ヘレン・ミレンと迷路屋敷の怨霊:映画「ウィンチェスター(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Winchester
    • ウィンチェスター
  • 制作:
    • 2018年 Blacklab Entertainment / Imagination Design Works

ハッピー・ゴーストハンティングも1つの文化

日本でも近々、民泊の規制が緩和されるらしいので、巷にあふれかえるいわく付きの出ちゃう空き家なんかを使えるように掃除して、そのまま外国人観光客にアピールしたら、意外と評判を呼ぶかもしれませんね。

日本だと、必ず不吉な印象が抱きあわされる心霊ですが、欧米社会では、また違った捉え方をされているように思います。

アメリカの都市なんかだと、地元の歴史と共にいわく付きスポットを探訪するガイドツアーが結構有って、あっちの世界の人も経済と文化の一翼を担っている様です。

とにかくまぁ、何かが出ると言うストーリーが金になる、と言うのは、洋の東西を問わず確かな事。

合衆国カリフォルニア洲サンノゼに有るウィンチェスターミステリーハウスは、その不思議なバックボーンと諸々の噂などを、ある意味で前向きにアトラクション化する事に成功したスポットと言えましょう。

20世紀初頭にこの異様な大豪邸を生み出したのは、悲劇の未亡人サラ・ウインチェスター。

彼女を突き動かした恐ろしい衝動を、実力派女優ヘレン・ミレンを起用し、現代の映像技術を駆使して再現したと言うのが、今回ご紹介するホラー映画「Winchester」です。 【続きを読む】 “ヘレン・ミレンと迷路屋敷の怨霊:映画「ウィンチェスター(原題)」の評価・あらすじ”

ニコラス・ケイジの狂気に火がつく時:映画「マム・アンド・ダド(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Mom and Dad
    • マム・アンド・ダド
  • 制作:2018年 会社

愛憎のカタチが歪んだ現代社会に放つホラー

世の中には、パラハラ、セクハラの嵐が吹き荒れるご時世です。

例え自分が、軽い皮肉とか洒落や愛嬌、あるいはコミュニケーションのつもりでそれを行ったとしても、相手がどう捉えるかによっては裁判沙汰となるので、各職場のオジサマ方は充分注意しなければいけません。

上に立つ側から、目下の者を蹂躙(じゅうりん)するという意味では、親が子供に行う行為も時としてハラスメントに似てきます。ただ、この場合は、いやがらせ、ではなくて、虐待と呼ばれてしまいますけどね。

それを糾弾された親御さんは、しつけとか教育である、と主張するでしょうが、周囲に居る100人の中、全体の51パーセントが間違っていると感じる事なら、いかに自分にとっては正しい事だと主張しても罪となります。

しかし逆説的に言って、仮に100人の親が全員、自分の子供を傷つけようと追いかけまわしたら、それは罪にならないと言う事なのでしょうか?

もちろん、その場合の親達にも、自分の子供の子供っぽい行動が与えるフラストレーションが限界に達した、という、正当な理由が有っての事です。

今回ご紹介する映画「Mom and Dad」は、世の中にいる全ての親が子供に対して抱く苛立ちの導火線に、とうとう本物の火が着いてしまい、全ての親達が凶器を振りかざしながら我が子を始末しようと襲い掛かる、という恐ろしくもナンセンスなプロットのお話だそうです。 【続きを読む】 “ニコラス・ケイジの狂気に火がつく時:映画「マム・アンド・ダド(原題)」の評価・あらすじ”

全米映画トップ3(2018.2.7)

岩の如き拳が迷路を粉砕!

人生はドラマ。

人は、その人生ストーリーの中を、命ある限り走り続けなければいけません。

例え、謎のジャングルに放り込まれたとしても、仮にそこで、巨大アナコンダに巻き付かれたとしても、また、体長15mの毒グモタランチュラの巣にからめとられようとしても、人生のゲームがオーバーする瞬間まで、その足を止める事なく走り続けるのです。

その途中、いくつかの珍妙な謎解きや、ナンセンスな方向転換、あるいは陳腐なメランコリズムとぶつかるかも知れませんが、とにかく、彼らは走りづ付けるのです。

彼ら?、そうそれは、岩のような筋肉で全身を武装したかに見えるあの男、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンが率いる、面白可笑しい一団の事。

どんな事があっても、立ち止まらず走り続けた結果、彼らの登場する映画「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(Jumanji: Welcome to the Jungle)」は、リリース後7週目に入った今週、全米映画ランキングのトップに返り咲きました。

週末3日間の米国内売り上げは1,090万ドル、累積額は3億5,260万ドルを記録しています。

あのランナーも負けじと追走

走り続けると言えば、その映画製作段階からランナーの名前を与えられたディラン・オブライエンの方が、その役にふさわしいヒーローと呼べるかもしれません。

彼の方はと言うと、ヤングアダルト系SFスリラーのお約束通り、悪の巨大資本から友人を救い出すため、陰謀の巨大迷路のな中を今日も全力疾走です。

おかげで大けがを負い、一時期走れなくなったりもしましたが、完成した映画「Maze Runner: The Death Cure」はヒット作となり、この週末では、1,050万ドルの売り上げを記録してランキング2位の座をゲットしました。

歩みを止められぬ事の恐怖が・・・

走り続けたのは男達だけではありません。

いや、むしろリアルな意味で暗黒の中を走り続けたのは、サラ・ウィンチェスターだったかも。

夫ウィリアムが、銃器の製造販売で巨万の富を築いた後に他界し、その財産を相続したサラは、自社の武器が奪った人間の魂達を追い払うために、カリフォルニア州はサンノゼに建てた自分の住居を永遠に拡張し続けたのです。

サラ自身が指示を出し、ほぼ無計画にそれを増築しつづけたため、本来は華麗なたたずまいを見せるはずであったヴィクトリア朝風の屋敷は、異様な迷路の如き構造となってしまいました。

本来は、豪華な暮らしが約束されていたはずの彼女の晩年は、夫の作ったライフルが殺した亡者に憑りつかれ、この屋敷拡張事業のために、ただ走り続けるだけのものへ変容してしまったのです。

この、あわれな未亡人サラを主役に、アメリカでもNo1.と呼べるミステリースポットである、あのウィンチェスター・ミステリー・ハウスをそのままモチーフにしたホラー映画が、今週初登場で930万ドルの売上額を記録し、ランキングの3位に滑り込んだ「Winchester」です。

問題のサラ・ウィンチェスターを、今を代表する大女優ヘレン・ミレンが怪演している事も魅力な、この映画。僕自身も、今、小遣いと時間があったらサンノゼに飛んで行って鑑賞したいと思う一本です。

作品の在庫は潤沢

オスカー前の、ロビィングに忙しいこの時期でも、そこそこ、娯楽的な映画がリリースされ続けるというのは、ハリウッド映画界の大きさ(そして欲深さ)を垣間見る部分です。

どんどん作ってどんどん消費、そして大きくなり続ける。まさに、ハリウッドもアメリカ資本主義も(そして仮想通貨も)、速度を落とす事なく走り続ける、現代社会のヒーローそのものなのでしょう。

皆さんも、置いてきぼりを食わないように、走り続けてください(僕は、その後に道端に零れ落ちた残り物を拾ってゆくので大丈夫です)。

それではまたっ!

クリス・ヘムズワースが自由主義社会を守る!:映画「12 Strong」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • 12 Strong
    • 12 ストロング
  • 制作:
    • 2018年 Lionsgate / Alcon Entertainment / Black Label Media / Jerry Bruckheimer Films

攻撃は最大の防御

その武力を世界中に展開して、あたかも平和と民主主義を守る警察官のような顔をしているアメリカ合衆国には、色々な所から批判や反発の声が上がっていると思います。

とは言え、その存在が地域のパワーバランスを保つ役目をしている事も確か。その意味では、現実的な平和を維持するのに必要な力なのだ、と、評価するべきかも知れませんね。

東西冷戦が終わった瞬間は、これで戦争の脅威のない発展的な未来が開けたと誰もが期待したのですが、人の世はそれほど単純でもなく、世界情勢はより不安定化していると言えそうで、やはり実力行使をする人々が、居てくれないと困るのです。

まぁ、武器を使って殺し合う事は素晴らしい、などと、到底、言えるものじゃありませんが、何か大きな価値観を守るために、現実的なヒーローとして活躍した軍人のストーリーは、感動を呼ぶものとして多くの人に訴求する事は確かです。

そして、アメリカの出版界やハリウッド映画界は、合衆国政府を支持する一般ピープルに対して、その感動的というエレメントを効果的に伝える使命も負っていると言えます。

今回ご紹介する映画「12 Strong」は、ハリウッドの大物プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーなどが、あの時期、恐怖と悲しみに包まれていたアメリカに希望を与えた精鋭部隊による、隠された真実のドラマを世に明かす、という一本らしいです。 【続きを読む】 “クリス・ヘムズワースが自由主義社会を守る!:映画「12 Strong」の評価・あらすじ”

