCIA、DEA、そしてコロンビアの恐ろしい麻薬王までも‘手玉に取った’実在の男、バリー・シールの半生を描くものだそうです。

まさに、クル様にはぴったし、といった役どころですよね(あ、トム様です)。

大西洋をまたいでスパイが組めば、ウルトラな力になる!

そうです、MI6とかCIAなどが大々的に手を組んで、世界にはびこる、とりあえず極悪人と思しき連中を、マシンガンやロケットランチャー、さらには超ハイテクギアなどを大量に投入して追い詰め殺しまくれば、この地球は瞬く間に平和になります。

そんな事を期待する観客は、新作スパイ映画「Kingsman: The Golden Circle」へと足を運び続けているようで、結果として、今週末の米国内売り上げ額を1,700万ドルまで押し上げ、ランキングも3位に入りました。

しかしまぁ、CIAとかスパイとか、最近の映画業界では良く目にする気がしますよね。

現実の世界に、超めんどうくさい事態がたくさん発生していて、その事件をニュースで見るのもめんどうくさくなった大衆に、諜報部の極秘作戦で簡単に解決して欲しいと言わせるための、米国上層部による印象操作なのでしょうか・・・

映画は、そのような事にも使われています。信じるか信じないかは、アナタ次第ですけどね。

えへへ、それではまたっ!

男のくせに女に負けるなんてあり得ない??:映画「Battle of the Sexes」について

つぶやきアカ、停止ギリギリのテーマ!?

僕を含めた多くの日本人は、この映画のタイトルである「Battle of the Sexes」を読んだ時、倦怠期に入った夫婦を描くR指定のコメディ映画を想像すると思います。

あるいは、もっとグっとくる内容を想像するかもしれませんが、このタイトルの最後の単語に、あまり気を取られてはいけません。

この映画、実際には、現代社会の根幹をなしている性別による格差や差別を扱いつつ、さほど重くならない風に仕上がった、実話ベースのストーリーなのだそうです。

そぞれの「Sex」から代表され、この物語で文字通りの「Battle」を演じるのは、スティーヴ・カレルとエマ・ストーン。

この2人の戦いは、全米どころか全世界にも大きな話題を提供するのだそうですが、一体、その中身とは・・・? 【続きを読む】 “男のくせに女に負けるなんてあり得ない??:映画「Battle of the Sexes」について”

映画「American Assassin」:ディラン・オブライエンが世界戦争を止めるっ!

陰謀渦巻く裏の世界へと飛び込む一人の青年

この世界は、「陰と陽」の2側面でなりたっています。光ある所には必ず闇があり、人には表の顔と裏の顔があるのです。

表面上見えている世の中の姿は、実は真実を全て反映している訳ではありません。そして、一般人に対しては隠ぺいされた裏の世界で、さまざまなパワーゲームが進行しているのが、僕らの住んでいる人類の社会というもの。

そんな世界の平和と騒乱の2局面を天秤にかけて、常にバランスする様に画策するのが、先進各国が持っている諜報機関の役割ですが、これまた、アクション映画にとって鉄板のネタでもありますね。

スパイは、ビジネス界でのキャッシュフローも生み出すという訳です。

フィクションの中では、毎日5,6人は人を殺しているスパイですが、まぁ、実際のスパイというのは、普通の社会生活に溶け込んで、裏側から何かをしているものです。だから、本当は米国CIAなども、僕みたいに華も無い目立たないヤツをリクルートするんじゃないかと思うのですが、映画の中では、そんなつまらない事が描かれるハズもありません。

かくして、この映画「American Assassin」でスパイに抜擢されたのも、アメリカのみならず世界中の女性映画ファンを引き付けるイケメン男性。

ただ彼は、ある最悪の出来事が原因で、世界を転覆させようとする連中への復讐を誓った、という複雑な背景を持つ人物のようです 【続きを読む】 “映画「American Assassin」:ディラン・オブライエンが世界戦争を止めるっ!”