全米映画トップ3(2018.1.29)

疾走するヒーローが再登場

僕は全く逆のタイプですが、人生を常に全力で駆け抜けたいとお考えの方々にとっては、その先に続く道も単純な直線路では物足りない事でしょう。

それは、急な勾配やトラップまで仕掛けられた巨大迷路のような道である方が、断然エキサイティングで刺激的です。

そんな内の1人であるあなたのために、今週リリースされた新作SFアクションスリラーこそ、映画「Maze Runner: The Death Cure」であり、最初の週末3日間における売上は2,350万ドルを記録して、ランキング1位の栄冠を勝ち取りました。

主演のディラン・オブライエンが負った負傷による公開時期のずれ込みという、予期できなかったトラップさえ跳ね除けて3部作の最後をかざる本作では、世界を蔓延しそうなゾンビウィルスに対する治療法の材料にされそうな友人を救うため、彼らは再び、あの陰険な組織「WCKD」の懐へと飛び込んでゆくそうです。

果たして、彼らと地球の運命やいかに。

ジャングルの迷路も奥が深く

今週の2位に入ったのは、ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック他が共演の、もう一つのアドベンチャー作品、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(Jumanji: Welcome to the Jungle)」で、売上額は1,640万ドルを記録。

1995年に作られた、VFXアクションのクラシック作を、平昌オリンピック直前の寒いシーズンにリブートした本作が、ちょっとしたスマッシュヒットになった事は若干の驚きを禁じ得ないところです。

今回のジュマンジはビデオゲームとなり、その内部の危険なジャングルにバーチャルなアバターと化して取り込まれた4人のティーンが、ゲームのルールに縛られながらサバイバルを目指すそうです。

この現実世界になんとか戻れても、しばらく燃え尽き症候群でポーっとしてしまいそうですね。

時代を超えた憎しみを癒す事は可能か?

人種間の軋轢、という問題については、超一般的な日本人である僕みたいな人間は、例えそれを煽っている連中に関してであっても、揶揄する様な権利はなかろうと思います。

とは言え、メジャーで立派な各メディアの報じ方を見ていると、自由の国アメリカにも、あらたな人種問題に火がついているとの事。

映画としては、そんな時代に何を提示するかという事は、大きなビジネステーマだと思います。そんな中に、ハリウッドのA級スター俳優の中でも特にストイックな事で有名な、あのクリスチャン・ベールを、アメリカ開拓時代の軍人役として起用したのが、今週初登場にして1,020万ドルを売り上げランキング3位に入った「Hostiles」です。

ネイティブアメリカンを憎んでやまない米軍大尉が、とある事情からシャイアン族の人間をエスコートし、荒野を旅する事になってしまう。というお話だそうです。

果たして、憎み合う彼らの間に、親交の情が生まれる様な事はあるのでしょうか?

寒い時はネット配信で、なんて言わないで・・・

と言う訳で、またまた新たなヒット作が登場し、ハリウッドの新作映画生産能力は、今週も衰える様子も見せませんでした。

あんまりアウトドアで遊ぶ季節ではないので、暖房の効いた劇場で体験できる娯楽は、意外と需要が高いのかもしれませんね。

しかしながら、ここ数年、北米大陸へ強烈寒波が下りてくるという事がお約束の様な気配もしますから、あんまり寒すぎると映画の観客も減ってしまうでしょう。

映画製作・配給会社のエリート達は、この辺りで地球環境の変化に対応したビジネス形態を考案しておくべきかも知れません。

たとえば、フロリダ旅行と新作映画の上映を組み合わせたパッケージとか、どうでしょか?

それではまた~。

元NY市警ベテラン最悪の一日:映画「ザ・コミューター(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Commuter
    • ザ・コミューター
  • 制作:
    • 2018年 Ombra Films / StudioCanal / The Picture Company

その男の内面に秘めた真価が再び炸裂

能ある鷹は爪を隠す、なんて言葉、日本だけの奥ゆかしい考え方かと感じますが、例えば、クラーク・ケントやジェイソン・ボーン、さらにはブルース・ウェインなども、本気を出したら実は凄いというタイプのヒーローですから、アメリカの様な国にも同様の威厳が通用するという事の様です。

娯楽映画の中で、世を忍ぶヒーロー像がもてはやされるのは、僕ら小市民が秘めている変身願望とか、ありのままの自分で周囲から認められたいという欲求などが、そこに共鳴するためだと思います。

そして、50歳代に入ってからの映画「96時間(Taken)」への主演を機に、自身のアクションスターとしての本領に目覚めたリーアム・ニーソンは、地味な庶民の願望を満たすと言う意味で、リアルなヒーローと呼ぶべき俳優でしょう。

そんなニーソンさんのファン待望、最新アクション映画が、ここでご紹介する「The Commuter」。今回は、日々繰り返してきた通勤の途中で突然、危険な謀略の中へと引きずり込まれる不運な男を、彼が演じているという事です。 【続きを読む】 “元NY市警ベテラン最悪の一日:映画「ザ・コミューター(原題)」の評価・あらすじ”

全米映画トップ3(2018.1.22)

いつか見たアレじゃないよ!

資本主義経済のエンジンは、消費者の欲が燃料となって駆動する事になっています。

消費者の新たな欲を刺激するためには、常に新しい商品が生み出される必要があり、エンタメでも他のサービスであっても、クリエーター達は、日夜その才能を絞り出し生産をし続けなければなりません。

そして、そういったアイディアが、世の中をちょっとずつ変えたり進歩させて行く訳ですが、どんなに斬新な思い付きであっても、かならず何時かは陳腐化するという運命も抱えています。

映画の中で言えば、あのわざとらしいワイヤーアクションとか、CGで描くスーパーヒーローの格闘場面などが、そうやって消費されて色あせたアイディアの1つでしょう。

そんな事を考えると、主演のロビン・ウィリアムズを大量のCGアニマルの中に放り込んで斬新な話題を振りまいた、1995年の映画「ジュマンジ」を、21世紀の現在にもう一つのCG満載映画としてリブートしたとしても、どの位の収益性が想定できたでしょうか。

とにかくまぁ、その想定は別としても、今週2,000万ドルの売り上げ額を記録し、米国内だけでも累積で3億1,700万ドルを稼ぎあげた、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(Jumanji: Welcome to the Jungle)」が、1つのサプライズである事は変わりないと思います。

そんな今回のジュマンジでは、4人のお気楽な若者達が、謎のビデオゲーム世界へと引きずり込まれるアドベンチャーとなっているそうです。

公開後5週目に入っても好調なこの映画、日本上陸は4月に予定されています。

悪のテロリスト集団に切り込む戦場のヒーロー達

映画関係では、陳腐化し、さすがに最近では見かけなくなった別のモノとして、「愛するものを〇〇するために、〇〇は〇〇を〇〇した・・・」という日本国内向けの定型化したプロモーション文句です。

そして、仮に見飽きられていたとしても、未だにハリウッドのプロデューサー達の映画化意欲が衰えない題材の1つが、9.11後にテロリスト集団討伐のための激しい戦闘に身を投じた、アメリカ軍のヒーロー達でしょう。

おそらく、それら2つの要素が引っかかってきそうなのが、今週初登場にして売上額は1,650万ドルを上げてランキング2位に飛び込んだ、実話ベースの戦争アクション「12 Strong」という事になりそう。

予告編映像を見る限りでは、「いつかどこかで見た事あるよなぁ」と感じざるをえないのがこの映画ですが、実物の作品はどのような構成なのでしょうかね・・・

主演は、あのクリス・ヘムズワースです。

LA大犯罪地帯

そして、ロサンゼルスの街で起きる重大犯罪と、それに立ち向かう市警の精鋭部隊という構成も、使い古されたと言うだけでは足らない位に良く見かける映画のプロットです。

たとえ、本質が商売の材料だとしても、ここまで愛されていれば1つの文化へと昇華しているかもしれないのが、まさにハリウッドというべき、このタイプのクライムアクションです。

今回、その文化にさらなる深みを与えるべく登場するのが、世界で最も頼りがいのある俳優の1人、ジェラルド・バトラー。今週初登場であるこの映画は、1,530万ドルの売上額を記録して、みごとにランキングの3位に滑り込みました。

とりあえずは、このタイプの映画のファンの人なら、確実に喜んでもらえそうなのが、この一作なのでしょう。

寒い季節でも娯楽映画の流れは止まらない

なんでも、アメリカの東海岸には、相当ヤバいクラスの寒波が入っているとか、いないとか。

道路も凍り付いて使えなくなってしまうと、客の出が悪くなってしまい、映画業界としては打撃も大きいと思います。

ただ、天候も含めていろいろ寒いこの時期に、熱い娯楽を提供する映画がランキングで並んでいるのは、なかなか有難い事だと言うべきでしょう。少なくとも安定感だけは有る、こういったトラディショナルなハリウッド映画も、やっぱり悪くないもんです。

それではまたっ!

過去に潜む悪霊の闇:映画「インシディアス: ザ・ラスト・キー(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Insidious: The Last Key
    • インシディアス: ザ・ラスト・キー
  • 制作:
    • 2018年 Blumhouse Productions / Entertainment One / LStar Capital / Stage 6 Films

心霊の正体は薄暗い煉獄の中に

おそらく、ほとんどの憑依現象は精神疾患の症状だろうと思いますし、かなりな割合のポルターガイスト現象は、高校で教わる物理の知識で解明できるのだと思います。

だとしても、人間の理論では説明の出来ない超常現象は、世界中でちらりほらりと起きているのです。

そんな風に出ちゃうスポットの多くが、墓場や火葬場ではなく人が実際に住んでいる家の中だ、というのも、心霊現象が持つ興味深い傾向の1つ。ですが、この件については、YouTubeの存在がある程度の説明になるかもしれません。

何にしても、人間は本来、自分を守るために建物の中で生活します。守られるべきその環境の中に、目には見えないけれど不穏な何かが潜んでいる予感がしたら、心理的にも相当恐ろしい話です。

家の中だからこそ怖い、そんな深層心理の不安感を上手く使ったオカルトホラー映画は、歴史に名を残す一本に成り得ます。

さて、今やハリウッドでもコワい監督として鳴らしている、あのジェームズ・ワンが生み出し、あれよあれよと言うまにパート3まで作られていた、「インシディアス」の世界に、新たに加わった戦慄の新章こそが、ここでご紹介する「Insidious: The Last Key」です。

今回も、屋敷に巣くう悪霊と対決し、その住人を救済しようと立ち上がるのは、最恐の霊能者エリーズ・ライナー。

ところが、今回、彼女が向かう心霊スポットは、今までのものより、ちょっと毛色が違う現場のようなのです・・・ 【続きを読む】 “過去に潜む悪霊の闇:映画「インシディアス: ザ・ラスト・キー(原題)」の評価・あらすじ”

全米映画トップ3(2018.1.15)

バーチャルジャングルの謎を解け

一作年だかなんだかが、VR(仮想現実)元年とか言われていた記憶があります。

その機会に、仮想現実のデバイスとかコンテンツとかが一気に普及するのかと思いきや、いまだに、僕の身近にVRなんて1ミリも届いていません。そうこうするうちに、2017年は仮想通貨元年と言う、もう一つの良く分からないものが始まって、こっちの方は、まぁまぁ盛り上がっているみたいです。

ともあれ、あの無骨なVRゴーグルを装着して、よたよた動き回る姿は、スタイリッシュな今時の若者に受け入れられる訳もありません。

逆に、VRゲームと言う観点からは、ゴーグルよりずっと進歩した参加方法を(バーチャルに)提案しているのが、映画「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(Jumanji: Welcome to the Jungle)」です。

こちらの方は好調で、公開4週目に入た週末においても、2,700万ドルの売り上げを記録してランキングのトップに輝きました。

この中では、秘密のビデオゲームにエントリーしたプレイヤーが、ゲーム内部の世界へ取り込まれてアドベンチャーをサバイバルするのだそうですよ。

こんな魔法の技術も、意外とアメリカとか中国のベンチャー企業が開発しているかもしれません。それが出てくるまで、VR元年の三が日は明けなさそう・・・

リアルな真実と戦うジャーナリスト

まぁ、僕らがバーチャルの陶酔感に浸っている間も、現実の世界では色々な物事が進行している事を忘れてはいけません。

そして、ジャングルで戦う様なファンタジーより、リアルに存在するジャーナリストと政府の戦いの方が、ひょっとしたらもっと刺激的かも。

今週、1,860万ドルの売り上げを記録して、ランキング2位に飛び込んだのが、国防総省が隠し続けてきた、ベトナム戦争がらみの機密文書を公の目に晒そうと奮闘する、2人のジャーナリストを追うドラマ、「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(The Post)」です。

ここで、その機密を追い求めるのは、リアルな実話の重々しさを体現できる2人の俳優、メリル・ストリープ&トム・ハンクス。監督は、誰あろう、あのスティーヴン・スピルバーグ。という事で、各種の暴露が大流行している今のご時世にも、充分存在感を発揮する一本だと言えましょう。

日常からはじき出されるドラマの疑似体験

別に、ペンタゴンやCIAから発注を受けていなくても、ハリウッド映画は体の良いプロパガンダであることは、殆どの人が認知している事実です。

そして、そのビジネスを円滑に進めるため、脚本のテンプレートというものが存在するのです。

たとえば、さして特徴もない平凡な生活を送る男性が、ある時、予想もしなかった事件に巻き込まれ、アクションヒーローの様になって大きな陰謀を阻止するというのも、米国映画としては便利なプロットの1つでしょう。

あとは、その主役にどの俳優を当てはめるか、によって、映画としての品位が決定するだけ。という事で、今回、その役割を担って立ち上がった役者が、あのリーアム・ニーソンでした。

出来上がった映画「The Commuter」は、初登場の週末に1,350万ドルの売り上げ額を記録しランキング3位に飛び込みました。

今回、ニーソンが演じるのは、元NY市警で現保険会社の営業という、この手のアクション娯楽にはうってつけの男性。彼は、10年間毎日乗り続けた通勤列車の中で、ミステリアスな女性から常識外の依頼を受けるという事です。

僕ら小市民の代理として、日常生活から突如放り出された彼を待ち受ける運命とは?

いろんな物が全部バーチャル

映画自体が、原始的な仮想現実と呼べるものです。

そして、ゾンビ退治や、360度回転のローラーコースターを、視覚情報からだけ仮想体験させるおもちゃより、見る人の感情に訴える演出がなされた映画は、今の所、品質感の上で分があると言えそうです。

ただ、これからVRにもキラーコンテンツが生まれれば、一機にエンタメ業界の勢力図を書き換える事になるかもしれません。

しかしながら、僕らの生活すべてが、どこかのスパコンの中で動いているシミュレーションだ、なんて説を唱える人もいるようですから、何と言うか、体験生活という言葉の意味も、あやふやな世界に溶け込んでしまいそうなのが、21世紀の今の時代だと言えそうです。

ひょっとして、あなたが読んでいるこのページも、あなたのイマジネーションが生んだ疑似的な存在かも知れませんね。

だとしても、他の記事にも目を通してみてくださいね。

それではまたっ!

ポーカーゲームより熱いある女性の人生:映画「モリーズ・ゲーム(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Molly’s Game
    • モリーズ・ゲーム
  • 制作:
    • 2018年 STX Entertainment / Huayi Brothers Pictures / The Mark Gordon Company…他

人生はゲーム

人生は、複雑な人間社会を舞台にして繰り広げられる、壮大なゲームです。

そのゲームのゴールをどこに設定するかは、参加者の趣向によってかなりな自由度が与えられていて、たとえば、FX投資で資産を数億円まで膨らます事がゴールである人もいれば、オリンピックで金メダルを取る事が人生のゴールである人もいます。

また、このゲームで勝つには、自分自身の特性や性格が、どのプレイ内容に適しているかを早く見極める事も大切です。夢は必ずかなうと言いますが、人生の時間が限られているのも事実ですから、生きている内にゴールできなかったら意味がありません。

どちらにしても、これがゲームである以上、そのつもりで取り組まない限りは、自分の人生を上手く生きてゆく事は不可能ですし、そう考えると、元からゲームをプレイして勝利するセンスや才能のある人は、人生の舞台でも成功しやすいという事になります。

たとえば、一度は、スキー選手としてオリンピック(Olympic Games)代表候補にまで上り詰め、その後、賭博ビジネスも成功させたモリー・ブルームという美しい女性なども、ある意味、人生ゲームの勝利者と呼べるのかもしれませんね。

まぁ、彼女の場合は、ゲームのルールは完璧にこなしましたが、実社会のルールをちょっと読み間違えたようで、最終的には捜査当局のお世話になってしまいました。

とにかく、実在するその女性をジェシカ・チャステインが演じ、まるで彼女のスキー競技のように高速で刺激的なセリフを観客にたたきつけるというのが、今回ご紹介する映画「モリーズ・ゲーム(Molly’s Game)」です。 【続きを読む】 “ポーカーゲームより熱いある女性の人生:映画「モリーズ・ゲーム(原題)」の評価・あらすじ”

全米映画トップ3(2018.1.8)

納戸の奥へしまい込んだゲームを蘇らせよう

これは、しかるべき家系に限った話だと思いますが、そんな家の納戸の一番奥に、長い期間放置されていたゴミを、しかるべき目利き人を招いて、しかるべき鑑定をしてもらう事により、なんと、しかるべき額の金銭と交換が可能になるらしいです。

そして、ハリウッドの映画会社などは、まさにこのしかるべきお家柄の人々そのもの。彼らの抱える巨大な倉庫の奥には、大昔に上映された作品の道具だけでなく、その脚本も大事に保管されていて、再び現金化される時が訪れるのを静かに待っています。

これまで映画化されてきた、SF系アドベンチャーの数々の要素を組み合わせ、そこへ、かなり昔のオリジナル作から使っている基本設定と、どこかの物置に打ち捨てられていたゴミ同然の古いビデオゲームなどを導入し、あらたな娯楽製品として映画化されたのが、この週末に、3,600万ドルという売り上げを記録して堂々のランキング一位を獲得した、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(Jumanji: Welcome to the Jungle)」です。

今回の作品では、(これもハリウッド映画としては、お約束の人間像である)4人のお気楽で無軌道な学生が、掃除を命じられた学校の物置部屋で、プレーヤーを異次元のジャングルへ送り込むパワーを持つ謎のビデオゲームと遭遇。アドベンチャーがスタートします。

ていうか、、何ビットですか?、このビデオゲーム・・・

その恐ろしい企みは、見えない場所で進行していた・・・

ハリウッドの娯楽作では、観客には見えない様に(一応)隠された謎の要素が、物語を転がす原動力になっている事が多いです。

時には、映画の存在自体をとして扱って、公開前のバイラル効果を狙うというプロモーション手法も見られますよね。

とは言え、この神々しい2018年が訪れた瞬間に、これ程までに陰惨で恐ろしい物語を世に放つ計画が、狡猾にも秘密裡に進行していたとは、本当に驚きです。

その映画、「Insidious: The Last Key」は、今やホラー界のカリスマとなったジェームズ・ワンが生み出したオカルト絶叫ホラー。初登場である週末では、2,930万ドルの売り上げを記録して、ランキングの2位に滑り込みました。

ホリデー向けのファミリーコメディに飽きが来た観客層が、身の毛がよだつ恐怖映画に必ず足を運ぶはず、という、製作元のブラムハウスプロダクション(他)が考えたインシディアスな読みは、ここで見事に的中です。

今回のストーリーは、あの霊能者エリーズ・ライナー(リン・シェイ)の実家にまつわる祟りの謎を、追求してゆくというものだそうですよ。

全世界が震撼中

その映画はこれまで、逆襲したり帰還したりファントムがメナスしたり、あるいは覚醒したりしてきましたが、ついに、最後、というワードが登場したので、本当のクライマックスも近いのかもしれません。

という訳で、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」は、2,360万ドルの売り上げ額を記録して、ランキングの3位を堅持です。公開後4週目に入ったにも関わらず人気ぶりは健在といった所。

次のエピソードが出来ると、ルーカス御大が当初計画していたと言われる9作品(スカイウォーカーのサーガ)が終了しますが、まだ、親会社のWDCとしては、このビジネススキームを手じまう事など考えてもいないようです。

2018年1月の第1週末時点において、全世界興行収益は12億ドルに到達したというのが、この作品。

企画会議にもシャンパンを

そろそろ、ハリウッド界隈では賞レースのためのパーティー合戦が始まるでしょうから、レバレッジを効かせた大型作品は登場しにくくなってくるでしょう。

まぁ、そんな季節こそ、インディー寄りの奇作・良作が多めに上映される事になる訳で、その意味では面白い時期だとも言えます。

ちなみに、直近で公開が予定されている作品としては、リーアム・ニーソン主演のスリラー「The Commuter」、クリス・ヘムズワース主演の9.11関係のドラマ「12 Strong」、そして、ジェラルド・バトラー主演の犯罪アクションスリラー「Den of Thieves」などなどもあります。

それではまたっ!

マット・デイモン主演の風刺SFドラマ:映画「ダウンサイズ」の評価とあらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Downsizing
    • ダウンサイズ
  • 制作:
    • 2017年 Paramount Pictures / Ad Hominem Enterprises / Annapurna Pictures

大きけりゃ何でも正解…ではない

おそらく1950年代以前から、巨大予算を投じた超大作映画は、それだけで観客達の目を引く事が可能で、従ってヒット作にもなりやすいものであったはずです。

大きな風呂敷は人目を引くし、その上に有名な俳優や監督、そして分かりやすいアドベンチャラスな脚本を並べたら、その前に立ち止まらない人はいないはず。

しかし、時を経て、21世紀になった昨今では、観客の目を満足させるに足りる映像効果も、家庭用のPCでディジタル画像処理を行えば作れてしまう様になっています。良い映画であるために必要なのは規模ではなくて製作者のアイディアだ、という時代になった訳で、これは、才能やセンスの有る人々にとって、とても良い事だと言えましょう。

ただ、原始の時代から、サイズコンプレックスの中で生きてきたのが人間という動物ですので、その価値観を大きさから意味・密度などへシフトする既得権からの強烈な抵抗が有るのも事実。ですが、物のサイズを小型化して行くのは、やはり時代の要請でもあるのです。

物理的に言っても、大きなサイズの中身は薄くなりやすいですし、小さいモノの中は濃密にしやすいもの。そして、1人の人間を満たして豊かにする事を考えた時でも、これは同じです。

さて、新しい資源を採掘する事より、人類その物が小さくなれば、相対的に豊かになれるという、ある種の逆転の発想を基に書かれた物語が、ここで紹介する映画「ダウンサイズ(Downsizing)」なのだそうです。

これは、奇抜さの中に社会風刺を込めた、SF系のコメディドラマという事なのですが、どんなお話なのでしょうか? 【続きを読む】 “マット・デイモン主演の風刺SFドラマ:映画「ダウンサイズ」の評価とあらすじ”

全米映画トップ3(2017.12.26)

帝国の台頭

2017年12月22日から25日にかけてのアメリカ合衆国では、一体、何人のエックスウィング新人パイロットが誕生し、何人のパダワンがライトセーバーを新調した事でしょうか、その数は想像を絶する規模に到達したはずです。

しかも今や彼らは、あの帝国、「WDエンパイア」の意思を遂行するために活動しているという事を思うと、畏怖の念さえ感じてしまいます。

「けして、、、けして皇帝の力をあなどるでないぞ、、、」、というジェダイマスターの言葉を、あらためて思い出しているという映画ファンも少なくないはずです。

あらたなる帝国の世界支配を担うというその映画、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の攻勢は弱まる事もしらず、公開後2週目である今回の週末も、1億70万ドルという売上額を記録して、当然の事ながら、興行成績ランキングのトップを堅持しました。

世界の歴史は、彼らの手によって確実に塗り替えられてゆきます・・・

また、あのジャングルへ行こう!

さて、どの様な勢力が世界を支配していたとしても、必ず、それに立ち向かうレジスタンスが存在します。

この事は、かの「WDエンパイア」自身もよく承知している話。

今週、巨大な帝国によって映画興行収益の全てが吸い上げられる事を阻止すべく、立ち上がった急先鋒は、ドウェイン・ジョンソン、カレン・ギラン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、ジャック・ブラックら共演の、ファンタジックなアドベンチャー、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」。

その売り上げ額は、5,220万ドルと、まぁまぁなレベルの数字を記録しました。

伝説の異次元ゲームアドベンチャーを、VR時代のイマジネーションでリブートしたのが、この「ジャングル」。お仕置きのために学校の物置部屋を掃除させられていた4人のティーンが、偶然発見した奇妙なビデオゲームの世界に取り込まれてしまいます。

果たして彼らは、文字通り生き残る事ができるのでしょうか・・・

歌で世界が1つになる!?

完璧なハーモニーは、人の心を根底から揺さぶるパワーを持っています。

とは言えまぁ、音楽と歌によって、世界が1つになる事もあれば、さらに分断される事もあるでしょう。

世界No1のコーラスグループである、「ベラズ」にとって歌は、争いとは言わないまでも競い合うための道具である、と運命つけられているものの様です。

その事がはっきりするのが、映画市場が厳しい状態にあったはずの、この週末に、初登場にして2,560万ドルの売り上げを獲得した映画「Pitch Perfect 3」。

前作までで、世界タイトルを獲得した後、別々の道を歩むかに見えたベラズのメンバー達が、もう一度だけ大舞台で観客を魅了しようと立ち上がります。

年末年始にはぴったりな感じのストーリーが、この作品のようですね。

変化

振り返ってみると、2017年も色々な変化が進行した年だったと思います。

大して強くないのに、室内犬みたいにキャンキャン吠えまくる事で、周囲を威嚇し関心を引こうとする国も有りましたし、かと思えば、しなくて良い変更ばかりぶち上げてヒンシュクを買った政治的リーダーも居ました。

一方、インターネットの上だけに記録されているコインに、信じられないくらいの多くの人がお金を投じたりもしましたし、ハリウッドでは、超期待のブロックバスターシーズン(8月)が総ズッコケしたという事も、何かしらの変化の表れでしょう。

まぁ、世界は不安定化に向かっているとは言いますが、2018年は、もうちょっと賢い年になってくれないかなぁ、と念じております。

それでは皆様、よいお年をっ!

ハリウッド重鎮の愉快な激突!?:映画「ジャスト・ゲッティング・スターテッド(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Just Getting Started
    • ジャスト・ゲッティング・スターテッド(原題)
  • 制作:
    • 2017年 Broad Green Pictures / Endurance Media / Entertainment One…他

ベテランが活躍するフィールド

飲み会の席になると、焼酎のお湯割りが2杯くらい入った上司が、「俺も昔はワルだった」という武勇伝を繰り返し語るので困る、と思っている人も結構いらっしゃるでしょう。

ベテランの人々の口から出るそういった話の殆どが、ただの盛り過ぎた空想だと言う点は横に置いたとしても、そのプロットが何時もありきたりで、ウィットもミステリーも含んでいないのは、本当に困ったものです。

ですが、年齢が上の人が持つ強みというのは、過去という時間をリアルに体験したという事にあるのでしょうね。

若い層の人間が生きている、「今という未来」では思いもよらない事を、古い時代の人間達は当たり前のように行っていた・・・、その事実は、1つの物語にさえ成り得るものです。

そして、ロン・シェルトンのような映画製作者であれば、クリスマスを迎えた定年退職者のための高級リゾートで、そこで暮らすベテラン達の過去がちょっとした事件を引き起こす、という話を面白く書き上げてくれると期待も出来ます。

加えて、21世紀初頭のハリウッド映画界でも、その名前が特別な重みを持つ2人のベテラン俳優を起用して、そのプロットを映画化したら、それは格別な味わいを持つ作品となる事間違いなし、なはず。

かくして出来上がったのが、ここでご紹介する映画「Just Getting Started」というクライム・アクション・コメディという事らしいです。

あらすじ

カリフォルニアはパームスプリングスにある、居住型の高齢者施設「ヴィラ・カプリ」。

恵まれた気候とレクリエーションに恵まれた、この施設を取り仕切っている男性が、デューク・ダイバー(モーガン・フリーマン)。自身も入居者でありつつ、実質のマネージャー役も務めている彼には、施設の誰もが称賛を惜しみません。

デュークは、マーガライト(グレン・ヘドリー)、リリー(エリザベス・アシュリー)、そしてロベルタ(シェリル・リー・ラルフ)ら、同じく入居している女性達とも上手い関係を築いているようで、引退後の日々もますます充実、と言ったところ。

そんなある日、この施設に新しい仲間がやって来ます。彼の名前はレオ・マッケイ(トミー・リー・ジョーンズ)。到着早々、デューク専用に確保されている駐車スペースに堂々と車を止めたりして、なんだか、波乱の予感をまとっての登場です。

話を聞くと、どうも軍とか連邦捜査局とか、そんな方面のキャリアが有るらしいレオは、この施設内のヒエラルキーに縛られるつもりも無い様子で、ポーカーでの勝負をはじめとして、デュークと競い合う事にも躊躇しません。

なんだか面白くないヤツが来てしまった、と思ったその矢先、デュークに更なる問題が降りかかりました。施設の親会社が、運営状態を確認して改善するため、事業仕分け担当のキャリアウーマン、スージー(レネ・ルッソ)を送り込んできたのです。

なかなかな美貌の持主であるスージーには、まず、レオが関心を示しましたが、これまたデュークも、後れを取ってはならじとばかりにアピール合戦へ参入します。

しかし、いい歳した大人達の恋のから騒ぎ、が進行する中、もう一つの脅威がデュークに迫っているのを、一同はまだ知りません。

実は、デュークは、証人保護プログラムで守られている人物で、ギャング専門の弁護士だったという過去の持主なのです。そして、その時に裏切った連中は、未だに彼への復讐を諦めてはいません。

様々な人間関係のテンションと、過去の怨恨のるつぼと化した高齢者向けリゾート「ヴィラ・カプリ」。果たしてデュークは、その安定を守り切る事が出来るのでしょうか?

キャスト&スタッフ

  • 監督:
    • ロン・シェルトン
  • 脚本:
    • ロン・シェルトン
  • 制作:
    • ジョン・マス
    • アラン・シンプソン
    • ビル・ガーバー
    • スティーヴ・リチャーズ…他
  • 出演:
    • モーガン・フリーマン
    • トミー・リー・ジョーンズ
    • レネ・ルッソ
    • グレン・ヘドリー
    • エリザベス・アシュリー
    • ジョー・パントリアーノ
    • ジョニー・マティス…他

ベテラン俳優を起用して描くコメディ、その気になる評価とは?

完全に大人達が主役であるこの映画ですが、レーティング的には、上手い事PG13に収めている一作でもあります。

この辺りは、クリスマスシーズン公開のメジャー作には、ファミリー層を取り込める要素が必要だという、配給側の大人の事情も働いているのかもしれません。

逆に言うと、本来、存在したであろうスクリプトのページの多くが、ポストプロダクション段階で削り落とされ編集室の床に打ち捨てられただろう、との想像もしたくなります。

まぁ、どんな映画にもディレクターズカット版は有り得ますから、それがどんなものになるとしても、本作のリテール版リリース時はその編集が観れたりすると面白いですよね。

うまく行かなかった自己パロディ

とにかく、モーガン・フリーマンとトミー・リー・ジョーンズ、そしてレネ・ルッソ達が、それぞれの典型的な役どころを演じているというのが、この映画の1つの売りになっているのは確かな様です。

という訳で、上手くすれば本物の映画ファンや、この文化に詳しい批評家の人達の心の琴線を、愉快にかき鳴らす事もできるはずなのですが、本作には、

「2人の男が私を取り合うなんて初めての事じゃないわ。本作『Just Getting Started』にあるレネ・ルッソのセリフである。そしてこれが、この映画の中で最も笑える言葉なのかもしれず、同時に、(過去の映画と引っかける意味において)1つの隠喩的ジョークともなっている。この無理やりにロマンチックなおふざけ話である本作が、ロン・シェルトン監督の過去の作品を感傷的な形で再現している関係上、そういったユーモアでさえも自滅的に響いてしまう。本作のキャストには、笑いと個性を提供する申し分のない役者が揃っている訳で、これが酷い出来になる可能性はとても低いと思われるが、実際、色々と考えを回す気にもならない程にダメな仕上がりなのが本作である。彼らスター俳優達の魅力と仕事ぶりをもってしても、ここでのジョークは何時も不発に終わり、場面はきしみ音を発してつまづいたりするのみだ。この、無視されるか直ぐに居なくなるべき作品『Just Getting Started』は、ロン・シェルトンの映画を飛行機内で見た事のある誰かが、そのプロットを暗唱しなおしている様に、スローでだらだらと長い一作である。(The New York Times)」

、と、ネガティブな評価が書かれています。

長たらしく不自然

もともと、クリスマス前に公開されるアンサンブルキャスト作品は、ストーリー自体も定型的なロマンチックドラマにしか成り得ず、結局、そこに顔を揃えた個々の俳優のファン達に贈るプレゼント、という役割がメインなのだと覆います。

だから、このシーズンにリリースされる作品に、あまり厳しい見方をする事自体が無理があるのですが、この映画については別の所で、

「悪い出来の映画のいくつかは、苛立ちと憤怒を沸き立たす原因となり、あるいは、業界からの冷笑的かつ軽蔑的な批評を得るものだ。そして、本作『Just Getting Started』の様にかったるい駄作は、完璧に無益な何かのために、どれ程の時間と予算そして才能が浪費されたかを思い起こした時の、言い様も無い悲しい気分をも引き起こさせる一本である。やたらと長たらしく不器用で不自然、そして酷く退屈なだけの無益なこの作品は、この領域の中で最悪な何かを明らかにする映画だと言えよう。あえて良い点を上げれば、ここでの役者がかつて行った仕事について、今でも抱かれている尊敬の念が、感傷的な親近感を観客から引き出すという点であろうか。(Variety)」

、との評価が書かれています。

明確にならない方向性

日本と同様に、欧米社会も高齢化していますし、それは逆に、各業界の中に元気なベテランが増えている事も意味します。

演技者としてだけでなく、ハリウッド界隈のビジネスにも詳しいと思われる大物俳優は、おそらく、出演するどんな作品の世界にも溶け込んでくれるはずです。

したがって、この映画「Just Getting Started」においても、微妙で細いライン上で上手くバランスを取って、彼らの手で作品をまとめ上げてくれる事が望まれるのですが、批評家の目から見た時、

「オスカー受賞俳優、モーガン・フリーマンとトミー・リー・ジョーンズの初共演であれば、観客を歓喜させるに充分なそろい踏みであるはずだし、ロン・シェルトンの様に実績ある監督の手に寄るのなら、ますます期待感は大きいはずだ。だが残念な事に、本作『Just Getting Started』は、オスカーのノミネーションを受けた、あのロン・シェルトンの仕事とは呼べないものだ。これは、定年後の人が属するコミュニティ内の関係性か、あるいは、一番を子供の様に競い合う2人の成人男性を描くのか、はたまた、自分への復讐から逃げられない誰かを描く犯罪映画なのか、シェルトンはその目的が見えないまま脚本を書き上げてしまったのだ。この中の全てのセリフには、いかに実力ある役者達が語ったとしても、ニュアンスを与えられるだけの微妙さも場所も存在していないのである。(Los Angeles Times)」

、と言う様に捉えられてしまった様です。

だとしても、主演の2人のオジサマが発揮する、特別な愛嬌と言うかユーモアからは、悪くないオーラも出ていそうに感じるのですが、どうなのでしょうか?

貴重な経験だんになら、耳を傾けて・・・

昔とった杵づか、なんて表現もありますが、杵なんてもの自体が21世紀の今では見る事すらない遺物です(そういったのは、スマホとかでピポパすると完了するのでしょう、たぶん^^)。

しかし、そんなご時世になった今でも、依然として人間社会の根底を支えているのは情報ではなくノウハウです。だから、超便利な道具がなくとも色々なモノを作っていた、古い人達の話が持つ貴重さは、時代を超えて存在してゆくものなのです。

ハリウッド界隈で言えば、撮影後にコンピュータ処理で画像修正する事など考えられもしなかった時代に、演技やプロダクションデザインを勉強した人の知識は、未だに生きていると言えるでしょう。

そういう話は、可能な限り傾聴するべきです。

とは言え、「俺も昔は荒れたモンだぜ。」なんて繰り返すベテランさんとは、あんまり飲みに行きたくはないですけどね。

ではまたっ!

参照元
The New York Times
Variety
Los Angeles Times

全米映画トップ3(2017.12.18)

ファーストオーダーに逆らうな

ウチの様な3流サイトが、安易に「〇〇〇ユニバース」などの話題を取り上げると、何等かの祟りがあると言われています。

もちろん、遠い遠い昔、銀河の遥か彼方で起きた出来事、なども、それなりに資格を持つ人のみがタッチできる特別な案件です。

けして名前を口にしてはいけないという、その神聖なる物語シリーズ8本めは、初登場の週末に初登場し途端、2億2,000万ドル(米国内のみ)を売り上げて、多くのレジスタンスを興行成績レースから排除しました。

このままでは、映画的銀河がダークサイドの支配に落ちてしまいますっ、助けてオビ・ワン!、あなただけが頼りです・・・

気の良いブルの大冒険

今は、2017年のクリスマスシーズンですので、北米大陸でも最大の買い物シーズンと言う事になります。

なので、かのウォルト・ディズニー・カンパニーにしてみれば、巨大なM&A計画を発動するのに良いタイミングだったと言う事になるのでしょう。

今週、初登場の作品「Ferdinand」が、無骨な角と巨体を持った雄牛が活躍するハートフルな家族向けアニメーションであるのに、唯一、ダークサイドの支配に抗う事が出来たのも、上に書いたような大人の事情が関係した事は想像に難くありません。

その作品、今週の売り上げは、1,330万ドルを記録しました。

21世紀フォックスアニメーションが制作会社に加わっている本作は、見かけは猛々しいけれど本当はやさしく、町の人々とも仲良く暮らしていたはずのウシさんが、ほんのちょとした勘違いから危険な生き物として隔離されてしまう、というストーリーだそうです。

果たして、彼の運命やいかに・・・

映画的なまとめ

さて、この週末、全米映画興行成績の3位に入った映画は、ディズニー&ピクサーがこのクリスマスに放った、メランコリックかつビューティフルなアニメーション、「Coco」で、売上額は1,000万ドルを維持しました。

と、言う訳なのですが、ランキングの裏側をちょっと覗いて見れば、上位3作品全部に「Dマーク」が付いている(あるいは付く事になる)のが分かります。

それがこれから、どの様な結果を生むのかは今のところ明確ではありませんが、少なくとも、資本とメディアの支配権が一極化してゆく傾向にある事は確かです。

まぁ、良い面を見て見れば、幾つもの作品ラインの権利が一か所で全て管理されるようになり、をれは、WDCが複数の映画モンスターを自由に操れるという事も意味します。

だから、「エイリアンvsプレデターvsジェダイ」も、理論的に言えば夢でなくなった訳ですね、期待しましょう。

それではまたっ!

ジェームズ・フランコと最低の駄作:映画「ザ・ディザスター・アーティスト(原題)」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Disaster Artist
    • ザ・ディザスター・アーティスト
  • 制作:
    • 2017年 New Line Cinema / Good Universe / Point Grey Pictures…他

出来が悪いから愛される

議員とか芸能人の、ほんのちょっとの言い間違いやワードチョイスの悪さ、はたまた、声色の使い方までが、全社会的な炎上を巻き起こす最近の日本社会です。

そんな様子を見ていると、この世界に存在できるのは、一点の汚れもなく理論的に完璧なプロポーションを持ったものだけ、と誰かが主張しているようにも感じます。

でも、その反面、ルックスなどが若干以上にデフォルメしている動物とかキャラクターが、ブサかわ、キモかわ、と人気を集めたりするので、これまた、人の価値観の多様さを再認識させられる、興味深い事柄ともなっているのです。

まぁ、完璧に均整の取れたモノとかヒトだけで、自分の周囲を固めるのも悪くありませんが、それでは変化も無いし、選択の幅が狭くなってしまうのも事実でしょう。逆に、もの凄く不出来なモノの中を探索してみると、今まで接した事がなかった、面白くて愛すべき対象がみつかる可能性もあります。

映画でも、あまりに酷い出来の作品は、逆に、物見高い人達の関心を引くという事も有る様で、そんな作品の一つが、2003年に公開された低予算映画「The Room」でした。

「最低だから見てみたい」と言う、理屈では説明できない様なカルト的人気を今も誇るこの映画。実は、俳優ジェームズ・フランコのお気に入りでもある様で、そんな事情から、彼が監督・主演、そして制作にも関与して作りあげたのが、今回ご紹介する新作映画「The Disaster Artist」なのです。

原点となった(名)駄作へのリスペクトも充分盛り込んだという、この作品。一体、どんな作りなのでしょうか? 【続きを読む】 “ジェームズ・フランコと最低の駄作:映画「ザ・ディザスター・アーティスト(原題)」の評価・あらすじ”

全米映画トップ3(2017.12.11)

時代を変えるあの映画登場まで1週間

アメリカ合衆国の経済発展を支えているのは、新しいもの好きで消費をためらわない一般市民であるのは明らかですが、そんな彼らも、この週末ばかりは、ハリウッドがリリースした並のサイズの新作には目もくれなかったようです。

結果的に言うと、全米映画興行成績トップ3は、1週間前のものと変化なしという事になりました。

依然として一番人気なのは、ディズニー&ピクサーが今年のホリデーシーズン向けに放った、メランコリック&ロマンチックなアニメーション「リメンバー・ミー(Coco)」で、売上額は1,830万ドルを記録です(米国内累積売り上げは1億3,550万ドル)。

その次、2位に入ったのが、日本でも堅い人気を維持している「ジャスティス・リーグ(Justice League)」でしたが、こちらの売上額は960万ドルと、かなり控えめの数字となりました。(米国内累積売り上げは2億1,210万ドル)。

そして、3位を維持したのも先週と同じ作品、オーウェン・ウィルソン、ジュリア・ロバーツによるヒューマンドラマの「Wonder」で、売上額は850万ドル(米国内累積売り上げは1億30万ドル)でした。

普段なら順番を入れ替え立ち替えするハリウッド映画ですが、これほど、全体的に動きが見られないのも珍しいのではないでしょうか。

他に興味を引く作品てあるの?

まぁ、一般庶民がモノの値段の下落を期待しているフシが有り、合衆国経済も日本化してきていると言えなくもない昨今です。

消費者も、見るべき映画を厳選の上に厳選する傾向が強まっているのかもしれませんね(人が出費しなくなるのはデフレの兆しです)。

とは言うものの、動きがない、という話だけでは面白くもないので、ランキング中位以下の新作をちょっとだけご紹介しましょう。

まず、4位に入ったのは、ジェームズ・フランコが制作・監督・主演もこなして話題の、「The Disaster Artist」で、売上額は640万ドルを記録しました。

映画史上でも稀なほど凄く酷い出来上がりの映画、を題材にしたのがこの映画だという事です。どんな話なんでしょうね?

そして、これから賞レースにちょこちょこ顔を出しそうな一作、「Lady Bird」がランキング9位に入っていて、その売上額は350万ドルでした。

その次、10位に入ったのは、初登場の「Just Getting Started」で、320万ドルの売上額を記録。これは、モーガン・フリーマン、レネ・ルッソ、トミー・リー・ジョーンズら、ベテラン俳優が集まって作られたアクションコメディです。

それでも、凪、は続かぬものぢゃ、ルークよ…

今年の夏から、ハリウッド映画業界の売り上げが振るわない感じになっているのは、明らかに、ディジタル配信の普及が影響しての事でしょう。

この新しいメディアを利用すれば、配給側としてもコスト削減につながるでしょうし、だから、B級の娯楽ホラーなどは、これからは、ネットで先に配信するという形態が増えて行きそうに思います。

そして、劇場で人を集める事が可能な映画は、相当な予算を投じて、かつ、かなりなロイヤリティも要求できるくらいに影響力のある、超大型作品に偏ってゆくかも知れません。

風向きが変わりつつある2017年の最終局面、誰もが待っている、そのドデカイ一発は、もう手の届く所まで近づいています。

映画史がひっくり返る瞬間を見逃さないように気を付けましょう。

May the force be with you!

デル・トロとUMAとロマンス:映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の評価・あらすじ

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Shape of Water
    • シェイプ・オブ・ウォーター
  • 制作:
    • 2017年 Bull Productions / Double Dare You / Fox Searchlight Pictures

高等生物ならばこそ

話によると、1950年代の中ば、第34代合衆国大統領であったドワイト・D・アイゼンハワーは、外宇宙から飛来したエイリアンとの会見を実現し、アメリカと彼らの間に一つの協定を成立させたと言います。

その協定では、合衆国政府がエイリアンに対して、北米大陸での人間を対象にした生体実験を許す見返りとして、彼らの超技術を独占的に供与される約束を得た、というのです。

しかしながら、100光年も遠くからワームホールを通過してやってきた、超絶科学の持主である彼らが、いかにその時代の地上の大国であったとは言え、50年代のアメリカなぞとわざわざ協定を結ぶ必要が有ったのか、そこは疑わしい所です。

まぁ、夢は有るけれど真偽のほどは分からない、そんな陰謀オカルト説の一つがこのストーリーと言えるでしょう。

仮に彼らが実在したとして、エイリアン連中から見れば、人間なんて地上に上がったウーパールーパーとさして変わりませんから、もし彼らが地球に来ていると言うのであれば、どちらにしても生体実験が行われているのは確実な気はします。

同時に、エイリアンアブダクション問題が、所詮、都市伝説の1つに過ぎないと言うのであれば、自分より下等だとみくびった相手には凄く酷い仕打ちでも平気で行うという人間の本質的な残虐さを、深いところで皮肉った話なのかもしれません。

さて、冷血な残酷さ、そして、献身的な優しさ、その両方を同時に備えるのが人間性というもの。そんな説明のつかない矛盾をはらんでいるからこそ、映画の基本的なモチーフとして面白い訳です。

今回ご紹介する映画「シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)」は、そう言った2つの性質の真ん中に、一体の異生物を置いて描かれた、ファンタジックでロマンチックかつスリリングなドラマのようです。

監督を務めたのは、誰あろう、あのギレルモ・デル・トロです。 【続きを読む】 “デル・トロとUMAとロマンス:映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の評価・あらすじ”

マギー・Qが光をあててしまった眠りの恐怖:映画「スランバー(原題)」の評価

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • Slumber
  • 制作:
    • 2017年 Tea Shop & Film Company / Goldcrest Films International

毎夜、アナタとあちらの世界をツナげる扉が開く

人間の脳というのは、その全容積の10%しか活動していない、という俗説が有ります(いや、有りました。)

それは、休止状態にあると思われる脳細胞を全て活動させる事ができたら、自分も、とてつもなく凄い知性や認知能力が発揮できるハズ・・・、という妄想を刺激する説でもありますね。

まぁ、都市伝説というのは、合理的な根拠が薄いのが良いところなので、込み入った領域の話はここではパスします。

とはいえ、僕らの意識では把握しきれない深い部分で、脳みそが何等かの未知なる機能を果たしている事は確かです。そして、様々な超常現象の究明が、そういった部分に答えを求めているのも事実で、脳の奥底に隠された不思議な霊能力が、人間の意識が半ば眠っている状態の時に発揮されやすいという考え方もあるようです。

だから、ベッドでうとうとした時の枕元に立った御先祖様が残した、庭の南の角を掘れ、なんてお告げ通りにそこを掘り起こしたら、古い小判が一つ出てきた、、、なんてエピソードにも、少しばかりの信憑性が感じられてきます。

さて、同じ睡眠時に見るヴィジョンでも、小銭稼ぎになるものばかりではありません。と言うか、逆に、とても恐ろしいモノばかり見ると言う人も多いはずですよね。また、映像や声のイメージだけでなく、金縛りにあうケースも考えられます。

そして実は、その現象の正体は、とてもとても、とっても恐ろしいものなのだ、、、と言うのが、今回ご紹介するホラー映画「Slumber」の基本プロットです。

あなたが、暗闇の中で意識という防御壁を停止させ無防備になる瞬間。かたわらの暗がりの中で襲いかかるチャンスを伺う存在とは、一体、何者なのでしょうか?・・・ 【続きを読む】 “マギー・Qが光をあててしまった眠りの恐怖:映画「スランバー(原題)」の評価”

全米映画トップ3(2017.12.4)

Remenber me? We’ll never forget you Miguel.

日本でも、ブラックフライデー(ついつい、ブラックマンデーと混同してしまいますね、意味が違い過ぎます)に紐つけした商法を繰り出して、東京界隈の小売業者さんが消費者の財布を独占しようと激しく競い合った、そんな2017年11月終盤だったようです。

まぁ、もともと、感謝祭を祝う習慣があまりない日本人にとって、11月の第4金曜日などというものは、ただのかったるい週末でしかなかった訳で、それ故、ビジネスマンの人達にとっては未だ未開拓の領域でもあります。

消費を生み出すには何かの理由付けが必要だという事で、この黒い金曜日も客にがま口を開かせるアイテムとして、これから定着して行くのかもしれませんね。

ハリウッド映画業界の周りでも、もちろんこの11月最後の週末は巨大なビジネスチャンス。そして、このようなホリデーチックな時期のキャッシュフローを、夢と魔法のパワーでがっちりと掴んでしまうのが、ウォルト・ディズニー・カンパニーです。

その、WDC年末祭りの起爆剤として投入されたのが、あのピクサーとの共同制作によるロマンチックで切くも、ユーモアと音楽に彩られたマジカルな一本、「リメンバー・ミー(Coco)」でした。

今週は、その映画の公開後2度目の週末だった訳ですが、依然としてその魔法は有効のようで、米国内のみの売り上げでは2,610万ドルを維持、ランキングの1位を堅持しました。

ディズニーさんには、今年の年末向けに、世界中を席巻するだけのウェポンがまだ残っていますので、これから映画界がどうなってしまうのか、胸がざわつきます・・・ 【続きを読む】 “全米映画トップ3(2017.12.4)”

映画「リメンバー・ミー(Coco)」の気になる評価とは?

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • リメンバー・ミー/Coco(原題)
  • 制作:
    • 2017年 Pixar Animation Studios /Walt Disney Pictures

ピクサーが贈る、記憶に永遠に残る異文化体験

誰にとってもエキゾチックで魅力的に見える、外国の文化や風習。

いろいろな祭事に使われる道具などの色彩や造形が、自分の国のセンスからはかけ離れていたりして、いつでも新鮮な驚きやインスピレーションを与えてくれるでしょう。

特に、その習わしが土地の死生観に根差すイベントだったりすると、詳しい事情は知らない人であっても、何か奥深い文化や歴史を感じ取るものですし、同時にとてもロマンチックな気分にもなるかもしれません。

さて、昔から方々で自己中と揶揄され、最近は内向きスパイラルに陥りそうなアメリカは、同時に、多文化の共栄を是認する自由主義世界のリーダーでもあります。

そんな国では、子供を相手にする娯楽産業にも、常に多様性が盛り込まれるように配慮されなければなりません。そして、そんなビジネスの中でもとりわけ成功を収めているのは、かの、ウォルト・ディズニー・カンパニーある事に、疑問の余地は有りません。

さらに言うと、そんなWDCの中でも、老若男女にアピールする多様なファンタジーを展開して、世界でも認められているのが、ピクサー・アニメーション・スタジオでしょう。

今回ご紹介する映画、「リメンバー・ミー(Coco)」は、メキシコの文化を通して人間の生と死を映し出すという、それでいて、とてもロマンチック&カラフルな一作となっているそうです。

この映画も、秀逸な邦題が決定しているだけでなく、日本における公式ウェブページも既に用意されているくらいなので、細密な情報や深淵な解析は、他の上位のエリートサイトにお任せした方が賢明です。

ここでは、米国内での公開直後、英語メディアに書かれた本当の評価を、いくつかピックアップしてお伝えする事にします。 【続きを読む】 “映画「リメンバー・ミー(Coco)」の気になる評価とは?”

名作小説の誕生秘話、映画「The Man Who Invented Christmas」の評価

予告編と作品基本情報

  • タイトル:
    • The Man Who Invented Christmas
  • 制作:
    • 2017年 Mazur / Kaplan Company …他

今や数十億人に愛される、1人の作家のクリスマス寓話

あらためて思うと、聖書の中に「12月25日は主の生誕された日であるので、世界中の信徒はこれを心して祝せよ」とか、「主の生誕日は、電球の色と数で競い合い盛大に祝意を表せよ」、なんて一言も書かれていない訳です。

それでも、この季節が醸し出すウキウキするようなムードには、僕ら日本人は完全にやられてしまっていて、一年の中でも最も消費が活発になる次期を演出する、重要なアイテムにもなっています。

そして依然として、あの赤と緑と白の色彩に、キラキラの電飾、あきらかにそれと分かるメロディーラインの数々は、聖書の時代のずっと後に生きたどこかの誰かが考え付いた、一つの様式であるに違いないのです。

どの様なトラディションも、人類発生の瞬間から存在した訳じゃないですからね・・・

まぁ、イデオロギーの問題はともかくとして、他者への思いやりとか、いたわり、そして施しの精神という、クリスマスを定義づけるメインテーマでさえ、それを明確にしたのは、結局のところ1人の人物らしいのです。

その人こそ、英国ビクトリア朝時代に活躍した著名な小説家である、チャールズ・ディケンズであり、現代に通じるクリスマスの基本イメージを固める事になったのが、彼の代表的一作「クリスマス・キャロル」なのだ、というのが、今回ご紹介する映画「The Man Who Invented Christmas」のコンセプトです。

19世紀という、ともすると堅苦しい時代を舞台にしながらも、ディケンズがこのおとぎ話を生み出すまでの過程は、ファンタジックかつユーモラス、そしてポップに描かれているというのが、この作品の特徴らしいです。 【続きを読む】 “名作小説の誕生秘話、映画「The Man Who Invented Christmas」の評価”

全米映画トップ3(2017.11.27)

キラキラシーズンの超主役が登場

アメリカ娯楽産業の最大手であるウォルト・ディズニー・グループは、21世紀に入っても成長の速度を速め続けており、いずれは、地球上すべての地域の人々が、等しく、ネズミさんやダックさんのパレードを楽しめる世界を目指し、夢と魔法のキングダムによる支配を強めて行くでしょう。

もちろん、彼らのテーマパークにおいても、11月からの2か月間は年間でも最大級の収益を見込める季節ですが、このDWビジネスモデルの強みは、その時期を自身で作り上げた映像芸術で彩り、ムードを盛り上げて、さらなる収益性を確実にするという点にあります。

その映像作品、ディズニー&ピクサーが今年のクリスマスに向け公開した、「リメンバー・ミー(Coco )」は、夢と音楽とイマジネーション、エキゾチックでロマンチックな異文化の描写、そして映像表現の極みのような魅惑的色彩により、同社の年末ビジネスをブーストアップする事必至、な一本のようです。

かくして、初登場の週末3日間、米国内で4,900万ドル(別曜日を含めた累積は7,120万ドル)という売り上げ金額を記録し、堂々のランキングトップに躍り出たのが、このアニメーション映画です。

メキシコにおいて、11月の冒頭に盛大に行われる「死者の日」の祝日を、その文化に対する最大限の敬意を払いつつ、見ている者の脳波すらも同調させてしまうような映像美で飾った、魅惑のファンタジーとなったのがこの一本らしです。

2位にはヒーロー連合軍で大台突破

21世紀に入り、アクション映画の新たな成長モデルとして期待されるのが、カリスマキャラクター達を集合させるストーリーです。

そしてこの分野も、より多くの人気キャラクターを抱えた大手プロダクションが、ほぼ独占的にビジネスを展開する事になります。

2人の一流映画監督が関わり、1人の男優の口髭をどうしようか、という問題まで取りざたされる程にタイトなスケジュールでの撮影し直しまで行われたという、まさに微に入り細に入った作り込みが行われたのが、今週のランキング2位を堅持したヒーローアクション、「ジャスティス・リーグ(Justice League)」

今週の売上額は、依然として4,070万ドルというレベルをキープしています。

ホリデーにふさわしいスピリチュアルなドラマ

ハリウッドの映画スタジオが、どのように作品のリリース日を決定するのか分かりませんが、1年を締めくくる2か月間という、新商品や作品が集中する時期でも、うまく潰しあわないように映画の作風を組み合わせているのは、さすがと言うべきでしょう。

そして、世界中の映画製作者が、VFXを駆使した作品を発表したかに思えるこの1年でも、観客のハートに残るヒューマンドラマが、その最後を飾るのは良い傾向です。

ハリウッドのマーケティング担当者は、その辺りの観客の嗜好を呼んで、うまく分別をする達人と呼ぶべきかもしれませんね。

そんなこんなで、今週、2,230万ドルという意外に大きな売上額で、ランキングの3位に入ったのが、「Wonder 」というドラマでした。

周囲の子供らとは、あきらかに違う外見上の特徴をもった小学生の男子が、その純粋なスピリットによって、無神経な偏見を自分への理解に変えてゆくというような、そんなお話らしいです。

残すところ、週末も5回です

なんだか、この秋に入ってから、ほうぼうの業界でハラスメントとか暴力とかの騒動が勃発、せっかく綺麗で豊かな気分になれるシーズンのムードに、水をぶっかけているような状態です。

まぁ、年末にかけては、色々とざわつくものなのでしょう・・・

とは言え、本当のホリデーはこれから。公開予定のハリウッドの新作映画もたくさんありますし、クリスマスにかけて最新作の興行成績がどこまで伸びるのか、気になるところでもありますね。

まぁ、僕らは、あんまり変なスキャンダルに振り回されないように、年末を楽しんでゆきましょうっ。

それではまたっ!

映画「ダディーズ・ホーム 2(原題)」:マーク・ウォールバーグとウィル・フェレルのおかしな父親!?

親の上にその親が乗っかり生まれる、もめ事と笑い話

中学校の頃、国語を教えてくれていたお婆ちゃん先生が、「所詮、親がいなかったらアンタらも居ない訳だから、アンタらなんて絶対に親には叶わないんだよ」、と仰っていたのを記憶しています。

まぁ、僕らが両親に叶わないのなら、両親はその親に叶わず、親の親はその親に叶わなくなってしまい、全ての人間の親である最初のヒト、アダムとイブは、極めて高尚な人でなければならない事になってしまいます。

とは言え現実に人間は、その年齢に関わらず皆が等しく無責任だし、幼稚で自己中心的で低俗なもの。だからこそ、パパと息子、ママと娘の間には、身内に独特のライバル関係が生じたりする訳です。

多分、ハリウッド映画のシナリオテンプレートには、そういった親子関係をいじくる構図が組み込まれている様でして、今回ご紹介するホリデー向けコメディー映画「Daddy’s Home 2」もまさにその一本です。

この映画、2017年のクリスマス、家族のお手本にならなければいけないはずのパパ達の前に、もっと手強いお父さん達が立ちはだかり、家族の休日が大騒ぎになるという話らしいのですが・・・ 【続きを読む】 “映画「ダディーズ・ホーム 2(原題)」:マーク・ウォールバーグとウィル・フェレルのおかしな父親!?”

映画「ジャスティス・リーグ(Justice League)」の気になる評価とは?

今年最後のヒーロー祭り開催

スーパーヒーローをアイコニックにしている要素は、そのコスチュームと能力の組み合わせで表現されるキャラクターです。すなわち、その2つの部品が彼らについての全てを語っていると言えます。

中の人を差し替えて何度でもリブートが出来るという、映画的には非常に大きなメリットも生み出している、そんな彼らの強い個性ですが、それでも単純にスクリーンへ投射するだけでは、際立たせる事などできません。彼らの隣には必ず立派な比較相手が必要なのです。

オーソドックスには、強力な悪役を登場させるという手が使われますが、例えば、変形する複雑な作りのロボモンスターとか、海から這いあがって来るクラーケン的なやつとか、直径が3kmくらいあるUFOとか、考えられる限りの怪物はアクション映画に既に登場済みで、今や充分なカリスマ性を発揮できないでしょう。

そこで新たに採用されるのが、何種類かのヒーローを集合させて、観客に彼らの違いを見比べて楽しんでもらおうというアイディア。

そして、最近のハリウッド界隈では、その思惑が事のほか上手く当たっている様子です。

今回は、そんな2017年のヒーロームーブメントをおそらく締めくくる一作である、「ジャスティス・リーグ(Justice League)」について、米国公開時に書かれた本当の評価をいくつかご紹介して行きます。 【続きを読む】 “映画「ジャスティス・リーグ(Justice League)」の気になる評価とは?”